この中に一人、ジェダイがおる。   作:七日 八月

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こっちの地獄とあっちの地獄。

 

 

 

 

 

 

――私が天に立つ。

 

 

 

 

 

 

「………………!!」「…………………………!?」「……………………。」

 

思わぬ言葉にザワつく周囲、そして沈黙…………からの――

 

 

 

 

 

 

「「「「「「野郎(あやつ)(あいつ)(あの人)めんどくさくなってハショりやがったな(おったな)(ましたね)!?」」」」」」

 

――大混乱である。

 

「えっ!? あれぇっ!? 何かもっと色々大事な話とかっ……戦闘とかありませんでしたっけっ!?」

 

もう一度言おう、大混乱である。

 

――――……ご。

 

「ていうかイッチ君の修行回は!? あれ…………雀卓が大いに荒れて……ナナぴょんが……にゃん…………うっ頭が…………?」

 

――――……ちご。

 

「片乃」

「はい? ヒィッ!?」

 

――――……一護。

 

「お前は何も見なかった」

「え、えっ、でも私あの場に居

 

――――一護よ。

 

「もう一度言うぞ、お前は、何も、見てい

 

――――起きるのだ、一護よ。

 

 

 

 

 

 

「――……おわッ!?」

 

仰向けに倒れていた状態から半身を起こして一護は周囲を見渡す、どうやら先ほどまで気を失っていたようだ。

 

「頭を強く打ったようだが……うむ、大丈夫そうだな」

 

声のした方を向けば、そこには鑑真が立っていた。それと同時に今まで忘れていたかのように身体のあちこちが痛みに悲鳴をあげる。

 

「……あッ()ェ……クソッ…………桑井サン、俺はどれ位寝てたんだ……?」

「む? 気を失ってから1分も経ってはいないが……ふむ、何か()()か?」

「あぁ、何か……ハッキリと思い出せねぇんだが…………知らねぇ奴が大勢騒いでたような……」

 

ほう、と一言呟いたきり難しい顔をして黙り込む鑑真、何か悩んでいるようにも見えるその珍しい様子に一護も眉を顰めた。そして……

 

 

 

「……一護よ、先ほど見たというソレは、恐らく未来の光景だ」

 

……鑑真の回答を聞いた一護の眼は一瞬にして濁った。

 

「む? 信じられない、いや信じたくないか?」

「……いや、そうだけどそうじゃねぇ……」

 

一護的には見えた光景ではなく見えた事自体を信じたくないようだ。

ついでに一護の知識的に、スターウォーズで未来が見える時というのは大体ロクな事が起きないのもそれに拍車をかけていた。

 

「まぁ、無理に忘れろとは言わないが……気にしない事だ」

「………………は?」

 

想像もしていなかった鑑真の発言に一護は思わず間の抜けた声をあげた。

 

「どうした一護よ? 意外そうな顔だな?」

「いや、まぁ……」

 

戸惑う一護を見て笑いかける鑑真だったが、急に笑顔を引っ込めて真顔になった。

 

「一護よ、未来を見たからといってその光景に囚われる必要は無いのだ」

「…………。」

 

黙って聞く姿勢を見せる一護に対して鑑真は話を続ける。

 

「確かに未来(そのさき)にも大事な物事はあるだろう……だが、だからといって現在(いま)を疎かにしてはならない。遠くばかり見て歩いていれば足元の小石に気付かず躓いてしまう事もあるだろう、つまりはそういう事だ」

「……現在(いま)大事にすべきなのは、今この瞬間……って事か」

 

半分無意識に呟いたのであろう一護の言葉に笑みを浮かべて鑑真は頷く。

 

「そうだ、今を疎かにして良き未来(あす)など訪れるはずも無い、今があるからこその未来なのだからな」

「おう」

 

鑑真の言っている事は当たり前の事だ、だが当たり前は無意識になり、無意識は慣れと共に意識含め様々な物を疎かにする。

当たり前を大切に……簡単そうで出来ない、出来ていない事だ、一護は鑑真の言葉を胸に深く刻み込んだ。

 

「ところで、七規の考案した()()()()()の進み具合はどうだ?」

 

今更ではあるが、今一護達が居るのは瀞霊廷の地下深くにある秘密の修行場である。

ほんの少し前に解放できた始解程度の力では、やはり隊長格との戦闘を切り抜けるのは無理と判断され、不意打ちで気絶させられこの場に連れて来られたのだ。

 

そして現在、一護は斬魄刀の二段階目の力の解放、卍解の修行を行っていた……七規監修の『余程才能の無い馬鹿でない限り最短1日で卍解が習得できる修行法』という名の拷問を。

 

「……どうにかこうにか慣れてきた……と思った途端にさっき吹っ飛ばされてあのザマだぜ? コレで本当に卍解とやらが出来んのかよ……」

「七規が言うのだ、間違いはあるまい」

 

一護が今行っている修行、その肝心の内容だが……

 

まず頭には視覚を完全に封じると同時に霊覚もかなり阻害するヘッドギアを、四肢には装着者から発せられる霊圧に応じて重さが変わるウェイトを装着。

そんな状態で周囲の浮遊する物体から高速で発射される硬球を避ける、或いは唯一持つことが許されたこれまたやたら重いバットで受けるか叩き落す、といった物である。

 

もう一度言おう、新手の拷問である。

 

「……まぁ俺の事は良いんだ、いや良くはねぇが…………何やってんだアイツら?」

 

一護の視線の先、そこには――――

 

 

 

 

 

 

「――通らば、リーチじゃ!」

「夜一さん、それロンです」

「なん…………じゃと…………!?」

 

一護が修行を行っている場所から少し離れた場所、そこには全自動麻雀卓(七規のお手製、霊子(フォース)イカサマ阻害機能付き)を囲む4人の人影があった。

 

――因みに今アガったのは片乃「この状況で(ナン)の地獄単騎とか読めるわけないじゃろ!?」「良いからさっさと点棒払って下さいよ夜一さん」……これは酷い。

 

「うむ、麻雀だな」

「判っちゃいた……判っちゃいたが何考えてんだこの切迫した状況で!?」

 

一護が半ば拷問同然の修行を行っている傍らで明らかに暇つぶしをしている4人……4人?

 

「おい、なんか増えてねぇか……?」

 

違和感に気付いた一護、一護は順に対象を確認していく。

地下修行場(ココ)に強引に連れて来た、自分達の仲間の猫……と思っていたら実は女性死神だった夜一、ソレに合流していたらしい鑑真、その弟子の七規(夜一の下家)、の弟子の片乃(夜一の対面)、で夜一の上家に座っている黒髪ショートヘアの……

 

「む? あぁ、彼女の名は梢綾……いや砕蜂(ソイフォン)だ、夜一君の元部下で「心は今でも部下ですっ!!」……だそうだ」

 

鑑真の台詞に被せてきた内容で色々察した一護、だがツッコミを入れると色々ややこしくなりそうな予感がしたのでひとまず黙る事にした。

 

「紹介がまだだったな、私の名は鑑真殿の紹介にもあったが砕蜂という、護廷十三隊二番隊の隊長にして隠密機動の現総司令官でもある、まぁ肩書きなど今はどうでもいい」

「いや良かねぇだろ!? 隊長!? 総司令官!?」

 

肩書きオプ○ィマス(コ○ボイ)かよ!? というツッコミは流石に憚られて我慢した一護だったが、自分をボロ雑巾にした相手、朽木白夜と同格と名乗られては流石に気が気でなかった。

 

「貴様の名は……黒崎一護だったか? 貴様の仲間達は私の所で保護している。負傷者は手当てもしたから安心しろ」

「いやスルーかよ!? でも色々とありがとう!?」

 

夜一(と鑑真)以外には必要最低限か塩対応、それが砕蜂クオリティである。

そして、ツッコミを入れつつお礼も出来る男、それが一護クオリティである。

 

「これ砕蜂」

「はっ」

 

 

 

「お主の番じゃぞ?」

「申し訳ございません、只今……」

「……いや続けんのかよ麻雀!?」

「「「「当たり前だろう(でしょ)?」」」」

「なん…………だと………………」

 

思わず「これ、俺が間違ってんのか……?」と戸惑う一護。

しかし何やら雀卓を囲む4人から発せられる空気がオカシイ、というか4人とも目が本気(マジ)である。

 

「…………何でそんなマジなんだよ?」

「賭けたんだよ」

 

そんな様子の4人に軽く戦慄した一護の呟きを聞いた七規が憮然とそれに答える。

 

「オイ、一体何を賭けたんだ……?」

 

 

 

 

 

 

「――――ヒトとしての、尊厳だ……!!」

 

七規の回答に今度こそ一護は絶句した。




あけましておめでとうございます(震え声

去年の活動報告にて、去年のうちに1話くらいは投稿したいと申しておいてこのザマです。
いやここまで読んで貰えたら判ってくださると思いますが、大分迷走してます、ネタが。
満遍なくツッコミ所は用意しましたが、うん、うーん……

……ちょっと残火の太刀に処されてきます(白目



あ、誤字報告と感想と評価ありがとうございます。

本年も作者共々、『このジェダイ。』も宜しくお願いします。
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