この中に一人、ジェダイがおる。   作:七日 八月

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これを読む前に 言っておくッ!
おれは今 ハーメルンの怪奇現象を ほんのちょっぴりだが 体験した
い…いや… 体験したというよりは まったく理解を 超えていたのだが……

あ、ありのまま今起こった事を話すぜ……!

「数日前からお気に入り1000件突破の記念に閑話を書いていたんだが
昨日まで1000件ちょっとだったお気に入りが今日になって300件以上も増えていた」

な… 何を言っているのか わからねーと思うが 
おれも 何をされたのか わからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…

鏡花水月(さいみんじゅつ)だとか天鎖斬月(ちょうスピード)だとか そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…


……いやマジで一体何が起きたんです??

あ、本編どうぞ。


閑話 月刊瀞霊廷通信

 

 

――――ルキアの処刑阻止等、騒動にいったんの区切りがついた日の翌日。

現世から来た一護達は、とりあえず拘束されたりする事もなく各々自由に行動していた。

激しい戦闘を経た事も考え、現世へとんぼ返りはせずに尸魂界である程度体を休めてから帰ろう、という事になったのだ。

 

……がしかし、一護はまるで気が休まらない状況下にあった。

 

一所に留まっていると、暇なのか勝負を挑んでくる更木 剣八等の戦闘狂の面々。

それらとアクロバット鬼ごっこを繰り広げ、撒いたら撒いたで今度は霊圧を隠し、気配を殺し、必死に隠れる、という隠密機動にスカウトされそうなムーブで、一護は瀞霊廷内をコソコソと歩かざるをえなかったのだ。

 

感じる霊圧からどうやら無事逃げ切れたようだ、と安心したのも束の間、前方の曲がり角から早足で現れる人影が!

よもやまた戦闘狂共か!? と、思いきや――

 

 

 

「――――む?」

「……あ」

「おぉ、一護ではないか、どうしたのだ?」

 

そこに居たのは我らが死神(ジェダイ)、桑井 鑑真その人であった。

目の前に居たのが逃げ回っていた相手ではなくホッとした一護は、疲れた表情も隠さず一言。

 

「…………戦闘狂共がよ……」

「……あぁ、それは…………大変だったな」

「………………おぅ…………」

 

一護の呟いたたったその一言で色々察した鑑真、彼も似た経験がある為か、その声はとても――――そう、とても優しさにあふれていた。

一護はちょっぴり泣きそうになった。

 

「……って、そういうアンタこそどうしたんだよ桑井サン、こんなトコでよ」

「あぁ、七規に少し頼まれてな……コレだ」

「あん? なんだそりゃ?」

 

鑑真が手元の保存袋タイプの封筒から取り出したモノ、ソレは雑誌だった。タイトルは――――

 

 

 

「――月刊瀞霊廷通信……こんな機関紙(モン)作ってんのかここ」

「あぁ、なかなか人気のある機関紙でな、七規が今ちょっと手が離せないので最新号を取ってきて欲しいと」

「いや弟子にパシらされてんじゃねぇよ」

 

全く酷い弟子も居たものである。呆れ顔の一護に対して微笑み返す鑑真、これが大人の余裕というヤツなのだろうか。

因みに七規の鑑真に対する扱いがほんのり雑なのは大体鑑真のせいである、破天荒死神(ジェダイ)だからね、仕方ないね。

 

「まぁ、私も最新号を読みたかったのでな、そのついでだ」

「ふーん、まぁいいけどよ……」

「そうだ、一護も読んでみるか? 中々面白いぞ?」

 

そう言って袋の中から1冊取り出して一護に差し出す鑑真。

ちゃっかり自分と七規の分以外にもう1冊入っている辺り、この死神(ジェダイ)の直感はどうかしていると思う。

 

「ま、特にやる事もねぇしな……借りるぜ?」

「あぁ」

 

鑑真が笑顔で差し出した瀞霊廷通信を受け取り早速ページを開いてみた一護。

その目に飛び込んできたのは巻頭の広告ページで――――

 

 

 

 

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「……………………………………。」

 

――俺はツッコまねぇぞ……一護はそっと次のページを開いた。

あのふざけきった広告ページの後は割とマトモに機関紙……いや、現世の週刊誌みたいな内容も混ざっている。なんだこれ。

だが確かに面白い、娯楽が少なそうな尸魂界ならば尚の事こういうものはウケが良いのだろう。

しかし死神の業務の他にこんな手の込んだ機関紙の編集まで……実は死神って結構暇なのでは――

 

「あぁそうだ一護」

「ん? なんだよ? 今読み始めたばっかなんだが」

「実は私の受け持っている企画(コーナー)があるんだ」

「…………は?」

 

この死神(ジェダイ)今なんと言った? 一護は聞き間違いの可能性も考慮した。

 

「……なんて?」

「私の受け持っている企画(コーナー)があるんだ」

 

どうやら聞き間違いではないらしい、一護は一気に不安になった。

なにせこの死神(ジェダイ)、弟子からの扱いが雑になる程度にはフリーダムなのだ、きっとロクな事になっていないに違いない。

 

「……因みに内容は?」

「尸魂界の法にまつわるアレコレを、子供でも判るように噛み砕いて漫画で解説する企画(コーナー)だ」

「ほぅ……?」

 

なんと、聞く限りは結構マトモな内容のようだった。

瀞霊廷内の死神の中に(実年齢は兎も角)子供(並みの思考回路の者)も居るのだろう。

法という小難しい内容を子供でも理解できるように漫画で解説、なるほど池上先生に通じるものを感じる。

 

「因みに企画の名前は『もっとおしえて!鑑真先生』……ありがたい事についこの前連載500回を越えた」

「メチャクチャ長期連載だなオイ!?」

 

想定以上の人気コーナーだったようだ、流石に気になってきたので急いでそのページまで捲っていくとそこに描かれていたのは――――

 

 

 

――――ポップなタッチで描かれたデフォルメされた鑑真の姿であった。

 

 

 

「……これ、アンタが描いたのか……?」

「あぁ、初期は構成だけ描いて作画は知り合いに頼んでいたのだが、その知り合いの都合がつかなくなってしまってな、ならばと自分で描き始めたのだ」

「…………なん…………だと………………!?」

 

無駄ににじみ出る本格加減である。しかし、確かにコレなら子供でも理解出来るだろう、絵柄も子供ウケが良さそうで好感が持てる。

そしてキャラだけでなく背景もきっちり描かれているし、全体的に大きめのコマだけで構成されているのも『子供でも判るように』という事を考えれば悪くない。

 

……しかしどんだけ器用なのか、何でもアリだなこの死神(ジェダイ)

感心半分驚愕半分といった気持ちで一護は読み進めていく――――

 

 

 

 

――――『今日(きょう)もソウル・ソサエティは平和(へいわ)だな』

 

鑑真先生が穏やかな表情で空を眺めている。

 

天気(てんき)もいいし、最高(さいこう)洗濯日和(せんたくびより)だ……む?』

 

視線が空から下に移動し、何かを見つけた鑑真先生。

 

『あそこで(だれ)かが(こま)っているようだ』

 

何者かのシルエットに近付いていく鑑真先生。

 

『うーん、困ったのぅ……――――

 

 

 

 

「――――お、オイ桑井サンよ……ひ、一つ聞かせて、くれねぇか……?」

 

捲ったページの1コマ目を目にした一護が突然震え声で鑑真に問いかけた。

その表情はまるで何気ない日常の最中に殺人現場に出くわしたかのような、そう、顔色は最悪そのものだ。

 

「どうした一護、霊子(フォース)が酷く乱れているようだが……」

「そういうの今はいいから……ッ! 頼む教えてくれ、この、ココに描かれてるキャラクター、コイツは一体、何だ……?」

 

一護の震える指の先には一人のキャラクターが描かれたコマが。

ご丁寧にカラーページなので肌の配色が()()なのまできっちり判る。

 

「あぁ、そのキャラクターか。彼はこのコーナーのマスコット的な存在でな、名前を――――

 

 

 

 

 

――――陽陀(ヨーダ)くん、と言う」

「マスタァァァアアアァァァァ――――――――――ッ!?」

 

辺りにファントム・メナス(エピソード1)の終盤、クワイ=ガンが致命傷を負ったのを目の前で見ていたオビ=ワンの絶叫の如き悲鳴が木霊した。勿論発生源は一護である。

 

「おっ、おまっ……な、なん……っ!?」

「落ち着くのだ一護、一体どうしたと言うのだ?」

「どうしたもこうしたもあるかっ!?」

 

手元の瀞霊廷通信をどうにか握り潰さない様にしつつ、震え声で叫ぶ一護、その鬼気迫る表情に流石の鑑真も少々驚いた。

 

「マスコットを何でこの人にした……!? もう一度聞くぞ!? 何でこの人にした!?」

 

R2とか3POとかもっと他にも色々あっただろうがッ!? 等々、次々に溢れ出す怒涛のツッコミのラッシュ、流石の鑑真も困り顔だ。

 

それにしても、なんという事をしてくれたのでしょう。

かのグランド・マスターがたかが機関紙のいちコーナーのマスコットキャラクターに早変わり。

これにはきっとシディアス皇帝もびっくりであろう。

 

「しかしだな一護、彼は瀞霊廷内でとても人気があるのだ。陽陀(ヨーダ)くんクッキーに陽陀(ヨーダ)くん饅頭の売り上げも上々でな」

「何勝手に売り出してんだテメェ!?」

「妹分の宿瑠(ヤドル)ちゃんのグッズも売り上げが好調で」

「テメェマジで監督にいっぺん怒られろっ!!」

 

ディ○ニーにまで謝らなくてもいいから! せめて監督には謝れ! マジで! 一護の悲痛な叫びは止まらない。鑑真も判ってるのか判ってないのか表情は申し訳なさげだ。

 

――正直すみませんでした。

 

「おっと、それはそうと一護」

「何だよ!?」

「さっきの絶叫で更木に勘付かれたぞ?」

「……げっ!?」

 

上空から黒い影達が降ってくるのが見える、周囲を見ると、既に鑑真の姿は何処にも無く……

 

「――ヤロウさっさと逃げやがったっ!?」

 

 

 

「「「見つけたァーッ!!!」」」

 

 

 

「ギャアアアアアア!? こんなオチかよチクショー!?」

 

……一護の逃走劇は終わらない。





評価に感想、お気に入り登録ありがとうございます。

本当に一体何があったんでしょうか、急にお気に入りが伸びててすげービビりました。

ではまた次回。
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