チート転生したらしいが熊本弁しか喋れない   作:祥和

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お久しぶりです。

副業始めた影響でみるみる時間が…な状態で更新が滞ってしまって申し訳ないです。

とりあえず確定申告終わったのでぼちぼち更新していきます


第24話 灰被りの乙女

元の場所に戻ったら大量のノイズに囲まれていた。

ナンダコレ?

 

「あっ、お前こんな所にいやがったのかよ!!とりあえずこの状況なんとかしてくれ!」

 

後ろからクリスちゃんの声が聞こえる。

え?なんでこっち来てんの?

まぁ、状況は飲み込めないけど、とりあえずノイズさん達にはご退場願おうか。

 

―Laevatein―

 

周囲のノイズさん達が一瞬にして炎に包まれて消えていく。

良かった…未来ちゃんにやられたから出せないかと思ったけど、ちゃんと復活してるみたいだ。

ていうか、火力も範囲も前より格段に上がってて正直使ったこっちがドン引きした。

何?この力、某野菜星人みたいな力だったの?

オーバーキルもいいところだよ…

 

まぁ、それはさておき、クリスちゃんに話を聞こう。

 

「豊穣のめ…が…み…」

 

「バッ!!!!今こっち見んなッ!!!」

 

おっぱい…………ッ!!!

 

脳内の全てがその強烈な光景で強制的に上書きされる。

何故に全裸?まさか未来ちゃんに…?とか、一瞬のうちに色々考えたが、止まらない鼻血を吹き出しながら倒れ込むのだった…

 

「おまッ!!?やっぱ未来にやられて…」

 

心配そうに真犯人が駆けよって来るところで意識を手放した…

 

***

 

マリア・カデンツァヴナ・イヴはずっと葛藤していた。

 

妹のような才能は自分には無いと理解していた。

理解していたからこそ、その生まれ持った才能の差を努力のみで埋めた。

これまでの人生のほとんどを投げ売って、薬の力に頼ってまでして、手に入れた力は驚く事に風鳴翼(天才)に届き得るまでに達していた。

 

しかし、彼女はその力を人に振るうには優し過ぎた。

人類の未来の為、手に届く人々を守る為、自分自身の正義の為、妹の、セレナの遺志を継ぐ為…

御託をいくら並べたところで、待っていたのは守る対象だった筈の人との殺し合い。

彼女は戦いを始めると宣言した、あのライブ会場の時点で心が折れかかっていた。

 

しかし、そんな彼女の心の葛藤をブチ壊した存在がいる。

 

神崎蘭子。

 

セレナ以上の才能と力を持つ癖に、セレナとは似ても似つかない位にとにかく手の掛かる女の子。

この感情が一体何なのか、彼女は知らない。

知識として知ってはいても、一度も懐いた事が無いから。

 

調や切歌とは違う。

当然セレナとも違う。

 

だから、確かめなければいけない。

だから、蘭子が神獣鏡の光に包まれた時に、勝手に体が動いていた。

 

培ってきた己の力を正しく振るうべきは今なのだ、と。

 

***

 

♪烈槍・ガングニール

 

「くッ!!やりづらいッ!!」

 

神獣鏡の光を避けながら、槍を構え応戦する。

遠距離への攻撃方法もあるとはいえ、本来は近接戦闘型のガングニールでは、距離を取った遠距離型、しかも攻撃を受ける事でさえ敗北に繋がる神獣鏡相手には絶望的に相性が悪い。

にもかかわらず、今まで一度の被弾もなく、やり合えている。

厄介ではあれど、自分ならばやれる。

マリアは確信していた。

何故なら、彼女に植え付けられた戦闘データは()()()()()()()()()なのだから。

自分達の遠距離攻撃のパターンなど、数が知れている。

故に、自分達の戦闘の癖を知り尽くしているマリアにとって対策も容易なのだ。

 

「邪魔をしないでッ!!私は蘭子を斃さないとッ!!…アレ?私は何で蘭子を…」

 

危惧していた通り、精神が錯乱している。

あの装者はもう限界だ。

 

神獣鏡は、人の心を惑わす鏡。

その特性により、戦闘経験の無い装者でも蓄積された戦闘パターンを埋め込み、運用する事が出来るが、その特性を悪用すれば、今回のようなケースも起こりうる。

第三者によって、都合のいい感情を植え付けられたのだろう。

間違いなく、あの外道の仕業だ。

 

とにかく、一刻も早く止めなければあの装者の精神が持たない。

蘭子の親友だというあの子はこの身に代えても必ず救い出す。

 

それが…あの日妹を救えなかった弱い自分との決別なのだ。

 

そう覚悟を構えた次の瞬間、遺跡の一部が月に向かって射出される。

 

「まさか…マムッ!!?」

 

純粋な戦闘力では風鳴翼に比肩し、神獣鏡相手でも善戦していたマリアだったが、気を取られたその一瞬が命取りだった。

 

―流星―

 

「チク…ショウ…私では…何も救えないの?」

 

無慈悲な光はその言葉ごと飲み込んでいくのだった…

 

***

 

目が覚めたら、目の前に凶器があった。

 

「あっ、お前大丈夫かよ?」

 

まさか…これは、膝枕という奴か?

さすがにクリスちゃんも服を着たみたいで目の前にリディアンのエンブレムが付いた立派な双丘が自己主張している…

残念なような、まだ全裸だったら今度こそ涅槃に旅立っていたような…複雑だ。

ん?同居してるのに見た事無いのって?

無いんだよッ!!!なんでだかめっちゃガード固いからなッ!!

 

「豊穣の女神よ、纏いし衣は如何に?」

 

「あぁ…アレな…ギアの適合率下げられた所にノイズに囲まれてな…奥の手使ったんだよ」

 

…全裸になる奥の手って何?

それでいいの?イチイバル…

 

「まっ、この通りお前のおかげでソロモンの杖…アタシの罪も回収できた」

 

あぁ…それでこんな所にいたのね。

 

「その…一度しか言わねぇからな?あ…ありがとう…」

 

………この嫁は俺を萌え殺すつもりだろうか…

ヤバい…尊い…

って大事な夫婦イベントではあるが、未来ちゃんが先だ。

 

「我への賛辞が我に更なる魔力を与えるであろう。豊穣の女神よ、我は此度こそ闇に堕ちし日輪を救おう」

 

「お前…それ未来の事かよ…そりゃ怒るわな…」

 

うん、俺もそう思う。

でも、これオートだからしょうがないんや…

 

「せっかく来たんだ、アタシにも出来る事ねぇか?」

 

いや、クリスちゃんは巻き込まれないようにしてくれれば…

っと、あっちの方考えて貰うか。

 

「我に、歌を捧げよ」

 

「歌、か…アタシの歌でよけりゃ全部乗せで持って行っていいぜ?」

 

それは凄く嬉しいけど、そうじゃなくて…

 

「我が望むは世界よ!」

 

「…お前、それ本気で言ってんのか?」

 

…うん、客観的にどう考えても頭のおかしい奴のたわ言なんだけどね…

でも、クリスちゃんなら信じてくれると思ったんだ。

 

「我は戯れ言は言わぬ」

 

まぁ、日常会話全て戯れ言みたいなもんだけど。

 

「…本当に必要なんだな?」

 

クリスちゃんの確認に頷く。

 

「わかった、こっちは何か方法考えるから、お前は未来のところに行ってくれ」

 

言葉は相変わらずだけど、心が通じ合えるのは素晴らしい。

クリスちゃんだけじゃない。

響ちゃんも、翼さんも、奏さんも、マリアも、切歌ちゃんも、何故か調ちゃんも俺を信じてくれる。

 

だけど…後一人、絶対に通じ合わなきゃならない子がいる。

振り返れば、親友相手に最低な態度だったと思う。

今さら許して貰えるかは分からないが、絶対に諦める訳にはいかない。

 

人生で親友と呼べる相手に何人出逢えるだろうか?

前世では一人も居なかった。

でも、今世では、こんな変な喋り方しかできないのに二人も居るんだ。

なら諦めれる訳が無い。

 

「んじゃ、アタシはまずはあのバカと先輩と合流するわ。次は油断すんじゃねぇぞ」

 

クリスちゃんと別れて、さっき未来ちゃんと会った場所に向かう。

待ってろよ、未来ちゃん!

 

***

 

日が傾きかけた夕暮れに、未来ちゃんと対峙する。

 

「闇に堕ちし日輪よ、我と共に帰還せよ!」

 

「…帰れないよ、だって…私にはやらなきゃいけない事があるもの」

 

「…それは如何なる…?」

 

「このギアが放つ輝きはね、新しい世界を照らし出すんだって」

 

「そこには争いもなく、誰もが笑って暮らせる世界なんだよ」

 

悲しいけど、それはまやかしだ。

人が人である限り、争いは無くならない。

そんな事、正常な精神ならすぐに分かる事を今の未来ちゃんは信じ切っている。

 

「私は蘭子に戦って欲しくない」

 

「だから、蘭子が戦わなくていい世界を創るの」

 

「フッ、我が望むは左様な世界では無い!我が望むは、我が友が側にいる天上の楽園よ!」

 

「でも、蘭子が戦わなくていい世界だよ?」

 

「たとえ刃を交えようと我がさせん!」

 

「私は蘭子を戦わせたくないの!」

 

「感謝する…だが、我は…戦うッ!!」

 

高い買い物だったんだから、頼むぞ事務員。

 

「闇に堕ちし日輪よ、運命に飲まれよッ!!」

 

♪-LEGNE- 仇なす剣 光の旋律

 

歌い出しと共に今までの黒い服ではなく、事務員から渡された白銀の衣装を身に纏う。

…感覚で分かる。これは今までのとは桁違いの力だ。

えぇ……あの事務員何考えてんの?

俺、ここまでの力は求めてないんだけど…

 

「戦うなんて間違ってる、戦いから解放してあげないとッ!!」

 

未来ちゃんがビームを乱射してくる。

あぶねっ、いくらパワーが桁違いに上がっても、あの光がヤバい事に違いはないし、中身一般人の俺にあれを全部避けるのは難しい。

 

咄嗟に衣装と一緒に出て来たガラスの靴を模したマイクスタンドを振るうと、俺の目の前にデカいバリアが形成されて未来ちゃんの光を遮る。

…しかし、みんな剣とか、槍とか銃とか、カッコいい武器なのに、なんで俺のはマイクスタンドなんだよ…

事務員め…センスを疑うわ…

 

それはさておき、どうしたもんかね…

この衣装、パワーは凄いけど、凄すぎてぶっつけ本番で上手くコントロールできる気がしない。

 

あの光のせいで拘束は意味なさそうだし、力押しはたぶんいけるけど未来ちゃんに無傷で帰ってきて欲しい俺的に却下。

となると、事務員が言ってた通りにするのが無難か…

 

そんな事を考えていると…

 

『これ以上、人ん家の庭をしっちゃかめっちゃかにはさせませんよォォォォッ!!』

 

いつだったか、我が嫁を傷付けた赦し難い怪物がモヤシの声と共に現れたのだった。

しかし、しっちゃかめっちゃかって言葉自体久しぶりに聞いたな…

まぁ、外国の人だしね…




ほんと、久しぶりの投稿です。
生きてました。

今回のタイトルは説明不要ですね?
終盤の393とらんらんのやり取りは、まんまなんですが、熊本弁ェ…ですね…

トレジャーハンタークリスちゃん石板35万にたやマさんヘキサ100回とかマジかよ…という状態ですが、更新もがんばります…

Gは後1~2話の予定です。

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