リリカルなのは-オーズクロニクル   作:スターみかん

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今日は!
3話になります。
それではオーズ初戦闘です!
どうぞ!


第3話「戦いと語らいと災厄の影」

「グルワァ!」

 

突如目の前に現れた敵に、武器となる針を向けようとする蜂ヤミーであった。

 

エイジ=オーズはバッタの力を持つ脚を使って距離を一気に詰め、その勢いのまま右腕を大きく蹴り上げた。

 

着地と同時に、両腕に付いたトラの爪を展開して右、左と連続して切りつけた。

 

「ハッ!ソリャ!」

 

ダメージを受ける度にその箇所から銀色のメダル、セルメダルがぼろぼろと溢れた。

 

「ガァ!」

 

トラのクローを右腕に食い止められ、左膝から脇腹に膝蹴りを食らいオーズは後ろに跳んだ。

 

僅かでも距離が生まれたのを好機と見たヤミーは蜂針を乱射した。

 

「ワンパターンだな!」

 

高速で放たれる針は直撃すればオーズにもダメージを与えられるだろうが、頭部の鷹の目を生かして的確にトラクローで器用に捌いて一本も通さなかった。

 

シビレを切らしたヤミーは背部の羽で一瞬で飛び上がって、

猛スピードで突っ込んできた。

 

「ガハッ!ちょ!飛ぶのはズルいでしょーよ!」

 

瞬間的に反応して激突は避けたが、通り間際に放たれた針を数発受けて、オーズは痛みつつも子供のように文句を言った。

 

そんなことはお構い無しに上空から針を乱れ撃ってきた。

 

先ほどと同じように防ごうとしたオーズだったが、想定外の事態が起きた。

 

空中浮遊という不安定な状態で乱射したため、地上にいるとき以上に狙いが定まらず、その中の数発がはやてのいる方向に向かっていた。

 

すぐに向かおうとしたエイジだったが、彼とはやての直線延長線上から赤い影が颯爽と飛んできた。

 

腕だけの状態のアンクがはやての目の前で針を全てはね除けた。

 

「おい!お前!ボーッとしてんな!」

 

「う、腕がしゃ、喋った…」

 

「お、おい!?」

 

腕だけなら高速で自由に飛べるため、アンクはこの状態で来たようだったが唐突に目の前に現れた喋り腕お化けにキャパオーバーを起こして気絶してしまった。

 

「サンキュー!アンク!でも気絶させちゃってどうすんの!?」

 

「ふざけんな!なんでヤミーは大丈夫で俺はダメなんだよ!」

 

「まぁ喋る腕は普通に驚くだろ。ちょっとその子守っててくれ!」

 

納得のいかないアンクは人の姿へと戻り、はやての車椅子を押して公園の隅にまで連れていった。

 

「アンク!空にいるやつ狙えそうなメダル…そうだ!クジャクをパスして!」

 

「お前命中率悪いだろうが!これで我慢しとけ!」

 

アンクはそう言うとエイジのバッグから黒いホルダーを取り出し、中にあるメダルを1枚オーズに投げ渡した。

 

「え?ウナギか。これでもいっか!」

 

左腕で針を防ぎつつ、右手で真ん中のメダルを変えてスキャンした。

 

タカ!

 

ウナギ!

 

バッタ!

 

先ほどのように歌は流れなかったが黄色のトラクローが付いていた胴体部分が青くなり、腕には水色がかった鞭のついた姿となった。

 

変化する際の正面に現れたメダル状の幻影で攻撃を防ぎ、変わった瞬間にバッタの力で跳び上がり距離を詰め、鞭でヤミーを絡めとり地面へと叩きつけた。

 

「ガハッ!?」

 

鞭に流れていた電流で麻痺し、まともに立ち上がれないヤミーを脇目に、タトバと歌が流れた形態へとオーズは戻った。

 

「トドメだ!」

 

スキャニングチャージ!!!

 

再びベルトのメダルをスキャンすると音声と共に全身にエネルギーが流れ、バッタレッグが本物のバッタのような節々になり、先ほどより大きく変化した。

 

その脚で高く跳び上がるとヤミーとの間に赤、黄、緑のメダル状のゲートが現れ、赤い翼を背から生やして加速をつけたオーズがくぐり抜け両足蹴りを直撃させた。

 

「オッリャー!!!」

 

必殺の一撃を受けたヤミーは爆発を起こし、辺りにセルメダルが飛び散った。

 

それと同時にアンクのスマホ操作で公園脇に自販機に変えたライドベンダーから缶状のロボット…カンドロイドのタカ缶が次々と排出、変形しヤミーから生成されたセルメダルをそのクチバシに咥えてどこかに飛び去って行った。

 

「エイジ!退くぞ!」

 

遠くからサイレンが聞こえ、どんどん近づいて来ていた。

 

長居は無用と判断したアンクはオーズに呼び掛けた。

 

「あ!待ってアンク!」

 

「あ?おい!そのガキどうすんだよ!?」

 

オーズは気絶しているはやての下に駆け寄り、車椅子ごと持ち上げていた。

 

「流石にこのまま放っておくのもかわいそうだし、ケガしてたりしたら俺たちで運んだ方が速そうでしょ。」

 

「ハッ!お人好しが…っておい!置いてくな!」

 

アンクの返事も待たずしてオーズは近くのビルへ、ビルへと跳んで現場から離れていった。

 

「全く…ん?」

 

腕の姿に戻り後を追おうとしたアンクは近くに落ちていたあるものに気づき、それを拾ってオーズを追った。

 

-

-

-

頬に優しい、暖かい風が当たるのを感じ、はやては瞼を開いた。

 

車椅子に座る自分の回りには先ほどまで自分のいた公園と同じように子供たちが楽しそうに騒いでいる子供たちや家族連れが沢山いた。

 

どうやらここは近所の大型ショッピングモールの屋上の

庭園の片隅のようだ。

 

「あ!気がついた?」

 

声を掛けられた方に顔を向けると隣のベンチにはあの銀髪の黒コートのお兄さんがいた。

 

「診たところは大丈夫だったんだけど、痛いところとか苦しかったりしない?」

 

「あ、ああ…特には大丈夫ですよー。でも何で私はこんなところに?公園で変なんに襲われて、それでお兄さんに助けてもろてる時に喋る変な腕が出てきて…」

 

ビルを跳び跨いで、その途中のビル屋上で一度外傷が無いかを調べ、誰にも気づかれないようにこの場所に降り立って彼女が目を覚ますまでエイジは隣で待っていた。

 

「変なの!…で悪かったなぁ!」

 

正面を見ると前髪が鳥のトサカのように跳ねた金髪頭の目付きの悪い青年が水色のアイスを片手に立っていた。

 

その声はあの腕お化けから発せられたものと同じだった。

 

「何で化け物を見て平気で、俺を見たら気絶すんだよ?」

 

「あの…えっと。」

 

「しょうがないよ、アンク。誰だって目の前に突然腕だけが浮かんで、しかもそれが喋ったら驚くよ。」

 

アンクに若干怯え気味のはやてを見て、エイジはフォローを出した。

 

「それとな!…」

 

そこまで言ったアンクの前に手を出して静止し続けた。

 

「はい、これ。」

 

はやての膝上にエイジは一冊の本を置いた。

 

「これ君の本だよね。聞いたよ、襲われそうになってた男の子助けるためにこれを投げて注意を引いたって。」

 

「何でその事を?」と言いたげな顔をするはやてにエイジはにこやかに笑みを浮かべ、同じ目線になるよう彼女の隣にしゃがみこんだ。

 

「こいつ…この目付きの悪ーいお兄さんが君が助けた子をお母さんのところにまで連れてってくれて、自分を助けてくれたお姉さんがいるって教えてくれたんだ。」

 

アンクは彼に鋭い目を向けたが気にしていなかった。

 

「あの子、無事にお母さんに会えたんですね。

良かった…。」

 

はやては助けた子が無事だと聞いて安心して胸を撫で下ろした。

 

「君は優しい子なんだね。」

 

「そんな…私はあんなことしか出来へんかったわけですし、お兄さんたちに助けてもろうて…そや!お兄さんあの時何やよう分からんものに変し…」

 

「あー!ちょっとそれはストップで!」

 

エイジははやての言葉を慌てて遮った。

 

周囲を見回して、「ここじゃマズい」と苦笑を浮かべて続けた。

 

「巻き込んじゃったし、このまま何も言わずは酷だからとりあえず説明しなきゃなんだけど俺たちこの街に来たばっかりでどこか落ち着いて話せる所とか心当たりない…かな?」

 

「えー…私もあんま外に出掛けたりせえへんので…

ああ、ウチでもええですか?」

 

はやてはあまり人と積極的に接したりするのは苦手な方だが、目付きの悪いお兄さんはともかくこの黒コートのお兄さんからは何故か暖かみを感じ、安心して話せると思った。

 

「逆にいいのかな?お邪魔しちゃっても?」

 

「ええですよー。ここからあんまり距離も無いですし。」

 

「じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな。」

 

「ほんなら早速行きましょか!案内します~。」

 

「ありがとう!…って大丈夫?」

 

「あれ?おかしいな~?ちょお動き辛くて…。」

 

車椅子を回して動き出そうとしたはやてだったが、どうやら先ほどの騒ぎで車輪が回り辛くなってしまったようで動きにくいようだ。

 

「ああ…さっきのでか~。あ、押すのは出来そうだね。

お家に工具とかあるかな?」

 

「確かあったはずですけど。」

 

「じゃあ着いたら修理してあげるよ。でもこのまま押してくのは危ないからオブっても大丈夫かな?」

 

「ちょお恥ずかしいですけど…OKです。」

 

「了解!アンク~車椅子押してってくれー。」

 

ベンチに脚をかけて行儀悪くアイスを食べていたアンクに車椅子を頼みはやてを背負ってエイジたちははやての家へと向うことにした。

 

「そうだ!自己紹介してなかったや。俺の名前は黒斗エイジ。よろしくね!あっちの金髪はアンクっていうんだ。ガラ悪いけどあんまは悪いやつでは…無い…かな?」

 

後ろの方でしょうがなさそうに空の車椅子を押しているアンクを尻目に、はやてをおぶりながらエイジは自己紹介をしていた。

 

「私は八神はやていいます。…あれ?黒斗ってもしかして…」

 

「八神はやてちゃん…?」

 

「「あ!もしかして…!」」

 

-

-

-

 

エイジたちがショッピングモールの屋上にいる頃、現場となった公園では警察と野次馬たちが集まっていた。

 

ヤミーが暴れて出来た地面のクレーターが数個と針が敷地内の木々に刺さってボロボロにしてしまっていた。

 

周囲のビルにも被害を及ぼしていたが幸いにも死者は出出ていなかった。

 

怪物が暴れていると通報を受けて出動した警察だったが肝心のヤミーもおらず、かといってこの状況もどうしたものかとほとほと困り果てていた。

 

野次馬たちも何事かとウワサや不安だという話を囁き合っていた。

 

その集団から少し離れたところに1人の少年がいた。

 

「…ええ、未回収のジュエルシードでは無いようですが、ロストロギアの類いの可能性もあるのでもう少し調べてから帰還します。それでは後程。」

 

黒髪の少年は自分の周囲に人があまりいないのを見計らい、携帯にも似た端末にそう告げて通信を切った。

 

あまりこの世界では聞き慣れない単語を使い、何かを調査しに来ていたようだ。

 

「一体何なんだ…。?」

 

少年は言い表せれない違和感に疑問符を浮かべていた。

 

そんな現場の様子を一つの影がビル影から覗いていた。

 

人型だがそれは歪な形をしており、四肢は不気味に蠢いていた。

 

「…オーズ。」

 

憎々しげに、だが何故かどこか嬉しそうにそう呟いて影は何処へと跳び去った。

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
はやてとエイジ、アンクのファーストコンタクト。
彼女からしたらいきなり目の前に金髪と銀髪の大人が現れて、改めて見ると圧がすごいですね…。
次回では巻き込まれたはやてへの事情説明と熱いゲーム語り?です!
お楽しみに!
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