チート転生したらしいが熊本弁しか喋れない   作:祥和

22 / 39
闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

G9話です。


第21話 堕天使の黄昏

小日向未来が去って1週間の時が過ぎていた。

 

立花響は一人、傷ついた悪姫の首都、名古屋に来ていた。

未来と蘭子、大切な友達…いや、友達以上の感情を持つ二人がぶつかっているのに、何も出来なかった事に責任を感じていたからだ。

 

私が未来を連れて帰らないと…蘭子ちゃんにも、未来にも、もう友達だと胸を張れない。

 

その一心でここまでやって来たのだが…

 

「未来が何処にいるのかわからないよ…」

 

そう、一念発起して来たはいいが、情報がまるで無い為、路頭に迷っていた。

行動を起こす気になったら即断即決の為、事前調査などという言葉は彼女の辞書に存在しないのだ。

 

「困ったなぁ…誰か知ってる人がいればいいんだけど…」

 

辺りを見回しても誰も人が見当たらない。

尤も、響の行為は厳密には不法入国であるため、都合はいいのだが。

 

「仕方ない、探してみよう」

 

とにかく、動かない事には始まらない。

響は未来を探して、行動を開始するのだった。

 

***

 

「やっぱりおかしい…誰もいない」

 

辺りを探し回るも、市街地の真ん中だというのに人っ子一人見当たらない。

さすがに異常である事に気付いた響だが…

 

「ようやく気付きましたね!どぁが、今さら気付いても、もう遅ぉいッ!!」

 

声の主、ウェル博士がソロモンの杖を翳す。

響に向かって大量のノイズが襲いかかるが…

 

~Balwisyall Nescell gungnir tron~

 

シンフォギアの起動キーとなる聖詠を歌いながら、襲いかかるノイズを殴りつける。

 

「ぬぁッ!?人の身でノイズに!?」

 

♪正義を信じて握り締めて

 

しかし、何故かノイズの炭素分解は発動せず、次の瞬間、撃槍のシンフォギアが響の身を包む。

 

「この拳も…命も!」

 

「シンフォギアだッ!!」

 

「バ…バカな…あり得ないィィィィッ!!」

 

ウェル博士の絶叫と共に次々にノイズが現れるが…

 

「うぉぉぉォォォッ!!」

 

拳一つ、蹴り一つで次々に現れた先から、炭となって崩れゆくノイズ達。

ノイズを放ちながら徐々に後退していくウェル博士だが、呼び出すより撃破される数の方が多くジリ貧だ。

 

「そんなバカなッ!!ボクは英雄、英雄だぁァァァッ!!」

 

最後とばかりに巨大ノイズを放ち撤退しようとするが…

 

「とりゃぁぁッ!!」

 

その巨大ノイズも蹴り一つで崩れ去る。

 

「ひぃィィィィッ!!?」

 

「さぁ、未来の所まで案内してッ!!」

 

***

 

ウェル博士を捕らえ、未来の元へと案内させる響。

まったく人の気配のしない街中を抜け、気付けば港の方まで来ていた。

 

「未来は何処ッ!?」

 

「あそこですよ」

 

ウェル博士の指差す方向を見ると船が1隻、沖合いに出ようとしているところだった。

 

「クッ、未来!今行くッ!!」

 

ウェル博士を投げ捨て、助走を付けて船に向かってジャンプするが…

 

♪歪鏡・シェンショウジン

 

―流星―

 

丁度空中であった事と、船に辿り着く一心で周囲に気が回らなかった事で、船の甲板から発せられる光の帯を避け切れずに直撃してしまう。

 

「クッ、こんなのッ!!」

 

咄嗟にガードして抗おうとするが…

 

「…え?ギアが…溶けて…」

 

そう、響の纏うシンフォギアがどんどんと分解されていく。

 

「そんな…後少しなのに…未来ゥゥゥッ!!」

 

シンフォギアが完全に解除されてしまった響は、そのまま海へと落ちて行くのだった。

 

***

 

一方その頃。

 

未来との事にショックを受けた神崎蘭子は塞ぎ込んでしまい、自らの部屋からすら出てこず、同居している雪音クリス、マリア・カデンツァヴナ・イヴ、暁切歌は蘭子の事を心配していた。

 

「どうするデスか…?さすがに蘭子さんが心配デスよ…」

 

「いつの間にか居なくなってたと思ったら、帰ってきたらあんな状態になって…蘭子…」

 

「てか、お前らまた逃げなかったのかよ…いい加減アイツはアタシが何とかするからお前らは余計な事すんなよ」

 

そう、蘭子が響達の元に転移した際、この家には名目上の捕虜であるマリアと切歌の二人だけだったのだが…

 

「べ、別にスクワットに夢中で気付かなかった訳じゃないデスよ!?」

 

「そ、そうよ!あえて残ってただけだから!」

 

「いや…別に聞いてねぇよ…じゃ、アタシはアイツの部屋行ってくるわ」

 

「えぇ…頼んだわよ」

 

「お任せするのデス!」

 

クリスが蘭子の部屋の中に入る。

相変わらず電気が消えているので、まずは電気を付ける。

 

「…煩わしき光よ」

 

「よぅ…ちょっとは元気出たか?」

 

「我に構うな」

 

あの日以来ずっとこの調子である。

それこそ、クリス、マリア、切歌が何をやっても一向に変わらない。

 

「んな事言われていつまでも引き下がってると思うか?」

 

しかし、今日のクリスは少し違った。

一歩近付く。

 

「…彼方へと去るがいい」

 

もう一歩。

 

「我に構うな」

 

更に一歩。

 

「我に近付けば…」

 

「やってみろよ!お前なら出来んだろ!」

 

そのままクリスが蘭子を抱き締める。

 

「全部受け止めてやるからさ、お前はお前のままでいてくれよ、な?」

 

部屋からは誰とも解らぬ嗚咽だけが洩れていた。

 

「グスッ…グスッ…良゛か゛っ゛た゛デス!!もう後は蘭子さんにお手紙書くくらいしか思い付かなかったデスよ!」

 

「いや、お前かよっ!!?台無しだよ!!」

 

クリスが切歌を追い出す。

 

「…ったく、余計な事すんなっつっただろ」

 

「グス…豊穣の女神よ、感謝する」

 

「へッ、やっといつものヘンテコなのに戻ったな、お前、暗いの似合わねぇんだよ」

 

「今、あのバカが柄にもねぇ責任感じて未来を連れ戻しに行ってる…でも、聞いてる限り、お前が行くのが筋じゃねぇか?」

 

「未来が未練だっつうんなら、さっさと連れ戻して来い!!」

 

クリスの追い討ちの激励で、蘭子の目に完全に光が戻る。

 

「へっ、いい顔になったじゃねぇか、それでこそアタシの…」

 

何故かその先をクリスが言い淀む。

 

「?豊穣の女神の…?」

 

「なななんでもねぇっ!!ほら、お前一人の方が速いんだから、さっさと行って来い!!後でアタシも追い付いてやるよ!」

 

***

 

未来ちゃんの事でだいぶ落ち込んでたんだが、クリスちゃんに元気を貰った。

やっぱり我が嫁は出来が違うなぁ…

抱き締められた時、大変柔らかかったし。

まぁ、こんな時に何言ってんだなんだが、これが俺だ。

隠し事というか、二課の事をあんまり喋らなかったりとかが未来ちゃん的にも不満だったみたいだし、今後はもっとオープンに行こうと思う。

いや、伝わらないだけでこれでもだいぶオープンだとは思うんだけどね?

…さすがに今おっぱい見てますとかは言わなくてもいいよね?

そこまでオープンにしろと言われるとちょっと厳し過ぎるよ?

まぁ、こればっかりは話してみんとわからんな。

 

じゃあ、早速未来ちゃん連れ戻しに行こうと思うんだが…何処に行けばいいんかね?

未来ちゃん担当のちっちゃい俺、あの日以来行方不明なんだよな…

 

あ、そういやクリスちゃんが響ちゃんが先に行ってるって言ってたな。

とりあえず響ちゃんの所に行けばいいか。

 

と、気軽に転移したんだが…

 

「ッ!!!?あ、貴女はッ!!?いや…これはその、誤解、誤解です!!」

 

上半身裸の上に水浸しで酷く慌てているプロデューサーのお兄さんと毛布にくるめられて推定全裸で寝ている響ちゃんがいた…

 

…すいません!お巡りさん!コイツです!!

 

***

 

「して、如何なる狼藉か?」

 

咄嗟に正座したプロデューサーのお兄さんを見下ろしながら状況を聞く。

まぁ、俺じゃないんだし、このプロデューサーのお兄さんの事だから何か理由があるんだと思う。

無かったら?そのまま警察に直行だネ!

 

「いえ、あの…海を見ていましたら、この方が海に落ちていくのが見えた、とアイドルの方に言われまして…」

 

「…纏いし衣を剥ぎ取った、と」

 

「いえ!?違います!!誓って、この方は初めから何も着ていなかったんです!」

 

えぇ?ほんとにござるかぁ?

いくら響ちゃんがちょっと変わった子だからって全裸で海中水泳は無いと思うよ?

やっぱり悪戯目的?

まぁ、いつものように困った時の仕草の首に手を当ててるから違うんだろうけど…

しかし、このお兄さんがここまで慌てるのも珍しいのでもうちょい観察したいんだが…

 

「プロデューサー、季節外れの海はたのseaかったですか?ふふっ…あら?」

 

え?何このお姉さん…

さらっとしょーもないダジャレというかオヤジギャグみたいなの言ってたけど…

でもおっぱいは控えめだけどすっげぇ美人。

やっぱアイドルかな?

 

「プロデューサー、またスカートはいた女の子をスカウトですか?ふふっ」

 

もうなんなの?この人…

ダジャレ言わないと気が済まないの?

フリーダムすぎんだろ…

 

「いえ、あの…間違いではないんですが、今回は不可抗力といいますか…恐縮です」

 

頼むから途中で説明を諦めないで!

 

「大方この子のお友達ってところでしょうか?この子、こんな真冬に全裸で海に落ちて危なかったんですよ?」

 

そうなのか…クソッ、俺が目を離してる間に…

 

「だから、さっきまで私が人肌で暖めてあげてたんです」

 

俺のバカッ!!なんで目を離したッ!!

響ちゃんと中身はともかく超美人のお姉さんの百合空間とか永久保存版じゃねぇか!?

脳のリソース80%使うと言われても目に焼き付けるわ!

とまぁ、半分冗談は置いといて、そろそろお礼言って響ちゃんを引き取るか。

 

「瞳持つ者よ、感謝する」

 

お兄さんとお姉さんが目を見開く。

ん?どうしたの?

 

「貴女にどのような心境の変化があったのか私にはわかりません。ですが…」

 

「いい、笑顔です。今までより、ずっと」

 

そうなの?いや、自分ではよくわからんけどね。

まぁ、人を見るプロがそう言うのなら、それはきっと我が嫁のおかげだと思う。

 

「左様か…では我は覇道を往く、闇に飲まれよ!」

 

「えぇ、またその笑顔を見せてください」

 

そうして、響ちゃんをお姫様抱っこして、お兄さんと別れて少ししてからすぐに二課の仮設本部に転移したのだった。




堕天使の黄昏=落ち込むらんらん

世界レベル夫婦喧嘩ラウンド1は393の圧勝で終わりました。
久しぶりに登場のプロデューサーさんですが、アイドルの出身地巡業の付き添いで帰りだった模様。
まぁ、ダジャレお姉さんの出身地、らんらんの領土なんですが(笑)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。