Inferior Stratos   作:ユキ (旧 rain time)

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 お久しぶりです。待っていた皆さん、お待たせしました。ただ今院試に向けて猛勉強の最中です
 それでは新章突入です


第6章 夏、その前に
第43話 二転三転


「・・・スコール、本当に匿ってもらえるのか?」

「かもじゃない、するのよ。わたしはどうなってもいいから・・・」

「くさいこと言うなよ。俺だってスコールに助けられたんだ。あんたについていくぜ」

「・・・ありがとう、そろそろよ!」

 

 

 

 

 

 期末試験も無事に終わり、あと数日で夏休み。兄さんも復活したし、奴ら(織斑姉弟)にも制裁が入ったし、何も文句なし。篠ノ之も欠席するようになったがそんなことはどうでもいい。奴らの顔を見ない日々が続き、なんか気分も晴れやかだ。やっぱり視界に入っているだけでストレスを感じていたのだと知ったよ。

 今日最後の授業が終わり、教科書をカバンに詰めているとのほほんさんが俺たちに話しかけてきた

 

「ねえねえ、いっちー達は夏休み予定あるの~?」

「俺たちは・・・特にないな」

「しいて言えば盆は東京に行くけど、それ以外はないな。のほほんさんは?」

「わたしは簪ちゃんと実家に戻るつもり~。でも簪ちゃんは代表候補生の合宿で最初の方はいないの~」

 

 日本の代表候補生は夏休みの前半に育成を目的とした合宿があるとのこと。これは日本に限らず各国でも行われているようで、鈴も中国であるとのこと

 

「ということはデュッチ~も?」

「そうだね、夏休み前半は合宿兼企業でデータを取りのためにフランスに戻るよ」

「なるほどね。アルベールさんは元気?」

「元気も元気。社員と一緒にバリバリ働いてるって写真付きで連絡が来るくらい」

「そりゃ社員も付いてくるわけだ」

 

 たわいもない会話をしながら、予約したアリーナで模擬戦をやろうと廊下を出ようとして

 

『専用機持ちの生徒の皆さん、大至急生徒会室へ。繰り返す、専用機持ちの生徒の皆さん、至急生徒会室へ』

 

 突然の楯無さんからの放送。いつもだったらもっとフランクに呼び出すのだが、そんな雰囲気は一切ない。つまり緊急性の問題が発生したのだとわかる

 

「呼び出されたし・・・行くか」

「丁度いい実践になるかもね」

 

 兄さんもシャルロットも察したようで気を引き締める。廊下を出て鈴と簪と合流し、小走りに生徒会室に向かった

 

 

 

 

 

 

「こちらに所属不明のISが二機向かってきているわ」

 

 俺たち専用機持ちのメンバーと二年生のフォルテ・サファイア先輩、三年生のダリル・ケイシー先輩が集まってからの楯無さんの開口一番がそれだった。所属不明のISという言葉からクラス対抗戦の記憶がよみがえる。

 どうやらフィリピン海からいきなりこちらに向かってくるISを探知したとのこと。接近を許してしまったのはステルス装甲をしていたからだそうで、余計にあの時のゴーレムを思い出す

 

「時間が限られているから手短に言うわ。専用機を持つ私たち総出で本土上陸の前に所属不明のISの迎撃、もしくは無力化を図るわ」

「ですが、万一自分たちの包囲を突破され、IS学園に侵入された場合どうします?」

「そこは教師陣に任せるわ。大丈夫、編成はこちらですでに組んでいるから。それに万一に備えて生徒はみんなシェルターに避難しているわ」

 

 クラス対抗戦の時みたいなことにならないわ、と楯無さんは力強く言う。これ以上の説明は時間を節約するため、移動中に細かい作戦を伝えるとのこと。急いで俺たちは出撃準備に取り掛かり、迎撃地点に向かう。

 今回は楯無さんとダリル先輩が前衛で二機のISを食い止め、俺、鈴、簪、シャルロットは増援を警戒しつつそのフォローに回ることとなった。またこれが囮の可能性もあるため、迎撃地点をできる限り本土に近づけている。そして本土奇襲に対応できるよう、フォルテ先輩と兄さんが本土よりに待機している

 

 ただ、二つ気になる点がある。一つはISの移動の割にはかなり遅いことだ。ISの基礎はだいぶ学んできたから、どの程度の速度ならエネルギーをほぼ消費しないで良いか分かるが、その速度と比べても圧倒的に遅すぎる。迎撃地点に間に合うかギリギリだと思っていたが、二機のISは未だに来ない。

二つ目はステルスを維持しなかったことだ。あの時のゴーレムはアリーナに乱入するときまで探知できなかったのに対し、今回は途中でステルスを切ったような感じだった。まるで()()()()()()()()()()()()。敵のISの不調かとも思ったが、そんな状態でこちらに来る理由も見当たらない。

 

 この疑問は今解決できるものではない。まずはそのISを捕まえることが先決だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えたわよ!戦闘準備!!」

 

 先頭の楯無先輩が二機のISを確認すると同時に号令をかける。場合によってはここを強引に突破してくる可能性もあったため、ここは通さまいと俺たちは各自警戒を強めた。

 すると二機のISも楯無たちを発見し警戒し始めたのか、だんだんと速度を下げていく。

 だが

 

「ん?」

「両手を挙げている?」

「・・・!」

 

 二機のうち蜘蛛のようなISが両手を上げ、あたかも降伏をするかのような素振りを見せている?もう一機は何かを抱えているかのようだが、金色の機体のせいで何を持っているかは確認できない。それとその機体を全員が目視できるようになったとき、なぜかダリル先輩が驚いたような気がしたが・・・気のせいか?

 二機のISは声が届く範囲まで近づくと制止する。蜘蛛のようなISから人の腕が見えるから、無人機ではなさそうだ。どうするかを考えていると向こうから話しかけてきた

 

「お前たちは?」

「名乗るほどでもないけど・・・IS学園の生徒会長、ってとこかな?」

「そうか・・・IS学園の生徒たちか。なら話が早い」

 

 こいつ、俺たちが目的なのか!?余計に警戒を高めていると・・・

 

 

「こいつを救ってくれ!頼む!!」

 

「「「は?」」」

 

 いったい何を、と思っていると金の機体の中から女の子が見える。確かに顔が赤くかなり弱っているよう。しかし、その少女の顔を見て俺たち全員が絶句する

 

「織斑・・・千冬!?」

 

 シャルロットが代表するかのように声を絞り出す。ISに抱えられていた少女が憎き織斑千冬を幼くした姿にそっくりだったのだ。まるで双子の妹であるかのよう。だが、迫害されていた時に妹がいたという記憶はない。

 何も言えなくなる俺たちの前に楯無さんは立ち、警戒を強める

 

「はいそうですか、って言うと思う?貴方たち所属不明のISの仲間かもしれない人を助けるような慈善活動家じゃないわよ、IS学園は」

「それは分かっている!けれども!」

「楯無さんの言う通り、自分も反対です」

 

 すると後方にいた兄さんがオープンチャネルで意見を述べる

 

「素性も分からない、顔も分からない、所属不明のISを纏う奴らの言葉など信用する価値もありません。ここで自分たちの足止めをする可能性も否めなくはありませんし」

「・・・そうね。確かに何も情報を出さずにこちらの意見を通すなんておこがましかったわね」

 

 金のISの操縦者がそう言って蜘蛛のIS操縦者とアイコンタクトをする動作を見せた後、二人はバイザーだけを解除する。この二人は織斑千冬と全く似ていない。先の少女の件でこいつらも同じような顔だったらという不安はひとまず解消された。

 

「私はスコール・ミューゼルよ。亡国企業に所属していた・・・テロリストよ」

「俺はオータムだ。でこいつがマドカ。所属は二人ともスコールと同じだ」

 

 亡国企業にテロリスト、この言葉で俺たちは警戒レベルを引き上げる。だが、ダリル先輩は驚いているよう。楯無先輩はいぶかしげにテロリストに問いかける

 

「何?まるで今は所属していないような言い方ね」

「まあ、そのようなものよ」

「だからといって、それを私たちが信用すると思う?」

「なら私たちの知っている情報を出すわ。亡国企業の内部情報もすべて。だから・・・この子を救ってください」

 

 マドカを抱えたまま深々と頭を下げるスコールとオータム。はっきり言って元であろうとテロリストの言葉を信用できるかと言えば、ノーだ。でも腕の中にいる少女は苦しそうだしどうしたものか・・・

 そう考えて改めてオータムの方を見る

 

「ん?」

 

 どこかで見たような顔だ・・・。オータムと名乗った女に見覚えがあるが、気のせいか?そう思っていると鈴からプライベートチャネルが来る

 

『ねえ一夏、オータムって女に見覚えない?』

『鈴もか?俺もそうなんだ』

 

 鈴も見たことのあるってことは、二人でいた時に会ったのか?ここ最近は学校にいたから外部の人と会うわけ無いし、その前に鈴と二人で外に出たのは・・・臨海学校前に水着を買いに行って・・・

 

「はっ!?」

「ど、どうしたのさ?」

「何かあった?」

 

 記憶が繋がって思わず声を出す。それにシャルロットと簪が驚かせたのは申し訳ないが、その前に答え合わせを優先させるためにオータムと名乗った女に質問をする

 

「あの、もしかしてですが以前お会いしました?」

「は?」

「女尊男卑の女に絡まれた時、助けてくれましたよね?」

 

 最初は向こうも首をかしげていたが、

 

「ああ!水着売り場で絡まれていた!」

「そうです!殴りかかってきた女を止めてくれて!」

「んで俺が奴の頭掴んで地面にたたきつけて」

「そうそう!」

 

 あの時の記憶が鮮明に浮かび上がる。すると鈴も俺たちの会話で思い出したようで、「あの時の!」と反応する。まさか助けてもらった女性とこんなところで再会するなんて・・・まるでラブコメ漫画だな。状況的にラブコメ皆無だし、何より鈴一筋だから関係ないけど。

 

「一夏君、その女と会ったことあるの?」

「オータム、あなた彼とどんな関係よ?」

 

 蚊帳の外になっていた皆にお互い端的に説明をする。この場の空気が少しだけほぐれた感じがする。

 改めて今の状況を確認する。スコールさんに抱えられている織斑千冬似の少女を助けてほしいということ、でもオータムさん達はテロリストであること。普通だったら裏があると警戒すべきで、突き放すべきなのだろう。だけど・・・

 

「楯無さん、こんなことを言うのは間違っているかもしれませんが、彼女たちを信用してもよろしいと思うんです」

「でもね、一夏君彼女たちがどういう人かわかってる?」

「分かっています。でも、俺は彼女が悪い人間だと思えないんです」

 

 すると兄さんが銃をオータムさんに向けながら俺に語りかけてきた。

 

「自分は反対だ。オータムってやつが一夏に接触するために近づいたと思えるし」

「でも助けてくれたとき、そんな風には見えなかった!」

「そう演じていた可能性だって否めない。そうは思わないか」

「・・・」

 

 兄さんの言い分ももっともだ。あの時の出会いだって仕組まれていたかもしれない。俺に接触する理由だったのかもしれない。相手はテロリストなのだから、簡単に信用してはいけないということも。それでも、さっきお互いの記憶を確認したときの態度や感情が偽りだと俺は思えなかった。

 また沈黙が流れる。それと共に少女が苦しそうに呻く声がより伝わってくる。どうしたら・・・

 

「楯無、俺からも頼む。彼女たちを信じてくれないか」

 

 ダリル先輩が意を決したかのように俺側の意見を述べた。でも何故?ダリル先輩が彼女たちを庇う理由が見つからない。当然ながら楯無先輩は当然ダリル先輩を怪しんでいるような雰囲気でどう判断するか悩んでいるよう

 三度の沈黙。楯無先輩はちらりと苦しんでいる少女を見て、意向を決定した

 

 

「わかったわ。その子を保護しましょう。ただし、貴方たちは拘束させてもらうわ」

「異論は無いわ。ねえ、オータム?」

「もちろんだ」

 

 流石にオータムさん達を完全に信じているわけではないけど、楯無さんの決断に安堵する。反対に兄さんは不服そうだが、仕方ないという感じだ。

 だが

 

「ダリル先輩、貴方も拘束させてもらうわ」

「・・・は?」

 

 楯無さんの予想外の言葉に俺含めた全員が固まる。そして真っ先にフォルテ先輩が噛みついた

 

「な、なんでッスか!どうして先輩を拘束するッスか!」

 

 それはそうだ。何故ダリル先輩も拘束するのか。オータムさん達を庇うという理由なら俺も拘束されてもおかしくない。それにこちらの戦力を削ぐような行為でもある。楯無さんの意図が読めない。

 しかし、ダリル先輩本人が前に出てそれを制する

 

「楯無・・・分かっていたのか」

「私を、楯無を舐めてもらっちゃ困るわ」

「そうか。受け入れよう」

「物分かりが良くて助かるわ」

 

 なぜなんだ?自身の発言の責任からなのか?鈴たちも楯無さんやダリル先輩の意図がわからない感じで3人を拘束し、少女は楯無さんが抱えていく。

 誰もが納得しない中、俺たちは彼女たちを見張りながらIS学園に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 IS学園に到着した後、保護した少女を楯無とダリルが治療室に搬送し、残る彼らはIS学園の地下にある会議室に入った。手錠をかけられたオータムとスコールの後ろにISを部分展開した雪広・シャルロット・簪が立って二人を警戒し、向かいに一夏・鈴・フォルテ、そして轡木理事長も座って、全員が楯無を待つ。

 

「ごめんなさいね、少し遅れたわ」

 

 ノックをした後、楯無とスコールと同じく手錠をかけられたダリルが入室。部屋の空気がより引き締まる。二人は一夏側の空いている椅子に座り、口を開く

 

「まずはあの子の容態だけど、ひとまず無事よ。免疫機能が落ちていたけど二、三日休めば回復するはずだわ」

 

 これがそのバイタルデータよ、と楯無は言って少女のバイタルデータが書かれた紙を二人に渡す。その資料を確認し、二人の緊張が緩む。しかしIS学園陣営は緊張を崩さない

 

「さて、あなた達の要望は通したわ。今度はそっちの番よ」

「ええ、分かっているわ。こちらも対価を出さないとね」

 

 そう言ってスコールは自身の情報を話そうとする。雪広ら三人は二人が変な行動を起こさないかより警戒し、一夏と鈴は何を言うのか身構え、楯無と理事長はスコールの言葉が嘘かどうかを見極めようと集中する

 

 

 

 

 

 が、スコールの言葉は・・・楯無たちの範疇を超えたのだった

 

 

 

 

 

 

 

「単刀直入に言うと・・・亡国企業が壊滅したわ」

 




 院試が8月末なので、まだ更新頻度は遅いと思われます。
 せめて9月までにこちらの夏も終わらせたいなあ
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