【ボロス編】ONE PUNCH MAN〜ハゲ抜き転生者マシマシで〜【開始】   作:Nyarlan

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第十九話 - 会敵

「――ご覧下さい! 上空に突如として現れた超巨大宇宙船によって、A市は大混乱に陥っております!!」

 

 プロペラが鋭く風を切る音をBGMに、女性キャスターが長い黒髪を風になびかせながら強張った表情で報道ヘリの外を指し示す。

 カメラマンはヘリ外に飛び出さんばかりの勢いで身を乗り出し、巨大な影を落とすA市を撮影していると、ある事に気づいた。

 

「宇宙船は出現直後に無数の砲弾を放ちましたが、“戦慄のタツマキ”と見られる――えっ?」

 

 地上を撮していたカメラが急に角度を変えたことに気づいたキャスターが視線を向けると、宇宙船の一部から無数の黒い点がハエのように無秩序に広がり飛び交う光景が彼女の視界に飛び込んできた。

 

「あ、アレは……!?」

 

 無数の飛翔体はA市全体へと広がりながら、地上へ向けて光弾を放ち始めている。

 ――戦闘機だ。報道陣たちはそれを察して青ざめた。

 

戦闘機です! 砲撃を封じられた宇宙船が、無数の戦闘機を放出し地上を攻撃し始めました!!」

「ヤ、ヤバいこっちにも向かってきてる!!」

 

 同じく空を飛んでいるからか、狙いをつけた戦闘機がヘリに向かってくるのを見て、パイロットが悲鳴を上げた。

 迫りくる敵にヘリは即座に身を翻し、急制動に画面が乱れる。

 

 そして——。

 

 

 

 ――ズン、と建物全体を揺るがすような衝撃に、職員も避難民も区別なく死の恐怖に身を縮めながら悲鳴を上げる。

 

「……っ!」

 

 設立以来の未曾有の危機に晒されたヒーロー協会本部ビルの一室で、桃色の髪の少女は不安に顔を強張らせていた。その視線の先には、画面が乱れ映像の途切れたテレビの画面。

 

 スタジオから呼びかける声が砂嵐と化した中継へ虚しく響き渡るのを目の当たりにし、街へ飛び出したい衝動を精神力で押さえつけた彼女は浮きかけた腰を静かに下ろす。

 

「不安かい?」

 

 こんな状況下で落ち着いた声色で少女――ルイズに問いかけるのは、ヒーロー協会職員を示す名札を首から下げたスーツ姿の女性。

 

「……ええ、こんな騒動の中へよりによって自分から飛び込んだあの子達のせいで不安でいっぱいよ。私は世界一頑丈なビルの中に居るから大丈夫だって、言ったのに」

「彼女たちも何か行動をしなければ不安なんだろうさ……なにせ、これはA市だけで収まる危機じゃあないからね」

「………………」

 

 少女の脳裏には途切れる前にカメラが映した無数の戦闘機に襲われるA市の光景が焼き付いている。今まさに危機に陥ったこの街に、彼女の大事な友人たちがいるのだ。

 

 コーヒーで喉を潤しつつざわめくスタジオに映像を戻したニュース番組へ視線を向ける女性――ヒーロー協会に潜入するブライト博士の端末に、ルイズは不安げな視線を向ける。

 

「勝てるんですよね……?」

「さて、ね。彼も我々もやれるだけの事はやってきたつもりだ。しかし今回ばかりは相手が相手、研究所にいる“私たち”も手術の準備は済ませてある。キミも()()()()する心の準備くらいはしておくといい」

 

「…………はい」

 

 自分の担う第二の策すら失敗に終われば、今度はより大きなリスクを抱えた最後の悪あがきに身を投じる仲間がいる。

 そして、今まさに死地に立たされた友人がいる……ルイズは不安な気持ちを代々家に伝わる古びた杖を胸に強く抱く事で押し潰した。

 

 

 

 

 

 

ふはァっ!

 

 無数の鞭が爆撃にすら耐え得る強度の屋上を削りながら足元を薙ぎ払うと、相対する二人のヒーローは躊躇いなく空へ身を踊らせた。

 

はっ、飛んでちゃにげられんぞ!

 

 グロリバースが力むと地を這う様に広がる触手の群れが鋭角に曲がり、宙へ逃れたヒーロー達を追う。

 自身を貫かんと下方から迫る茨の束に対して閃光のフラッシュは愛刀を構え——ギャリ、という耳障りな音とともにその場に銀光の輪が閃き触手を四方へと弾き飛ばした。

 

 同じく追い縋るそれを空中で器用に身をよじって躱した番犬マンは、そのまま触手の側面を蹴り上げてグロリバースへと吶喊する。

 

ふっ、やるねェ——うおッ!?

 

 グロリバースは白い弾丸と化した彼の一撃を身を屈めて避け——頭上を通り抜けた番犬マンから後足で後頭部を強かに蹴られた。

 並の怪物なら粉々に弾け飛ぶような衝撃を受け、グロリバースはもんどり打つ。それにより制御が甘くなった触手を潜り抜け地面へ降り立ったフラッシュは素早く愛刀・瞬殺丸を構えた。

 

絶技——

 

 彼が勢い良く地を蹴るとその姿はその場から掻き消え——。

 

——閃光斬

 

ヴァハ——ッ!?

 

 次の瞬間には、目にも止まらぬ斬撃によって斬り飛ばされたグロリバースの右腕と触手の一部が宙を舞っていた。

 

(……首を刎ねるつもりが、防がれたか)

 

 遅れて到達した衝撃波によって周囲に突風が吹き荒れる中、フラッシュはグロリバースの背後へと着地する。

 その隣には無表情の番犬マンがいつの間にか座っていた。

 

……ふははははっ! やるなお前ら、このオレ様のウデが落とされるなんて久しぶりの事だ!

 

 地面に落ちた自らの腕を踏みつけにしながら、グロリバースは呵呵大笑する。

 片腕を失ったというのに焦った様子はない。

 二人は油断なく構えを取ると、背中から伸ばした触手の残りをもたげる怪物と対峙した。

 

 

 

(馬鹿な。グロリバースが押されている、だと……!?)

 

 複数ある頭の内一つの視界に少し離れた位置で戦う仲間の腕が斬り飛ばされる光景が飛び込んできた事で、メルザルガルドの思考が瞬間的に停滞する。

 

 ——暗黒盗賊団ダークマターが抱える数多の戦闘員の中でも頂点に立つ三人の最上級戦闘員は首領ボロスを除く残り全ての戦闘員と戦ったとしても勝利できる強さを持つとされる。

 そんな怪物の中でもグロリバースは近接戦闘最強の存在だ。

 

(それが、たった二体の地球人相手に……ッ!)

 

ラァヴエンジェル☆スマアッーシュ!!!

 

 そんな思考をする暇すらも与えないとばかりに、強烈な威力を秘めた剛拳が先の連撃で大半を飛び散らせたメルザルガルドの身体の残りを完全に打ち砕いた。

 しかしその程度の事では彼に痛痒を与えるに至らない。

 

あまり調子に乗るな——ッ!

「何っ!?」

 

 拳を振り抜いた体勢のぷりぷりプリズナーの背後で素早く身体を構築したメルザルガルドは、ひたすらに長く太く拵えた巨大な腕でビルの外へ向けてフルスイングする。

 

「くっ、エンジェル☆ヒップ!!!

 

 自身の腰を強かに打ち付けるはずだった長く太いそれを、彼は腰を突き出しながら軽く跳躍する事でより打撃に強い鍛え抜かれた臀部で受け止めた。

 

ン゙っ♡」

 

 直撃した位置を中心に分厚い尻肉が大きく波打ち、衝突の衝撃を散らす。臀部を覆っていた囚人服の一部が下着ごと弾け飛ぶ程の威力に、ぷりぷりプリズナーは名状しがたい表情を浮かべた。

 

……気持ちが悪いから、そのまま飛んでくといいよ

 

 破壊力を受け止める事には成功しても、その勢いまでは殺せない。

 まるでホームランボールのように吹き飛んだぷりぷりプリズナーの身体は、あれよあれよと言う間にビルの外へと投げ出された。

 そのまま重力に従って遠い地面へと落ちるかと思われたその身体は、しかし空中でピタリと静止する。

 

 彼はぬっと顔を上げると、視線の先で自身に向けて手を伸ばすおかっぱ頭の姿を認めて破顔した。

 

「ありがとうボウヤ、助かったよ!」

 

 背後に聞こえる激しい戦闘音に冷や汗をかきながら、シゲオは咄嗟に行った能力の制御が成功した事に安堵のため息をつく。

 

「今、ビルの上に戻します!」

 

 空中でカエルのように泳ぎつつ「タツマキちゃんの弟子ってのは本当らしいな」と独りごちていたぷりぷりプリズナーは、そのまま地上を見下ろし——表情を引き締めた。

 

「せっかく俺の火照ったカラダを受け止めて貰った所申し訳ないが、そのまま力を解除してくれないか?」

えっ!? いや、ここ滅茶苦茶高いですよ」

 

 この高さのビルから落とせと言われたシゲオがギョッとした顔をすると、彼は真剣な眼差しで見つめ返した。

 

「俺は頑丈だから大丈夫さ! それより、いつの間にか地上も大変な事になっていたようだ……ここは俺一人抜けた所で問題はないだろう、行かせて欲しい」

「……えっと、ホントに大丈夫なんですね?」

ああ! それじゃあ、ここからやや西向きに勢いをつけてくれると助かる」

 

 やや不安そうに了承した彼が要望通りに力を解除すると、ぷりぷりプリズナーは両手を広げスカイダイビングのように落ちてゆく。

 

「今助けに行くぞ、男子たちッ!」

 

 急速に小さくなっていく人影を見送ると、シゲオは地上に目を向け、煙の上がる建物や逃げ惑う人々の姿に目を見開く。

 

 ——いまや戦場はここだけではないのだ。

 

 

 

 

 A市第五シェルターへの避難経路にて慌ただしく移動する人々の中で三人の少女がやや遅れ気味に歩みを進めていた。

 上空を飛び交う無数の戦闘機と町中から上がる炸裂音と黒煙に、三人は冷や汗をかきながら先を急ぐ人の群れを追う。

 

「や、ヤバイです、砲撃さえ止まれば大丈夫だと思ってたのに!」

 

 そう言って黒髪の少女――メグミンは涙目のまま足を動かす。

 

「ひぃ、ひぃ……覚悟してたつもりだったけどっ、やっぱりイザってなると怖すぎるよ……!」

 

 三人の中で一番背の高いオレンジ髪の少女――ココアは息を切らせながら腰を抜かした友人を背負い、必死の形相で走る。

 

「降りてくる可能性は指摘されてたとはいっても、避難する時間くらいあると思ってたんだけどねぇ……ッ!?」

 

 ココアに背負われたひときわ小柄な青髪の少女⸺コナタは、ふと背後を見て息を呑んだ。そのただならぬ様子に、彼女を背負い走るココアは息を切らしながら声を上げる。

 

「ふぅっ、ふっ――ど、どうしたのコナタちゃん?」

「や、やばい……宇宙人がっ!」

 

 彼女の悲鳴じみた声に、前を走るメグミンや他の避難者も振り返り目を剥いた。銃を手にした多種多様な異形の兵士たちが醜悪な笑みをうかべて彼らを追跡している姿が目に入ったのだ。

 

「に、逃げろ! あいつら地上に降りて来やがった!!!」

 

 三人の少し前にいた男がそう叫ぶと、避難者たちはパニックを起こしたように走る速度を早め散り散りに逃げ出した。

 

ヒャヒャヒャ! 下等生物、ニゲロニゲロォ!』

 

 繰り返し発されるバシュ、という音とともに近くのビルの外壁が爆ぜ、悲鳴が上がる。

 散発的にいくつかの光弾が放たれるが、それらは人ではなく周囲の建物や車を射抜き破壊していった。

 その度に上がる悲鳴を聞き、宇宙人たちはゲラゲラと笑いながら追いかける。顔面蒼白のまま逃走を続ける彼女らだが、その速度は遅々としており遊ぶように追い立てる宇宙人たちを引き離すどころか他の避難民に追いつくことすらできない。

 

 そして——。

 

「ごめんね、巻き込んじゃって」

 

「——えっ?」

 

 今まで聞いた事がない程に低く震える彼女の声色を聞く同時、背にしがみつく重みが消えた事でココアは前につんのめる。

 

「コナタ!?」

 

 前を走るメグミンも足を止め振り返ると、地面に倒れ付すコナタの後方から来る宇宙人たちがかなり近くまで迫っていた。

 

『下等生物のガキどもだァ、捕まえろ!』

『死にたくなきゃ大人しくしてなァ! 可愛がってやるからよォ!』

 

 咄嗟に足を止めた二人は、下卑た声を上げる宇宙人たちと地に伏せるコナタの間で視線を泳がせる。

 

「コ、コナタちゃん!? は、早く私に――」

 

「――走って。重荷背負ってちゃ逃げ切れないよ」

 

 足腰立たないまま地面に伏せながら、彼女は震える声で言う。

 

「この私が覚悟決めたんだから、さ。捕まる、前に……」

 

 二人を見上げる瞳は恐怖に揺れている――しかしその奥には確かな決意が宿っていた。ココアは既にかなり近付きつつある宇宙人たちと彼女を見て生唾を飲み込むと、メグミンとアイコンタクトを取る。

 

「……ッ、二人とも!?」

 

「そんな事ッ、できる訳ないでしょ!」

「そうです! 一人だけかっこいい真似はさせませんよ!」

 

 そう言ってコナタの両脇を抱えると、二人から見てもなお小柄な彼女をしっかりと持ち上げる。

 

 ……背後に迫る宇宙人との距離関係、人一人抱えて走る速度、どう考えても逃げ切ることはできない。しかし、友人を見捨てるという選択肢を選ぶ事は、二人にはどうしたって選べなかったのだ。

 

「……ごめん、なさい」

 

「提案したのはアナタでも、選んだのは私たちですよ」

「そうそう、それに私もルイズちゃんは心配だったしね」

 

 消え入るような声で謝るコナタを護るよう、二人がしっかりとその両脇を固めて足を踏み出した、その直後には。

 

『ヒハハ、下等生物にも友情はあるんだねぇ?』

「……ッ!!」

 

 ついに、宇宙人たちは彼女らに追いついていた。

 大多数が先を走る避難民を追う中で一部の宇宙人たちは愉しそうに三人を取り囲む。

 

『ほぉら、大人しくしてれば痛い事はしないぜェ?』

『グフ、船に招待してたあっぷりと()()()()()してやろう』

 

「や……ッ!」

 

 武器を下げ、下卑た笑みを浮かべた宇宙人の一人が、ココアの腕を掴む。ぬらりと光沢のある三本指に彼女が身体を強張らせた。

 

 ――次の瞬間。

 

「ネッキング・スマッシュ!!!!」

 

うごぉあっ!?

 

 黄色い何かが空を切り、ココアの細い手首を握っていた宇宙人が錐揉みしながら吹き飛んだ。

 

『な、なんだ――っが!?』『て、敵しゅ、うぉっ!?

「ネッキング・バインドッ!」

 

 長く伸びた網目模様のマフラーがまるで生き物のように空中でうねり、三人の近くに立つ二体の宇宙人を絡め取る。

 その根本を握る一人の闖入者は地面に脚がめり込む程の勢いで踏みしめるとマフラーを引き寄せながら左脚を軸に回転し――。

 

「うおおおおお……ッ! ネッキング・ハンマーッ!

 

『『『んぎゃァ――ッ!!?』』』

 

 力雄叫びを上げて強く振り回したそれを宇宙人の一団へと勢い良く叩き付けると、巻き込まれた数体諸共に吹き飛ばして近くのビルを貫いて瓦礫の中へと葬った。

 

ふーっ……間に合ってよかったです」

 

 しゅるり、と音を立てて網目模様のマフラーはその端を握る少女——A級ヒーロー・チャーミングジラフの首へひとりでに巻き付く。

 

『な、なんだテメェ、どんな馬鹿力だ!?』

『一瞬で六人もヤりやがった……!』

 

 攻撃に巻き込まれなかった宇宙人たちが恐れをなしたように後退る中、ジラは三人を護るように前に立つと強く足を踏み鳴らした。

 

「アナタたち、よくも私のお友達を怖がらせてくれましたね」

 

 少女たちが恐る恐る顔を上げるとジラは肩越しに振り返り、人を安心させるような力強い笑みを浮かべた。

 

「……ジ、ジラちゃんさん!」

「もう大丈夫です! 私が来ました!」

 

 ——街を守るのは、S級ヒーローだけではない。

 待機していた転生者陣営の戦力、そして普段からここを警邏している他のヒーローたちも同様に動き始めていた。

 

 

 ——そしてそれはA市上空、侵略者たちの母艦においても。

 

 

『あーあ、俺も地上制圧組に入りたかったなァ』

 

 宇宙船の内部では、船外作業用ドローンを用いて作業する宇宙人が残念そうにぼやく。機械の腕をカメラ越しで巧みに操作し、毛むくじゃらの宇宙人が先の反撃で負った損傷をテキパキと修理する。

 しかし破壊された範囲は船の下部全域であるため、その作業の終わりは果てしなく遠い。

 

『えぇ……あんなとんでもない反撃して来るやつが居る星だぞ? 他にどんな戦力がいるか考えたら、俺は安全な艦内で待ちたいね』

 

 その隣で同じ作業に没頭する体毛のない猫のような頭部をした宇宙人はその言葉に呆れたようにそう言う。

 しかし相手はやれやれと肩を竦め、首を振った。

 

『考えてもみろよ、最上級戦闘員が揃い踏みで敵の最大戦力を討伐しに向かってるんだぜ? 大した戦力も残ってないって。あー、下等生物どもを思い切り蹂躙してやれたらキモチイイだろうなァ』

『あー、確かに。最近開発された、新兵器を使ってみたかったんだよな、こう――』

 

ドゴォン――

 

『っ、て……え?』

 

 突如として室内に響いた轟音に、管制室の人員は硬直する。

 電子ロックされていた扉は吹き飛びパラパラと細かな部品の破片が室内に転がる音が響き渡る中、大きな人影が悠々と内部へ侵入してくるのを見て宇宙人たちは息を呑んだ。

 

「いやあ、すっかりと道に迷ってしまった。この部屋から生き物の気配を感じたから入らせてもらったが……さっきは沢山の贈り物をありがとう、いらないから同胞に返品してもらったけどね」

 

 肩に掛かった埃を払いながら、侵入者――オールマイトはこの場にそぐわない穏やかな笑みを浮かべる。それに対し、管制室の人員たちは慌てたように備え付けの武器を持って立ち上がった。

 

なっ、なっ……し、侵入者!? センサーはどうした!!』

『駄目です、さっきの衝撃で感知器類がエラーを吐いてからまだ復旧完了していません!!』

『怯むな! 敵はたったの1体だ!』

 

 複数の銃口を向けられながらも、オールマイトは欠片も慌てた様子を見せずに悠然と立つ。

 

「生憎と、キミたちと遊んでいる暇はないんだ。この船の首領(ボス)の居場所を吐いてもらおう――」

撃てェ!

 

 多数の銃口が咆哮し、閃光の雨が殺到する。

 艦内に損傷を与えず有機体のみを崩壊させる死の光線は――オールマイトの両手が残像を残しながら閃くと、その全てが軌道を逸れる。

 その様子にその場に居た誰もが目を疑った。

 

『ば、馬鹿な! これは強固な皮膚であろうと無関係の――ッ!?』

 

 次発を撃とうとした宇宙人は握った銃が飴細工のように奇妙な形に曲げられている事に気付き、思わず絶句する。

 

「すまないが急いでいる。この艦内の地図を表示しなさい」

ヒッ――!?

 

 手元から視線を戻すとオールマイトの姿は目の前にあり、彼は思わず壊れた銃を取り落とす。気付けばその場にいる全ての人員は同じように武器を喪失していた。

 

 ――勝てない。

 

 生物としての格があまりにも隔絶している事に気付いた彼らは、思わず生唾を飲み込んだ。

 

『ち、地図はコレです……ボロス様の執務室は……』

 

 一体の宇宙人が声を震わせながら端末を操作すると、モニターには艦内の地図が大写しとなり周囲がざわめく。

 

『おい馬鹿! そんな事をして、ボロス様に殺されるぞ!』

『教えなきゃ今殺されるだけだッ! ボロス様には、こう、あとでなんとか誤魔化すしかない……!! ええい、地図のこの空間がボロス様の執務室となります!』

『この野郎ッ……お、俺は知らねぇからな……!?』

 

 映し出された地図の一部分が赤く点滅すると、宇宙人たちは余程首領が恐ろしいのか頭を抱え、ガタガタと震え出す。

 モニターを静かに眺めていたオールマイトは、小さく頷く。

 

「位置からすると、あっちか。……この地図上で、破壊してしまうと船が落ちるような場所はどこにあるかね?」

『は、はい。この、中央部分に船の重力を制御する装置があります。ここから執務室まで経路は……』

「よしわかった、この辺りは迂回しよう」

 

 そう言うと彼は宇宙人たちに背を向けると――そのまま壁を突き破り管制室から飛び出して行った。

 その姿が完全に見えなくなると、宇宙人たちは緊張の糸が切れたようにその場にへたり込む。

 

『た、助かった?』

『……馬鹿言うな。情報を洩らしたのがバレたら俺達みんな粛清されるだろ、あの侵入者がいくらヤバくてもボロス様に勝てる訳がない』

 

 彼らは目の前の危機は乗り越えたものの、裏切りの代償が降りかかる未来に絶望した表情で破壊された壁を眺めるしかなかった。

 

 

 閉まる隔壁をぶち破り、迂回すべき壁を突き抜け、船の警備で残っていた上級戦闘員たちを薙ぎ倒し――巨大迷宮さながらの宇宙船を突き進んだ彼は、やがて目的地を見つけ出す。

 

「……この、扉か」

 

 2mを優に超える巨体を持つ彼から見てなお巨大な扉。

 未知の金属でできたその重厚な扉の先から伝わってくる強烈なまでの気配に、ヒーロースーツの下の地肌が鳥肌立つ。

 常人ならば呼吸すらままならないほどの圧を撥ね付け、オールマイトは意を決したように顔を上げたその時。

 

 ――ゴオッ、と重々しい音を立てて扉が左右に開いた。

 

 内部にある巨大な装置から漏れ出す光に導かれるように、彼は扉をくぐり巨大な室内へと歩みを進めてゆく。

 

まさか、これほどの短時間でここまで来ようとは

「…………ッ!」

 

 唐突にそんな声が響き、オールマイトは足を止める。

 部屋の奥の壁から放たれる淡い光を背負うよう悠然と立つ男に、顔を上げた彼の視線は自然と釘付けとなった。

 

 ——薄い紫の逆立つ頭髪と、鋭く尖った耳を持つ端正な顔立ち——その中央でギラギラと光を放つ大きな単眼の周辺からは青い肌へ映える紫色のラインが戦化粧のように引かれている。

 ——上半身は黄金の鎧に覆われており、鳩尾の辺りで赤く光る宝玉の周辺からは腕部へ向け顔と同じく紫の線で装飾されていた。

 ——白いアラビアンパンツのような布に覆われた脚部には大きな棘が生えた黄金の具足が装着されている。

 

ようこそ我が船へ

 

 ただ立っているだけで圧倒的なまでの威圧感を放つ単眼の魔人——ボロスとの会敵を、オールマイトはついに果たしたのだった。




・ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの転生者
ブライト博士(ヒーロー協会職員のすがた)と共にヒーロー協会本部ビルの中で待機中。

・ブライト博士の転生者
ヒーロー協会に潜入中の端末を使ってルイズの補佐。
研究所にいる他の端末はルイズのわるあがきが失敗したときの為の最終兵器を作り上げるための手術(成功率:低)の準備中。

・VSグロリバース
強いことしかわからんからやっぱり難しいヤツ。
とりあえずS級上澄みのフラッシュ(つよつよ)&番犬マン(つよつよ&よくわからん)の異色コンビを同時に相手、かつウインド&フレイムを同時撃破した閃光斬にギリ耐える感じにしてみた。

・VSメルザルガルド
底が知れてる分やりやすいけど、相手が多すぎて描写が渋滞しそうなので今回はぷりぷりプリズナーのターン&穏便に除外。
一人排除してもまだクロビカリ&シルバーファング&アトミック侍含むアホみたいなぶっ壊れ編成が襲い掛かってくる模様。

・TS転生者組&ジラちゃん
地上戦その一の導入、ジラちゃん無双!

・オールマイトの転生者
割と精神的に余裕がない。

・ボロス
ちょっと期待してる。
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