【ボロス編】ONE PUNCH MAN〜ハゲ抜き転生者マシマシで〜【開始】   作:Nyarlan

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第二十話 - 全身全霊の一撃

 ——船全域を映す無数の監視モニタの淡い光を背負い立つ単眼の魔人を、オールマイトは油断なく見据える。

 薄紫の髪は滲み出るエネルギーにより緩やかに揺れ、緑の瞳は好奇心の光を宿していた。黄金の鎧に身を包んだ男は構えを取らず、あくまで自然体のまま佇んでいる。

 

 彼は腕組みをしてただ立っているだけ。

 にもかかわらず、抑えきれないその闘気はオールマイトを圧倒するには十分なものであった。

 

「……キミが、このフネの首領だね?」

 

 からからに乾いた口を開き、オールマイトは問う。

 広い室内へ静かに響いたその声に、彼は軽く頷いた。

 

いかにも。俺はこの暗黒盗賊団“ダークマター”の頭目であり、全宇宙の覇者、名をボロスという者だ

 

 その人物――ボロスは口元を緩め、端正な顔の大半を占める巨大な目玉をギラギラと輝かせる。

 

ここで監視映像から見ていた。最上級戦闘員こそ不在ではあるが、警備に残った上級戦闘員達もけして弱くはない……それを路傍の石を蹴るが如くあしらう様はいっそ痛快ですらあったぞ

 

 隠しきれない喜色を浮かべながらボロスは凶悪に笑う。

 とてつもない闘気が彼の体から溢れ出し、彼の周囲を風がうずまき始める。

 

そして相対してわかった……その身に宿す膨大なエネルギー、素晴らしい! 戦う前に、名前を聞かせてもらおう

 

 ピリピリと肌を刺すような強烈な闘気に、オールマイトは自然と鼓動が早まるのを感じていた。

 気を持っていかれないように強く拳を握りながら彼は大きく息を吐く。

 

「……私はヒーロー、言わばこの星で守護者をやっている者であり、“オールマイト”を名乗らせてもらっている。この星に来て早々、物騒な贈り物をしてくれたね。一応、言い分は聞いておこうか」

 

言い分、か

 

 彼の問いに、ボロスは静かに目を閉じる。

 

『——予言があったのだ

 

 そして口元の笑みを深めながら、彼は静かにそう答えた。

 

あれは——そう、20年は前になるか。ここから遠く離れた宇宙の果てで心のままに奪い、殺し、存分に暴れ……やがて俺に歯向かう気骨のある者は一人もいなくなり、俺はいつからか“全宇宙の覇者”とまで呼ばれるに至った

 

 誰にも抗えない絶対強者としての地位を得た事を語るボロスは、しかし不満げにため息をついて軽く肩を落とす。

 

……どんな非道を働こうが誰にも殺されない俺も、退屈という恐ろしい敵に脅かされてしまった。何をしても満たされぬ日々の中、支配していたとある星で占い師が言ったのだ

 

 そして、巨大な単眼がギラリと怪しく輝いた。

 その燃え上がるような眼光に貫かれ、オールマイトの背筋がぞわりと泡立つ。

 

遠く離れたこの辺境の惑星で、今の俺でも楽しめそうな相手と出会う事ができるとな。おまえが予言の者かはまだ確信できないが、俺の生にわずかにでも刺激を与えるだけの力は持ち合わせていよう?

 

「……HAHA、退屈しのぎの為とはなんとも、迷惑な話だ」

 

 深い笑みに伴った鋭い眼光に射竦められたオールマイトは静かに構えを取ると、心を落ち着かせるためにも深く、深く呼吸を行う。

 

KOOOH——!

 

……!!

 

 異能を宿したボロスの単眼は、奇妙な呼吸音とともにオールマイトの体内で生命エネルギーが爆発的に増幅されていくのを目の当たりにする。

 それは長らく宇宙を彷徨ってきた彼でも見たことのないたぐいの技術であり。体内に満ちてゆくそれは、まるで太陽を思わせる輝きを放っていた。

 

——そして。

 

「——ッ!!

 

 そして彼が振り上げた両手の指先を自らの腿に指を突き立てた瞬間、オールマイトの体内エネルギーは渦巻くように激しく燃え上がる。

 

 ——轟、と周囲に突風を吹かせるほどの強烈なエネルギーの高まりに、ボロスは思わず瞠目した。

 

これは、なんという……!!

 

 ゆらりと構えを取っている目の前の男から立ち昇っている、眩い程に強烈な生命エネルギー。

 彼は歓喜に打ち震え、そして確信する。

 

 ——間違いない、目の前の相手こそが予言に謳われた好敵手であると!

 

おまえだな。おまえこそが俺の——

 

 吹き荒れる風に真紅のマントをはためかせながら、興奮した口調で彼が語りかけようとした、次の瞬間。

 

「南斗——」

 

生に、刺激を与えられる者はッ!!!

 

 歓喜に目を剥くボロスの前には、強烈なエネルギーを纏った手刀を引き絞ったオールマイトの姿があった。

 

「——邪狼撃ッ!!!

 

 持ち得るものをすべて使い、全身全霊を込めた彼の正真正銘全力の一撃がボロスの剥き出しの単眼へと叩き込まれた。

 

 

馬鹿な

 

 細く強靭に編んだ肉体による、衝撃波すら伴う高速の鞭打はその尽くを枯れ木のような細腕で嘘のように逸らされ。

 

馬鹿な、馬鹿な……!

 

 他の最上級戦闘員と比較し『再生力頼りでしかない』と揶揄されたことこそあれ、それでも並の生物とは一線を画す程の強度を持つ肉体は鈍く光る棒きれに易々と抉られる。

 

馬鹿なァ……ッ!

 

 そしてより太く、より硬く、より強靭に作り上げた触腕による渾身の一撃は、彼の半分にも満たない体格の癖に馬鹿みたいに頑強な黒光りする筋肉の塊がいとも簡単に受け止めてしまった。

 

「まるで粘土のように自在に変形するなんてな……こんな凄い筋肉は俺も初めて見たよ、きっとすごい努力で創り上げたものなんだろう」

 

 筋肉——S級ヒーロー、超合金クロビカリは受け止めた触腕を握りしめながら、感心したように言った。

 

「だけど、お前の筋肉は一番大事ものが欠けている……包み込むような柔軟性、確かにそれも筋肉にとって大事な要素ではあるさ。しかし、筋肉は何者にも屈しない頑強さと!」

 

 彼は触腕を蹴り上げて爆散させると、その場の床を陥没するほど踏み込んでメルザルガルドへと肉薄する。

 

「見るものを魅了する金属質の煌めきが必要だ!」

なっ……!?

 

 クロビカリは大地をしっかりと踏み締め、身体を捻って拳を引き絞った。周囲に控えていた彼の仲間が一歩下がるのを見て、メルザルガルドの本能は最大級の警報を鳴らす。

 

超合金——SMAAAAASH!!!!

 

 黒光りする筋肉が躍動し、ただでさえ太い腕はインパクトの瞬間破裂しそうな程にパンプアップしてメルザルガルドに突き刺さる。

 

オ゙ッ、ガアアアアアッッッッ!?!?

 

 その常軌を逸する壮絶な衝撃に彼の肉体は瞬時に崩壊する——肉体に隠されたコアの内、3つもまた。

 

がふっ、ぐうぅっ……!!!

 

 かろうじて難を逃れ残り一つとなった頭は、その衝撃を利用する形で高く舞い上がると翼を生やし母艦を目指す。

 

あ゙っテメ、逃げんな!」

 

 それに気付いた金属バットが声を上げるが、メルザルガルドはそれに構わず必死で翼を動かす。

 

(な、何が辺境の惑星の弱小生物だッ!! こうなったら一旦フネに戻って策を練るしか)

 

 ——ズン。

 

 彼が必死に翼を動かし目指す先の母艦の一部が、世界を揺るがすような衝撃を伴って爆裂した。

 

なっ、あっ……!?

 

 超能力者による反撃を受けようとも堕ちることのない安全地帯、それが一部とはいえ盛大に崩壊する様を見て、メルザルガルドは思わず動きを止める。

 ……止めてしまった。

 

「よう」

ヒッ!?

 

 その背後から声をかけられ、驚いて振り向いた彼の眼下には、空中で刀を構えたアトミック侍の姿があり。

 

「この間の雲野郎といい、てめえといい、俺もいい加減苛ついてんだ。ちっとばかり、リベンジさせてくれや」

 

くっ、お前の斬撃など——』

 

——アトミック集中斬!!!

 

 慌てて回避行動に移ろうとするメルザルガルドだったが、もはや時すでに遅し。一点に束ねられた斬撃の嵐が、吹き抜けるように襲い掛かった。

 

「斬っても斬っても斬れねぇならよお——もっと細かく、くっつく気も起きないくらい斬り刻むしかねぇよな」

 

 パチン、とアトミック侍が納刀すると同時にメルザルガルドの肉体は最後に残った核もろとも砂のように風に解けて消える。

 

 ……こうして、メルザルガルドはその肉体の秘密を暴かれることすらなく、完全に消滅する事となった。

 

 

 絶え間なく飛来する無数の光弾をタツマキは身を翻して回避し、指先から伸びる力場の糸で弾き飛ばしてゆく。

 

さっきまでの威勢はどうした小娘、大口を叩いた割には防ぐのがやっとではないか!

「もう、うるっさいわね」

 

 気だるげな表情をうかべつつも防御を欠かさず、タツマキは目の前のタコ——ゲリュガンシュプを倒す為の思考を巡らせ続けていた。

 

(弾丸は力場を広げただけじゃ止めきれないし、超能力の直接干渉による破壊はお互いに通用しない。……それに)

 

 彼女は姿勢を低めて弾丸を躱しながら急接近し、鋭く腕を振るって空鞭をゲリュガンシュプへと叩き付け。

 5本の刃糸がタイミングをずらしてバリアへ深く傷を付ける——が、足りない。

 

効かんわッ!

「…………ッ!!」

 

 ゲリュガンシュプの触肢の隙間に格納されていたいくつかの金属球がカウンターのように放たれ、躱しきれなかったタツマキのバリアを激しく打ち据えた。

 弾丸はバチバチと激しくスパークしながら砕け散り、バリア表面には大きくヒビが入った。それだけでなく、殺しきれなかった衝撃が内蔵を揺さぶる感覚に彼女は顔をしかめる。

 

(……攻撃の威力や手数は向こうが上、空鞭もバリアを貫きはすれど身体までは届かない。同格を想定した攻撃方法は質量攻撃、だけど)

 

 彼女はちらりと地上を見渡せば、戦闘機や制圧部隊の襲来による混乱により避難に遅れが出ている……それ以前の問題として、この領域の能力者が力を振るえば、大地を混ぜっ返すなど造作もない。

 

 相手の目当てが物資や奴隷の確保ならばありえないとはいえ、それを通せば実質的な完全敗北。ブラフとわかった上で防がざるを得ない。ただでさえ優位な相手に対し、地表への干渉を確実に感知・妨害する事にタツマキは神経を確実にすり減らしていた。

 その消耗を目ざとく見抜いたゲリュガンシュプは一気に攻勢に出る。周囲に浮かばせていた瓦礫へ一斉に干渉すると。

 

喰らえ! 念動流石破!!

 

 それらをまとめて豪雨のような勢いで打ち出した。

 瓦礫に裂かれた大気が発光する光景は流星群さながら。

 輝く尾を引く無数の光弾の群れを巧みに躱し、防いでゆくタツマキが舌打ちしながら機を伺っていた、その時。

 

 ——ズン。

 

 世界を揺るがすような強烈な衝撃が爆発音と共に周囲を駆け抜けた。

驚いた二人が音の発生源に目を向ければ、空に居座る巨大な宇宙船の一角が大きく吹き飛び煙を上げていた。

 戦場は一瞬停滞し、船を見上げたゲリュガンシュプの口はあんぐりと大きく開かれた。

 

あ、あ、あああああッ、船がッ、なんて事を!? ボ、ボロス様ァッ、一体何をそんなに暴れておられるのですかッ……!!?

 

 爆裂した母船に視線を向け、憔悴した表情を浮かべるゲリュガンシュプとは対照的にタツマキの口元には笑みが浮かんでいた。

 

「へえ……派手にやってんじゃない、アイツ。ひょっとしてアンタん所の親玉、今ので死んだんじゃないの?」

バカを言うな、ボロス様が負けるわけなかろうっ! ……しかし、あのお方があれほど見境のない攻撃をするとは。相当の手練に侵入を許したか……ッ!

 

 超能力者の排除の為に最上級戦闘員を全て出払う選択をしたのは、紛れもなくゲリュガンシュプの判断であり——その結果として首領の手を煩わせ、あまつさえさらなる船の破壊を招いたという事実に彼は青ざめる。

 

クソッ……船のことは後だ! 今はとにかく貴様らを迅速に仕留め、ボロス様に申し開きをしなければ……!!

 

 降り注ぐ船の破片を集めながら、ゲリュガンシュプは怒りに満ちた目でタツマキを睨めつけた。

 

 

——船の爆発を発端として、戦場は大きく動き始める。




・転生者たちのボロス討伐1stプラン
転生者最強の転生者マイトさんがロールプレイぶん投げて自己バフマシマシにして鎧デバフ&慢心してる出会い頭に全力全壊でワンパンする。無理ならそのまま殴り合う。
原作全盛期を基準とすればハーフマイト以上オールマイト以下くらいの転生者マイトさんですが、二重のブーストを掛ければ一気にオーバーマイト、くらいで考えてます(謎単位)
少なくともボロスさまがこんな反応する程度にはつよい
それぞれのブーストが何かは次回にでも……まあ、多分察してる方も多いでしょうが(ヒント:既出転生者)

・メルザルガルド【撃破】
原作でシルバーファング/アトミック侍/金属バット/ぷりぷりプリズナーをまとめて相手取り大立ち回りしていた彼ですが、クロビカリさんにあっさり4/5殺しされて真っ先に退場
筋肉交流会で原作よりパワーアップしたクロちゃんに殴られたら核ごと消し飛ぶ気がしたので、再生ギミック無視してやられてもらいました
なんなら原作でも飛ばない前提ならクロちゃん単騎で行けそうなイメージがあります

・アトミック侍
かつて書き直しの闇に消えた『アトミック集中斬』を習得してもらいました(大幅強化)
原作ではメルザルガルドを斬れなかった悔しさをバネに黒い精子戦で習得しましたが、ここでは†クラウド†男を最初に持って来てメルザルガルド戦で披露してもらいました
強すぎる故に抹消された技ですが、ハゲがいないことに比べたら誤差です、誤差ꉂꉂ(ˊᗜˋ*)

さて、残りの戦闘は以下の通りです……多い!!
vs地上制圧部隊(空)
vs地上制圧部隊(陸)
vsグロリバース
vsゲリュガンシュプ
vsボロス
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