G最終話です。
今回、普段よりちょっと長めです。
響ちゃん達のおかげでパワーアップできたみたいだ。
よし、後は未―――んを…
ん?な―か今、視界が急にブツ切りになっ―――
……………
***
フォニックゲインの光の粒子が舞う中、一人の少女が降り立つ。
瞬間、小日向未来は行動に移っていた。
あれはダメだ。
このままでは蘭子を戦いから解放できない。
なにより…あのままでは
そう確信してからの彼女の動きは早かった。
~Gatrandis babel ziggurat edenal~
歌う。
~Emustolronzen fine el baral zizzl~
ただひたすらに、唄う。
~Gatrandis babel ziggurat edenal~
彼女にとっても、これは賭けだ。
~Emustolronzen fine el zizzl~
しかし、賭けというには些か高すぎる確信を持って、彼女は歌っていた。
命を燃やす歌、絶唱を…
「ぐぅぅぅ…お願いッ!!
そして、彼女は第1の賭けに勝った。
***
♪永愛プロミス
神獣鏡のギアが周囲のフォニックゲインを取り込み、換装されていく。
「馬鹿なッ!!?操られた状態で、単独絶唱での限定解除だとッ!!?」
翼が驚愕する。
しかし、ことこの場に限られたケースにおいては、必然であった。
答えはフォニックゲインだ。
今、この場には、世界中からフォニックゲインが集まっている。
その総量は切っ掛けさえあれば、一つのシンフォギアを限定解除まで至らせるに充分たる量が満ちていた。
そして何より、神獣鏡を纏う小日向未来は初めから正気だった。
………正気だった。
ただ、彼女の中で神崎蘭子の優先順位を上げて、他を下げただけ。
意識が混濁したかのような発言は、彼女に自分の胸に秘めた想いに気付いて欲しかったから。
蓋を開ければ、このような非常に個人的な理由のみで彼女は今の今まで敵対していたのである。
もっとも、彼女固有の特性ともいうべき、凶祓いの力が人にまでは危害を加えないことを知っていたが故のこれまでの暴挙であるが。
響と蘭子の裸、ゴチソウサマデス。
あの陰険そうな博士も操られるふりをしながら誘導していたから、まだ誰も手に掛けてない筈だし、車椅子の女の人もマリアさんを撃退した後助けたし、調ちゃんとは蘭子談義で盛り上がった同志だし。
何から何まで、彼女は今まで表向きは操られたふりをしながら、裏で上手く立ち回っていた。
響達が合流する前までであれば、彼女の描いたハッピーエンドは目の前であった。
結局、蘭子に敗れ、蘭子を戦いから解放するという当初の目的は達成できないまでも、次善の結末くらいにはなっていた筈だ。
しかし、先ほどまでと事情が変わった。
変わってしまった。
今まで敵対していたからこそ解る。
あのような力、もはや人ではありえない。
言うなれば、得体の知れない何かの舞台装置とでも言うべき存在。
それに、先ほどまで、あれほど熱を帯びた目で自分を見ていたのだ。
それが打って変わって今の蘭子は自分を見ているようで、まるで見ていない。
刹那、見限られたかとショックを受けそうになったが、このような急激な変化はあり得ないと立ち直る。
むしろ、その変貌は、まるで人形にでもなったかのような…
神崎蘭子を神崎蘭子足らしめる魂が入っていない器だけの存在。
そういう風に見て取れた。
沸々と、怒りが込み上げてくる。
ふざけるなッ!!
何処の誰だか知らないが、私の大切な嫁を返せッ!!
それが、今の小日向未来の率直な意見だった。
…要するに、彼(女)と彼女は実に似た者同士であった。
***
―暁光―
先ほどまで放っていた、流星を遥かに凌ぐ光量が神崎蘭子に襲い掛かるが…
「翼を奪う事はできないわッ!!」
片手で弾かれる。
もはや、流星を防ぐのにバリアを使っていた先ほどまでとは桁違いの強さだ。
「ハァ…ハァ…ハァ…まだッ!!」
手に持っていた扇型のアームドギアを投げつける。
「魂を奮い立たせんッ!!」
これもまた弾かれる。
「神々の黄昏か?」
一か八かの賭けには既に出ている。
しかし、これでは後一手足りない。
「我が結界、破らせはしないッ!!」
蘭子の右手に炎の刃が生まれる。
回避ッ!!
ダメだッ!!間に合わないッ!!
こんな所で、蘭子を救えもせずに、私はッ!!
そんな願いも虚しく、蘭子の右手は振りおろされる。
…
……
………
あれ…?私…死んで…ない…?
目を開けると、そこには見慣れた背中。
♪Vitalization
「…蘭子ちゃんに何があったのかはわからない…」
立花響が限定解除によって槍に変形した右腕のアームドギアで炎の刃を受け止めていた。
「だけど私はッ!!」
「ひび…き…」
未来の頬に熱い物が伝わる。
「こうする事が正しいと…」
「信じるッ!!!」
響に続き、他の装者達も次々と蘭子に向かっていく。
「屈するな神崎ッ!!お前の胸の覚悟、私に見せてくれッ!!」
「何やってんだ、お前ッ!!さっさと目を覚ましやがれッ!!」
「ご飯抜きにするわよッ!!」
「マリア…こんな時にそれは…蘭子さん、訳わかんない洗脳に負けるなデスッ!!」
「蘭子ッ!!攻撃なら私にッ!!」
「饗宴の時ね。薔薇の嵐を呼ぶわッ!!」
若干1名明らかに自ら攻撃を望んでいるが、蘭子の力は強力無比であり、装者達も数人掛かりで攻撃を逸らすのがやっとである。
むしろ、1人だけ避けもせず自ら直撃しに行ってる人が、一番元気な気がする。
「調ちゃんは相変わらずだなぁ…未来、やりたい事があるんだよね?私達が蘭子ちゃんを引き付けてる間に」
「響…私…」
「話は後ッ!!待っててッ!!ちょぉっと行ってくるからッ!!」
響も参戦し、装者6人で蘭子を撹乱する。
「私が合図したら、蘭子から離れてッ!!」
そう言いながら、未来は最後の一か八かの一手の準備をする。
小日向未来との適合により、凶祓いの力を強く持つシンフォギア。
本来、
しかし、小日向未来の神崎蘭子を想う愛と適合する事で、そのシンフォギアは奇跡を起こす。
奇跡とは、そんな風に誰かを想える者にこそ、相応しい特権なのである。
「新たなる堕天使の祝福よッ!!」
神崎蘭子が大技を放つ為に天に手を翳す。
「今ッ!!」
未来の合図と共に装者達が飛び退く。
―天光―
それは、天高く打ち上げられたアームドギアに己が放つ全ての光を反射させて地を穿つ光。
文字通り光速の不可避の閃光は気付いた時には時既に遅く、神崎蘭子は抵抗する暇も無く、光の柱に包まれるのだった。
***
「やったか?」
光の柱が徐々に力を失った頃にマリアが呟く。
「バッカッ!!テメェ、そりゃフラ…グ…」
クリスが慌ててツッコミを入れるも…
「や、闇に飲まれた…」
やはり、神崎蘭子はほぼ無傷で立っていた。
「そんな…」
「蘭子ちゃん…」
「もしかして…フィーバータイムおかわり?」
「調はちょっと黙ってるデス…」
「チッ、しゃあねぇ、もうひと踏ん張り…ん?」
クリスが異変に気付いて蘭子に近付く。
「雪音ッ!!」
「クリスちゃんッ!!」
蘭子に不用意に近付くクリスに翼と響が同時に叫ぶが…
「豊穣の女神よ、これは如何なる惨劇かッ!!?」
「おーい、もう大丈夫だわ」
「アハハ…アレ…?安心したら…」
「さすがに無理が過ぎたな…」
クリスと調以外の装者の気力と緊張の糸が切れてブッ倒れた瞬間だった。
***
なんか、ここ数分?の記憶が無いんですけど…
ナニソレ怖い…
クリスちゃんに聞くと、ひどく暴れ回ってたらしいけど、未来ちゃんのおかげで何とか止まったらしい。
未来ちゃんとは後でちゃんと話さないといかんな。
ずっと正気だったとは思わんかったけど…
………え?アレ、もしかして、素?
と、とりあえず今は一旦忘れよう…
しっかしコレ、ほとんど俺がやったらしいんだが、島が半壊するレベルってどんだけ怖い夢遊病だよ…
邪神に聞かなきゃいかん事がまた増えたな…
情報聞くにはまた高い買い物要求されそうで今からため息出そう…
とかなんとか俺が記憶失ってる間の情報聞いてたら、弦十郎さんがモヤシを連行してきた。
「今すぐ離脱するぞッ!!間もなくこの遺跡は…」
「ヒヒヒヒヒッ!!ボクが英雄になれない世界なんて蒸発してしまえばッ!!」
「…転移」
おじさんがおじさんを抱えてる絵面がちょっとしんどかったのと、なんか急いでるみたいだったので、俺以外の全員を二課仮設本部に送る。
どうせまたあのモヤシがやらかしたんだろう。
衣装のパワーはまだ残ってるし、月の件と合わせて片付けちゃいますかね…
足元の島が形を変えて、溶岩みたいに真っ赤になった例の化け物になる。
うへぇ…またこいつかよ…
***
♪Shine!!
「全世界、オープンチャンネルでハッキングされていますッ!!」
「この映像が全世界に流されていますッ!!」
藤尭と友里がほぼ同時に報告する。
発令所に強制的に戻された弦十郎達が目にした物は…
神崎蘭子が臨界寸前のネフィリムの周りを飛びながら歌い踊る映像だった。
周囲を漂うフォニックゲインが神崎蘭子に追従して、まるで虹色の翼のように見える。
「…あのバカは何やってやがんだ…」
「キレイ…」
装者の中で意識があるクリスと調はそれぞれ対極の反応を示し…
「さすがにこれは…」
「アハハハハハッ!!やっぱ蘭子は何するかわっかんねぇなッ!!」
緒川は自分に降り掛かる事後処理を想像して顔が引きつり、奏は爆笑していた。
「蘭子君は…目立ち過ぎるのが玉に疵だな…」
今さらながら、頭が痛くなってくる弦十郎であった。
***
「あっ、プロデューサー。この娘この前会ったあの娘じゃないですか?」
オッドアイの緑懸かった髪の女性が映像の中で歌い踊る女の子を指差す。
「…え?あぁ、はい。確かに彼女ですね」
その映像を眺める男性はどこか浮かない顔をしていた。
「この放送、全世界に流れているみたいですよ?やっぱり、ご自分の手でプロデュースしたかったんじゃないですか?」
女性の方が気を遣って尋ねる。
彼女もまた、表情の変化が乏しい彼を信頼するアイドルの1人で、彼の浮かない顔の理由を共有したかったようだ。
「そういう気持ちがなかったと言えば、嘘になります」
「そうですよね、こんなに可愛いらしい娘、なかなか居ませんもの」
このやり取りで我が意を得た女性の方は満足したようだ。
しかし、女性からは見えていないが、男性の顔は険しいままだった。
「そういう…事ですか…
***
フォニックゲインも十分だし、そろそろかね?
飛んでいた際に撒き散らした光の帯を実体化させて、化け物を縛る。
そんで、
「転移ッ!!」
化け物を前にフィーネさんに閉じ込められたあの空間に送る。
まぁ、爆発とかするなら、ノイズも殲滅できるし一石二鳥だ。
ちなみに、月の方は何故か歌ってる間に直ったらしく、どんどん地球から離れていくのが見えた。
特にフォニックゲインをめっちゃ使ったって感じもしなかったんだけど、なんでだろう?
世界中のフォニックゲインが要るとか言われてたからなんか釈然としないけど…
まぁ、直ったならいいか。
ともかく、これで終わりかな?
……これでもう無いよね?
なんか今回はどっと疲れたな…しばらく休み貰お。
まぁ、学校行けないから絶賛ニート継続中なんだけどね…
***
あれから数日。
今日は、色々あったけどお疲れさま、という事で我が家を開放してパーティーする事になってる。
そう言えば、いつの間にか俺のあの映像は全世界に配信されてたらしい。
これのせいでもうさすがに隠蔽は無理という事で、逆に全部公表してしまおうという話になって日本政府から大々的に公表された。
人類の守護者ブリュンヒルデ、と。
まぁ、それ関連でテレビとか雑誌のインタビューとか色々あったんだが、何を答えても全然これっぽっちも伝わらないので、世間からはそういう存在なんだと受け入れられつつある。
二課も断ってくれればいいのに、会話が成立しないのをいい事に緒川さんマネージメントの下、基本全受けしてくるせいで、もはや知らない人はいないレベルだ。
しかし、全世界からイタイ子扱いかぁ…
♪虹色のフリューゲル
「それでは、無事に未来と蘭子ちゃんが仲直りできたので、乾杯したいと思いますッ!!」
響ちゃんはいつも元気だなぁ…
「蘭子、これからも末永くよろしくね?具体的には一緒のお墓に入るまで。あっ、それとも…」
未来ちゃん、今から終活はちょっと気が早すぎるんじゃないかな?
後、怖い。
「奏、神崎はなんで落ち込んでるんだ?めでたい席だろう?」
「翼、そっとしといてやれよ…」
奏さんの優しさが沁みるなぁ…
「料理、おかわりもあるからじゃんじゃん食べて元気出しなさい」
「アレもコレもおいしいデース」
こっちはオカンが供給した料理を切歌ちゃんがすごい勢いで食べてる。
そう言えば今の状況って元はといえば、全部マリアのせいなんだったな…
「じー…」
ていうか、なんでこの子はずっと堂々と俺のパンツ覗いてんの?
さすがに全員引いてるからやめようね?
「ま、まぁ元気出せよ…アタシに出来る事だったらなんでもしてやるからさ…」
ん?クリスちゃん、今なんでもって…
「あっ、でもヤらしいのはナシだかんなッ!!そういうのは二人だけの時に…」
おっぱいはまたおあずけかぁ…
後半声ちっちゃ過ぎてよく聞こえなかったけど…
「そこッ!!最速で最短で真っ直ぐに一直線にイチャイチャしないッ!!」
「蘭子?いきなり浮気?」
「私はペットで十分満足してる」
もう、みんなと居るといじけてるのがアホらしくなってくるなぁ…
ちょっとペット枠希望してる子は誰かに早めになんとかして欲しいけど…手遅れかなぁ…
まぁ、とりあえずは乾杯するか。
「盟約は結ばれたッ!!祝杯をあげようぞッ!!」
G完結です。
そろそろグリーンエンプレスが本気を出し始めました。
次は絶唱しないGを書いてGX書く予定です。