リリカルなのは-オーズクロニクル   作:スターみかん

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どうも!4話更新です!
またあとがきで!


第4話「お話と本と不思議な出会い」

「でもまさか、巻き込んじゃった子がはやてちゃんだったとは…。」

 

「ホンマですね~。私も助けてくれたお兄さんが大好きなゲーム作ってくれとった人やったなんて。」

 

今日会いに行く予定の子ということに気づいたエイジと当選通知が来てから楽しみになっていたはやて。

 

家路に就くなかで、世の中意外と狭いなと二人は感じていた。

 

「嬉しいこと言ってくれるね~。お兄さん涙出そうだよ!」

 

「でも想像してたよりめちゃお若いんですね。それにこんなハンサムさんだったやねんて。」

 

「またまた~。まぁこのキャンペーン始めるまで今までメディア露出とかしたこと無かったからみんな俺がどんな奴か知らないもんね!」

 

はやてをおぶりながら楽しそうに話しているエイジの後ろにはアンクが四苦八苦しながら車輪の調子の悪い車椅子を押していた。

 

「たく!何で俺が…こんな…!」

 

「アンク、悪いなー。」

 

「すみません…ご迷惑おかけして。」

 

車椅子に翻弄されているアンクを見てはやては申し訳なさそうに後ろを見た。

 

「全くだ!」

 

「!…」

 

はやてが伏し目がちになったが彼は続けた。

 

「そのバカの戦い方が下手くそ過ぎなんだよ。

おいエイジ!お前回り気にするなら最後までよく見とけ!」

 

「だよね!もっと広く見れるようにするよ。はやてちゃんも気にしないで。アイツもそう言いたいんだよ。」

 

気にしないでと言った後の言葉は彼に聞かれないくらいの小さな声で教えた。

 

「内緒ね♪」

 

「…はい♪」

 

「あ?何か言ったか?」

 

「別に~。」

 

どうやら根本的にこの二人は気が合うようだ。

 

「あ!その角右に曲がったらもうそこです。」

 

そうこうしてる間に目的地に着いたようだ。

 

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「どうぞ~。すみません、あんまとりわけええおもてなしとか出来ませんけど。」

 

「いやいや、気にしないで!でも綺麗なお家だね。」

 

「ありがとうございます。こんな足なもんで特別やることもあんまあらへんですし、掃除とかばっかりやってるもんで。」

 

家のリビングに通されたエイジは家の清潔感溢れる手の届きように感心していた。

 

「そっか。家事得意なんだ。」

 

「はい。掃除も得意ですし、お料理とかも好きです♪もちろんゲームも!」

 

「スゴいなぁ!しっかりものだねぇ。」

 

「いえいえ!そんなことは…。」

 

「親には俺たちが来ることを伝えなくて良かったのか?」

 

アンクは図々しくソファーにもたれながらはやてに尋ねた。

 

知らない大人を家に上げるのだから事前に聞くはずだと思ったからだ。

 

「両親はもう亡くなってもうてて…。もう何年も前に。」

 

「一人で暮らしてるのか。大したもんだな。」

 

「…ありがとうございます。」

 

「…ああ!そうだ。車輪の調子はどうかな。一応ちゃんと直したつもりなんだけど、使い辛かったりしない?」

 

この話題は変えたほうがいいと思ったエイジは先ほど自分が修理した車椅子の加減を聞いた。

 

「もう新品かと思うぐらいです!ホンマに助かりました。」

 

車輪を前後に動かし、自在に操るのを見せた。

 

「良かった!安心した。」

 

「おい、いい加減説明してやれ。でとっとと用を済ませろ。」

 

「ああ、そうだった。じゃあはやてちゃんさっきの騒ぎのあの怪物と俺のあの姿について教えるよ。」

 

アンクは席を立ち回りをウロウロし始め、そこにエイジが座り正面のはやてに語り始めた。

 

「奴らが現れ始めたのは今から3年と半年ばかりで名前はヤミーっていうんだ。…とアイツらを説明するためにも追って説明しないとね」

 

「まずはこれを見て欲しい。」

 

バッグから黒いホルダーを取り出し、それを開いてテーブルの上に置いた。

 

中には様々な動物が描かれた赤や黄色とカラフルなメダルがはめ込まれていた。

 

「キレイなコインですね。」

 

「これはコアメダルって言って様々な生物の強い欲望が込められているメダルなんだ。」

 

「欲望…ですか?」

 

「そう。欲望ってのは強い力、エネルギーを持つ。

そのエネルギーを利用しようと今から900年近く前のどこかの国の王様がこれを作らせたんだ。」

 

「まぁこことは別の世界の話だがな。」

 

本棚に置いてある本を眺めながらアンクが告げた。

 

「別の世界?」

 

「アンク。いっぺんにそんな大量に詰め込んでもおっつかないよ。えっとね、世界ってのは同じ人が同じように存在しているようで実際には違う人生を歩んでる…パラレルワールドって分かるかな?」

 

「本で読んだことあります。おんなじ人が別の次元にも存在するっていうふうな…。」

 

「色んな本読んでるんだね!そうそう、そういう理解でOK。とりあえずパラレルワールドのことは置いといて、でそのコアメダルは1種類につき10枚存在していたんだ。」

 

「でもその内1枚を欠けさせると「足りなさを満たしたい」と意思を持ち、一つの生命体となった。その生命体の名前はグリード。

グリードは9枚で完全な力を得て、世界その物を食らい尽くそうとした。」

 

「食らい尽くすって…?」

 

「文字通り世界が無くなるまで全てを貪るってことだなぁ。」

 

あまりにも途方も無いスケールにはやては驚いていた。

 

「だけど彼らを生み出させた王はグリード達からコアメダルを奪い、その力を自分にも使えるようにした。

それがこのオーズの力なんだ。」

 

テーブルの上に先ほどの戦いでも使ったオーズドライバーをホルダーの横に並べながらそう続けた、

 

「でも王様は自分の欲望の大きさに耐えきれず、その身を滅ぼしてオーズの力はグリード共々封印されて800年間の眠りについたんだ。」

 

ここまでエイジが説明し、続きを話そうとした時にはやては小さく手を上げた。

 

「あの~、ちょっと気になったんですけどええですか?」

 

「あぁ、どうぞ。」

 

「別の世界にしてもえらいようさん正確な情報がありますけど、どうやってそれを皆さん知りはったんですか?」

 

「それは…アイツから。」

 

エイジの指はアンクを示していた。

 

「俺はその生み出されて封印されたグリードの内の一人だ。」

 

そう言ったアンクは体をメダル状に変化させ、赤い鳥の羽のような意匠がついた右腕へと体を小さく変化させた。

 

「あ!さっきのあの腕さんやったんですか!」

 

「また気絶すんなよ。面倒だからな。」

 

すぐに元の人の姿へと戻ったアンクに彼女は謝罪した。

 

「すみません。助けてもろうといて。」

 

まっ腕が浮いてりゃびびるかと言って、彼は棚に並んだ本を眺めるために背を向けた。

 

「今アイツが変わる時に見えていた銀色のメダルがセルメダルって言ってグリードの体を形作ってるんだ。」

 

ホルダーにも赤、黄、緑、白、青の絵柄の違うメダルが三種類ずつ入っているところ以外は銀色のバッテンが描かれたメダルでいっぱいになっていた。

 

「そのセルメダルを生み出して自身の肉体とするために奴らは人にセルメダルを1枚入れてヤミーっていう怪物を作るんだ。」

 

「それがあの蜂みたいなやつのことですか?」

 

「そっ。宿主となった人間の欲望を暴走させるためにヤミーは色んなことをしたり、させたりするんだ。」

 

そこから先ほどの800年前…つまり今からだと半世紀近く前の話の続きをし始めた。

 

「800年間眠りから目覚めたグリードは自分達の体から消え、行方知らずとなった足りないコアメダルを見つけて完全な力を取り戻し、今度こそ世界を食らおうとしたんだけど…。」

 

「コイツの前のオーズが全てを止めた。」

 

良いところで遮られたエイジはブーブーと文句を言っていたが、アンクは無視した。

 

「前のオーズって…また別の人がいたんですか?」

 

「ああ。蘇った俺は他のグリード共以上に体が不完全だった。だから自分の力以外にも手段を増やすために、目の前の命を助けるために力を求めていたコイツの一つ前のオーズに力をやっていた。」

 

「んー。なんや複雑な関係みたいなんは分かりましたけど、その方とアンクさんは一緒になって戦ってた…ってことで考えてええですか?」

 

「まぁそんなとこだ。」

 

はやてが納得しているようでアンクはそのまま続けた。

 

「俺以外のグリードは消滅し、俺も一度は自分のコアが割れて消えたが未練たらたらだったあのバカが俺をまた復活させた。

だがアイツはオーズと言えど人間。

寿命には逆らえず、死んだ。」 

 

そう言ったアンクの顔は見えなかったが、声はどこか力が無かった。

 

「残った俺は元いた世界で起こったメダル絡みの騒ぎで出来た空間の裂け目を利用して三年前にこっちの世界に来たわけだ。だいたい分かったか?」

 

「とりあえず分かったんですけど、ちょい疑問が。」

 

「なんだい?」

 

途中からアンクの話をはやてと聞く方に回っていたエイジが尋ねた。

 

「3年半前にヤミー言うんが出始めた言うたらアンクさんが来はった時期よりも前に別のグリードが来たっていうことですか?」

 

「そうだね。でもアンクが証言してくれた通りのままなら、この世界にやって来たグリードは一体なんなのか分からないんだ。」

 

アンクの言った通りならばグリードは先代のオーズとの戦いの中で自らの意思の宿ったコアメダルを破壊され、消滅したはずであった。

 

とするならばそのグリードは一体何なのか。

 

「俺にも分からん。俺以外にいたグリードは全部で四人。作る奴によってヤミーの性質も変わった。

お前を襲ったやつみたいに独自に宿主の望みを叶えようとする虫みたいなやつだ。」

 

「宿主の望み?」

 

「今回のは幸せそうな他人を見て妬ましく思ったやつを利用して作ったんだろうが、それ以外のタイプのヤミーもこの3年間で何度も出てる。」

 

エイジが続ける。

 

「もしかしたらこっちの世界とアンクの世界が繋がった時に時間に誤差が生まれてメダルだけがアンクより先に来て、何らかの形で復活したグリード達がまた活動を始めて、アンクはそれより後に来たんじゃないかってことだと言うことが俺らの考えなんだ。」

 

「で、俺とアンクも色々あってグリードとヤミー退治の為に俺はオーズになったんだ。」

 

「何とか着いていけました。そないなことがこの世界にはあるんですね。」

 

「はやてちゃんスゴい理解力だね。色々助かるけどね。」

 

はやての理解力に感心するエイジだった。

 

「でも何でエイジさんはオーズって力を手に入れよう思たんですか?」

 

素直な質問にエイジは少し考えてから答えた。

 

「グリードやグリードが作るヤミーは言っちゃえば自分の欲望のためだけに他人をキズつけて、泣かせるでしょ。

俺は欲ってのは人が生きるために、誰かと一緒に明日を笑い合うための活力だって思ってるんだ。

だから自分のためだけに誰かをキズつけるんなら俺はそれを許せないし、止めたいんだ。」

 

そう言って戦いの前にはやてに見せたサムズアップをまた見せた。

 

「みんなが明日も笑い合うために…かな!」

 

少し照れくさそうにだが、朗らかにエイジは笑ってみせた。

 

「ちょっとカッコつけ過ぎかな?」

 

「そんなことありませんよ。すっごい素敵です。」

 

もう赤面状態のエイジは恥ずかしげに髪をクシャクシャにしていた。

 

「ありがとう。まぁで、ここからはちょっとお願いなんだけどー。」

 

「はい?」

 

「オーズのことはウチの会社だったりで色々調べたりしてることもまだまだ多くて、ヤミーのこともアイツらは宿主の欲望を暴走させることもあるからいかんせん、良からぬことに使おうと利用されることも考慮して機密扱いにしてるんだ。」

 

もしもグリードと邪な人間が接触し、個人的な願いからヤミーを作り出せれると厄介なことになる可能性もあった。ましてや組織ぐるみで量産でもされたら…。

 

「はやてちゃんはこっちが巻き込んじゃったし、会えて色々お話出来たんだ。

内緒にしててくれるとありがたいんだけど…いいかな?」

 

「そんな恩人に失礼な真似絶対しませんよ!もちろん3人だけの内緒にします♪」

 

笑みを浮かべて了承してくれた。

 

「ありがとうね。じゃあとりあえずオーズのお話はこれで終わりなんだけど何か質問あるかな?」

 

「あ、ちょい気になったんですけどゲンムファウンデーションが何でそんなメダルのことを研究したりしとるんですか?」

 

ゲンムファウンデーションは日本でも有数の大企業。

 

変わった社風で「自分のしたいように!」の社訓の下、社員たちは自分のやりたいこと、為したいことに向けて日々精進を重ねるという奔放だが、自由に己を高めることの出来る会社と評判になっている。

 

元々はゲームなどの娯楽部門などを強みとしていたが、そこからその経験を様々な分野に生かし、発展していった異色の会社だ。

 

中でも医療には遠く離れた交通の行き来が難しい地に熟練の医師が遠隔で操作し、執刀が行えるシステム開発とと共に、その手術のオペレーションをバーチャルで再現するソフトの開発。

 

薬剤開発にも関わり、ゲームが体に与える興奮や刺激で表面化されるホルモンなどを研究し、それらの反応を制御して治療に生かして人を助ける。

 

リハビリのために感覚を取り戻す体験型ゲームの制作、提供や終末医療を想定し、充実を与えることの出来る世界の構築など多岐に渡り、一度派生した先にも更に技術をそこで作り、大きく成長した会社だ。

 

そこで独創的でかつ万人に愛されるゲームをいくつも生み出して来たのは目の前にいる黒斗エイジさんその人だった。

 

会えると決まってからどういう人なのか気になって調べる中で会社のことも知った。

 

自分の体の治療などにもこの会社製の薬が使われていることなどもこの時知った。

 

「ああ。アンクが来る半年前にウチの私有地にあいつと同じようにコアメダルが飛来したんだ。

で、色々研究してる内に今度はアンクが現れて事情を説明してくれたんだ。」

 

黒斗家は郊外にある私有地の山奥に自然公園を作るなどして環境保護に当てたりしており、そこに空間の歪みが生じてコアメダルやアンクが時をおいて現れたようだとエイジは話した。

 

「まぁその後は色々あって、気づけばこうして二人で日本中をー…ってとこかな。」

 

色々が気になるがはやては納得した。

 

「まぁこれで一区切りなんだけど、約束通り…。」

 

そう言うとバッグの中から小包と資料のようなものの入ったファイルを取り出した。

 

「今回は新作のマイティーを手に取ってくれて本当にありがとうね!まさかこんな形で会うことになるとは思ってなかったんだけど…これは俺からの気持ち。」

 

小包をはやてに渡して開けるように促した。

 

中にはゲームのパッケージと同じポージングのマイティがメタリックに輝くフィギュアが入っていた。

 

「わぁー!マイティ!」

 

「驚いてくれたかな?今回当選した子達にプレゼントしてる特製マイティフィギュア!

下の台座にはやてちゃんの名前を彫り込んであるからこの世に一体だけのものだよ。」

 

箱の中には黒い別付けの台座があり、見ると金文字で

「八神はやてちゃんへ!Thank you!」の文字が彫られていた。

 

「こんなに素敵なもんもろうて…ありがとうございます。」

 

嬉しくて少しウルッと来ながらもはやてはお礼をした。

 

「うん♪良い笑顔見せてもらえて俺も嬉しいよ。」

 

そこからは新作のマイティーの話だったり、両親がいる頃に一緒にゲーム遊んだ思い出話をしたりと二人は大いに盛り上がった。

 

エイジは開発者としても「ここまで細かい所を見てもらえて嬉しい」といった様子でしまいには一緒になって協力プレイをし始めた。

 

一区切り休憩しているとアンクが声をかけた。

 

「ところではやてって言ったな。この本はなんだ?」

 

はやてが振り返ると本棚に置いてあった一冊の本をアンクが持っていた。

 

黒みがかかった茶色の厚みのあるその本は十字に鎖をかけられていて物々しさを感じた。

 

「この本は私が小さい時から一緒におる本で、なんやよう分からんのですけどこうして膝に置いとるだけでも安心させてくれる不思議な本なんですよ。」

 

車椅子で近くまで行ってアンクから本を大事そうに受け取るとはやては優しい微笑みを浮かべて本を膝に置いた。

 

「素敵な本なんだね。ちょっと見せてもらってもいいかな?」

 

「ええですよ。」

 

両手でその本を受け取ったエイジは自分の目の前にその本を持ってきて見つめた。

 

すると何故かは分からないが一筋の涙が流れた。

 

「あれ?エイジさん涙出てますよ。」

 

「え?何でだろう?目が画面疲れしちゃってたかな。」

 

画面を見る時間が長かったからだと言って、心配したはやてに気にしないでと告げた。

 

「ハッ何やってんだか。それより時間見てみろよ。もう日暮れだぞ。」

 

アンクに促され時計を見ると時計の短針は7を指そうとしていた。

 

「もうこんな時間になっとたんですね。楽しいとこんなに時間が過ぎるのははやいもんなんですね。」

 

本当にコイツ子供か?と心の中で思ったアンクはそれは口に出さずに思い出したようにエイジに大事なことを聞いた。

 

「おい、エイジ。お前今日の宿そういえば取ってんのか?」

 

「あ。忘れてた。」

 

本棚にはやての本を整頓して大事に置きながらそう言うのと同時に「グゥー」とエイジの隣にいたはやてのお腹が鳴った。

 

「あ、あー!お昼食べて無かったもんで…あ!お二人も一緒に晩御飯どないですか?私今から作りますけど。」

 

顔を少し赤らめながらはやては夕食に二人をお誘いした。

 

「じ、じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな。

俺もお手伝いするよ。」

 

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「スゴいね、はやてちゃん!料理上手とは言ってたけどこんなに手際も要領もいいなんて…まるでプロだよ!」

 

「そんな大袈裟なもんと違いますよ…。エイジさんも手伝ってもうてありがとうございます。お料理得意なんですね。」

 

「いやいや、俺は特に…ね。」

 

そう言って照れたように軽く目をそらしたエイジに不思議そうにするはやてだったがアンクからの呼び掛けですぐに配膳に移った。

 

「ありがとね、夕飯まで用意してもらって。」

 

「いえいえ!あんまり手の込んだものはご用意出来なくて申し訳ないですが…。」

 

「ぜーんぜん!ご馳走だよ!」

 

半熟加減が絶妙な大きめのオムライスと彩り豊かなサラダ、ベーコンの入ったコンソメスープと小学生作ったと思えないバランスの良い食事だ。

 

ちなみにオムライスとサラダははやてで、スープはエイジが調理した。

 

「じゃあ「いただきます。」」

 

3人とも席につき、エイジとはやてはいただきますをして、アンクはおもむろに食べ始めた。

 

「あ~。このスープ美味しいです!エイジさんも相当なシェフさんで…あれ?どないしはりました?」

 

隣に座っているエイジがオムライスを一口食べて、何やら驚いたように目を見開いていた。

 

「あ…あぁ、こんなに美味しいもの食べてちょっとびっくりしちゃってね!やっぱスゴいね、はやてちゃん!

プロの料理人を目指せるよ!」

 

声をかけられ、エイジは驚いたようだったが笑顔ではやてを褒めてサムズアップを送った。

 

「喜んでもらえて良かったです~。アンクさんはどうですか?」

 

「あぁ、まあまあだな。」

 

「こーら、アンク。ゴメンね、でもコイツのまあまあはめちゃくちゃ美味しいっていう意味だから♪」

 

「おいコラ。勝手に訳すな。」

 

「アハハ!お二人は本当に仲ええんですね。」

 

「あ?」とメンチを切るアンクと笑顔で頷くエイジを見てはやては暖かい気持ちになった。

 

こんなに夕食で人と笑えたのは、仄かに記憶にある時以来のはやては楽しかった。

 

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「しっかし何でだろう…。」

 

はやてのご厚意で夜も遅くなり、家には空いている部屋がいっぱいあるので泊まっていってくださいとのことでエイジははやての隣の部屋のベッドに腰かけていた。

 

「あの本…なんか初めて見た気がしないんだよな。」

 

夕方見たはやての大切な本のことを思い出し、エイジは何処かで見たことがあったか記憶を辿ったが、思い出すことは無かった。

 

だが手に取った時にまるでそよ風に吹かれたように晴れやかな気分になったように感じた。

 

「不思議な本もあるもんだなー。まっ今日はさっさと寝よ…。」

 

ベッドに横になると、エイジはすぐに眠りについた。

 

部屋の外では壁に持たれかけたアンクがいた。

 

「…こんな所にいたのか。」

 

そう呟くと、リビングのソファーへと向かった。

 

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「…あれ?何だここ?」

 

気がつくとエイジは不思議な空間にいた。

 

暗い夜空だが、地面が淡い空色の輝きを放ち周りを照らしていた。

 

寝具に着替えたはずだったがいつの間に着替えたのか、普段の白いカッターシャツに黒コートの紺色のジーパンと、昼間と同じ格好になっていた。

 

「寝てた…はずなんだけどな。なんかキレイなとこだけど…。」

 

辺りを見回し、呑気にそんなことを呟いていると人影が見えた。

 

白銀の幻想的な美しい髪をなびかせた長身の美しいその女性は儚げな雰囲気を漂わせていた。




色々説明多く、いつもの倍の話になりました。

ゲンムは幅広く活動し、大企業として存在しています。

アンクの言葉の意味、そしてエイジが出会う謎の女性…。

色々ありますが次回もお楽しみに!

質問やご感想もお待ちしています!
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