この中に一人、ジェダイがおる。   作:七日 八月

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今回は過去類を見ないレベルで真面目な回です、申し訳ない。
こればっかりはギャグ挟む余地がほぼほぼ無かった……未熟ッ!!


故に彼を怒らせてはいけない。

 

「――さて桑井よ、此度の件、お主の考えを聞かせて貰えるかの?」

 

藍染が尸魂界を去った翌日、瀞霊廷内にあるとある茶室にて2人の男が座って向き合っていた。

一人は護廷十三隊総隊長にして一番隊隊長である山本元柳斎重國(やまもとげんりゅうさいしげくに)、もう一人は説明不要の我らが死神(ジェダイ)師範(マスター)桑井鑑真である。

 

「……全ては私の不徳の致す所、弁明の余地も――」

「ああいや、弟子の裏切りの件でお主を責めておる訳ではない。確かに2人ともお主の弟子じゃが、それの責任をお主に取れと言うとる訳でもない」

 

そう言って目を閉じ頭を下げる鑑真に対して元柳斎は待ったをかけた。先ほどから元柳斎の語る言葉に責める様な雰囲気は一切無い、ただ純粋に鑑真の意見を聞きたいだけのようだ。

そもそも今この場には2人しか存在しない、他の隊士――というか全隊士――が瀞霊廷の復旧に忙しいというのもあるが、この屋敷の周囲は完璧に人払いが施されていた。つまり、今から話すのは「此処だけの話」という事になる。

 

「それに濃尾 弁慶に関しては元より()()()に潜らせている、とお主から聞いておったからの、故に儂が聞きたいのは、何故(なにゆえ)藍染を放置していたのかについてじゃ」

 

嘘偽りは一切許さぬぞ? と此処にきて元柳斎は鋭い目を鑑真に向けた。その視線を感じ取ったのか、先ほどからずっと閉じていた目を開き、鑑真がその真っ直ぐな視線を元柳斎に合わせる。

 

「違和感を感じたのです」

「ほう、違和感とな?」

 

鑑真は語り始めた、藍染の不可解な行動については随分前から把握してはいたが、どうもその行動は尸魂界を只々引っ掻き回して混乱を招いているだけのようでいて、何らかの――そう、仮想敵を想定させるような動きがあった、と。

崩玉を完成させ自らの物とした、去る間際に「私が天に立つ」と吐いた、これが示す所は自らを尸魂界における至高の存在へと押し上げる事、つまりは『霊王』に何かしら手を出そうとしているのは間違いない、無いのだが……それすらも本命ではなく、上手く行けば御の字といった様子を感じ取った、と。

 

「仮想敵……ふむ、護廷を脅かすほどの存在……まさか、()だとでも言うのか!?」

「えぇ、総隊長が想像された人物で凡そ間違いは無いかと」

「まさか、あり得ん……!! ……いや、他の隊士の言葉であればそう断じておったが……お主が言うのであれば話は別じゃ」

 

成程のう、と鑑真の言葉に納得した様子を見せる元柳斎、鑑真もその様子に安堵の息を吐く。

 

「……()()()が先立って動いておったのに漸く合点がいったわ、そうか、()がそれほどの力を付けている可能性があると……」

 

深刻そうな顔で頷く元柳斎、珍しく鑑真の表情もどこか険しい。

 

「不確定情報でしたので、おいそれと混乱を招くような情報を流す事は出来ませんでした……」

「よい。元よりお主らには儂とて易々と干渉は出来ん。何より、お主の言う通り不要な混乱は避けるべきじゃ」

 

しかし、と元柳斎は若干目に剣呑な色を含め続ける。

 

「ならば尚の事藍染を放置すべきではなかったのではないか? 他の弟子や孫弟子同様お主の手元に置けば……否、そうか、『予知』か?」

 

その問いに無言で頷く鑑真、その表情は先ほどの険しさとは別にどこか苦しげだ。

 

「……弟子として鍛えるべきではあるが、()()に置くべきではない……私の観測し()た『予知』の内容を精査した結果、その結論に辿り着きました。今でも思います……これで本当に良かったのか? と……」

 

最善の結果、と言えば聞こえは良い、だがその道は血に濡れているのだ、「もっと良い方法があったのでは?」と思わずにはいられない、彼はそういう男なのだ。

 

「……既に事態は動き始めた、出来うる限りの最善を尽くすしかあるまい」

「ええ、その通りですね……」

 

ふう、と同時に息を吐く2人。その様に緊張していた空気が少し緩んだ。

 

「しかしお主も難儀よの、()()()()ゆえに本来ならばお主は此処に――」

「総隊長、それは私も納得した上での話です、むしろ色々な意味で都合も良かった、なので……」

「うむ、そうじゃったの……さて、他に話すべき事は……」

「此処だけの話、とするならば浦原喜助、彼の冤罪についてですが……」

「それに関してはまだどうする事も出来ん、何せ肝心の四十六室が壊滅してしまったからのう」

 

しかし、と続ける元柳斎は困り気味の顔から一転、ニヤリと少し意地の悪そうな顔で鑑真を見遣った。

 

「アレは本当に藍染の手による物だったのかのう? 否、状況証拠どころか日番谷が現場にて藍染がやった事を認めたと言うておったから、間違いなく奴の手による物なのじゃろうが……さて?」

 

対する鑑真はどこ吹く風、なんなら口元に笑みすら浮かべている。

 

「さぁ、私は何も……確かに私は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()にありますが……ただ私に言えるのは、欲に塗れれば賢者も所詮は只の人、とだけ……」

 

元柳斎は確信した、どうやら愚かな賢者達の最期は遅いか早いかの違いでしかなかったようだ、と。ただし、それは「此処だけの話」としたこの場においても口には出さない。事実、鑑真は手を下してはいないのだから。

 

「後は何かあったかの……おお、旅禍達の処遇についてじゃが、護廷に負傷者こそ出たが幸い死人は出ておらぬ故、丁重に扱う事とした。お主も一枚噛んでおったようじゃしのう……しかし、お主本気か?」

「……と、言いますと?」

「……旅禍の少年の、黒崎 一護じゃったか、弟子にしたとか……本人は頑なに認めとらんかったが……」

 

本当に判っていないという顔で首を傾げる鑑真に、元柳斎は気が遠くなりかけたがどうにか持ち直して続けた。対する鑑真はああ、と納得した様子で。

 

「はい、一護ですね。非常に鍛え甲斐がありますね、流石は一心君の息子だな、と」

「…………なんと?」

 

元柳斎は一瞬話が耳を疑った、二千年以上死神をしているがボケるにはまだ早いと思っていただけに、もしかしてボケが始まっちゃったのかなーと不安になった、勿論杞憂である。この場合、それが良いのか悪いのか……これもうわかんねえな。

 

「ああ、此処だけの話なのですが……彼の父親は20年ほど前に行方不明になった志波 一心君なのです」

「おおぅ……」

 

コイツとんでもない爆弾隠し持ってやがった、と思わず天を仰いだ彼を誰が責められようか。

 

「む、大丈夫ですか? 総隊長」

「う、うむ……」

 

藍染の件は色々覚悟を決めていたから平気だった元柳斎であったが、この件に関しては頭と同時にちょっぴり胃が痛くなってきた。

何でかって? 五大貴族が四大貴族になった原因やぞ、頭と胃が痛まないほうがおかしい。

 

 

 

……この後、詳しい事情等をあくまで「此処だけの話」として聞きだしている最中、元柳斎はもう「全部藍染が悪い」で良いや、と開き直る事にした。

 

 

 

そうして全ての話を終えて鑑真が部屋を去った後、痛む胃を押さえながら「後で四番隊(卯ノ花)に胃薬貰ってこよう」と元柳斎は心に決めたのだった。




一応言っておきますが、鑑真は予知で藍染の計画を知れた訳では無いです。

ただ藍染が隊長の椅子に座った後、藍染が救った命の中に今後を左右する者が居た、とかその程度です。
なので、自分の手元に置く=藍染が隊長になれない、を避けました。

あと、藍染はほぼほぼ原作通りの行動を取ってますが、思惑が全く別物になってます。
今はただ、鑑真の事を超尊敬してます。とだけ。



感想に評価、誤字報告ありがとうございます。

投稿急ぎ過ぎて白哉の名前の字ィ間違えてるの全く気付かなかった……
顔から火が出るとはよく言ったものですね。はずかちぃ……
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