今回はらんらん封印中のため、熊本弁成分薄めなんだ…
本当にすまない。
ここからは時間との勝負だ。
あの規格外の娘なら自力で脱出してきたとしてもおかしくはない。
故に彼女は恥も外聞もかなぐり捨てて走る。
何故か仇敵の自宅で発見した失った筈の完全聖遺物を回収し、走る。
その完全聖遺物は何故か強烈な匂いが染み付いているが、ひとまずは気にしない。
彼女にとって、悲願を達成する事の方が重要だから…
神崎蘭子をバビロニアの宝物庫に送った後、すぐに飛行型の大型ノイズを都心に向けて放った。
小型ノイズを生み出すため、時間稼ぎには丁度いい。
これでシンフォギア装者は引き離せるだろう。
後は神崎蘭子が宝物庫の中のノイズを全滅させるなどという馬鹿げた…しかし否定しきれない事を仕出かす前にソロモンの杖を使い風鳴弦十郎を排除し、カ・ディンギルを押さえる。
これが彼女の立てた最も現実的かつ成功率の高いプランだった。
ネフシュタンの鎧が手元に戻ったのは嬉しい誤算だ。
少し匂うが…
だが、常識で測れない相手を二人同時に相手にしている故か。
彼女は、無意識にその二人以外を甘く見る。
自らが造り出した筈のシンフォギアという力を。
そして、死亡したと認識している故、完全に計算の外にいる一人の少女の事を彼女はまだ知らない。
***
「豊穣の女神よ。今こそ秘められし魔力を解き放ち、魂を共鳴する時よ、だ」
「ぐぬぬぬぬ…」
「チッ…」
「我が友を侮辱するな!貴様等に輝き持ちし我が友を蔑む資格などありはしない、だよ」
「クッ…やるじゃねぇか」
「次は私ね…」
その時、辺りにノイズ警報が鳴り響き、同時に立花響の端末に着信が入る。
「そんな…こんな時に…」
「響…?どうしたの?早く避難しなきゃ!」
未来がいる故に着信に出るかどうか迷う。
しかし、そんな響の肩にクリスが手を置く。
「お前はお前の大事な
「クリスちゃん…?」
「アタシが行く!」
~Killter Ichaival tron~
歌と共にクリスが真紅のシンフォギアを纏う。
「え?クリス!?」
「えぇぇ!?ウソー!?」
♪繋いだ手だけが紡ぐもの
左右に搭載したガトリングガンを両手に携え狙撃ポイントまで跳ぶ。
あの空を飛ぶ大型ノイズを倒さなければ、この混乱は収まらない。
着地と同時に空にいる飛行型の小型ノイズに向かってガトリングガンを放つ。
―BILLION MAIDEN―
「オラオラオラァッ!!」
次は腰部アーマーから小型ミサイルを発射し、地上にいる人型ノイズを一掃する。
―MEGA DETH PARTY―
「チッ、さすがにあそこまでは届かねぇか…」
しかし、遥か上空を飛ぶ大型ノイズには小技では届きそうにない。
大技を放つ必要があるが、どんどん生み出される小型ノイズがそれを許さない。
単独での戦闘ではジリ貧だった。
しかし、これでいい。
時間さえ稼げれば、後は愛……頼れる同居人が駆け付けてくれる筈なのだから…
そんな一瞬の気の緩みに対して飛行型ノイズが一斉に変形突進を敢行する。
「しまっ…!」
しかし、そんなノイズ達の決死の突撃は、突如現れた無機質の壁に阻まれていた。
「なんだこりゃ…盾?」
「
見上げると、アームドギアを大型の剣に変形させた風鳴翼が柄部分に立っていた。
***
「何処の誰かは知らないが、助太刀感謝する!って、お前…雪音か?」
アームドギアから降りてきた翼が見知った顔に驚く。
「話は後だ!団体さんのお出ましだ!!」
翼の背後より一斉に人型ノイズが襲い掛かってくる。
「露は防人の剣が払おう!」
そう言うと逆立ち状態になり、巧みに移動しながら足に搭載されたブレードで周囲のノイズを切り払う。
―逆羅刹―
「へっ、頼む!背中は預けたぜッ!!」
今ならば上空のノイズに届く。
そう確信し、4基の大型ミサイルと全砲門を開く。
「特別サービスだ!全部持っていきやがれぇッ!!」
―MEGA DETH QUARTET―
放たれた銃弾と砲弾は、3体の大型飛行ノイズに直撃し、その全てを撃滅したのだった。
なんとか2人で対処出来たものの、クリスは疑問に思う。
アイツは…あの少女はどうしたのか?と。
「なぁ…アイツは?」
「む?神崎は一緒では無いのか?連絡がつかないからてっきり一緒にいるものと思っていたのだが…あっ!おい、雪音ッ!?」
………嫌な予感がする。
クリスは己の直感を否定しきれず、自分の帰るべき場所に向かって走り出すのであった。
***
いやぁ、参ったなぁ。
なんか、ノイズうじゃうじゃいるからとりあえず近寄って来る奴ら倒してんだけど、これ減ってんのかね?
割と倒したと思うけど、単調作業過ぎて飽きてきたし、なんかチマチマ倒してても不毛な感じがしてきた。
こう、砂漠で砂掘ってるみたいな感じ。
帰ろうにも転移するには座標をイメージしないといかんので、ここが何処なのか把握しないと無理っぽい。
とりあえず今のところ飽きてきたとはいえ、ノイズ倒すくらいしかやる事が無い訳だが…
うーん…飽きが来ないように趣向を変えるか…
普段なら外でも全力とか絶対できんし、丁度いいな。
よし、色々やってみよう!
***
小日向未来の手を引き立花響は走る。
自分も戦うにしろ、まずは未来を避難させないとそれすらも出来ない。
既に市街地には、大量のノイズが蔓延っており、ノイズに見つからないよう、迂回しながらシェルターを目指す。
「ハァッ、ハァッ、未来!もうちょっとだから!」
「………響、行かなくていいの?」
どきりと胸が締め付けられる。
そうだ。自分の力はこんな時にこそ、必要な力だった筈だ。
でも、未来を守るためと言い聞かせて、ここまで来たのだ。
未来を置いて行く訳には…
「正直に言うとね?私は響にも蘭子にも危ない事なんてして欲しくない」
「未来…」
「でも…私のせいで助けられる人を見捨てる響なんて響じゃない!私も、みんなも!一緒になんとかして!私の全部を任せられる相手なんて、響と蘭子しかいないんだから!!」
~Balwisyall Nescell gungnir tron~
未来の発した大きな声に反応し、ノイズが襲い掛かってくる。
「ありがとう、未来…」
しかし、次の瞬間ノイズ達は全て炭の塊に姿を変えていた。
「難しく考えるなんて私らしくなかった!もう迷わない!!」
解き放たれた少女はまるで竜巻のようにノイズの群れを処理するのであった。
「でも、ちゃんと説明はして貰うからね?」
黒い笑顔で未来が言う。
こういう時の未来はだいたい怒っている。
「………はい」
後日、確実に起こる
***
ついに私立リディアン音楽院に辿り着く。
ソロモンの杖を翳す。
己の意志に従って、次々にノイズが現れる。
賭けに勝った。
あの化け物はまだノイズを全滅させていない。
「フハハハハハッ!!私の勝ちだッ!!」
勝利を確信し、念のためネフシュタンの鎧を纏い終焉の巫女は歩みを進める。
研究室に保管してある筈の不滅の聖剣へ…
………やっぱり臭い。
しかし、悲願さえ成就出来れば良い。
その為の力であれば何であれ使うのみだ。
後一歩…
「そこまでだ、了子君」
背後から見知った声が掛かる。
やはり来たか…
あの程度のノイズなら突破してくるか…忌々しい。
「そこから先に行かせる訳にはいかん!!」
「行かせて貰う!!」
振り向き様にソロモンの杖を翳そうとするが…
「させん!!」
弦十郎の鋭い蹴りがソロモンの杖を弾く。
「チィッ!!」
フィーネもネフシュタンの刺の鞭ですかさず応戦するが、その攻撃は読まれており、ジャンプで避けられる。
空中ならばと鞭の指向を変えて追撃を狙うも、相手は天井のパイプを掴み直ぐ様軌道を変えてこちらに突っ込んできた。
重い拳撃が通路に突き刺さる。
咄嗟に回避するも拳圧だけで完全聖遺物である筈のネフシュタンの鎧が軋む。
「完全聖遺物を圧倒するだと…やはりその力」
厄介だ。
わかってはいたが、やはりソロモンの杖を手放したのは痛い。
「知らいでかッ!!飯食って、映画見て、寝る!!男の鍛練はそれで十分よッ!!」
この男と正面から戦っても勝てる見込みは薄い。
「さぁッ!!反省の時間だ!了子君!!」
弦十郎が迫る。
こうなれば一か八か。
「弦十郎君!」
「ッ!!」
目に見えて弦十郎の動きが鈍る。
私の勝ちだ!!
次の瞬間、ネフシュタンの刺の鞭が風鳴弦十郎の腹部を貫いていた。
***
うーん、やっぱりちょっと趣向変えただけじゃすぐ飽きるな。
だって結局やってる事は変わらんしね。
向こうの被害規模がちょっとシャレにならん位上がっただけで。
辺りを見回すが、もう自分に襲い掛かるノイズはいないみたいだ。
途中、なんか妙に黒いノイズも交じってたけど、何だろうね?新種?
どっちにしろ瞬殺だったから、あんまり他と変わらんかったけど、ちょっと動きは速かったかな?
うーん、気配は感じるから全滅はしてないっぽいけど、こっちに来る気は無いみたいね。
ほっとくか。
ん?あっちの方のノイズの気配が一気に消えたような…
もしかして、俺以外にも誰かいるんかね?
やる事なくなっちゃったし行ってみるか…
今回は
魔弾の射手=イチイバルクリスちゃん
これでも駆け足なんだが、らんらん復活はもう少し話が進むまで待って下さいませ。
明日は更新できないかも…すまない。
おまけ
ニヴルヘイム
宝物庫の中でちゃっかり発現した疑似聖遺物。
左手で使用し、氷の力を操る。
途中で出てきた黒いノイズとかをこれで軽く氷漬けにしたりした。