この中に一人、ジェダイがおる。   作:七日 八月

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ご覧の作品はBLEACHとスターウォーズのクロスオーバー小説で間違いございません。


地獄を見たのは果たして誰か。

 

……チャッ……チャッ、カッ…………チャッ、チャッ…………

 

 

――――殺風景な地下の地面に置かれた全自動雀卓とそれを囲う4人の人影、明らかに風景とオブジェが噛み合っていないがその場に気にする(ツッコむ)者は居ない。

そんな場で殺伐とした空気を纏った4人は、会話の代わりに雀牌同士が当たる音と雀牌が雀卓を叩く音だけを響かせ続けていた。

 

4人はとても集中していた、少し離れた場所からは打撃音と高校生男子の呻き声や叫び声が響いて来るにも関わらず、誰一人としてソレに反応しないのがその証拠である。

 

 

 

「ポン」

 

唐突に響いた声に周りの視線が一点に集まった。

3枚揃った(ハク)を凹の字に並べてから牌を切る、目当ての牌では無かったらしく全員の視線がいったん戻る。

 

対面からのポンだった為一人順を飛ばされ、また無言で牌の音だけが鳴る時間が再開される、そうして周って再び彼の番、その時はやってきた。

 

彼が山から引き当てた牌、その図柄は――

 

 

 

――()()()()()

 

()()

 

誰かが息を呑んだ音がした、その後に下家から「やばっ」という声が上がる、普通の手合いならばポンから間を置かずの小明槓(ショウミンカン)を見れば驚きはすれど危険だとは思わないだろう……だが、()()()()

 

左右の焦ったような雰囲気に反応したのか「むっ?」と彼から見て対面が視線を上げるが、何を言われようと既に遅い、彼は嶺上牌(リンシャンハイ)に手を伸ばしてソレを引く。

 

そうして引き当てた牌は彼のお目当て(上がり牌)――

 

 

 

「――ツモ、嶺上開花(リンシャンカイホウ)……ドラも乗ったな、4000オールだ」

 

彼、七規は自分の親番で流れに乗っていた……否、少しだけ調子にも乗っていた。

 

……それが後々彼らに悲劇(喜劇)を招く事になるなど、この時の彼らにはそれを想像する事さえ出来なかった。

 

 

 

 

 

 

……順調だな、と七規は内心で笑みを浮かべた。

 

先程の嶺上開花でのアガリから引き続き七規の親番、今の彼の手牌はあと1枚で断公九(タンヤオ)の三色同順でリーチをかけられる。

周りを見れば下家の片乃がついさっきリーチをかけていたのが気になるが、状況はかなり好い。

 

夜一の親から始まり、瞬神の異名を体現したかの如き速攻で何度もツモでアガられたのには流石の七規も肝を冷やしたが、その流れは片乃のタチの悪い悪待ちで見事に潰された。

 

流れは完全に自分に来ている、この時まで七規はそう思っていた……だが彼は失念していた、右隣に絶対に野放しにしてはいけない危険人物が座っている事に、それも事前に予兆があったというのに。

 

 

 

 

 

 

……ソレは唐突に脳裏を過ぎった、いわゆる『嫌な予感』というヤツである。

 

置かれた牌から何かを感じ取る事は出来ない、一護の今行っている修行に用いられている霊覚の阻害技術、それがこの麻雀の道具一式にもしっかりと施されているからである。

 

この技術、自分の師匠(鑑真)がやらかした雀牌一つ一つの霊子(フォース)を読み取るとかいう最低最悪なタチの悪いイカサマに対抗する為に施した処置だったりするのが物悲しい。

……本気を出されるとどっちにしろ読心や予感(あの手この手)一方的な殲滅戦(ワンサイドゲーム)になるので意味が無くなるのがさらに悲しい……だからこそ今この卓に鑑真は座って居ないのだが。

 

当初一護の修行には夜一が付き添っていた、ならば夜一以外居ても意味は無い……という訳ではなく、一護の卍解が終わり次第七規の手で()()()()が行われる予定なので鑑真達はその場で待機していたのだ。

だが、待ち惚けるのも時間の無駄だと何かして暇つぶしをしよう、と考えている最中に砕蜂が合流、丁度4人居る事だし麻雀でもするか、となったのだ。

 

……が、前述の通り鑑真はこの手のゲームでイカサマ込みで無双する為に生まれてきたかのような理不尽な存在である、全員満遍なくなぶり殺しか誰かがトバされて一瞬にして終わってしまう=暇が潰せない。

という訳で選手交代、鑑真の代わりに夜一が卓に着き、夜一の代わりに鑑真が一護の修行に付く事になったのだ。

 

話は戻るが、この麻雀道具一式に施されている霊覚阻害技術、死神(ジェダイ)特有の霊子(フォース)知覚は阻害出来ても予知や予感に関しては効果が無い。

技術的な説明になると霊子の固有振動を別の波長で外部に伝わりづらくする等々、専門用語が満載になるので割愛するが、兎に角個に対して作用する技術の為、空間に認識を広げる予知や予感を阻害は出来ないのである。

 

結果、この卓において七規と片乃は相手の危険牌に対しては直感的に回避が出来るので振り込む確率は極めて低い、例外があるとすれば精神が乱れている時くらいである。

 

 

 

……その直感が今、七規が引いた()が危険牌だと告げたのだ。

 

いつもの七規ならばその直感に従って降りていただろう、だが今の七規は色々な意味で()っていた、何よりこの局の序盤に2枚の北が砕蜂の場に出されている。

ついでに、夜一が親番で随分暴れたのも印象に残っていたのだろう、肝心の北家(夜一)にテンパイの気配が無い、南家(片乃)のリーチも随分遅かった、だからか……迷う必要など無いではないか、と勇み足になってしまった――

 

 

 

――それが運の尽きだった。()が出された瞬間……片乃がニヤリと嗤った。

 

()()

 

下家(片乃)から上がった声に七規はハッとした――…………しまった……!?――と気付いた時にはもう全てが遅かった。

 

片乃の手元の牌が倒される、そこにあったのは――――

 

 

 

「す、四暗刻(スーアンコウ)…………(ペー)の地獄単騎………いやそれより……」

「役満だぞ……!? あのタイミングでリーチをかけるなどリスクしか……!!」

 

夜一と砕蜂の驚きの声に七規がポツリと呟いた。

 

とびっきり(残り1枚)の悪待ち……その上で役満を悟らせない為か……無意識に警戒を緩めてしまった僕の落ち度、だな…………」

 

七規の目は死んでいた、何故なら今の片乃の四暗刻の32000点で七規の手持ちの点数は0(正確にはマイナス)になってしまった、つまり罰ゲームが確定したのだ。

 

「ごめんねナナぴょん! この打ち方(悪待ち)すると妙に勝てちゃうもんだからついっ!」

「謝る気の無い謝罪はヤメロ……!!」

 

凄くイイ笑顔の片乃に殺意が沸くが、約束は約束である。片乃から受け取った衣装を手に物陰へと向かっていった……――

 

 

 

 

 

 

「――イイッ、イイですよナナぴょんっ! スゴく良いッ!」

「……………………………………。」

 

興奮気味に喋る片乃と一言も喋らずプルプルしている七規、そんな彼の今の服装だが……

 

 

 

フリルだらけのミニスカゴスロリメイド服、白のニーソックス、頭はヘッドドレスに黒猫耳、おまけにスカートの臀部付近からは猫尻尾が生えていた。

この時の七規を見た夜一達の感想だが、涙目で顔を真っ赤にしてそっぽを向き、スカートを握り締めて抑える様は非常にそそられるモノがあったそうな。

 

しかし、既にこの格好だけでも十分屈辱的なのに、この後ある台詞とポーズまでとらねば罰ゲーム完遂とはならない。

 

「…………一思いに、殺せ……っ!」

「ダメですよー、罰ゲームは罰ゲームなんですから、ちゃんと最期までやらないと♪」

「…………~~~~~~ッッ!!」

 

声にならない呻き声を上げる七規と満面の笑みの片乃、この弟子(パダワン)自分の師匠(マスター)の痴態を心底楽しんでいる、最悪である。

 

「……はぁ………………、……っ!」

 

悲壮感を漂わせる七規だったが、ついに決心がついたのかソレを実行に移した。

 

 

 

「…………にゃんっ……」

 

 

 

先程の格好+いわゆる女の子座りになり片手でスカートを抑えつつ、右手は招き猫のようなポーズで「にゃん」……コレが罰ゲームの全貌である。

 

七規が罰ゲームを終えた直後、ブシュッ……と何かが吹き出す音がした。

見れば片乃が鼻を抑えている、その手からはポタポタと鼻血が漏れ出ていた。

 

「……グッド」

 

羞恥心でプルプル震える七規に向かってサムズアップをする片乃、そんな片乃を見て、七規は俯いたままフラリと立ち上がった。

 

「……? どうしましたナナぴょん? もうソレ脱いでも良いんですよ?」

「………………………ェィ……」

「……えっ?」

 

片乃の前までフラフラと歩いてきた七規、何か明らかに様子がおかしい。

そしてソレは唐突に起こった――

 

 

 

「――オブリ○エイトォォォオオォォッ(忘れろ)!?」

 

 

 

 

七規が文頭に「抹殺のォ」とでも付きそうな魔法の呪文を叫びながら、どこからか取り出した巨大なピコピコハンマーで片乃の頭をぶん殴ったのだ。

 

辺りにゴッと鈍い音が辺りに響く、どうやらピコピコハンマーなのは見た目だけらしい、咄嗟の事だったので反応が遅れた夜一と砕蜂が慌てて七規を取り押さえようとする。

しかしその小さな体から想像出来ない程の怪力が発揮されており、2人がかりでも完全に抑えきれず、その間に何度も片乃の頭にハンマーが振り下ろされる。

 

「オブ○ビエイトッ! オブリビエ○トッ! オ○リビエイトォッ!!」

「お、落ち着けっ、落ちつくのじゃ七規ッ!?」

「な、なんだこの馬鹿力は!? 2人がかりで止まらんだと……っ!?」

 

どこかの大乱闘の如く何度も振り下ろされる巨大なピコピコハンマー、片乃の頭は地面にめり込み始めている。

 

「何か騒がしいようだが……片乃!? 七規!?」

 

そこへ異変に気付いた鑑真が3人の背後から現れた、目の当たりにした光景に流石の鑑真も焦ったらしい、慌てて取り押さえに入った。

だが七規はハンマーを振り下ろそうとするのを止めない、必死に抑える3人と暴れる七規の攻防は続き……

 

 

 

 

 

 

nanaki(七規)! Nanaki(七規)! Nooooooo(それ以上いけない)!!」

 

……地下修行場に、鑑真の叫び声が木霊した。




麻雀判る方はお気付きかと思われますが、自分は麻雀超下手糞なド素人です。

一発ネタな上ツッコミどころ満載でガバガバなんですが、やっぱ麻雀用語解説要りますかね……あと牌画像変換ツールも。



ところで、今回の話は原作アナキンって強情になってる時ほど割と大失敗してる感あるのでソレを出したかったんですが、どうですかね、出てますかね。



最後に、感想と評価とお気に入り登録ありがとうございます。

ではまた。
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