チート転生したらしいが熊本弁しか喋れない   作:祥和

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日間3位…

何があった…ホントに

とはいえ、拙作を読んで頂き感謝です。
という事で第4話、お納めください。


第4話 機関との邂逅

恩人の銀髪の少女の相手を奏に任せ、別室で翼は自分の組織である特異対策機動部二課と通信を行う。

 

「翼です。え?ガングニール!?…はい、奏は一緒です」

 

本部の通信によると、ノイズの出現ポイントにガングニールの反応があるという。

しかし、奏は自分と一緒にいる。

 

一体どうなっているのか?

訝しむ翼に指令が与えられる。

 

「了解しました。出撃します」

 

ノイズの殲滅を優先しつつ、現れたガングニールの反応を調査すること。

その内容を了承し、一瞬逡巡した後、

 

「…いえ、コードネーム:ブリュンヒルデと接触しました。同行を依頼します」

 

そう言って、一方的に通信を切る。

報告の義務は果たした。

それ以上の追及は、恩人に失礼だと思ったから…

 

剣であるはずの少女は、自分の些細な心境の変化に気付く事無く、恩人の待つ部屋へと戻った。

 

***

 

ノイズ警報が鳴ってから少し待ってて欲しいと言われて、翼さんは別室に行ってしまった。

 

ていうか、まだ別室があったのかよ!?

そっち全然掃除出来てないよ…

 

結構な時間奏さんと二人で掃除したのにまだ未開の地が残されてるとか、どんだけだよ…

ん?メール?未来ちゃんから?

 

『避難場所に響が見当たらないの。蘭子と一緒?』

 

……………え?

 

落ち着け、落ち着け俺。

 

響ちゃんは何処に行くと言っていた?

 

翼さんのCDを買いに、だ。

 

じゃあ響ちゃんがよく行くCD屋は?

 

………

 

「紅き歌姫!我は…!」

 

「お、おぅ、急にどうしたんだ?」

 

戸惑う奏さんを置いて、響ちゃんを探しに向かおうとした時…

 

「待たせたわね」

 

翼さんが戻ってくる。

翼さんには悪いが、今は響ちゃんを探さないと!

 

「行きましょう。たぶん君の行き先と同じだと思うわ」

 

……へ?

もしかして翼さんは響ちゃんの居場所がわかってんの?

 

***

 

「ではこれを被って」

 

翼さんにヘルメットを渡される。

 

そう、翼さんは現地までバイクで向かうみたいなので、後ろに乗せて貰う事になったのだ。

 

なったのだが……

 

風神(ノルズ)の息吹が我を襲う!?」

 

翼さん、めっちゃ飛ばすんですけど…

さっきから翼さんに抱き付いてるだけで精一杯なスピードだ。

ていうか、そういえば俺今スカートなんですけど!?

 

「あ、蒼の歌姫!我がっ!我が禁断の花弁がっ!!」

 

「しっかりつかまってなさい。振り落とされるわよ!」

 

駄目だ…全然通じてねぇ…ていうか、たぶん風圧で聞こえてねぇ…

 

そうして、ノイズ警報で皆避難している為、人の居なくなった公共の道路をパンツまる出しで高速移動する女子高生の姿がそこにあった…

 

ていうか、俺だった…

 

人居なくて良かったよ…マジで。

 

***

 

翼さんの後ろにしがみつく事、数十分。

周囲を見渡すと、どうやら工場地帯の方まで来ているようだ。

こんな所に響ちゃんが居ると思えんのだけど…

 

「居た」

 

え?響ちゃん!?

…ってなんだデッカいノイズじゃん。

今ノイズなんて相手してる暇は…

 

「飛ぶわよ!」

 

ゑ?

 

翼さんがトップスピードのままデカいノイズの方向に突っ込みながら器用に俺をお姫様抱っこして、座席の上に立つとそのまま宙にジャンプした。

 

うわぁ…俺今空飛んでるよ…

 

~Imyuteus amenohabakiri tron~

 

翼さんが歌を口ずさむ。

 

何で歌?

もしかして急に歌うの流行ってんの?

 

そんな事を考えていたら至近距離で翼さんの格好がみるみる変わっていく。

 

「ここで待っていて」

 

完全に変身が終わって、お姫様抱っこから解放される。

 

「すぐに終わらせるから!」

 

ヤダ!カッコいい!

 

♪絶刀・天ノ羽々斬

 

「はぁっ!」

 

―蒼ノ一閃―

 

翼さんの手に持つ剣が大刀型に変わり、斬撃を飛ばす。

 

―千ノ落涙―

 

次は上空に跳んだと思ったら無数の剣の雨がノイズ達に襲いかかる。

 

スゲーな…

俺みたいなズルの力じゃなくて研鑽された技って感じだ。

 

「蘭子ちゃん!!」

 

後ろから声が聞こえる。

知っている声…

聞き間違える筈が無い親友の声に安堵し、振り返る。

 

「輝き持つも…の…よ?」

 

「ほぇ?どしたの?」

 

なんか響ちゃんまで変身ヒロインになってんだけど…

何故か幼女抱えてるし…

 

てか、改めて見るとえっろ!

何でそんなキワどいカッコしてんの?

 

え?翼さんもじゃないかって?

翼さんは…まぁ…ね?

響ちゃんとはとある一部分がだいぶ違うし、翼さんはどっちかというとカッコいいだから…

わかるよね?

 

―天ノ逆鱗―

 

そんな事を思っていたら翼さんが丁度ノイズを殲滅し終わったみたいだ。

マジですぐだったな…

 

しかし、翼さんのあの歌…

俺の謎翻訳とめっちゃ噛み合っちゃう気がしてきた…

もしかして、あのキラキラした視線ってやっぱ気のせいじゃなかったの?

 

「はい。終わりました。ガングニールの反応と思しき装者も一緒です」

 

ん?どっかと通信してんのか?

て事は、なんかの組織が後ろにいるって事で…

 

「はい、あったかいものどうぞ」

 

「はぁ、あったかいものどうも」

 

響ちゃんが何処からか現れたキャリアウーマンっぽい美人のお姉さんから飲み物を受け取っていた。

 

おいおい…これはちょっとまずい状況じゃね?

 

最悪、響ちゃんだけでも…

周囲を見渡して逃げ道を探そうとすると…

 

「抵抗しないように。貴女達には特異対策機動部二課まで同行願います」

 

翼さんに背後から声を掛けられる。

 

………はい。

 

正直に言うと、形振り構わなければ逃げようと思えばいつでも逃げれるのだが、ここに来る前に見た翼さんと奏さんの姿をふと思い出し、彼女達をもう少しだけ信用してみようと思ったのだった。

 

***

 

翼さん達に連れられて来た先は、何故か我らが母校、私立リディアン音楽院だった。

 

「ついてきて」

 

先生達がいる中央棟のエレベーターに乗せられる。

 

「危ないからつかまってなさい」

 

翼さんに声を掛けられる。

わかりました。

 

「蘭子ちゃん!?何で翼さんに抱き付いてるの!?」

 

あれ?違うの?

だって翼さんがつかまってろって…

 

「はぁ…別にいいわ、このままで」

 

次の瞬間エレベーターが凄いスピードで動き出す。

あまりのスピードに響ちゃんとか「ほんぎゃぁぁ!」とか言っている。

女子が出していい声じゃないと思うよ…

 

かく言う俺も俺でかかるGが半端ないから、また翼さんに力いっぱいしがみつく形になっている。

うぉっ、結構キツいな…

 

ようやくエレベーターの最下層に着いたみたいだ。

 

どうやら一本道みたいなので、響ちゃんと二人で手を繋ぎながら恐る恐る先に進む。

 

翼さん?

翼さんなら何か思う所があるらしく、なんかブツブツ言いながら後ろをついてきてる。

時たま「サイズが…」とか、「年下なのに…」とか聞こえてくるけど一体何なんだろうね?

案内役を放棄して大丈夫なのかな?

 

お、あそこでいいのかな?

 

一番奥の突き当たりにあった扉を開くと…

 

「ようこそ!特異対策機動部二課へ!」

 

「輝き持つ者よ!あれに見えるは災厄の獣!仮初めの死を!」

 

「え!?熊!?死んだふりすればいいの!?」

 

俺と響ちゃんが即座に死んだふりをする。

割と覚悟して来たっていうのに熊をけしかけるなんて聞いてねぇよ!

 

「何!?熊だとぉ!?一体何処から!?緒川ぁ!セキュリティはどうした!?」

 

「いや…あの…言いにくいんですが…たぶん司令の事だと思います」

 

「何ぃ!?俺が熊!?」

 

「アハハハハ!ヒィ!ヒィ!お腹痛い…」

 

「はぁ…何やってんだよお前らは…」

 

奥から奏さんの呆れた声が聞こえる。

ていうか、一人爆笑してる人いるな…

 

聞く限り司令って事はトップって事だけど、あんな態度で大丈夫なんだろうか?

 

熊扱いして死んだふりした俺が言える立場じゃないけどね!

 

***

 

熊改め風鳴弦十郎さんから、響ちゃんが発現した能力について説明を受ける。

ん?風鳴?翼さんの血縁者かな?

全然似てないけど。

 

っと、話逸れたけど響ちゃんとか翼さんの能力の話ね。

 

シンフォギア。

 

簡単に言うと、過去の聖遺物の力を使って、ノイズと戦う為のシステムらしい。

その力を使う為には、フォニックゲインという力が必要になるので、ああやって歌っているらしい。

急に歌ってる訳じゃなかったのね…

 

しかし、何処かで聞いた話も何も発動条件とかまんま俺の力と一緒なんだけど…

偶然…というには出来すぎてるよなぁ…

次に事務員に会った時に聞いてみよう。

答えてくれるかは知らんけど。

 

どうやら響ちゃんのメディカルチェックも終わったみたいだ。

 

「これが、ガングニールの欠片ね」

 

あの場で、ただ一人爆笑してた櫻井さんから説明を受ける。

どうやら響ちゃんの胸に埋まった聖遺物は現代医学で取り除くのは難しいとの事らしい。

 

「アタシの不手際のせいで、すまねぇ…」

 

「そんな!?頭を上げてください!」

 

奏さんが響ちゃんに頭を下げる。

後で聞いた話だが、奏さんはツヴァイウィングだけじゃなく、シンフォギア装者も既に引退してるらしい。

 

しかし、いかんな…色々ありすぎて頭がついていけなくなってきた。

そして、それは響ちゃんも一緒だろう。

そろそろ何とかして帰りたい所なんだが…

 

…ん?帰る?

………そういえば未来ちゃんに返信してねぇわ…

 

恐る恐る携帯を見ると…

 

着信83件、メール393件という恐怖の数字が映し出されていた…




今回はタメ回。

次はみんな大好きやっさいもっさいなあの子の出番です。
奏さん生存なのでビッキーとSAKIMORIの確執はスキップされます。
今回のタイトルはどストレートです。
蘭子より飛鳥の方が好きそうですが(笑)

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