Inferior Stratos   作:ユキ (旧 rain time)

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 原作2巻開始!


第3章 タッグマッチトーナメント
第13話 火種の転校生たち


 無人IS襲来から二週間ほど、簪に告白されてから3日ほど過ぎた。早く簪と話がしたかったが、休みの日という事もあってか、こういう時に限って接触できなかった。とはいっても、()()()()()を信じてもらえるか・・・何より簪は傷ついてしまうかもしれない・・・でもこれを先延ばしにするのは根本的解決と言えないし・・・

 

「どうした?兄さん、なんか具合悪そうだけど・・・」

「いや、何でもない」

「そうか・・・あんまり溜め込むなよ、兄さん」

 

 ・・・うん、そうだよな。やっぱり先延ばしにするのはやめだ。今日言おう。()()()()()()()今日簪に言おう。・・・自分の事を。

 と、山田先生とクズ教師が入ってくる。クズ教師曰く、今日から本格的なISの訓練が始まるらしい。またふざけたことを言っていたらしいがもう慣れてしまった。慣れていいものでもないが。

 今度は山田先生に代わってホームルームが始まる

 

「今日はですね、なんと転校生を紹介します!それも二人です!!」

「「「ええええええっ!?」」」

 

 転校生、しかも二人ということでクラスメイトが驚く。だが、なぜこの時期なのだろうか?何よりなぜ一組に集中させる必要があるのか?一夏も同じことを考えているのか首をかしげている

 どうぞ、と山田先生が言うと扉が開かれ転校生が入る。すると騒めいていた教室が一瞬で静かになった。入ってきたうちの一人が()()()()()を着ていたからだ

 すぐに一夏にプライベートチャネルを開く

 

(どういうことだ?男性IS操縦者は俺たちだけじゃなかったのか?)

(そのはずだが・・・もしかしたら男の格好をしているだけかもしれないが)

 

 スカートが嫌いとかそういう理由があるのかもしれないと思った。その疑惑の生徒が自己紹介をする

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、皆さんよろしくお願いします」

 

 金髪の美少年?が一礼する。その後、誰かのつぶやきで自身が男だと言い切った。だが

 

(という事はアイツが4番目の男性IS操縦者ってことになるけど・・・本当に男か?俺にはそうは見えないが)

(ああ、自分もそう思う。あれで男と言い切るのには無理がありすぎる。それに世間が全然騒いでないし、自分もそう言ったニュースは見たことがない)

 

 それだけじゃない、と続けて会話する

 

(デュノアってことはデュノア社の人間かもしれない。その場合は厄介かもな)

(確か、あそこは経営が傾いているって言ってたが・・・まさか!)

(スパイの可能性もある。一番厄介な可能性だがな)

(・・・どうする?兄さん)

(向こうがどう出てくるかだな。こちらから仕掛けることはしなくていい。だけど、ちょっと調べないとな・・・)

 

 こりゃあ今日の訓練は無理そうだな。出来るだけ情報を集めないと最善手を打てないからな

 

(分かった。もし絡んできたらうまく対応するよ。できるだけ関わらないようにする)

(ああ、気をつけてな。お前のほうが話しやすそうだから絡んできそうだし)

 

 と、一旦通信を切る。それまで聴覚を遮断していたため、みんな盛り上がっているようだが前後がつかめない

 すると山田先生はもう一人の生徒に注目するように言う。長い銀髪で小柄だが威圧感満載のオーラ、そして眼帯か。いろんな要素が詰め込まれているな。クラスもだんだんと静まっていくが一向に話始めようとしない

 

「・・・挨拶をしろ、ラウラ」

「はい、教官」

 

 ・・・嫌な予感がする。これはもしかしたら千冬信者かもしれないな

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

 なんとまあ簡略した自己紹介だこと。これ以上言う必要はないってことか?

 

「あの・・・以上ですか?」

「以上だ」

 

 すると織斑一春の所に歩き、クズの前に立つ

 

「貴様が織斑一春だな」

「そうだけど、俺に何か・・・」

 

 バシンッ!!

 クズに対して思い切り平手打ちをかました。ヤツがカッコつけていただけに痛快だなw

 

「てめえ!何しやがる!」

「認めない。貴様が教官の弟であるなど、認めるものか」

 

 これは珍しい、千冬信者ではあるのに織斑一春を嫌うとは。基本どちらともの信者がほとんどのはずだが、こいつはレアキャラだな

 なんて思っていると今度はこちらに来た

 

「貴様は教官に歯向かっているそうだな」

「だからなに・・・」

 

 ヒュッ

 上体を反らすとボーデヴィッヒの手が空を切る。平手打ちかと思ったが、ナイフで頸動脈あたりを横薙ぎしてくるのかよ。ま、殺意があふれ出ていたからやってくるんだろうなとは思っていたが

 

「何?ドイツの軍人は気に入らない相手を傷つけていいのかい?」

「教官は絶対の存在だ。貴様の行為は万死に値する」

「ふーん。その行為が織斑千冬の価値を下げているってわかんないの?織斑千冬が自己中心的で他の人間を排除するクズだと主張するようなもんだが?」

「!!・・・チッ!!」

 

 織斑千冬のことを相当崇拝しているらしい。ボーデヴィッヒは矛を収め苛立つように空いている席に着く。その後ようやくクズ教師がSHRを始める

 

「・・・では、一限目は2組との合同でISの合同練習だ。一春、デュノアの面倒を見てやれ(遠藤・・・あのままくたばれば良かったのだがな)」

 

 心の声が駄々洩れだっつーの。自分に睨みながら言うんじゃねーよ、全く。

 ま、自分たちはデュノアの面倒を見ろと一言もいわれていないから、さっさと更衣室に向かおう

 

「行くぞ一夏」

「おう!」

 

 と言って教室の窓から飛び降りる。この教室は3階だがISがあれば問題ない。着地の前に脚部を部分展開して衝撃をなくし、そのまま更衣室まで最短経路でダッシュだ。これなら余裕で授業に間に合う。

 にしてもやることが増えちまった。デュノアに加え、ボーデヴィッヒのことも調べなければならなくなっちまったじゃないか。なぜ調べるかって?

 

 ()だからだよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は飛んでお昼休み。初めての実習では教師の実力を示そうという名のもとに、俺たちに恥をかかせようと俺と雪兄さん対山田先生の模擬戦をやらせた。ま、兄さんとだったから阿吽の呼吸で山田先生に勝利することができたんだけどな。この時の織斑千冬の顔は滑稽だったよ。その後は特に問題もなく授業を終えた。

 

「君が遠藤一夏君だね」

 

 と、疑惑の男子が声をかけてきた

 

「ああ、確か・・・シャルル・デュノアだったな」

「うん、改めてよろしくね」

 

 こっちはよろしくするつもりはないがな、と心では言う。それを微塵も出さずにデュノアと握手する

 

「ところでさ、今からお昼だよね?今から一緒に食べない?交流を兼ねてさ」

 

 なんか俺と接触をしているようにも見える。さて、どうするか・・・できればこいつの裏の情報が分かるまで関わりたくないが・・・

 と、そこへクラスメイト達がこちらに来る

 

「あーーーっ!!デュノア君だ!!!」

「ねえねえ、今からお昼一緒に食べよ!!」

「デュノア君のこと、もーっと知りたいし!!!」

「え、ええっと・・・」

 

 ナイスタイミングで食事のお誘いが来たようだな。これはその流れに乗せよう

 

「誘われたんだからそっちに行きなよ。俺たちの交流もいつでもできるからさ」

「うん・・・そうだね・・・」

「それじゃ、レッツゴー!」

 

 心なしか残念そうな顔になるも、クラスメイト達に連れていかれた。

 さて、俺も食堂に向かおう

 

 

 

 

 ・・・思った以上に混んでいるな。デュノアがいるから皆こぞって来たのだろう。これは席を確保できるかどうか・・・

 

「一夏!こっちこっち!」

「席なら取っといたよ!」

「私もいるよ~」

「サンキュー。鈴、簪、のほほんさん」

 

 こういう時こその友達だな。しかも席の位置もデュノアのいるところからかなり離れているところだからより好都合だ

 食堂から昼食を取って鈴たちの所に行く。食べながら話し始める

 

「なあ、デュノアってどう思う?」

「・・・アイツに気をつけなさいよ。絶対女よ」

「私もそう思うな~」

「私は見てないけど、男ってのは怪しすぎるな」

 

 どうやらデュノアが女ではないかと思っているようだ。クラスメイトが疑問に思っていなさすぎるから俺と兄さんがおかしいのかと少し不安になっていたが、安心した

 

「そうだよな。色々とおかしいもんな。見た目も世間の反応も」

「そうだね。普通男性IS操縦者がでたら騒ぐもん。それにヨーロッパでは初めてでしょ?なのにそこの反応が無さすぎるのはおかしいよ」

「それにアイツ、骨格が女子だもん。一夏や雪広みたいな感じじゃないわ。声だって男とは思えないような高さだし」

 

 鈴は体、簪は世間の目からデュノアが女だと推測している。俺も二人に同意見だ

 

「それに~、でゅっちーISについて詳しすぎるんだよね~。ゆっきーといっちーが山ピーと戦っているときに機体の説明をしていたけど、スラスラ言葉が出たもん。私じゃあ言えないよ~」

「それは勉強不足じゃないの?」

「かんちゃんひど~い。昔はそんなひどいこと言わなかったのに~」

「え~?でも明るくなって嬉しいって言ったのはどこの誰だったかな?」

 

 それとこれとは別だよ~、とのほほんさんがふくれっ面になる。なるほど、そんなことがあったのか。確かに兄さんのいた中学のトップレベルでもない限り、短期間でそれほどの知識を覚えて答えることは出来なさそうだし、時間をかけていたとすると今度はなぜ男性IS操縦者を名乗らなかったのかが疑問になる。アイツ、首を絞めたな

 ところで、と簪がきょろきょろしながら質問する

 

「雪広は?」

「あれ~?授業までは一緒だったのに」

「そういえばいないわね。どうしたの?」

「ああ、兄さんは今自室かな。多分デュノアの情報を探ってる」

 

 午後は休むと聞いていたし。こういう時は大抵、何かを調べているときだ。今回ならデュノアのことだろう。午後は座学だし、兄さんなら受けなくてもカバーできるから、その時間を使っているのだろう

 

「ええ~、いないのか・・・残念」

「そんなに兄さんに会いたかったのか?」

「かんちゃん、ゆっきーに告白したんだよね。その返事を聞きたいんでしょ~?」

「「・・・ええっ!?」」

「ほ、本音!」

 

 さっきのおかえし~とのほほんさんが言う。ってそうだったのか!?だからここ最近の兄さん、変だったのか。にしても、まさか兄さんに惚れてしまうとは・・・本当のことを言うべきなのだろうか・・・

 ・・・いや、やめとこう。兄さん自身のことだし、俺がでしゃばることじゃない。それに、俺自身も鈴の告白を待ってもらっている俺が言う資格もない

 っと、携帯が震えている。メールが来たようだ。兄さんからのようだ

 

『今夜情報を引き出すためにカマかけようと思ってる。手伝ってくれるか?』

 

 男同士の交流という事で部屋に連れ込んで尋問をするようだ。『わかった。鈴たちにも伝えとくか?』と返すとすぐにOKの返事が来た

 文字通り姦しくしゃべっている3人にこのことを伝える

 

「兄さんと今夜、デュノアにカマかける」

「「「!!!」」」

 

 兄さんから来たメールを見せ、どのようにカマかけるかを伝える

 

「あたしたちもいたほうがいいんじゃない?万が一のこともありそうだし・・・」

「いや、今回は俺たちでやる。あんまり多いと話してくれないかもしれないし、警戒してきそうだし」

「・・・分かったわ」

「気をつけてね~」

「でも無茶はダメだぞ♪」

「ああ、ってかなんか楯無さんっぽい言い方だな、それ」

「やっぱり?やっぱお姉ちゃんに似ているんだよね~」

 

 鈴や簪は代表候補生という事もあり、あんまり関わると問題になるかもしれない。俺たちは国の代表候補ではないからある程度は大丈夫のはずだ

 

 さて、午後からの授業も頑張りますか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時刻は夜。実行する時間帯だな。デュノアの部屋はクラスメイトのネットワークからすぐに聞き出すことができた。どうやら急遽決まったことなので一人部屋らしい。しかも、部屋に入った上に俺が聞いた時まで部屋から出ていないそうだ。そこまで出ている情報にも少し恐怖を感じるが、好都合だ。

 デュノアの部屋の扉を二回ノックする。するとデュノアが出てきた。ジャージ姿で男とも女とも思える格好だな

 

「はーい、って遠藤君?」

「ああ、こんばんは。あと遠藤だと二人いるから一夏でいいよ」

「こんばんは。わかったよ、一夏。ところでどうしたの?」

「昼、デュノアが誘ってくれたのに交流ができなかっただろ?放課後もシャルルを見なかったし、今から親交を深めようかと思ってたんだが」

「あー、そうだね・・・どうしようかな・・」

 

 なんだ?昼は交流しようとしてきたのに、今はためらっている感じがする。まさか感づかれたか?・・・ここはあえて引こう。最悪次の日にするか。感づかれないためにも

 

「もしかして、間が悪かったか?違う日にするか?」

「う、ううん!早いほうがいいしね。ここでやろうか?」

「いや、俺の部屋でやろう。色々もてなすぜ」

「っ・・・」

 

 なんか一瞬顔がこわばった気がするが・・・あえて気づかないふりをする

 

「?どうした?」

「な、何でもないよ!じゃあ、少し準備してから行ってもいい?」

「ああ。待ってるよ」

 

 よし、おびき寄せることに成功したことを雪兄さんに伝える。間もなくデュノアが部屋から出てくる

 

「お待たせ」

「それじゃあ行こうか。男同士気兼ねなく話そうぜ!」

「うん・・・」

 

 明らかに反応が悪いし、これは女なのは確定だな。あとはなぜ男装をしているのかだな

 

 覚悟しろよ、シャルル・デュノア

 

 

 

 

 

 

 僕、ことシャルル・デュノアは同じ男性IS操縦者の一夏からのお誘いで男子同士の交流会をすることになった。でも、僕は一夏の部屋でやることに不安を感じている。僕の知られてはいけない秘密を・・・知られそうで。なにより、社長から接触するなと言われている人と関わりそうで

 ほどなくして一夏の部屋につく。ノックもせずに扉を開く

 

「ほら、先に入って」

「お、おじゃましまーす・・・」

 

 一夏につられるがまま部屋に入る。見たところもう一人の男性IS操縦者はいなさそう・・・

 

「ん?デュノアか」

 

 思わずびくっとしてしまった。ドアから死角のベッドにもう一人の男性IS操縦者、遠藤雪広が出てきた。そうだよね、一夏の部屋だもんね。彼がいて当然だよね・・・

 

「ま、好きなとこに座ってよ。ベッドでも椅子でもいいからさ。あと何か飲む?緑茶?水?」

「りょ、緑茶で」

 

 OKと雪広はお茶を淹れ始める。思っていたよりも話しやすそうだし・・・社長は関わるなと言ってはいたがそんなことはなさそう・・・

 

「ほい、熱いから気をつけてな。一夏も」

「うん、ありがとう」

「サンキュー」

 

 あ、美味しい。なんていうんだろう。なんか落ち着く。

 

「それじゃあ、一夏、扉ロックして。女子たちが入れないようにさ」

「ああ、分かった」

 

 一夏が立ち上がり、ガチャリとドアをロックする。それを見て、僕は話題をふる

 

「何から話そうか?」

「うーん、そうだなー」

 

 と言うのを聞きながら、僕はお茶をすする。どんなことを話すのだろう?

 

「じゃあ、質問いい?」

「うん、いいよ」

「それじゃあさ、

 

 

 

 

 なんで男装してるんだい?シャルロット・デュノアさん?」

 

 




 シャルルの恰好は原作と同じです
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