リリカルなのは-オーズクロニクル   作:スターみかん

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どうも!細かい仕草や言葉回しチェックのために、
2ndA'sを観て泣きそうになるスターてす!

やっぱりいいですね~!

映画館行ってた頃が懐かしい…。

今回から本格的にヴォルケンのみんなも加わり、はやてとエイジの間にも変化が…。

では後書きにてまた!


第13話「騎士たちとぼやけた記憶と記念すべき誕生日」

「Anfang.(起動)」

 

その音声と共に放たれた目映い光が止むと、はやての胸の前には白銀に輝く宝石のような光球が宙で浮遊していた。

 

それだけでも充分だったが、驚くことは続いた。

 

「闇の書の起動を確認しました。」

 

声のする方に二人が顔を向けると長い、ピンクの髪をポニーテールに結んだ凛々しい女性が控えていた。

 

「我ら、闇の書の蒐集を行い、主を守る守護騎士にてございます。」

 

その反対からの声に振り返るとふんわりとした質感の金の髪色をショートヘアーにした聡明そうな女性が同じく頭を下げて控えていた。

 

「夜天の主の下に集いし雲」

 

「…ヴォルケンリッター。」

 

背後には白髪褐色の犬耳の大柄の男性に、色白の肌に紅の髪をお下げにしたはやてよりも幼い外見の子供がこれまた同じようにその頭をこちらに下げていた。

 

「…ええっと…。」

 

彼らの足元も色と大きさこそ違うが二人の足元のものと同じように三角形の陣が回転し、4人はこちらを囲むように配置されていた。

 

「失礼ですが貴方は?」

 

どこを見て話せばいいのか戸惑うエイジにポニーテールの女性が声を掛けた。

 

その声色や佇まい、堂々とした態度からして彼女が彼らのリーダー格のようだ。

 

「え?ああ、どうも。エイジと言います

…じゃなくて!あなたたちは一体どなた様ですか?」

 

「我らはそちらに居られる新たな主に仕えるものでございます。」

 

「??」

 

説明を受けてもまるで状況を掴めず、ちんぷんかんぷんになるエイジは背後に気配を感じて振り返った。

 

こちらの陣に移って来ていた赤髪の少女がはやての顔を覗き込んでいた。

 

「ヴィータちゃん!戻って!」

 

「控えろ。主の前での無礼は許されん!」

 

「いや、無礼つーかさ…。」

 

金髪女性とリーダー女性は彼女を諫めたが、エイジには何を伝えようとしているか、はやての様子を見て大体察した。

 

「コイツ気絶してね?」

 

「何!?」

 

「ウソ?!」

 

「そりゃそうなるよね。」

 

突然の情報量と衝撃の展開の連続に流石のはやても

キャパオーバーを起こし、陣の上で気絶していた。

 

「あの~…とりあえず下に降りません?」

 

車椅子を起こして気を失ったはやてを座らせて

そう切り出したエイジに訝しむように鋭い眼差しを

向けるが、背けることなく真っ直ぐに見つめ返す彼を

信じたのか提案に乗ってその場にいた全員はゆっくりと地上に降りた。

 

降りる時に気を利かせてくれたのか、着地点は八神家前だった。

 

「ではここじゃ何ですし、家に行くとしましょうか。」

 

「あの!ですからあなたは?」

 

車椅子を押して家に入ろうとするエイジにリーダー女性が問うた。

 

「ああ、そうでした。答えてませんでしたね。」

 

そう言うと彼女らに向き直り、エイジは答えた。

 

「俺は…」

 

-

-

-

 

時刻は朝の5時半過ぎ。

 

日が差し始め太陽が街を照らし、そこに暮らす人々も眠りから覚めて各々の生活を始めるために動き出す。

 

そんな何てもないようなことを眺めるようにヴィータと呼ばれた赤髪の少女は、八神邸の近くにある高台にいた。

 

「狭っ苦しい街だな。」

 

「少なくとも戦乱や争いとは縁の無い、豊かな土地のようだ。」

 

その背後に立つ褐色の大男、ザフィーラは見たものを

簡単に分析した。

 

「ハァ…。あたしらはいつまでこんなこと続けてりゃいいんだろうな…。」

 

遥か昔、それこそ気の遠くなるような年月、様々な世界を渡っては望まぬ戦いの中に身を投じて来なければならなかった自分たちの境遇と、これからもその陰鬱な日々が続いていくであろうことに彼女はため息と共に吐露した。

 

「いつか壊れ、この身が朽ちるまではそうだろうな。」

 

彼もその終わりの見えない自分たちの運命を嘆いたところで何も変わらないと理解し、彼女の言葉に短く答えた。

 

「で?あんたはあたしらに何か用事か?」

 

話終えるのを待っていたのか、下の角の壁に背を寄りかけて隠れるように会話を聞いていたアンクが出てきた。

 

「別に。ただお前らの主とやらが目を覚ましたからさっさと来いよ。」

 

ぶっきらぼうにそう告げて家路に反転して歩く偉そうな姿にムカついたが、なぜかモヤつきもした。

 

まるで昔もこんなことがあったように。

 

「どうした?」

 

「…何でもねえよ。」

 

先を歩いていたザフィーラが足を止めていた彼女に声をかけたが、早歩きでそそくさと抜いていった。

 

-

-

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「えっと…。じゃあこの子ははベルカっていう古い国の魔導書で闇の書。私はこの子の主でみんなは私たちを守ってくれる守護騎士ヴォルケンリッター…。っていうのでええのかな?」

 

「はい。」

 

自室で目を覚ましたはやてはポニーテールの女性、シグナムから先ほどからはやての側に引っ付くように飛んでいる件の本の詳細と自分たちの名前と出自の説明を受けていた。

 

傍らの椅子に座り話を聞くエイジは以前、アンクが話した内容と照らし合わせて状況を把握した。

 

はやてはと言うと最初こそ驚きのあまり気絶したが、オーズやヤミーのことを話した時のようにすんなりと彼女の話を受け入れて、自分は車椅子に乗ってタンスの中から何かを探していた。

 

「(古代の、それも遠い異世界のもう存在しない国ベルカねえ~…。アンクが誕生した頃にはあったらしいからどんなものかと思ってたけど、まさかこんなご大層なシステムまであるとは…。)」

 

現代までここまでそのオーバーテクノロジーを遺す技術力にある種の感動を覚えると同時に、アンクが言っていた戦乱の時代ということも思い返してエイジは酷く胸の奥が痛むような気分だった。

 

本に内包された防衛機能の一部だというはやての前に控えた彼らは一様に黒く、薄い、デザイン性の欠片も無いみすぼらしい服を身に纏い、その表情は暗かった。

 

「闇の書の覚醒の折やこれまでに、その意思からの声を聞かれましたか?」

 

シグナムの隣で控える金髪女性、シャマルが問うた。

 

「うーん…。寝てる間にそんな夢を見たような、見てないような…。あ!あった!」

 

意思と聞いてあの夢で出会った女性のことだと気づいたが、どうもはやてはその辺りが曖昧になっているのか彼女に出会った記憶は無いようだ。

 

「でも分かったことはある。」

 

一ヶ月ちょっとと短くはあるが大分濃い付き合いになったエイジには彼女が次に何を言おうとしているのか大体分かった。

 

「私は闇の書の主として守護騎士みんなの衣・食・住ときっちり面倒見なアカンいうことや!」

 

4人に向き直って話すはやてにぽかんとする彼女らをよそに予想を的中させたエイジはただただ微笑を浮かべていた。

 

「幸い住むところはあるし、料理は得意や。後は…お洋服!」

 

タンスから探し出した巻き取りメジャーを伸ばす彼女を

見て察したエイジはドアへと向かった。

 

「あ…。えっと、あんた!」

 

はやての言葉に一番驚いて立ち上がっていたヴィータが

彼を呼び止めた。

 

「あんた、自分がまだ何者なのかあたしらに教えて無いだろ。」

 

「え?そやったんですか?」

 

彼女たちにははやての味方とだけ言って区切っていたので、どうやらエイジの身辺に4人とも興味がお有りのようだった。

 

「ヴィータちゃん!」

 

シャマルが諫めようとするがシグナムがそれを止め、彼女も続けた。

 

「主のご親類と考えるにはあまり似られておらず、何よりあなたからは何かただならぬ強い力を感じます。」

 

少しの静寂の後、目を閉じて考えていたエイジははやてに声を掛けた。

 

「みんなははやてちゃんの…そうだな、家族になるってことでいいんだよね?」

 

「はい!」

 

「即答か!ならはやてちゃんの身に関わることだし、アレ絡みまで話してもいいかな?」

 

「まあ、しょうがないですよね。私はええですよ。」

 

「アンクもいいよね?」

 

はやての了承を得たエイジはドアを少し開けて、腕を組んで壁にもたれてずっと話を聞いていた彼にも聞いた。

 

「好きにしろ。」

 

「はい、好きにします♪」

 

ドアを閉めて座っていた椅子に戻るとエイジは懐からタトバの3枚のメダルを取り出して、みんなに見えるように自分の掌に置いた。

 

「じゃあ、まずは…」

 

そこまで言ってふと妙だと思った。

 

なぜ彼女らはアンクのことを覚えていないのか。

 

「どうしました?」

 

「あ…。いや、みんなってあのドアの向こうの金髪トサカのガラの悪いアイツに覚えは無いのかなぁと思って。」

 

「ケンカ売ってんのか、お前は!」

 

しっかり聞こえていた本人が乱入してきたが、ヴォルケンの4人は顔を見合せて困惑していた。

 

「申し訳ありません。ですが我等、永い時を過ごしてきた身ですのでこの時代に生きるあなた方とは関わる余地も持てなかったと思いますが…。」

 

「まあ、そこら辺も説明します。」

 

彼から椅子を奪ったアンクの隣に立ち、はやてに話した時のようにメダルやオーズ、グリードにヤミー、そして自分たちの存在と役目を何から何まで話し始めた。

 

向かいの家の屋根上で輝く2つの眼に気が付かずに…。

 

-

-

-

 

廃工場にて例の如く潜んでいたグリードは上体を起こし、待ち兼ねた報告を聞き笑っていた。

 

「そっかそっか!ついに封印が解けたんだ!」

 

下半身の力だけでそれまでのだらけぶりが嘘のように勢い良く立ち上がった。

 

「なら少し遊んであげなきゃね…。固いこと言わないでよ~、ほんのちょっとつつくぐらいだからさ。」

 

回りには誰も居らず、誰に話しているのか全く分からないが、その静止も空しく悪意の塊は街の方を眺めて良からぬことを企んでいた。

 

「さあ!楽しもうか!」

 

-

-

-

 

大体の説明を終えたエイジははやてと共に服屋に行き、

今はその帰り道だった。

 

「荷物持ちなんてやらせてもうてすいません。」

 

「いやいや、全然♪にしても結構買ったね~。」

 

「家ん中やとヴィータの分ぐらいしか服もあらへんもんで…。あ!でもちゃんとあの子の分も可愛いやつはしっかり買うときましたよ!」

 

彼の両腕には中身がパンパンな紙袋が6袋掛けられていた。

 

大荷物になるだろうと見越して自分が付いてきて正解だったと思った。

 

アンクとヴォルケンの4人は家で留守番していた。

 

あの格好で外に出す訳にも行かないし、まだまだ向こうからしても聞きたいことは多いだろうと補足説明にアンクを置いてきた。

 

「近くで見てたから分かるよ。はやてちゃん物凄く楽しそうに選んでたもんね。…まあ、下着コーナーは勘弁してほしかったけど。」

 

テンションの上がりきったはやてに振り回されるのはやぶさかでは無かったが、自分も男。ましてや小学生の買い物に付き合っていたとは言え、女性物のコーナーにこんな大男がいるだけで端からは充分な犯罪の匂いがする。

 

「あれは本当にすいません。」

 

「まあ次はみんなであのコーナーには行ってね。俺もそれ以外はいくらでも付き合うし。でも本当に嬉しいみたいだね、はやてちゃん。採寸終わって部屋から出てきた時から全然テンション落ちないんだもん。」

 

「それはそうですよ。だってずっと一緒におった本の中からあんな素敵な子たちが出て来てくれたんですもん。

まさかそんな家族の増え方があるなんて流石に思いませんよ。」

 

「そうだよね~。そんな幸せなところに乗っかる形で申し訳無いんだけどね、はやてちゃん。一つお願いしてもいいかな?」

 

「何ですか?また改まって。」

 

歩みはそのままだが言いづらいのか言葉を探すエイジに彼女は首を傾げた。

 

ようやくエイジは口を開いた。

 

「俺の…妹ってことにならない?」

 

言葉の意味を理解するために固まる彼女に、平時は飄々と構えているエイジは目に見えて赤面し、焦っていた。

 

「いや!ほらね!世間体的にも見知らぬ男が幼い女の子の家に上がり込んでんのもアレだし!それになんというか!もう他人と思えないというか、ほっときたくないというかね…だから」

 

車輪を回すのを止めた彼女の前にしゃがみ、目を合わせた。

 

「形だけでも君の兄のようなものとして近くにいいかな?」

 

俯いて黙っている彼女の目は見えなかった。

 

「ああ!ごめんね!急な話で驚いちゃったよね…?!」

 

そこまで言っている最中にはやての手によってまたしても彼の頬は掴まれていた。

 

「…正直思うてましたよ。エイジさんが私のお兄さんやったらなー~って…。でもそんなワガママ、口が裂けても言うたらアカンって思うとったのに…ホンマにズルい人や。」

 

また頬を解す訳でもなく顔を掴むはやての眼は、溜めに溜めた涙で潤んでいた。

 

「ホンマに…ええんですか?」

 

遂には零れ始めたその滴を見た彼は一言だけ言った。

 

「…ホンマ♪」

 

その屈託の無い笑みにはやては涙を流しながらも釣られて笑顔になった。

 

「ハハ!はやてちゃん泣くのか笑うのかどっちなんだよ~!」

 

「どっちもです~!」

 

「ちょ!これなんかむず痒くなるからご勘弁を!」

 

「うっさいです~!うりゃ!うりゃ!」

 

軽く言うエイジにここぞとばかりの反撃として頬へのマッサージは彼には効果覿面のようだ。

 

「あ~しんど…。」

 

解放されたエイジは頬の感覚を戻そうと両手で確かめるように触っていた。

 

「もお~、そんな大げさな。でもこれエイジさ…エイ兄さんには結構効くようで…。」

 

「いやもうかなりって…今兄さんって言ってくれた?」

 

その表情はまさに蘭々と輝いていた。

 

「言いましたよ!エイ兄さんって!みんなまってるからはよ帰りますよ!」

 

照れ臭そうに車輪を回すはやての顔は最早ゆでダコのようだった。

 

「でもその呼び方結局長くない?」

 

「ええんです!形から入るんが大事なんです!」

 

帰路に着く二人のその姿は少々ぎこちないが、傍目から見れば仲の良い、本当の兄妹のようだった。

 

 

 

 

 




はやてちゃんは知れば知るほど大好きになっていきます!

描く上ではこの子とあの人のことは特に気をつけて描いています。

そして本編では短いながらも見ていて実に微笑ましかった八神家の幸せな日々!

次回からはあのパートを少し長めにやります。

オーズ側も進展しますよ!

それでは!
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