今回の戦闘で・・・
ロマーヌ夫人の最後のあがきとして始まったIS戦。相手は計9機のラファールに対し、こちらは専用機の3人。社長を守る条件はあるものの、俺たちのほうに分がある。
奴らは三人グループで俺たちにそれぞれ襲い掛かる。ロマーヌは雪兄さんの方へと向かった。ということは、俺は取り巻きの三人を潰すだけか
「くたばれええーーー!!!」
そのうちの一人が特攻をかます。だが、これは何度も見てきた光景だ。しかもあのクズよりも遅い・・・遅すぎる
剣術でカウンターを叩き込む。だが、今回は場所が場所だけに吹き飛ばすようなことはしない。壁とかを極力破壊しないように相手にダメージを叩き込む
「よ、よくも!!こうなったら囲うのよ!」
「私は右から!」
「じゃあ左で!」
囲まれた。だが何も問題はない。こういう戦闘は中学の時に学んだ護身術で多対一を使えば攻略できる。とくに今回は戦力差もあり、相手は素人だから余計にやりやすい
「くらえええーーー!!」
三方向からの攻撃に両手に剣を持ち、右手と左手で一人ずつ対応し、もう一人の攻撃はかわし続ける。やはり素人、そしてスペックもこちらが勝っているため余裕で対応できる
「この!!いい加減に!!」
攻撃を躱され続けられていたこのグループのリーダーらしき女は自分に特攻を再度かます。両隣にいる女たちも突っ込んできた。頃合いとみて、俺はリーダー格の女から逃げるように後ろに下がる
するとどうなるか。俺のいたところに二人が剣で切り込む、そこにもう一人が俺めがけて突っ込む。イラついていて
「「えっ?」」
「ごべえっ!?!?」
「な、何やってんのよ!!」
「あんただってやったじゃないの!!」
しかも残った女は責任逃れしようと言い争う始末。ならとどめを刺すか
一人の頭を両手で持ち、頭を俺の膝に近づけながら膝蹴り。これでISが強制解除され、意識も刈り取る。もう一人は口を開く前に回し蹴りを顎あたりに叩き込む。
これで俺のところに来た女たちは倒した。兄さんもシャルロットもまだのようだが、手出しはしなくていいだろう
戦闘は5分もかからなかった。ロマーヌを除く取り巻きたちは気絶させ、ロマーヌの乗っていたラファールも強制解除させた。時にアルベールさんに銃を乱射するときがあり、かばうようにしたためSEはまあ減ってしまった。また、シャルロットはてこずったらしくSEが少ない。が、問題はない。ロマーヌのラファールだけ他よりも丈夫だったのか、意識を刈り取ることはできなかったが・・・チェックメイトだ
「な・・・なんで!?こっちは9人もいたのに!?」
「機体の差もあるが・・・乗り手が酷すぎるからでは?」
いくらスペックの高い機体でも初心者が乗ってはその能力を生かせない。自分は上手とは言えないが、少なくともこいつらよりかはISを動かしているし、機体のスペックも負けていない
「もう無駄ですよ。ISも取り巻きもない、もう詰んでるんです。諦めましょう」
抵抗するなら腕か足をへし折ろう。そう脅せばこんなチンピラは黙る・・・
「フフフッ・・・」
「何がおかしい?」
「だってねえ?私がこんなところで終わるわけないじゃないの」
ロマーヌは懐から茶色のペンダントを取り出す・・・まさか!?
「私がもう一機ISを持っているかもしれないと考えられなかったことが・・・アンタらの敗因よ!!」
新たなISをロマーヌは展開する。形はラファール・リヴァイブに似ているが緑の量産機ではなく、赤黒に染まっていた。心なしか装甲も厚そうに感じる
「どう?私のラファール・リヴァイブ・Ωは?」
「その機体はまさか!」
「そうよ、ここのコアを私があるところで改造して私の専用機にしたのよ!」
「貴様!私たち会社の機体を!!」
激昂するアルベールさん。会社の、というあたり根がまじめなのだろう。だがそれどころじゃない。こいついったい何処で改造したんだ?
「お前のバックに何がいる!」
「決まっているでしょう。女性権利団体よ」
女性権利団体。昔は女性というだけで差別されないように活動を続けていた団体だった。だがISが現れた今では女尊男卑をモットーとし、女は神に選ばれた崇高なる存在であり、男はそれに服従すべきという思想を掲げる、カルトとなってしまった団体だ。なによりも同じ女性でも男をかばったりする女性も粛清しているため、とてもたちが悪い。裏では亡国機業ともつながっているのではないかという考えもある
「あそこは素晴らしいわ。女性こそ最も尊い存在であり何をしても許されるもの。私たちの理想の世界があるのよ!」
「何言ってやがる、男を奴隷にしなければ存在できないくせによ」
「何言ってるの、私たちがこき使ってやってんのよ。ありがたく思うのが普通なのよ」
狂ってやがる。こんなキチガイが存在していいものなのか
「唯一、織斑一春様はブリュンヒルデ様の血を引く崇高なお方。他はゴミ同然なのよ!!それに味方するそこの泥棒猫の娘もまとめて・・・」
言い切る前に
はずだった
「やっぱり、私の話も聞けないようなゴミはすぐに始末するべきだったわね」
効いてないのか?いったん距離をとる。するとヤツは一本の杖を取り出してきた
「ならばこれで裁きを受けてもらうわ」
その杖が自分に向かって振り下ろされた。刹那
ズン!!
「!!!」
何だ!?体がいきなり重くなった!まるで何かに上から押しつぶされそうなそんな力を受けている。まずい!足が持たない!!
「がっ・・・」
「雪広!」
「雪兄さん!!」
「どう?この『
ビュイサン・グラヴィテ・・・重力系の第三世代兵器か?これはかなり厄介だぞ。何より前情報がないのはかなりつらいものがある
「このままいたぶって・・・」
一夏がロマーヌの喋っている隙を突いての切込みにかかる。が、ロマーヌの持つ杖を向けられると勢いが弱まり、跪く形になってしまった
「ぐぐっ・・・」
「「一夏!」」
「くそ、かなり重いな・・・」
悪くない奇襲だった。だが、あの杖を向けられるだけで発動する上に自分への効果が消えないとは・・・だが
「どうやら、対象を複数にするとその能力は弱まるな・・・」
先ほどまで立ち上がることすらできないほど上から圧力をかけられていたが、今は立つことができるくらいにはなった。だがいつも以上に体に負担がかかる上に出力をあげてやっと立てるレベルだ。
はっきり言ってかなりマズい
「あー、もう面倒だわ。ここにいるIS全員にかけちゃいましょ」
ロマーヌは杖を高く上げ、円を描くようにした後に振り下ろす
「んうっ!!」
シャルロットにもこの影響が出たのか・・・他を見ると影響がなさそうだからISに乗っている人、もしくはISに影響が出るタイプのやつか
一刻も早く慣れないとこのままじゃ全滅する!
「さあて・・・このままいたぶってもいけれど」
ロマーヌが見下すように自分を見たが、その視線を逸らしある人に向ける
「やっぱりここは一番むかつくアナタから殺しましょうか」
「「「!!!」」」
アイツ、アルベールさんを殺す気だ!!自分は何とか動けるがヤツの向こう側にアルベールさんがいるから助けづらい・・・いや、特攻すれば
「ゴミどもは這いつくばりなさい!」
「「ぐあああ!!」」
自分と一夏にさらに上から力を加えられ、這いつくばってしまう。くそ!複数相手でも圧力をさらにかけられるのかよ!!何とかしないと、アルベールさんが危ない!シャルロットの機体もSEが少ないからシャルロットも危ない!!
「最後に私に歯向かったこと、泥棒猫の味方になったことを後悔しながら死ね!!」
ロマーヌはヘヴィーボウガンを取り出し、アルベールさんに目掛けて撃つ準備をしている。自分も一夏も動けない!
「アルベールさん、逃げろおおおお!!!」
何とか顔を上げ、アルベールさんに向かって叫ぶ。だがロマーヌは無慈悲に一発アルベールさんに向けて撃ちやがった。ISの弾だと人なんて余裕で殺せる。動け、自分の体!動け!!動・・・
そのときオレンジの機体が動く。ヤツの兵装の影響が少なかったシャルロットが渾身の力を振り絞ってアルベールさんを守るように立ちふさがった。そして
パァンッ!
「「え?」」
まるでスローモーションのような、時間がゆっくり進んでいるように感じた
シャルロットが大きくのけぞって、2,3歩後ろによろけた後、後ろから倒れこんだ。ISは強制解除され・・・
待ってくれ、・・・今、頭に入らなかったか?頭や体の急所に攻撃が当たるとSEって大きく削られるんじゃあなかったか?それにSEが少ないとき、それ以上の攻撃は
静寂。何も音が聞こえない。だれも言葉を発さない
「・・・シャルロット?」
アルベールさんはよたよたとシャルロットに近づきシャルロットを抱く
その手には真っ赤な血が付き、シャルロットの頭がだんだんと赤くなる
「・・・シャルロット!」
・・・返事はない
「シャルロット!シャルロット!!」
いくらアルベールさんが呼び掛けても反応しない・・・
「嘘だ・・・」
「・・・」
「シャルロット!!シャルロット!!!」
アルベールさんの叫びに近い呼びかけだけが響く
「・・・っうっ、うあっ・・・うああああああ!!!」
父の叫び声が部屋を満たした
少し短いけどここで区切る!
・・・少し無理があったか?