Inferior Stratos   作:rain time

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 説明し忘れてしまったのですが、無人ISが放送室を攻撃した時に雪広たちは中に入って防御できたのは、無人ISが乱入した時にアリーナのシールドに穴が出来たためです


第11話 事後報告と予想

 クラス対抗戦の日の夕方、自分と一夏は会議室にいる。ここには織斑千冬やその他の教師、織斑一春、篠ノ之箒、そして簪、鈴、楯無さん、十蔵さんもいる。無人機の件で呼び出されたのだ。

 山田先生が部屋に入る。これで全員そろったようだ。十蔵さんが話し始める

 

「皆さん揃ったようなのでこれから緊急会議を始めます。議題は皆さんご存知の通り、クラス対抗戦での乱入ISについてです。では、更識さんよろしくお願いします」

 

 楯無さんは今回現れたISについて今分かっている情報を報告した。無人機であり、今のところ現存するどのコアでもない、つまり存在しないはずの468個目のコアではないかとのこと。IS学園を襲撃した理由は不明のままだと。

 自分の予想では束さんの作ったコアなのだろうが、如何せんIS学園を襲撃する理由がない。あとで確認する必要がありそうだな・・・

 その後、無人ISを止めた簪と鈴の報告を終える

 

「ありがとうございました。・・・それでは質疑応答の時間を設けます。なにか質問や意見のある方はどうぞ」

 

 直後、織斑千冬が挙手をする。なんとなく嫌な予感がする・・・

 十蔵さんに指名され、ヤツは立ち上がって言う

 

「学園長、遠藤兄弟のISは無人ISの高火力レーザーに耐えています。これは明らかに今ある第3世代のISの性能を上回っています。直ちに没収し我々が保管、もしくは織斑一春に渡すべきです」

 

 なんつー理論だ。草も生えない。それに、その考えに賛同するクズの狂信者もいるのはどうしようもない

 

「織斑先生はそう言っていますが、雪広君、何か反論などはありますか?」

 

 おっと、自分が指名されたか。それならばこちらの意見でも言ってやろうじゃないか

 

「ではまず一言・・・今の考えに賛同した方はバカ丸出しですね」

 

 嘲笑するように吐き捨てる。クズやその信者たちは顔を真っ赤にしているのが目に見えるがお構いなしに続ける

 

「まず今回の議題は『無人ISについて』です。つまり乱入ISが何者なのか、何の目的でIS学園に来たのかを確認し、今後そのようなことがないように、来たとしても被害を最小限にするような対策を立てるのが議題の目標のはずです。それなのに自分たちの機体を没収するというのはこの議題の内容にそぐわないと思いますが、いかがでしょう、学園長」

「そうですね。明らかに的外れな意見ですね」

 

 学園長が言うと狂信者たちは俯いた。何も言い返せないようだ、と言うより言い返しようがない。クズは相変わらず自分たちを睨んでいる

 

「まだあります。緊急時の対応についてです。無人ISが現れて、自分たちが扉を壊そうとした時、織斑先生、なんて言いました?まさか覚えてないとは言わせませんよ」

「・・・」

「それに、無人ISが現れた後も指揮官であるあなたはろくな指示をしなかったそうじゃないですか。どういうことです?代表候補生に丸投げですか?自分自身は高みの見物ですか?」

「・・・チッ」

「それに、扉を破壊した後、我先にと逃げ出した教師の方々、そんなに我が身がかわいいのですか。この学園から立ち去ったらどうです?命の危険はなくなりますよ?」

「「「・・・」」」

 

 ・・・なんだよ、誰も言い返せないのかよ。つまんねーな。所詮、女尊男卑の女は口先だけだな

 まだまだ言うことがあったが十蔵さんが手を叩く

 

「・・・では、あの場にいたにもかかわらず避難誘導をしなかった教師は減給4か月を言い渡します。セキュリティについては今後改善する方針とします。そして、織斑先生、あなたの緊急時の指揮権を剥奪します。そしてその指揮権を山田先生に移します。何か反論はありませんか」

 

 山田先生か・・・少し不安があるがたぶん大丈夫だろう。そもそもこんなことが起こらないのが一番だが

 

「では、これで・・・」

「最後に・・・「ちょっと待ってください!!」」

 

 くそ、最後に奴らの処罰について言おうと思ったがクズが遮りやがった

 

「どうされましたか、織斑先生。先ほどまでのは決定事項ですよ」

「そうではありません!遠藤兄弟は『避難無視』をしています!これは明らかに罰するべきです!!」

 

 ほーう?少ない脳みそでも穴を突いてくるとはな。ま、それが奴らの首を絞めていることにまでは気づいていないようだが

 

「生徒は避難するように命令があった。だがこいつらはその命令を無視し、アリーナに侵入し戦闘に参加した!これを罰しないのはいかがかと思われます、学園長!」

「・・・雪広君、何か反論は?」

「・・・確かにその点は間違いではありませんね」

「ならば話が早い!専用機をよこせ!」

 

 こいつ、自分たちの専用機を取る以外のことを考えてないな。だがこっちも黙ってはいられない

 

「・・・こちらの意見を受け入れるならばその命令に従いましょう」

「に、兄さん!?」

「な、なに考えてるのよ!?」

「そうだよ!雪広は無人ISの無力化に貢献したじゃん!!」

 

 一夏達がうろたえてしまった。先に自分の考えを伝えておくべきだった。すぐにプライベートチャネルでみんなに大丈夫だから安心して、と伝える

 

「で、貴様の要件は何だ」

「簡単な話ですよ。『織斑一春と篠ノ之箒の処罰』についてです」

「何!?」

「何を驚いているのですか、彼らも無人ISが来た時に適切な行動をしていないじゃないですか」

 

 すると今まで黙っていた馬鹿達が騒ぎ出す

 

「何を言ってやがる!俺は何も間違っていない!!」

「そうだ!私達が何をしたというのだ!」

「分からないなら教えてやるよ。織斑、お前は乱入ISに対し何が起こるかわからないにもかかわらず『自身を過信して』特攻をし、場を混乱させた。篠ノ之、てめえは放送室の人たちを暴力で気絶させた上にその人たちの『命の危機にさらす行為』をした。何も間違ってはいないだろう」

「違う!私は一春に激を入れようと・・・」

「その織斑は気絶して退場しているのに気づかなかったのか?まさかそんな安い応援で意識を取り戻し、あまつさえパワーアップするとか思ってんのか?脳みそ取り換えたほうがいいぞ」

「貴様ァーー!!」

 

 どこからか竹刀を取り出して自分に突撃。ほんと懲りないよな、こいつも。ただ、今回は周りに人が多いから竹刀をはじくと迷惑がかかる。だから竹刀をつかみそのまま顎に掌底を叩き込む。あえて気絶しない程度に撃ったから、モップが悶絶しているのを確認した

 

「なにより、この二人も織斑先生の言っていた『避難無視』をしています。まさかとは思いますが、織斑先生、私たちを罰し織斑達には何のおとがめなしとは考えていませんでしたよね?」

「・・・くそっ」

「それに自分たちはあくまで防衛していたのに対し、織斑達は場を混乱させていますからね。どちらがより罰せられるかは一目瞭然でしょう?自分たちの専用機を剥奪するならそれ以上の罰をこいつらに受けてもらわないと」

「・・・」

 

 考えることバレバレなんだよ。お前の思い通りになると思うなよ

 

「と、いう事で後の判断は学園長に任せます」

「分かりました。・・・では、避難無視をした雪広君と一夏君は放送室の生徒を守ったことをふまえて十枚の反省文、避難無視かつ場を混乱させたとして織斑君には五十枚、避難無視かつ他の生徒を気絶させ、危険にさらしたことから百枚の反省文かつ一週間の自室謹慎を言い渡します」

「「「なっ・・・!」」」

 

 クズどもが驚いているが、妥当だろう。個人的には織斑の罰をもう少し厳しくしてもいいと思ったが学園長がそう言ったのなら仕方がない。ただ一夏に迷惑をかけてしまったな。

 プライベートチャネルで一夏に謝ると気にするな、って返事が来た。良かった

 

「これで緊急会議を終わります。皆さんお忙しい中ありがとうございました」

 

 さて、さっさと反省文を終わらせるとするか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜、一夏とともに自分たちの自室にいる。夕飯も風呂も反省文も済ませ、盗聴されていないのを確認してからパソコンである人に電話をかける。相手は束さんだ

 1、2コールしたらすぐ出てきた

 

「もすもす終日?束さんだよ~」

「終日~、雪広です」

「こんばんは、一夏です」

「そっちから電話をかけるってことは何か聞きたいことがあるのかな?」

 

 よく分かってらっしゃる。今日現れた無人ISとあることを聞くために電話をしたのだ

 

「ええ、2点ほど」

「最初は何かな?」

「今日現れた無人ISについてです」

「・・・」

「単刀直入に言います。束さんの差し金ですか?」

 

 あのフォルムは束さんが作ったような感じがした。もしかしたら誤作動だったのかもしれない、そんな思いで返答を待つ

 

「・・・確かにあのISは私が作ったゴーレムだよ」

 

 でも私は知らないの、と束さんは言い淀むようにして言う

 

「実は前に試運転していたゴーレムが帰ってこなかったことがあったの」

「「!!」」

「なんとなくで作ったものだったし、海の上で通信が無くなったからてっきり海の底に落ちちゃったのかと思ったんだけど、まさかこんな風になるなんて・・・」

「まさか、独自で進化して俺たちのところに来たのか?」

「いや、調べたら明らかに改造された跡があったの。だからどこかの団体かがやったのかと思う」

「その団体は?」

「分かんない、束さんも今調べているんだけどその記録だけ抜け落ちてる感じなの」

「どこかのテロ組織だったりするかもな」

「・・・その節はあるぞ、一夏」

「え!?」

 

 一夏は半分冗談で言ったかもしれないが、自分はふと思いついた組織がある

 

亡国機業(ファントム・タスク)、最近活動が水面下だが活発になっている組織だ。もっとも目的が分からないからテロ組織なのかがよく分からないんだがな」

「そうだね、最近ISの強奪事件が起こっているんだけど亡国機業がやっているんじゃないかと思う」

「で、でも今回なんでIS学園を襲撃したんだ?」

「分からない。亡国機業じゃないかもしれないが・・・どちらにせよ警戒しないとな」

「束さんも機体を奪われることがないようにするよ」

 

 束さんの機体を奪われると非常にまずいからな。あの人遊びで最先端以上の機体作り上げるし。今回は何とかなって良かったが二度目は無いようにしてもらいたい

 まあ、束さんが犯人じゃなくてよかった

 

「さて、もう一つですが、『形態変化(モードチェンジ)』についてです」

「!何かわかったことがあるの!?ゆーくん!」

「あくまで自分の仮説ですが、おおよそ」

 

 束さんに簪が形態変化したことを伝える。無人ISを調べていたために、3人目の形態変化をした人が現れたことを知らなかったようで、とても驚いていた

 

「それで自分、一夏、簪の三人の共通点から形態変化できる条件のヒントがあるのではないかと思うんです」

「で、ゆーくんの考えている共通点って?」

「多分ですが、『幼少期につらい経験をした』上で『自身が所有するISのシンクロ率が高く』、『戦闘中に強い負の感情やストレスを感じる』。この三条件じゃないかと」

 

 何気に一夏と自分はISのシンクロ率が高いし、簪も組み立ての時からずっと接触していたからか高いし、他の条件も満たしているし・・・かなり的を得ていると思う

 

「・・・つまりその簪、って子もこの条件を満たしていたってこと?」

「ええ、どれも当てはまっています。もっとも、自分は三つ目がややあいまいなので確証とは言えませんが」

「あれ?でも俺たち、今はストレスなくても形態変化できるけど?」

「ああ、今言ったのは()()()形態変化するときの条件さ。一度発動したらいつでもなれるんじゃないか?」

 

 条件はあるがな、と付け足す。自分たちはSEがある程度減ってないと発動できないし、自分はさらに感情に左右されるし・・・まだまだ未知の機体なんだな

 

「なーるほどね。いい情報ありがとう!」

「いえ、自分も聞きたいこと聞けて良かったです」

「束さんも元気そうで何よりです」

「うんうん、二人ともうまくやれていてよかったよ」

 

 じゃ、またねーと言って電話が途切れる

 

「束さんの差し金じゃなくてよかったな、」

「ああ、だけど束さんが機体を盗まれるなんて・・・」

「束さんも人間なんだから一つや二つミスがあるだろう、そこを突かれた感じだな」

 

 もっとも、そいつがいる団体は気をつけなければならないことに変わりないが

 とは言いつつ・・・自分たちではどうしようもないし・・・

 

「兄さん、もう寝たら?船漕いでるぞ」

「っああ、そうだな」

 

 あんまり気を詰めすぎるのも良くないし今日はもう寝よう。おやすみ、と言ってベッドに入る。今日は濃い一日だったよ

 でも、皆無事でよかった




 これで1巻終了!長かった
 1か月くらい更新できなかったのに、まさかお気に入りが200件超えていて驚きました。読んでくれる人がいて嬉しいです

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