チート転生したらしいが熊本弁しか喋れない   作:祥和

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闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

少し時間空きましたが、G7話です。


第19話 堕天使の休息

「よし、そんじゃあ飯にしようか」

 

クリスちゃんが朝食を作ってくれる。

献立は、宣言通りのベーコンエッグにサラダとロールパン。

メインのベーコンエッグは、卵はオーソドックスに片面焼きの目玉焼き、ベーコンはカリカリ、調味料は塩、醤油、ソース、マヨネーズ、ケチャップをお好みで。

サラダはレタス、きゅうり、キャベツと人参の千切りにドレッシングは和風とフレンチをお好みで。

ロールパンは少しオーブンで焼いてバターが馴染んだところに自家製のポンカンマーマレードか苺ジャムで。

なんかポンカンは熊本のおばあちゃんから大量に送られてきたので、二人では食べきれずマーマレードにした奴だ。

 

うむ、さすがはクリスちゃん、今日のご飯も大変美味しそうだ。

 

「な、なんデスか、このゴチソウはッ!!?」

 

切歌ちゃんの目が輝いている。

 

「いや、別にありあわせで作っただけだぞ?」

 

「フ…切歌も驚いているようね?これが日本の中流家庭の平均的な食卓らしいわよ…」

 

まぁ、そんなもんじゃね?

今日は洋風だけど、和食だとご飯、味噌汁、サラダに一品で焼き魚とかくらいだし。

 

「そ、そんな…それじゃあアタシ達は…」

 

「切歌、それ以上はダメよ…それ以上は…」

 

悲しいなぁ…

 

「マリア!アタシ悔しいデス!!これからアタシはアタシ達の食料事情改善の為に戦うデス!!」

 

「その意気よ、切歌!!もちろん私も一緒に戦うわ!!」

 

食卓戦士キリマリ誕生の瞬間だ。

食卓戦士ってなんだよ…

いかんな…ちょっと徹夜明けのせいでテンションがヤバいわ…

 

「いいから早く食えよ、お前ら…」

 

「そ、そうね。じゃあ蘭子の玉子にお醤油かけてあげるわ!」

 

「ハァッ!!?何言ってんだ、てめえ!!コイツの玉子には塩に決まってるだろッ!!」

 

「目玉焼きに塩だなんて、それこそあり得ないわよ!!蘭子は日本人なんだからお醤油が好きに決まってるでしょ!!」

 

いや、俺マヨネーズ派なんだけど…

 

「マリア達は何で喧嘩してるデスか?どっちで食べても美味しいデスよ?」

 

「我が魔王城での喧騒は常たる事よ…」

 

「???まぁ、マリアが元気そうで良かったデスよ」

 

ええ子や…

喧嘩してる二人も少しは見習って欲しい…

 

結局その後も、玉子の黄身をいつ潰すかとかどうでもいい事でずっと小競り合いが続いた…

この二人、どうやったら仲良くしてくれるんだろうね…

でも、切歌ちゃんはマリアが元気なのが余程嬉しいのか、それをずっとニコニコしながら眺めていた。

 

***

 

あの後、またベッドの上でもクリスちゃんとマリアに一悶着あって、ようやく寝たら昼過ぎまで寝てしまった…

切歌ちゃんも誘ったのだが、顔を真っ赤にしながら断られて、もはや名ばかりのクリスちゃん用の寝室に行ってしまった。

まぁ、来たばっかりで一人になりたい事だってあるだろうしね。

それに、このベッド、キングサイズで女の子ばっかりとはいえ、四人で寝るには少し狭いしな。

まぁそれはいいとして、なんかみんなより早めに目が覚めたし、今度は俺が昼飯でも作ろうかと思ったんだが…

 

「封印されし我が両の手…」

 

クリスちゃんとマリアに両側からがっちりロックされてて動けねぇ…

両腕に掛かる弾力と柔らかさを両立させた素晴らしいシンフォニーのせいもあって、ここはもうしばらく大人しくしといた方がいいと思うな、うん。

 

「マリア…おトイレは何処デスか?」

 

しばらく幸せな感覚を堪能していると、どうやら切歌ちゃんが起きてきたみたいだ。

トイレの場所、教えてあげたいが、言葉は通じないだろうしなぁ…

 

「わわわ///…や、やっぱり…」

 

ん?何がやっぱりなんだろ?

でもトイレなら仕方ないか…

クリスちゃんもマリアも起きそうにないし名残惜しいけど、そろそろ起きるか…

二人が起きないようにそっと腕のロックを外して起き上がる。

 

「わッ!!?お、起きてたデスかッ!!?」

 

「普遍の識者よ、我に続け」

 

「な、なんデスか!!?クリスさんやマリアだけじゃ飽きたらずアタシまでッ!!?」

 

切歌ちゃんの手を引き、トイレに連れていく。

えらく慌ててるが、よっぽど我慢してたんだろう。

すぐそこだから、もうちょっとだけ我慢してね?

 

「あ、アタシをトイレに連れ込んで、ナニするつもりデスか…?」

 

ん?トイレに用があるのは切歌ちゃんの方の筈なのに何言ってんだ?

顔真っ赤だしなんかモジモジしてるし、早くした方がいいんじゃない?

あ、早くどっか行けって事か、そりゃそうだわな。

まぁ、せっかく起きたし、俺は昼飯の用意でもしとこう。

 

「…我は謁見の間にいる故」

 

「え?え?………も、もしかしてアタシの勘違いデスかッ!!?」

 

なんかトイレから切歌ちゃんの絶叫が聞こえてくるが、ほっとこう。

別にそんな事しなくても音気になるなら音姫付いてんのに。

今度使い方教えてあげよう。

 

***

 

「フッフッフ…ようやく油断したデスね!!覚悟するデス!!」

 

「ギャーッ!!?なんでバナナなんかで赤甲羅がッ!!?」

 

「フッ、我が黄金の果実は追撃の矢を容易く防ぐ!!」

 

切歌ちゃんと二人でマ○カー中。

この甲羅ぶつけられる直前にバナナ置くのスッゲー練習したからな。

家ではクリスちゃんもマリアもやらないから練習の成果発揮する機会無くて悲しかったんだが、練習しといて良かった。

やっぱゲームって偉大だわ。

あんだけツンツンしてた切歌ちゃんだが、ゲームやり始めてから、すっかり我が家に打ち解けたみたいだ。

 

「貴女達!そろそろ晩御飯の時間だからゲームはほどほどにしなさい!!」

 

「グムムム…次こそは蘭子さんに勝つデスよ」

 

すっかりオカンと化したマリアのお小言でゲームの時間は終わりを告げる。

 

「フッ、せいぜい腕を磨いておくが良い。尤も我は更にその先を往くであろう!」

 

「く、悔しいデス!!」

 

切歌ちゃんが来て今日で3日くらいだが、すっかりこの残念言語にも慣れたみたいだ。

なんか心なしかたまに目がキラキラしてる気がする。

これはアレか…翼さんパターンか…

 

「おーい、出来たぞ」

 

クリスちゃんがキッチンから料理を持って出てくる。

今日は鍋か。

 

「最近寒ぃからな」

 

まぁ、もう季節的に冬だしな。

今日の鍋はシンプルな昆布出汁ベースに、具は白菜、水菜、豆腐、えのきに…メインは牡蠣か!

牡蠣といえば、とても栄養価が高く、精力増強の効果もあるのだとか。

つまりクリスちゃん…そういう事ですね?

これは沢山食べてスタミナ付けなきゃ!!

 

「今日も美味しいデス!このお家の料理は何を食べても美味しいデスよ」

 

切歌ちゃんも喜んでくれたようだ。

 

「四人で食べるとあっという間ね…じゃあ、シメに雑炊作るわね?」

 

「…は?鍋のシメといやぁ、うどんに決まってんだろ?」

 

またか…

 

「ハハハ…また始まったデスね…」

 

切歌ちゃんもすっかり慣れたようだ。

 

「雑炊よ!!」「うどんだ!!」

 

ホント、なんなんだろうね?

 

「こうなったら蘭子に決めて貰いましょう!」

 

「上等だ!」

 

なんでそこで俺に振るかな…

 

「蘭子はどちらがいいのかしら?」

 

「もちろん、うどんだよな?」

 

正直もうどっちでもいいよ…

 

「ゴクリ…これが修羅場デスか…」

 

うーん…ちょっと違う気がするけどね?

まぁ、そんなんで喧嘩するくらいなら…

 

「双方持ってくるが良い。今宵の我は魔力に餓えておる」

 

いっそのこと、出汁を分けて両方作ればいいのだ。

 

「くっ…それだけは避けてたのに…」

 

「お前…」

 

ん?二人ともどうしたんだ?

いい案だと思うんだけど。

 

「…最近、明らかにお腹周りがキツいのよ…」

 

「お前は全然太らねぇからいいよな…食っちゃ寝しかしてねぇ筈なのに不公平だ…」

 

…なんか悪い事言っちゃったな…

女の子しかいないのに、炭水化物ダブルをリクエストしたらそりゃそうなるわな…

まぁ、二人とも全然気にする必要無いレベルだと思うけど…

ハッ!!これはなおのこと夫婦の営みという名の運動をするべきじゃないかなッ!!

いっそのこと4人でベッドの上でエクササイズはどうかな!?

ダメ?ですよねー…

 

***

 

「それで…ネフィリムは破壊され、切歌も捕まってしまったのですか…」

 

新国家『傷ついた悪姫』政務官邸の一室で、ナスターシャ教授は月読調から報告を受ける。

 

「うん…ネフィリムの残骸も調べたけど、まだ使えそうなのはこの心臓くらい」

 

「…ずっと沈黙を守っていた神崎蘭子がこのタイミングで介入してくるとは…まさか成長途中だったとはいえ、ネフィリムすら歯牙にも掛けないとは想定外でした…」

 

「まだ余力はありそうだった。もしアレが私に向けられたら…」

 

調が小刻みに震えながら呟く。

 

「たしかにこちらの予想を遥かに超える脅威です。恐ろしいのですか?」

 

ナスターシャ教授の目が少し優しくなる。

心優しい少女達に十字架を背負わせようとした挙げ句、切歌は捕縛され、マリアは依然として行方不明、残された調も強大すぎる相手に対して恐怖で震えている様子。

彼女の信念を以て始めた戦いではあるが、最近ではもっと良い方法があったのではないか、と考えない日は無い。

 

「…ううん、大丈夫。うん、大丈夫」

 

調が少し慌てたように首を横に振る。

やはり、かなり無理をしているように見える。

 

「そうですか…それで、ドクターは?」

 

「神獣鏡の方をなんとかしようとしてるみたい」

 

「…しかしあちらは装者候補すら見つかってない状態です」

 

ナスターシャ教授が瞑目する。

 

「もはやここまで…ですね」

 

「そんな!?それじゃあ弱い人達を守れない!!」

 

「しかしこちらの戦闘員は調のみに対して、あちらは万全の装者が3人、その上で神崎蘭子まで出てきたとなると…」

 

調に死ねと言っているようなものだ。

それによって計画が成せたとしても、それはナスターシャ教授にとって、到底許容できるものではない。

先の短い自分だけならまだしも、未来ある若者の命を無駄に散らせるなど以ての外だ。

 

「私一人でもやれる!!やってみせるッ!!」

 

調が強く反論するが、やはりここは投降するべきだろう。

その時…

 

「戦力が足りないなら、補充すればいいんですよ」

 

そう言いながらウェル博士が入室する。

 

「しかし、算段はあるのですか?」

 

「聞けばシンフォギアの装者候補が沢山いるらしいじゃないですか」

 

「まさか…」

 

「そうです!次の目的地は私立リディアン音楽院ですよ!!」




前半は俗に言う日常回です。
え?らんらんは今回に限らずずっと休んでるじゃんって?
まぁね!
らんらん特効のダメ人間製造機がいるからね!

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