Inferior Stratos   作:ユキ (旧 rain time)

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 人は時に理不尽を味わう。思ってもみない時に
 私は単位で理不尽を受けました。悲しい



第27話 想定外

 青い海、白い砂浜。絵にかいたようなビーチが目の前に広がっている。学校のプールでしか泳いだことのない俺にとって、こんなビーチは人生で初めてだ。しかも貸し切りとは・・・こういう時は国立バンザイだ。

 今日は臨海学校初日。つまり完全自由時間の日だ。俺はよくつるむメンバーの中で一足先にビーチに来た。男の着替えなんてすぐだからな

 と、まず来たのはシャルロットとのほほんさんか

 

「一夏じゃん。おお、その水着いいね」

「いっちー、かっこいい~」

「シャルロットにのほほん・・・さんか」

 

 二人の姿を見て、のほほんさんの姿で若干戸惑ってしまった。シャルロットはオレンジのビキニで体のラインを強調している。着やせするタイプのようで、かなりセクシーだ。問題はのほほんさんだ。

 

「それは・・・水着なのか?」

「どうみても水着でしょ~?」

「いや、どうみても着ぐるみだよ」

 

 シャルロットのツッコミのように、のほほんさんは某電気ネズミの着ぐるみを着ているようにしか見えない。百歩譲って冬用のパジャマだ。見ているだけでより暑く感じてしまう

 

「ま、まあ二人ともにあっているよ」

「やった~、いっちーに褒められた~」

「でしょ?僕、結構自信あったんだ」

「兄さんの気を引くためにか?」

「まあね。この水着で少しでも気を引こうなんて思っていたんだけどね」

「だけど、兄さんは・・・」

 

 と言いかけたところでこちらに二つの人影が近づいてくる

 

「一夏、お待たせ!」

「少し遅れちゃったね」

 

 鈴と簪が合流。鈴は先日のデートで選んだ水着を着ている。脳内で妄想していた通り、いやそれ以上の破壊力だ。カメラがあったら永久保存したい。簪は水色ベースのパレオで明るさと可愛さが相まっている

 

「簪はイメージ通りな感じだな」

「いいでしょ~・・・『ここ』じゃ勝てないから」

「簪、気持ちはよーーくわかるわ。でもあんたの方がまだマシよ」

 

 簪と鈴はシャルロットの一部分を凝視する。俺まで見たら絶対鈴に殴られるから、静観する。俺はソコの大きさなんてまったく気にしていないけどな

 さて、これで()()()ことだし

 

「泳ぎに行く?」

「え?待って。一人足りないじゃない」

 

 ここには俺と鈴、シャルロット、簪、そしてのほほんさんの()()がいる。鈴と簪の言い分も間違ってはいない

 

「雪広は?」

「まさか、喧嘩したとか?」

 

 兄さんがいないことに疑問を持つ二人。それに対し、俺たち三人は顔を見合わせ、苦笑いを浮かべる

 

「兄さんは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 バスの移動中、旅館まであと10分程度までさかのぼる。

 俺と兄さんはバスの席が隣同士で、兄さんが窓側、俺が通路側だった。兄さんはバスが発車してしばらくすると眠ってしまった。耳栓もしているので寝る気満々だったのだろう。俺は隣のクラスメイトと話をしたり、トランプで楽しんだりした

 で、あと十分だと担任が言っていたので兄さんを起こそうと肩を叩く。さっきから微動だにしていなかったから、相当疲れていたのか?

 

「兄さん、そろそろ着くよ」

「・・・」

「兄さん、起きて。ほら」

「・・・」

 

 反応がない?と思ったら右手でOKサインを出す。起きているようだ。

 

 でも何かおかしい。心なしか呼吸が荒い

 

「兄さん、どうした?」

「・・・」

「マズいことが起こったのか?」

「・・・」

「体調悪いのか?」

「・・・ウップ」

 

 え?もしかして・・・

 

「・・・酔った?」

「・・・」

 

 兄さんはコクリと無言でうなずく

 

 ・・・嘘だろ?

 

 

 

 

 

 

 

「「酔ったの!?IS乗っているのに!?」」

「俺も酔うなんて思ってもみなかった」

「ゆっきーの顔真っ青だった」

「バス降りてすぐ崩れ落ちたよね」

 

 鈴たちの反応も納得だ。いままでバスには乗ったことがほとんどなかったから兄さんもバス酔いするとは思わなかったらしい。幸い、バス内では吐くことはなかった

 

「つまり雪広は・・・」

「旅館の部屋にいるってこと、だよね?」

「いや、多分部屋のトイレで吐いてる」

「マジでダメじゃん!」

 

 俺が担いで旅館の個室に運んですぐにトイレで吐いていたからな。それでもビーチに行こうとしてたんだけど、ドクターストップさせた

 

「『水着のJK達を見れる貴重な機会なんだ!行かせろオロロロロ』って遺言を聞いてから一通り介抱して置いてきた。さすがにビーチで吐かれると色々とアウトだろ?」

「余裕でアウトよ。逆に語り継がれるわよ」

 

 確かに。水着の女子高生がビーチで遊んでいる中で嘔吐する雪兄さん。想像してもシュールすぎる

 

「よりによってこんな日に・・・」

「兄さんって学校の楽しいイベントの時に限って体調を崩しやすくてさ。呪われてるんじゃないかって思うくらい」

「呪われたような人生なのに」

 

 言うな、簪。兄さん自身もわかっているだろうから

 ふとシャルロットが疑問を投げる

 

「あれ?雪広ってそういうのに興味ないんじゃなかった?」

「何でも中学の同期に自慢するためだと。兄さんの中学って女子とどれだけ関わったかで自慢できるらしい」

「なんだ、残念。悩殺できるのかと思ったのに」

 

 見せつけるかのようにポーズをとるシャルロット。無意識に鈴たちを煽るなよ

 それよりも、そろそろ海に入りたい。さすがに砂浜で駄弁るには辛くなってきた。適度にこの話題を切るとしよう

 

「そういうわけだから兄さんの分まで楽しもう」

「そうね。雪広には申し訳ない気もするけど仕方ないし」

「よーし、海だー!!」

「レッツゴー!」

「ああ、待ってよ~、かんちゃ~ん」

 

 そのあとは海で泳ぎ、クラスメイト達とビーチバレーもして初日の自由時間を満喫した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつの間にか夜。バスで酔って吐いた後、泥のように眠ったらあっという間だ。気分はよくはないが、旅館に着いた時よりはだいぶマシだ

 夕食の時間も眠っていたが、旅館の方が自分のためにわざわざ作ってくれた。感謝しつつ風呂はシャワーで済ます。ここの温泉は格別らしいのだが体がまだ重いため、その楽しみは明日にとっておこう

 

「兄さんどう?体調は?」

「ああ、だいぶマシになった」

 

 これ水な、と言って一夏が投げたペットボトルを取り、一口水を含む。ぬるめの温度が一夏らしい配慮だ

 

「風呂はどうだった?よかった?」

「最ッ高だった!露天風呂もあったし、独り占めできてもう贅沢だったよ」

「そりゃあ良かった。明日満喫するか」

 

 それにクズと鉢合わせしなくてよかった

 ただ・・・なんとなく嫌な予感がする。体調が悪いときにありがちな、言いようのない不安が消えない

 

「一夏」

「うん?」

「一夏は自分の大事な家族だからな」

「どうしたんだよ兄さん。なんか恥ずかしいよ」

「・・・すまん。柄にもないことを言ったな」

 

 明日、何事もなければいいんだけどな。杞憂で済むと信じ、明日に向けて早めに就寝しよう

 でも、今日ずっと寝ていたから寝れるのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、これを取り付ければ暴走する・・・と。これで私たちの実験がわかるのね」

 

 アメリカ軍のとある施設。一人の女がそばにある銀のISに手のひらサイズの装置を取り付ける

 

「この前の機体は代表候補生程度にやられたけど、今回なら大丈夫でしょう。これがうまくいけば無人機のISを思いのまま。そうすればあの団体から独立できる・・・」

 

 わずかにある明かりが女の歪んだ顔を映し出す

 

「ホント、あそこは崇高な考えがわからないのだから。さっさと独立して世界を、とその前に設定しないとね。ここで暴れてもらうわよ」

 

 ディスプレイで入力していく。その目的地は

 

「『東京』・・・っと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、どうなっている!」

「わかりません!ですが、機体が勝手に!」

「バカな!ISが無人で動くはずが!」

「ダメです!こちらからのアクションに全く反応ありません!」

「マズいです!ISが外に!」

「今すぐ軍に要請を!これ以上被害が出る前に!!」

「は、班長!機体がこっちに来ます!」

「総員、退避!!もしくは何かにつかまるか縮こまれ!!吹き飛ばされるぞ!!」

 

 慌てふためく整備員たち。あざ笑うかのように銀のISは夜の空に飛び立っていく。

混乱した現場を見るようにして先ほどの女が満足そうにその場を立ち去った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 臨海学校二日目の朝。体調は万全に回復。これならISの実習は参加できる。

 自分たち専用機持ちは本国から送られてきている新型装備や対空戦、対地戦などのパッケージの運用のデータ収集を行う。要するにそれぞれのパッケージで軽く打ち合いをしてその改善点を報告するのだ。それが済めば自身の機体のチューニングを徹底的にやるとのこと。いつもメンテナンスをしてはいるが、今までの成長分もあるので再度チューニングをするのはいい機会だ

 ただ一つだけ、おかしなことが。モップが専用機持ちのグループにいる。

 

「なんでお前がここにいるんだ」

「はっ!お前ら凡人には分からねえだろうよ」

「私も専用機持ちになるのだ。それも最強のな」

「はいはい、そーですか」

 

 天才とその取り巻きの考えてることは分からねー。クズ教師も何も言わないし・・・本当にもらうのか?それとも俺たちへ何かしらの嫌がらせか?いや、それより自身のすべきことに専念しないと。そこにかける時間がもったいない。ほかの面子もさっさと持ち場に行ってしまったようだ。

 自身のコンテナのところに行き、ジレス社からもらった2つのパスコードでコンテナを開ける。さて、どんなパッケージが

 

 

 

 

「ハッロー!束さん、参上!!」

 

 え?

 




 普通ならヒロインとキャッキャすると思うんですが、なぜかこの展開がひらめきました。ある意味この展開は他ではないと思うんです
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