リリカルなのは-オーズクロニクル   作:スターみかん

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こんにちは!お待たせしました、第2話です!
今回から本格的に海鳴が舞台となります。
ではお楽しみください!


第2話「桜と怪物と新たな出会い」

はやてが当選してから1ヶ月近く経ち、もう4月も終わり間近。

 

はやては購入してからずっとプレイしていたマイティーアクションXも大分進んだが、まだまだクリアには至っていなかった。

 

ただでさえ隠し要素てんこ盛りのボリューミーな内容であり、彼女自身がどれだけ熱中してもゲームは1日1時間とルールを決めて遊んでいることも相まって他の子どもたちよりも進むスピードは緩やかだった。

 

あのゲームが届いた日と同じようにはやては病院からの帰路に着いて、公園の前を車椅子で通りかかった。

 

公園の中では日曜日ということもあって、ちびっ子たちが桜の木の下で楽しそうに駆け回っていた。

 

桜が風に吹かれ、桜吹雪になっているところを子どもたちは面白がって突っ込んでいた。

 

「もう4月も終わりやなー…。」

 

5月に入るとすぐにゴールデンウィークで、テレビでも休みの間のオススメスポットなどの特集番組が多かった。

 

はやては通院の予定も休みの間は無く、どこかに出かけても自分には場違いで居辛くなると思い、買い物以外では家から出る気もなかった。

 

「もう桜も見納め時やなー。ちょっとゆっくりして行こかな。」

 

公園内のベンチの横に車椅子を並べた。

 

ちょうど桜の木が日差しを遮り、木陰を作っていて風も優しく、そこは居心地が良かった。

 

今日はバスが少し長引き、検査で疲れていたこともあり15分ほど桜や子どもたちを眺めていたが、いつしかその小さな首はカクンカクンと傾いていた。

 

「あかん…。めっちゃ気持ちええ天気やし、眠なってきたわ。はよ帰らな…」

 

そう思った刹那の瞬間、彼女の目の前に信じられないことが起きた。

 

公園の広場に土煙を上げ、空から何かが落ちてきたのである。

 

そして、それは不気味に蠢き始め…

 

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エイジとアンクは村を出発してから途中に休憩を挟みつつ、2日かけて目的地である海鳴市にたどり着いた。

 

桜台という少し高台となっている小山で小休止中である。

 

「いや~、意外と時間かかっちゃったねー。」

 

「は!お前の寝起きが悪いからだろ。」

 

どうやら休憩のために立ち寄った仮眠所でエイジがなかなか起きて来なかったようだ。

 

「全く呑気なやつだ。お前の寝起きはいつもこうだ。

少しは1人で起きてこい。」

 

「悪いね。ここんとこ暖かくなって布団が気持ちよくて…」

 

そこまで言って、アンクからのお説教が飛ぼうとしたとき、エイジの携帯が鳴った。

 

「はい。もしもし…」

 

電話に出て、アンクからのお仕置きを飄々とかわした。

 

?「エイジ!調子はどうだい?」

 

「ああ。父さんか。そっちは相変わらずだね。」

 

電話の相手はエイジの父であり、長年ゲンムファウンデーションの会長を務める大御所、黒斗宗正だ。

 

「相変わらずも何も、最高だよ!

先日のマイティーアクションXの発売以来、在庫の問い合わせがひっきりなしで営業部も嬉しい悲鳴が絶えないようだよ。」

 

「そっか!売り上げも良いみたいだね。

こっちもプレイしてくれた子たちから満足して、色んな感想くれてオレも最高の気分だよ!」

 

発売前から予約が殺到し、いざ発売すると店頭からは5分も待たずとして売り切れた。

 

「会社にもファンレターや感想の手紙が届いているよ!

メディア露出もしていないというのに我が息子ながらスゴいものだね。みんな私の顔からイメージしたのかな?」

 

「あー…ハイハイそうですね。」

 

いつもこんな調子で軽口を叩き合う仲である。

 

「まあ、冗談はこのぐらいにして、例の件だが一昨日の大地震を君に頼まれた通り、こちらでも調べて結果が出た。」

 

「流石、ウチの会社は仕事が早いねー。」

 

一昨日に海鳴市では断続的に強い揺れが続き、ニュースとなった。

 

この数ヶ月、地震が続いていたこともあり、今までの地震は今回の前触れかと思われていた。

 

だがこの地震、調べると不可解な点があった。

 

地面が揺れていないのである。

 

「結果だが、君の仮説通り地面ではなく空間そのものが揺れていたというものだったそうだ。」

 

「やっぱりか。そうなると周辺の空間そのものに影響を与えるほどのエネルギーが異常に発生したとしか…」

 

エイジとアンクはアンクと同じ、あるグリードを追い続けており、全国各地を転々としていた。

 

今回のユーザーキャンペーンは、その旅の最中にエイジが作ったゲームの感想を彼自身に生で聞いてもらおうと、旅の合間のリフレッシュも兼ねて宗正会長が考えたものだった。

 

最初は少し渋ったエイジだったが、選考された子たちからのアンケートを見て、それまでと逆に「10人しか会えないの?」と残念そうにする始末だった。

 

「だがそんなエネルギー、余程デカい欲望を見つけても作れるとは思えんがなぁ。」

 

エイジの推測にアンクは意見した。

 

グリードは体の核となるコアメダルと体を作るセルメダルを持つ。

 

セルメダルを増やせばその分だけ肉体の強化を果たすことが出来る。

 

そのためには強い欲望を持つ人間にセルメダルを1枚入れ、ヤミーと呼ばれる怪物を生み出す。

 

ヤミーは宿主となった人間の欲望通りに動き、暴れてセルメダルをその体内に増やし、増えきったヤミーを取り込むことでグリードは更なる強化が出来る。

 

だがアンクの言うとおりコアメダルよりも劣るセルメダルでそこまでのエネルギーを発生させることが出来るかは疑問だ。

 

「そこなのだよ!アンク君と出会って、我が財団のメダル研究は飛躍的に進んだが、どうにもこればかりは不自然で研究チームも頭を抱えているよ。

これは可能性の話だが、メダル以外の未知の力なのかもしれないとも見解が出ているよ。」

 

「…メダル以外の力か。」

 

3年前、ゲンムファウンデーションの所有する山岳地帯に突如として開いたワームホールから飛来した未知の物体、「コアメダル」「セルメダル」。

 

政府の箝口令の下、ゲンムファウンデーションは政府上層部との口利きでこの物体への詳細な研究を開始し、

内包される強大なエネルギーを発見した。

 

だが、時を同じくして、国内で奇妙な怪事件が頻発するようになった。

 

何の計画性も無く、狂ったように包丁を持っただけの男が銀行を襲い、多数の死傷者を出し、タガが外れたように食欲を爆発させてショック死するものや天井まで届かんばかりの買い物袋の下敷きとなって圧死するなど、まるで欲望を解放した末路のような不気味にも思える事件が一つ二つなどでは無く起きていた。

 

その現場付近に必ずセルメダルが数枚発見されていた。

 

情報統制を敷いていたこともあり、詳細な情報は無くともそれが都市伝説のように、まことしやかに囁かれるようになるのに時間はかからなかった。

 

そんな中、アンクがこの世界に現れ、ひょんなことから宗正会長の1人息子であるエイジと出会った。

 

彼は自分の存在した世界となぜメダルがこの世界に現れたか、一連の事件とグリード・ヤミーの関係をこと詳細に教えてくれた。

 

始めは半信半疑だった政府上層部も事件との一致性、少ないながらも不審な異形の姿の目撃情報、何より箝口令の中、コアメダルを提示したアンクの言葉を信じざるを得なかった。

 

そしてアンクはエイジに力として、オーズドライバーを渡し、共に戦い今日に至る。

 

今は全国をまたにかけて、危険なヤミーを生み出すグリードを追いかけ続けているのである。

 

だがここにきて、ただでさえメダルだけでも研究中のこともあると言うのに、そんな何とも分からない得体の知れないものが可能性とは言え現れようとは誰も想像していなかった。

 

「やつの気配事態は薄いがこの街から感じている。

このまま探すことにするぞ。」

 

「よろしく頼…」

 

そこまで会話が続いた時、海鳴市の方から爆発が轟音が共に届き、遮った。

 

「アンク!」

 

「この気配…間違いない!ヤミーだ!」

 

「父さん!行ってくるよ!」

 

場所はそれほど遠く無いようで、今も煙が上がっているのが見えた。

 

「エイジ!気をつけて行きたまえ!」

 

「ありがと!終わったら連絡するよ!」

 

電話を切り、アンクは腕だけの姿でエイジのバッグに入り、猛スピードで現場へと向かって行った。

 

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はやては木陰に隠れていた。

 

目の前では蜂の針をそのまま大きくしたような右腕を持った怪物が暴れていた。

 

うわ言のように「ナニモカモメチャクチャニー!」などと叫んでいる以外、知性のようなものを感じられず、ただただ暴れまわるだけであった。

 

一人逃げ遅れ、見つからないように怖くて震える体を丸めてはやては目を瞑っていた。

 

「(な、何なんあれは…?!)」

 

公園にいた住民たちは避難し、はやては逃げ遅れて、その場には怪物とはやてだけだった。

 

だが

 

「ええーん!おかあさんどこー!?」

 

小さな男の子が一人はぐれてしまっていたようだ。

 

「アァ…ウルザイ!」

 

首を傾け、怪物が少し離れた所にいるその子供を睨んでその方向に向き直った。

 

今にも飛び掛かろうとしたその時

 

「こっちや!」

 

自分の持っていた本を怪物に投げ、はやては自分に注意を逸らさせた。

 

目論見通り、怪物ははやてへと狙いを変え、蜂針を機関銃のようにばら蒔いた。

 

「きゃあ!」

 

本能のままに撃つだけで、ろくに狙いもつけていないため本人への直撃こそ無かったものの、はやてはその衝撃で車椅子から叩き落とされた。

 

「グルル…」

 

撃つのはやめたようで、蜂の脚をそのまま密集させたような刺々しい左手を上げ、にじりにじりと動けずにいるはやてへと近づいてきた。

 

「(怖い…。私はこのまま殺されるんか…。嫌や。

そんなん嫌や。誰か…)」

 

そうまで思ったとき上げた左手が振り下ろされた。

 

「助けて!」

 

鈍い、金属音が頭上から聞こえた。

 

いつまで経っても痛みや血が流れて来ないことにはやては気づいた。

 

顔を上げると怪物が仰け反り、自分との間に青い刃を持った剣が地面に立っていた。

 

「君!大丈夫!?」

 

声のする方に顔を向けると、黒いサングラスをかけた長身の綺麗な銀髪な男が駆けてきてはやてを気遣い隣にしゃがんだ。

 

「痛いところとかケガは無い?」

 

「だ、大丈夫です。あ!近くに男の子が…」

 

はやては先ほど狙われていた男の子の心配をしていた。

 

「その子なら大丈夫だよ。連れが安全なところまで逃がしてくれてるから。

あとは君を連れていけばオッケーなんだけど…。」

 

穏やかにはやてに語りかける男は、怯みから戻ったヤミーが自分の投げた剣を腕を乱暴に振り回して吹っ飛ばすのを見て、苦笑混じりに「ハァ…」とため息をつきつつサングラスを外した。

 

「どうやらそうもいかないみたいだ。

…ちょーっと悪いんだけど、これから見ることは内緒にしてね!」

 

倒れた車椅子を起こして、はやてをひょいとお姫様抱っこしつつそこに座らせながら男は少し困った声色だが、いたずらっ子のようににこやかな顔を彼女に向け、しゃがみ

目線をはやてに合わせて喋った。。

 

サングラスを外したその目は黒目の多くが朱色になっており、はやては思わず見とれてしまった。

 

「とーりあえず!アイツをどうにかするよ!」

 

「なんとかて…危ないですって!」

 

「大丈夫!俺におーまかせ!」

 

両手を振り回して暴れるヤミーに向き直って歩む男は、

止める彼女にサムズアッブを背を向けながら送り、着ているコートの胸ポケットから見たことの無い"何か"を

腰に当てた。

 

するとそれは彼の腰にベルトのように巻き付き、何かを彼は三枚そこに入れてそれを傾けた。

 

腰脇に付いていた円盤を手に取るとそこから音がなり、それでベルト状のものにスキャンするようにスライドさせた。

 

キン!

キン!

キン!

と小気味のいい音が鳴り、慣れているように彼は高らかに、力強く叫んだ。

 

「変身!!」

 

タカ!

 

トラ!

 

バッタ!

 

タットッバ!タトバ!タットッバ!!

 

ベルトから色とりどりのメダルのようなものが飛び出し、彼の周囲を回って奇妙な歌と共に男は三色の姿へと"変身"した。

 

「さあ!その欲望…終わらせるよ!」

 

その戦士はその言葉と共に駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか。

三代目オーズの変身!

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、今作主人公の黒斗エイジは本編オーズ主人公火野映司さんから名前を、仮面ライダーエグゼイドから檀黎斗さんからその神の才能を頂き、そこに彼本人の性格とそれを作った過去を織り混ぜ生まれた1人の人間です。

奇しくも、現在放映中のジオウでは夢の(?)コラボを果たした二組になりました。

この作品を構想する中でまさか本編でこの二人が出会うことになるとは夢にも思わなかったです!

筆者、そのお二人と黎斗さんの父である正宗パパが大好きなんです!

特にこの檀親子に関してはエグゼイドという作品に触れる中で、個人的にどこで道を間違えてしまったのか考えていました。

息子を会社の発展のための道具としてしか見ることが
出来なくなってしまった父、その父の下で自分の才能こそが全てと思い至り、暴虐の限りを尽くした息子。

この作品ではこの親子のある意味ifのような物語も書き綴りたいと思います。

そしてアンク!

いつかの明日を迎え、映司さんとの再開と別れを経て、
未知なる世界へと降り立った彼もまた新たな欲望と出会うことに…。

また三話でお会いしましょう!
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