チート転生したらしいが熊本弁しか喋れない   作:祥和

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闇に飲まれよ!(お疲れさまです)

ようやく落ち着いて、休み取れました。
年内最後の更新です。

年内にG完結したかったのになぁ…


第23話 緑衣の悪魔

さむっ…

 

いや、いきなりこんな感想言われても訳わからんと思うけど、マジで寒いんだ…

 

あの後、息遣いが妙に荒い調ちゃんには待てを命令して、切歌ちゃんに任せた。

「これが放置プレイ…」とか言う斬新な発言は、俺への風評被害もいいところなので止めて欲しい。

 

んで、先に進もうとした矢先にノイズの団体さんが現れて、翼さんが「防人の生き様、覚悟を見せてあげるッ!!」とか言いながら突撃して行っちゃったので、1人で未来ちゃんを探す羽目になったんだが、いきなり後ろからビーム食らって気付いたら服溶けてて今に至る。

 

12月の寒空の中お外で全裸とかマジで死ねる。

これが響ちゃんの言ってた未来ちゃんのシンフォギアの力っぽい。

まさか俺の能力で出た服にも有効とは思わんかったけど。

まぁ、普通にビーム食らったら服は燃えるか…

でも、熱さとかあんま感じなかったし、身体は無傷だし、よくわからんのだよなぁ…

 

しかし、寒い…かなり寒いんだが、また何処から未来ちゃんが狙ってるかわからんので、こうやって歌も歌わずに隠れている訳だ。

こんな時、未来ちゃん担当のちっちゃい俺が居れば…ホント、何処行ったんだ、アイツ…

このままでは風邪引きそうだし、早く未来ちゃんの隙を突いて服作れる位のフォニックゲインは補給したい。

とりあえず、確証は無いんだが、出した服とか力は消せるみたいだけど、大元のシンデレラの靴には効かんみたい。

最悪ゴリ押しすれば何とかなりそうではあるんだけど、あくまで俺は未来ちゃんと話をしに来てるのだ。

 

♪歪鏡・シェンショウジン

 

歌……?ヤバッ!!

 

咄嗟にビームを躱す。

なんでここがバレて…

 

「無駄だよ、蘭子…」

 

「蘭子の居る場所なんて…私には手に取るようにわかるの…」

 

ヒェッ…ヤンデレソング歌いながらビーム乱発してくる親友とか、何処に需要が?

あぁ、大きいお友達はそういうの好きそうですね…

中身はそっち寄りだけど、見た目はうら若きJKなので、ノーセンキューですよ!

ともかく、今は逃げの一手だ。

 

「逃がさないよ…何処に居ても…必ず見つけ出してあげる!!」

 

ヤバーイッ!!説明不要ッ!!

どう見てもスト…いや、落ち着こう、まだ慌てるような時間じゃない!!

そもそも、俺は未来ちゃんを性的に見てるけど、向こうはそんな訳無い。

見た目は女の子同士だしね!!

まずは対話だ、対話を試みるんだ。

 

「や、闇に堕ちし日輪よ!」

 

オォイッ!!?この残念フィルターいい加減にしろよッ!!

このタイミングで呼び名変えて刺激与えるような事してんじゃねぇよッ!!?

 

「それ…私の事かな?」

 

もうヤダ…お家帰りたい…

 

「現世はウンディーネの息吹の如く我が身を凍てつかせし、漆黒の衣纏いし時を紡がせん」

 

どうだ?情に訴える作戦…いけるか?

 

「寒いなら…温めてあげるね?」

 

デスヨネー…

 

―流星―

 

未来ちゃんが放つ光に包まれ、俺は意識を手放した。

 

***

 

「蘭子ちゃんッ!!?」

 

戦いの様子をモニターで見ていた響は、完敗したように見える蘭子に思わず声を大きくする。

居てもたってもいられなかった。

 

「おっさん!!アタシも出るぞッ!!四の五の言ってられねぇッ!!」

 

「クリス、私も出るわッ!!」

 

クリスの言葉にマリアが呼応する。

 

「師匠ッ!!私もッ!!」

 

「響君の出撃は許さんッ!!」

 

「でもッ!!」

 

「でもも何も無いッ!!戦う力を失っている君をノイズが居る場所に送る訳にはいかん!!むざむざ死にに行く子供を諫めるのも大人の仕事だ」

 

弦十郎と響の間に奏が立つ。

 

「何だ、奏?お前まで…」

 

「まぁ、待てよ旦那。結論を急ぎ過ぎる大人は嫌われるぜ?」

 

そう言って、自分の胸のネックレスを外し、響に付ける。

 

「奏さん…?」

 

「バトンタッチさ」

 

微笑む奏に涙がこみ上げる。

 

「蘭子も未来も助けたいんだろ?」

 

「行って、全部漏れなく救ってこいッ!!恋する女なんてのは、欲張りくらいで丁度いいのさ」

 

「…はいッ!!絶対の、絶対にッ!!二人を連れて帰って来ますッ!!」

 

そう言って飛び出していく響を見送る奏に緒川が声を掛ける。

 

「…良かったのですか?」

 

「いいのさ…アタシの魂は、キッチリアイツが継いでくれてるよ」

 

今度こそ、本当に引退だな、と誰にも聞こえないように呟くのだった。

 

***

 

気付いたら、例の事務所だった。

 

『おぉ、蘭子ちゃんよ…しんでしまうとはなさけない』

 

出たよ…てか、俺死んだの?

 

『死んでませんよ?』

 

いや、死んでないのかよ!?さっきのはなんなの?

 

『あれは演出ですよ、雰囲気出るかな?と思って』

 

いや、はじめて死んだ時ここに来てるから割と冗談にならんのだけど。

で、何の用?俺忙しいんだけど。

 

『あ、それは失礼しました。いやぁ、蘭子ちゃんお困りかな?と思いまして』

 

色々困ってるよ?

月を元に戻せとか無茶な事言われるし、アンタの呼び方わからんし、親友は闇堕ちしてヤンデレになってるし、そもそも一部以外に言葉通じないし…

 

『あぁ、色々溜まってるんですね…そんな貴女に…』

 

あ、ドリンクは結構です。

 

『せめて最後まで言わせてくださいッ!!?』

 

いや、結論変わらないし無駄かなぁ…と。

 

『もう!で、月と親友については、対処法ありますよ?』

 

でもお高いんでしょ?

 

『月は無料です。直して貰わないと私も困りますので』

 

親友は?

 

『ドリンク初回購入の特典という事で』

 

クッ、足元見やがって…

 

『まぁ、どうするかはお任せしますよ?あくまで私は蘭子ちゃんの意志を尊重しますので』

 

鬼!悪魔!邪神!

 

『……蘭子ちゃんの中で私の認識がどうなっているかわかったところで、無料分の月について先に説明しますね?』

 

あ、考える時間与えないつもりだな?

そういう所だよ?

 

『え…?そうだったんですかッ!!?まさか、敏腕事務員らしくテキパキやっていた態度が裏目に出てたなんて…』

 

いや、ショック受けてるところ悪いけど、月の対処法は?

 

『あぁ、すみません。簡単ですよ、そのシンデレラの靴に願えば大丈夫です』

 

……え?そんだけ?

 

『はい…あ、でもその代わり、今までのフォニックゲインでは全然足りないです』

 

ちなみにどんくらい?

 

『たぶん、蘭子ちゃん1人では無理ですねぇ。全世界から歌を集めるくらいしないと』

 

…は?いきなりスケールがデカ過ぎない?

 

『月ですからねぇ…こればっかりは、なんとか方法を考えて貰うしかないですね、オマケに時間もあまり無いです』

 

なんで?たしか藤尭さんの話だと、後10年くらいって話だった気がするけど…

 

『あのモヤシみたいな人…ウェルキンゲトリクスさんでしたっけ?が余計な事したので、後数日で地上に墜ちますね』

 

あのモヤシ…何してくれてんだよッ!!

 

『月に関してはこんなところですね。それで、ドリ…親友の方はどうします?』

 

欲望が隠し切れてないよ、この事務員…

クッ、背に腹は替えられんか…

 

『毎度ありぃ♪じゃあ、コインでお支払いになるので、蘭子ちゃんの口座から引き落としさせて頂きますね♪』

 

ついに…ついに悪魔の契約を結んでしまった…

 

『もう!ちょっとは遠慮してくれないと泣いちゃいますよ!?』

 

いや、そう思うならもう少し自重してくれない?

で、対処法は?

 

『それでは、まずはこの衣装をどうぞ』

 

え…今何処から出して…?

 

『この衣装は、特別な衣装…シンデレラの靴と対になる衣装です。簡単に言えば、この衣装を着る事でパワーアップ出来ます。もっとも、相応のフォニックゲインは必要ですけど』

 

答える気無しか…

しかし、何をやるにもフォニックゲインか…世知辛い世の中だなぁ…

 

『まぁ、歌が力になる世界なので、仕方ないですね。その衣装の力で、親友さんの放つ光に親友さん自体を放り込んでください』

 

いや、意味がわからん。

 

『あの光は、聖遺物の力を無力化する凶祓いの力です。その効力は己に対しても例外ではありません。なので、ポーイと放り込んじゃえば、とりあえず大人しくさせられます』

 

なんか月と違って色々雑じゃない?

 

『その衣装を使えれば、それだけの力量差があるって事ですよ。で、ここからが肝心なんですが、その後なら()()()()()()()()()()()()()()()()()。口説き文句を間違えないようにして下さいね』

 

え…?なんで…

 

『それでは、今日はここまでです』

 

これも答える気無しか…

ホント、一方的だなぁ…

 

『あぁ、ここまで頑張ってくれた蘭子ちゃんに一つご褒美を』

 

え?なんですか?もしかして、水着でお触りし放題とか!?

 

『違います!!なんでこんな寒い時に水着なんですか!?』

 

いやぁ、なんとなく?

 

『もう!!夏場に考えときます!!』

 

考えてくれるんだ…

 

『コホン、では気を取り直して。私の名前は千川ちひろです』

 

……

………

ん?そんだけ?

 

『なんですか?その残念そうな目は?晴れてお得意様になったので、名乗らせて頂いたんですよ!?もっとこう』

 

いやぁ、もう緑の事務員で定着してるし、今さら名乗られても…

 

『あぁッ!!?もしかして、私、ファーストコンタクトを間違えました!!?』

 

そういう意味ならずっと間違いっぱなしのような…

 

『という事は、ドリンクが全然売れないのも、初めてのお客様が蘭子ちゃんなのも…そうだったんですね…』

 

え?俺が最初なの?

 

『それでは蘭子ちゃん…また…何かあったら呼んで下さい。その名前を呼べば、ここに来れるようにしておきます…』

 

酷いショックを受けたみたいの事務員の姿はそのまま消えて辺りが元の島の景色に戻っていく。

 

しかし、千川ちひろか…

まぁ、ドリンク押し売りされそうだし、あんま呼ぶ機会無いとは思うけど、一応覚えておこうか…

 

とりあえず、今は月と未来ちゃんが優先だな。




今回のタイトルは説明不要ですね?

世界レベル夫婦喧嘩ラウンド2もまさかの393勝利。
相当、愛が重い模様(笑)

唐突なオマケ
登場人物の料理のワザマエ

神崎蘭子
普通に作れる。
気が向いたらやたらと手の込んだ料理を作るが、専ら嫁とオカンにお任せのため、めったに台所に立つ事は無い。
堕落の極み、ここにあり。

立花響
食材を物体Xに変換する錬金術師。
にも関わらず、らんらんに対しては作りたがる。
この結果、らんらんは耐毒の能力を生み出した。
無慈悲なる味覚の破壊神。

小日向未来
料理は苦手。
でも、らんらんには作ってあげたい。
初心者にありがちなやけに難しい料理を作りたがるので30%の確率で失敗する。
だいたいらんらんが食べるのは失敗作…

雪音クリス
らんらんハウスの台所を預かる主婦。
作る機会が多いのでメキメキ腕を上げている。
アタシはただ、アイツが喜ぶ顔が見てぇだけだよ…

風鳴翼
料理どころか家事全般何一つできない。
本人曰く戦う事しか知らないとの事。
しかし、緒川の作った料理には何故か上から目線の批評をする。
それでいいのか、防人の剣…

天羽奏
得意料理はモヤシ炒め。
炒める、茹でる以外はあんまり作らない。
メシなんて適当に作ってそれなりに旨けりゃいいんだよ。

マリア・カデンツァヴナ・イヴ
クリスのサポート役のオカン。
クリスが上達してるので、彼女も上達している。
しかし、どちらかというと他の家事の方が得意。
とにかく蘭子を世話したい。

月読調
実は凄く得意。
らんらんに振る舞いたいが、自分の作った失敗料理を冷めた目で見られるのも捨てがたい。
溢れる想いはどんどん加速していく…

暁切歌
得意料理は298円。
お湯を注ぐだけでこのクオリティはヤバいデス!!との事。
常識人とは一体…

EX 藤尭朔也
上記女性陣全員を遥かに凌ぐワザマエ。
しかし、基本ぼっち飯で披露する相手はいない。
食戟の無駄遣い。

それでは皆さま、良いお年を。

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