第5話です!
編集から「一部分力入れ過ぎ」と言われた話ですw
また後書きでお会いしましょう!
絹糸のように細く、しなやかになびく艶やかな長い銀の髪と女性の中では長身かつ細身なスレンダーな後ろ姿の彼女は簡素な黒いインナー状の服を纏い、そこに佇んでいた。
目の前のその女性の美しさにエイジは思わず息を飲んでいた。
数秒その後ろ姿に見とれていたが、この不思議な空間…恐らく夢の世界にいることを思い出し声をかけようとした。
「…。?」
声が出なかった。というか足音も服が擦れる音も何も聞こえない。
どういうことだとエイジが考えを巡らせているとこちらに気づいたのか、その女性はこちらに振り返った。
「!」
端正な綺麗な顔立ちに赤い、紅玉のように透き通った美しい瞳を持った彼女はエイジを見ると最初驚いたようだが、何故か哀しげな表情を浮かべた。
エイジも歩み寄ろうと歩を進めようと足を前に出すと静止を促すように腕を前に出した。
彼女が右手をエイジに掲げると彼は宙にゆっくりと浮き上がり、淡い空色の光と共に輝き始めた。
「…。」
光となってその空間から消える前に彼女はエイジに何かを呟いたようだったがその言葉は聞こえなかった。
だが、その顔はひどく寂しそうな微笑みを浮かべていたことだけは見逃さなかった。
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目を覚ますとエイジは右腕を天井へと伸ばしていた。
夢から覚める前に彼女に手を伸ばしていたようだった。
辺りはほんのりと朝日が射し込み始める時間だった。
「あの人は…。」
ベッドから起き上がり、夢の中のあの女性のことを思い出していた。
夢にしてはあの空間は妙に違和感があり、エイジは考え込んだ。
そして何よりも気になったのは
「何であんな…悲しそうだったんだ?」
優しく慈愛に満ちた、だがあの憂いを帯びたあの寂しげな瞳をエイジを忘れることが出来なかった。
その事を考えながらお気に入りの服に袖を通し、アンクが居るであろう下のリビングへと向かった。
「何だ。今日は珍しく早いな。」
もう目を覚ましていたアンクはソファーに寝転がりながらエイジを一瞥した。
「おはようさん。はやてちゃんはまだ?」
アンクは親指を立てて壁に掛けてある時計を指した。
時計はまだ朝の5時になったばかりだった。
「流石に早起き過ぎたか。」
「で?こんな時間に起きてくるなんてどうした?」
「そんなにか?」
「セルの雨でも降ってくるぐらいは。」
もう少し早起きを習慣付けようとエイジは思った。
「いやね、スッゴい銀髪の美人さんが夢に出てきたんだけどね、何かその人すごい寂しそうな感じが出てて…。」
そこまで言ったときアンクは驚いたような顔になった。
「おまえ…。」
「どうしたの?」
「女に興味有ったのか?」
「どういう意味だ、コラ。」
驚いていたと思ったらこれである。。
「全く俺だって人並みに女性を綺麗だとか可愛いって思うよ。失礼するな。」
「そうか。」
とてつもなく興味無さげに呟くアンクにエイジは続けた。
「でも夢を見るなんて正直いつ以来だろう。正直どうしてか懐かしかったようにも思ったし。」
「ハッ!お前いったいいくつだってんだよ。そこまでジジイでも無いだろ。」
「ハハ。まあね。あの本のおかげだったりして。」
はやてのお気に入りのあの本に触れた時、まるで無くしていた大切なものを久しぶりに見つけられたような気分にもなった。
少し間を置くとアンクはエイジに向き直り、ソファーに深々と座り続けた。
「その本だがな」
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エイジとアンクが話している頃、ゆらゆらと空間その物が揺らめいているような不可思議な空間を一隻の船がゆっくりと進んでいた。
未来的なメカニカルな白いボディに前に二つ翼のような部位が突き出たデザインのその船の名前はアースラ。
船の中の会議室には数人が今から会議を始めるところであった。
「それではクロノ。報告をお願い。」
「はい、艦長。」
緑がかかった長髪をポニーテールに纏めた大人の女性に、中学生ほどの真面目そうな少年が書類を手に立ち上がった。
「今回海鳴市で発生した何らかの生物が暴れたと見られる事件のいくつかの報告事項をまとめました。
発生当時、僕が到着した時点では既にその生物は駆除され、現地の警察の現場捜査が開始されておりましたが、現場周囲を調査したところ、残留魔力反応は0でした。」
「プレシアが起動させた9つ以外は全て回収し終えていますし、残存したジュエルシードによるものという線も薄そうですね。」
少年の傍らに控えていた彼よりも数歳ほと年上そうな少女が続けた。
「それと…。エイミィ、モニターにあれを。」
自分の側にいる彼女、エイミィにそう促すとエイミィは手持ちのタブレットを操作し、会議室の長机の上に銀色のメダルを表示した。
「これは?」
「現場近くに放置されていたメダルです。機材に強いエネルギー反応が表示されたので持ち帰って調査したところ魔力とは別の強いエネルギーを含んでいるとのことでした。」
クルクルと回るそのメダルのグラフィックを不思議そうに1人の少女が眺めていた。
「どうした?なのは。」
白い、何処かの制服に身を包み、栗色の髪色に小さなお下げのように可愛らしいツインテールを揺らしている少女-高町なのは。
ついこの間まで普通の小学生だった彼女は、とある事件の中で魔法と出会い、幾つもの次元世界の秩序を守る時空管理局に所属するクロノ達に協力する形でこの船に身を置いていた。
「あ…いや、何でもないんだけどね、このメダル鳥の絵が描いてあってなんか可愛いなぁって思って。」
「あら、本当ね。」
クロノの母親であり、アースラの艦長である緑髪美人のリンディ・ハラオウンもその事に興味を示した。
「ああ。今ユーノが他に回収したメダルも調べてくれていてるが、鳥だけじゃなく動物や魚のような模様があったよ。」
「へえー。何か意味があるのかな?」
「それも調査中だが、少なくともなのは達の住む世界に生息している生物が多く占めていることも確認されていることから、これらはこの世界で作られた物である可能性は高いということと、現場に出現した生物とは何らかの関係性があると思われます。」
「なるほど。ではジュエルシード事件の事後処理を済ませ次第、本局に帰投後に補給と整備を整え、以後はこの件の調査に当たります。」
クロノからの報告から謎も多く、その力も未知数なこの世界のロストロギア紛いの存在を放置することは危険と判断した。
「了解。ああ、そうだ。なのは。」
「何?クロノ君。」
「ユーノの検査が終わり次第、君も一度自宅に帰ると良い。」
「そうね。一先ずジュエルシード事件は解決。なのはさん達も何かあればこちらから連絡するということで。」
なのはが協力していた事件も一区切り解決し、アースラに滞在していた彼女とその相棒は海鳴の家に帰ることとした。
「分かりました。あの…クロノ君、リンディ提督。フェイトちゃんのこと…」
「大丈夫よ。私達もあの子達のことしっかりサポートするから。」
「悪いようにはしないよ。」
「うん…。ありがとう!」
大切な友達のことをクロノ達に託し、なのはは自分の家へと帰っていった。
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「あれ?二人ともおはようございます~。」
「あ、ああ!はやてちゃんおはよう!」
リビングで何やら話し込んでいた二人の所に起きてきたはやてが来た。
「二人ともえらい早起きさんですね。私も朝ごはん作るつもりで来たんですけど、先越されました。」
時計は午前6時を示していた。
「なーるほど。また手伝ってもいいかな?」
「もちろん!お願いします~。」
二人が料理する間、アンクは直前までエイジと話していた内容を振り返っていた。
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「あの本に会ったことがある?」
アンクから唐突に告げられたことにエイジはきょとんとした。
「正確には本の中身…まあいい。大分前の、それこそ初めのオーズが現役で存在してた頃ぐらいにな。」
足を組み、態度悪く話をするアンクにエイジは疑問を投げた。
「アンクって前にもこっちの世界に来たことあるの?」
「いや、無い。だが俺があの本と会ったのも元いた世界とは違う世界だった。」
「どゆこと?」
「俺たちが今いるこの世界と俺やグリード、オーズが生まれた世界は平行世界…パラレルワールドってことは前に話しただろ。」
「ああ。歴史の本流が少し異なって、同じ人間が存在しても全然違う性格や人生を歩んでる似て非なる世界ってこと…だよな?」
以前、こちらの世界にアンクが現れた時に説明されたことを思い出すように話した。
「その平行世界とはまた別に異なる次元にも今度は全く別々の世界、異世界ってのがあるらしい。」
「異なる世界ってことは…?元々の歴史も文化も産まれてくる人間もまるっきり異なるって考えていいのかな?」
「お前はそういう理解は本当に早いな。」
どうやらそういうことのようだ。
「で、俺は昔にも事故みたいな形で別の異世界に飛ばされたことがある。その世界は俺たちを作り出させた王が他の国を相手に争いをしていたよりもずっと多くの国…いや、世界その物が戦争をしていた。」
「そんな世界が…。」
エイジは元々平和が大好きな男だ。
平和であれば大人も子供も笑顔が溢れ、活力がみなぎり、それが明日を創ると信じているからだ。
それが叶わぬ世界があると考えると…。
「ともかく俺はその世界である女に出会った。
銀髪で、おそらくお前がさっき言ってた女だろう。
そいつはその世界には魔法が存在し、自分は本に宿る人格ということを俺に教えた。」
争いの話で表情が陰っていたエイジだったが、魔法が存在するという内容に目を輝かせた。
「魔法があるの!?すごいな!」
「その話は取り敢えず置いとけ。で元々優れた知識や魔法の技術を集めて記録する目的で本が作られて、優秀な魔法使いの元を渡っているってことをやつは俺に教えた。
その力のおかげで俺は元いた世界へと戻った。」
「なるほどね。要はアンクの恩人さんな優しい本って訳だ。」
「ハッ!」
エイジの茶化し目いた問答にアンクは悪態をついた。
「じゃあつまりあの本はずっと昔から旅を続けているってことなのか。…うん?でも何でその本の精霊さん?が俺の夢に?」
何かを伝えたければ昔会ったことのあるアンクの方に現れてもおかしくは無いはずだ。
「知るか。また眠れば出るかもな。」
「んな適当な。でもなんとなくだけど繋がりそうな気がする。」
可能性の話だが、もしこの海鳴で発生した異常現象がこの本や何らかの魔法というものが関係するのだとしたらメダル以外の未知の力が働いているという推測の裏付けとなる。
「調べる価値はありそうだがなぁ。その為には一番今近くの…」
「はやてちゃんの本…さん?の近くにいる必要があると。」
「ま、そういうことだ。ああ、それとな…」
そこまでアンクが言いかけたとき、はやてが起きてきたのである。
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「そう言えばお二人とも、何かお話してたみたいですけど、私お邪魔してまいましたか?」
「いや全然!ちょっとね。今後この街でどう動こうかなっていう相談。」
朝食のはやて手作りの味噌汁を味わっていたエイジはそう答えた。
「それでね、この朝ごはんいただき終えたらこの街での拠点探しに行こうかなと。」
「そやったんですか…。」
そこまで話すと少し残念そうにはやてははにかんだ。
「でもしばらくこの街にいるから、ちょくちょく遊びに来てもいいかな?」
「!何時でも来てください!」
はやてとエイジの会話を眺めつつ、アンクはあることに思慮を巡らせていた。
「(しかし、昨日出たあのヤミー…ただ暴れ回っていただけだが何か引っ掛かる…。)」
ヤミーは作り出したグリードによって性質が大きく異なる。
宿主の望みを叶えるために活動する、作り出したグリード本人よりも知能が高めな昆虫系ヤミー。
宿主に寄生し、その欲望を暴走させてメダルを蓄える猫系ヤミー。
宿主の欲望によってその数を増やし、増殖する水棲系ヤミー。
作り出すグリード本人の欲望のままに暴れる重量系ヤミー。
こちらの世界に来てから現れるヤミーは相変わらずその性質を持っているが、異なる点が一つ共通してあった。
どれもその性質が大きく劣化しているのである。
知能が大幅に減退している昆虫系に、寄生が中途半端で体の半分をヤミー化させる猫系。
増殖スピードがかなり遅れている水棲系と元々遅かった反応速度がさらに犠牲になっている重量系とどうも様子が異なる。
今回もまるで本能のままに暴れる昆虫系だったが、このはやてを襲う時には狙いこそ外していたが、確実に仕留めることの出来る手段も用いていた。
単なる偶然なのか、それとも…。
「…美味い。」
そんなことを考えつつも、はやての手料理にそう呟いたのをエイジに聞かれ、いじられてムキになるのはこの5秒後。
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先日ヤミーが暴れた公園が見えるマンションの一室。
散らかったゴミの山の奥にある空の揺りかごの前に小汚い服を着た女性が座り込んでいた。
その背後には謎のグリードが気だるそうに壁にもたれ掛かっていた。
「可哀想に。君が悪い訳じゃないのにね。みーんなが君の邪魔をする。不公平だね。」
声をかけられてもぶつぶつと「どうしてあの子がどうして私が」と呪詛のように同じ言葉を繰り返している彼女を前にため息混じりに歩み寄った。
「また力をあげるよ。今度はみんな君のことを無視出来ない。」
そう言ってグリードがセルメダルを取り出すと首もとに硬貨投入口のような銀色の穴が現れた。
「その欲望解放しなよ。」
はい!いかがでしたでしょうか?
なのは陣もゆっくりとですが登場し、それぞれの人物達が動き始めます。
アンクも過去にベルカを訪れ、彼女に会ったことのあると…本当にそれだけでしょうか?
続きは今後描いていきます!
それではまた!