チート転生したらしいが熊本弁しか喋れない   作:祥和

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やみのま!

GX10話です。


第36話 水精の休息

海に行く事になった。

 

建前上は特訓兼緒川さんの付き添いらしいんだけど、最近色々あったから息抜きに海で遊んで来いという弦十郎さんの粋な計らいだ。

 

「ママ~、寝る前に本読んで欲しい」

 

しかし、キャロルちゃん連れて行っても大丈夫かな?

なんかママ認定されてるし、やっぱりキャロルちゃんにはお母さんが必要だったんだなぁ…

まぁ、簡単な会話が出来るくらいには回復してるし、連れて行っても大丈夫かな?

駄目なら俺はお留守番だな…クリスちゃん達の水着は凄く惜しいけど仕方ない。

 

てか、俺が本読んで大丈夫なの?って感じなんだが、不思議と響ちゃんやマリアみたいにこの謎翻訳が通じてるみたいなんだよなぁ…

この前切歌ちゃんに同じように本を読み聞かせてみたらまるで通じてなかったから、付き合いの長さという訳でも無いらしい。

うぅむ…謎だ。

 

「ママ、早く~」

 

はいはい。

 

「過ぎ去りし悠久の時の彼方、然る地に齢を重ねし老成の番が…」

 

キャロルちゃんはニコニコしながら聞いている。

ほんと、喋ってる俺自身がこの謎フィルター言語を理解不能なのに、なんで伝わってるんだろうね…

元のキャロルちゃんなら、実はすごい長生きさんらしいからわからんでもないんだけど、今のキャロルちゃんは見た目通りの幼女の筈なんだけどなぁ…

長生きさんが条件のひとつならおねショタお姉さ…もといフィーネさんの前例もあるしな。

そういや最近話聞かないけどフィーネさん元気してるかなぁ?

今度弦十郎さんに聞いてみよう。

 

まぁ、色々思考が脱線したけど今わかってるのは、眠くなってきてウトウトしながらも必死で聞こうとしてるキャロルちゃんが凄くかわいいって事くらいだな、うん。

 

「禁断の果実に破邪なる刃を突き立てると、深奥より童子が現界し…」

 

「マリア、蘭子さんはどんな壮大なお話を読んでるデスか?スケールがただ事じゃないデスよ」

 

「桃太郎よ」

 

「…マリア、ちょっとよく聞き取れなかったデスよ。もう一度お願いしたいデス」

 

「…桃太郎よ」

 

「…………デェス」

 

うん、切歌ちゃんのやるせない気持ちはわかるよ…

俺だって言われてもこれが桃太郎とは思わん。

 

「スゥ…スゥ…」

 

あ、キャロルちゃん寝ちゃったか。

じゃあ、ベッドに連れて行くか…

キャロルちゃんが来てからクリスちゃんとも寝室分かれちゃったし、嫁成分が不足してるんだよなぁ…

何故かクリスちゃんはキャロルちゃんにめっちゃ嫌われてるから仕方なく俺だけキャロルちゃんと一緒に来客用の部屋で寝てるんだけど、元俺の部屋、クリスちゃんとマリアだけで大丈夫なんだろうか?

最近はそうでもないけど、そこそこ仲悪かったような気がするけど…

まぁ、考えてもしゃーないか…

 

あ、ちなみにうちには確実にキャロルちゃんの教育に悪い子が居るので、俺が居ない時の接触を禁止している。

酷い?…いやいや、命令口調で禁止って言ったらすっごい喜んでメスの顔してたよ…

幼女と関わらせたらダメなのくらいわかるよね?

 

***

 

明日はいよいよ海に行く日だ。

キャロルちゃんについては、弦十郎さんに許可も取ったし、万事抜かりなくみんなで行ける。

せっかくキャロルちゃんの分も水着買ったし、行けないなんて事が無くて良かった。

俺の水着は何故か未来ちゃんにゴリ押しされて勢いで買っちゃった黒のビキニなんだけど、冷静になって見るとちょっとコレ派手過ぎない?

政府所有のプライベートビーチらしいから男共の視線を気にする必要が無いのはいいんだけど…布面積が微妙に狭い気がするんだけど…

 

「いや、アタシもビキニだしそれくらいは普通だと思うぞ?な?」

 

「同意。蘭子は肌が白いし、黒がよく似合うと思う」

 

うーん…クリスちゃんと調ちゃんもこう言ってるし、大丈夫か。

身内だけなら多少派手でも見られてどうって事も無いだろうしね。

 

「はわわ…蘭子さん大胆デス…」

 

ん?切歌ちゃん、今なんか言っ…

 

「ほら、キャロル。日焼け止め入れておきなさい。着替えとタオルも忘れてないわよね?」

 

マリアは相変わらず、オカン力が高いなぁ…

俺もキャロルちゃんの母親役として、ちょっとは見習った方がいいのかもしれないな。

ああなれる自信はまったく無いけど。

 

「うん、ありがとう、マリアお婆ちゃんッ!!」

 

…和気あいあいとしていた我が家の空気がピシッ…と音が聞こえてきそうなくらい凍り付く。

ギ…ギ…という擬音が聞こえてきそうな感じでマリアが振り返る。

ホラーかよ…

 

「…キャロル?今…なんて言ったのかしら?」

 

「?」

 

「ほら、私の事よ…聞き間違いじゃなければ、今お婆ちゃんって…」

 

「?マリアお婆ちゃんはママのママだよね?だから、お婆ちゃん」

 

ついにそこにたどり着いてしまったか…

俺がママなので、俺のお母さんムーヴをしてるマリアはキャロルちゃんから見たらお婆ちゃんになってしまうのだ。

史上最年少お婆ちゃんじゃね?ギネス載れるよ。

 

「いやいや待て待て待ちなさいッ!!私はまだ21歳よッ!!?蘭子みたいな大きな娘居ないし、そもそも男性と付き合った事も無いから、子どもが出来るような事をした経験なんて一度も無いわよッ!!?蘭子も何か言って頂戴ッ!!」

 

なんか今、テンパり過ぎてみんなの前で凄く恥ずかしい事暴露してる気がするんだけど、大丈夫?

まぁ、何か言えと言われても…

 

「慈愛の聖母は、我が第二の大地母神よッ!!」

 

しか無いんだけど。

この前も言ったけど、完全にお母さんです。

マリア is お母さん。

 

「だからなんでそうなるのよッ!!?」

 

なんでも何も…ねぇ?

 

「マリア、往生際が悪いデスよ?」

 

「否定してぇなら、ちったぁ日頃の行いを見返すこったな」

 

切歌ちゃんとクリスちゃんからも追い討ちが入る。

もはやマリアがお母さんなど、我が家では共通認識だ。

ていうかこの前は冗談だと思ってスルーしたけど、マジで自覚なかったの?

 

「?お婆ちゃん怒ってるけど、わたし、何か悪い事言ったかな?」

 

「キャロルは悪くない。むしろ正しい」

 

「だから違うって言ってるでしょッ!!?」

 

何も違わないよ?

マリアはそう、言うなれば魂のお母さんだ。

 

結局、明日の準備は主戦力のお母さんがただのやかましいマリアになってしまったので、夜遅くまでかかってしまった。

深夜になっても「違うのよ」とか言いながら暗い部屋を怨霊みたいに徘徊してたけど、クリスちゃんに羽交い締めにされながら寝室に引き込まれてた。

なんかその様にエロスを感じたけど、たぶん何も無いんだろうなぁ…

 

***

 

なんか前日から色々とあったけど、やっと海に向かって出発した。

さすがに大所帯なので、バスを手配して貰った。

ん?転移ですぐ行けるのではって?

いやいや移動だって旅の楽しみの一つなんだから、無粋な事は無しだよ。

それに、キャロルちゃんにはチート頼りのズルい大人にはなって欲しくないしな。

親の俺が手本にならんとね。

 

そういや…

 

「…違うのよ」

 

昨日のアレを引き摺ったマリアが一人どんよりしてるけど、さすがにみんなスルースキルが培われてるから全力で無視してる。

…うん、まだ言ってるんだな、これが。

 

「奏、マリアは一体どうしたのだ?剣の出番か?」

 

「さぁ?蘭子に娘みたいなのが出来たってなると、ある程度想像は付くけどな。ま、そのうち復活するだろうしほっとけよ。てかお前が行くと余計に拗れるからやめとけ」

 

あ、翼さんだけスルー出来てなかったみたいでめっちゃ困惑してら。

相変わらず純粋というか何と言うか…そのままの翼さんでいてほしい。

 

「だからとてッ!!友の危難を前にして鞘走らずにいられようかッ!!?」

 

「鞘…なんだって?お前、最近なんか蘭子化が酷いぞ?お前こそ大丈夫か?」

 

失礼な、俺はオートだけど、あっちはマニュアルだよ。

…マニュアルだよね?ちょっと自信ない…

 

「にゃッ!!?こ、これはしょの…」

 

かわいい(かわいい)

基本真面目だし、クールで凛とした美人さんなのに、ふとした時に魅せるかわいさがたまらない。

翼さんの魅力はこのギャップだと思うんだ。

 

言葉遣いだけは本当にちょっとよくわからんけどね…

 

***

 

ついに海に着いた。

みんなと一緒にお菓子食べながらお喋りしてたから、移動時間もあっという間だった。

やっぱりこういう時間は旅のエッセンスとして大事なんだと思う。

パッとショートカットなんていかんよ、マジで。

 

「未来未来ッ!!お約束、言っちゃう?」

 

「誰も居ないし、迷惑にならないからいいんじゃない?」

 

響ちゃん、バスの中でも思ったけど、やたらテンション高いなぁ…

よっぽど楽しみだったんだろうな。

 

「海だぁーッ!!!!」

 

「デーーースッ!!!!」

 

日本人って海見るとなんでコレ言う雰囲気になるんだろうね?

あ、デスの方じゃないよ。念のため、一応。

 

「ママ、あの人と切歌はなんで叫んでるの?」

 

なんでだろうね?俺にもよくわからんけど…

 

「彼の者達は、魔力の昂りを言霊に乗せている」

 

まぁ、テンションとしか言い様が無いよなぁ…

 

「そうなんだ…わたしも言った方がいいのかな?」

 

「金色の妖精の魂の赴くままにせよ」

 

「そっか…よしッ!!」

 

「ウェミだぁーッ!!!!…かんじゃった」

 

…何このかわいい生き物。

娘が可愛すぎてつらいので、今なら魔王だって倒せるかもしれない。

…いや、よくよく考えると謎フィルター込みの自称だけど魔王、俺だったわ。

 

「ほら、舌大丈夫か?水飲んどくか?」

 

クリスちゃんがキャロルちゃんに駆け寄るけど…

 

「ふん」

 

あえなく撃沈したみたいだ…

なんでこんなに嫌われてるんだろうね?

特にキャロルちゃんに嫌われる事してるようには見えないんだけど…

 

「調ちゃん調ちゃん、あの人ずいぶんキャロルちゃんに甲斐甲斐しいね」

 

響ちゃん、声デカ過ぎて全然ひそひそ話になってないんだけど…

 

「響さん響さん、ああやって必死でポイント稼ぎして外堀を埋めようとしてるんだよ」

 

「かーッ!!卑しか女ばいッ!!」

 

なんで九州弁?

なんか全体的にテンションおかしくなってない?

 

おい、てめぇら…そのウゼェキャラを今すぐやめろ

 

あ、やべ…これマジおこだわ…

 

「や、やだなぁクリスちゃん…冗談、冗談だよ?」

 

「わ、私は蘭子と切ちゃん以外お断り…」

 

うるせぇッ!!群れ雀共が、まとめてぶちのめしてくれるッ!!」

 

次の瞬間、悪ノリが過ぎた二人にクリスちゃんのアイアンクローが炸裂していた…

 

「あいだだだだッ!!?!やめて止めてやめて止めてやめて止めてッ!!!?」

 

「痛みの与え方がなってない、蘭子ならもっと情熱的。このド素人ッ!!」

 

「そうなの、ママ?」

 

……………もうやだ、この子…

さすがにこれにはクリスちゃんもドン引きしていた。




来週XV2巻発売ですね。
待ち遠しいです。

故人とユニゾン回+初回特典にサントラ付くので興味ある方は是非。
翼さんのジャケットが目安です。

オマケ
九州生まれのTさん
時空を越えてビッキーに一時的に憑依した謎の存在。
公式で言った覚えの無いセリフによる風評被害を受けている。
アイマス違い。
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