Inferior Stratos   作:ユキ (旧 rain time)

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 日常的なものほど文にするのが難しい

 まあ、不定期ですし


第2話 ご挨拶

 やっと放課後が来た。マジで今日は気分が悪くなる出来事が起こりすぎている。織斑一味はおおよその予想がついていたがオルコットのゴミは完全予想外だった。久しぶりにキレちまうとこだった。

 ただ、あんなゴミの発言で切れそうになるなんて・・・まだまだ自分もガキだな。同じこと言われたら次もキレそうだが。

 

「遠藤君たち!よかった間に合いましたね、これが寮の部屋の鍵です!」

 

 自分たちは山田先生が寮の鍵を持ってくるのを教室で待っていた。その間は多くの女子たちが来て自分たちに質問してきた。あまりの量に疲れはしたが、嫌われている、避けられているよりかはよっぽどましだ。

山田先生から鍵を受け取り、一夏と確認する

 

「1077号室、一夏もだよな」

「ああ、1077号室だ」

 

 よかった、この要望は通ったようだな。見知らぬ女子よりも、一夏が同じ部屋なら何かと都合がいい。なにより、気兼ねなく生活ができる。女子たちも無名の男と同じ部屋であるよりかましに違いない。自分の部屋に行くためにこの場はお開きにするか。

 部屋には付いてこないでよー、と一応くぎを刺す。まあ、部屋番号はみんなに見せたから来ることはないだろう。

 じゃあ行くか、一夏。

 

 

 

 

 

 

 

 

 部屋の前までついた。その間に兄さんとは部屋に入ってからの行動の打ち合わせをしていた。

 

「よし、空いた。入るぞ」

 

 いいな、と兄さんは言う。俺は黙ってうなずく。

 部屋に入る。扉を閉めた後、行動を開始する。まずは盗聴器確認。部屋の隅々まで兄さんと探し出す。その機械は束さんお手製のものだから信頼できる。ベッドの下、机の中、モニター、洗面所など結局20近く出てきた。盗聴器がなかったら終わりだったんだが・・・仕方ない。その盗聴器を集め、その前にパソコンに接続したスピーカーを置く。そしてパソコンの再生ボタンを押した後、俺たちは部屋から出る。

 名付けて、「盗聴されるなら一泡吹かせよう作戦」と兄さんが命名した作戦だ。ネーミングは置いといて、ただ盗聴器を見つけて破壊するのではなく、些細な話声のあとにいきなり大音量の音を鳴らして、盗聴している人の鼓膜を破こうという、いわば嫌がらせの倍返しみたいなものだ。

 

「にしても、ここの防音設備はしっかりしているな」

「だな。外だと全く聞こえないし」

 

 あれを実際、雪兄さんがいたとこの寮でやったら、廊下どころか上下の階の部屋からも音が漏れ、何事かと聞かれたことがある。そのくらいの爆音が今流れているはず。それが全く聞こえないから、そういう点ではプライバシーを守っているのか。俺らのは侵害する癖に。

 

「よし、終わったな」

「じゃあ入るか」

 

 兄さん先頭で部屋に入る。録音したものも終わったようでスピーカーからは何の音も出ていない。

 次に俺たちは盗聴器を淡々と踏み潰す。数が数だし、小さいので物理的に破壊したほうが効率的だ。これで盗聴されることはまずないだろう。その後荷物を開き、2つある机はどちらを使うかなどの話をした。とはいっても机とベッドの位置が決まれば後はその時で決めるような感じとなっているが。

 

「よし、大まかなことは済んだし・・・行くか」

 

 兄さんとともに立ち上がり、兄さんの後についていく。

 

 行先は・・・学園長室と生徒会室だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 通常、新入生が学校生活において学園長室や生徒会室に行くことはほとんどない。ましてや初日に行くような場所ではない。だが、俺たちの場合は状況が状況だ。世界で稀有な男性IS操縦者であり、後ろ盾がなかった時でも、学園長は率先してこのIS学園に入れるよう話を進めてくれたらしい。その確証がなかったためにその確認ついでの挨拶をするために学園長に行った。いわゆる、ご挨拶をしに行った。

 

「にしても、あの用務員のおっちゃんが学園長とはな」

「ああ、自分もびっくりだった」

 

 そう、この学園で働いている唯一の男性である轡木十蔵(くつわき じゅうぞう)がこの学園の学園長だった。今の時代男がトップに立つと面倒という理由から、表向きは彼の妻が学園長としており、彼自身は用務員として働いていることになっている。

 実際会ってみて分かったが、彼は自分たちの味方になってくれる、いい人だった。彼は信頼できる。学園の良心と噂されているらしいが、本当のようだ。

 

「ただ、生徒会長はいなかったな」

「ああ。まあ、年度初日から仕事はないんだろう」

 

学園長あいさつの後、生徒会室に立ち寄ったが誰もいなかった。部屋は暗く、鍵がかかっていたから、たぶん仕事がなく自室に戻ってしまったのだろう。

 

「いないのなら仕方がない。明日の空き時間にまた行くか」

「そうだな、自分もどんな人か見てみたいし」

 

 生徒会室に寄った後、自分たちは少し早めの夕食をとった。そんなに人がいなかったので誰も来ることなく、クズたちが来ることもなく夕食を済まし、自室に戻っている。

 自室の前につき、兄さんがドアノブに手をかけ、開けようとした

 

「!」

「どうした?兄さ・・・」

 

 声をかけようとしたとき兄さんが人差し指を立てて口に当てる。そして、兄さんがISのプライベートチャネルを開き、そこで会話をしてきた。

 

(誰かが入った、もしくは入っているかもしれない)

(・・・その根拠は?)

(ない。ただそんな予感がする)

(・・・どうする?)

(中の音を確認する)

 

 そう言って、兄さんはドアに耳をあてる。俺も確認したいので兄さんと同じようにする。防音設備がしっかりしているが、こうすれば少しだけ内部の音が分かるはずだ。

 

(・・・音がわずかに聞こえる気がする) 

(敵意は・・・分からないな)

(開けるか?兄さん)

(いきなり襲ってくるかもしれんから態勢だけ作っておけよ)

 

 身構える。相手を想定していつでも反撃ができるようにする。

 兄さんがドアを開くと・・・

 

「おかえりなさいませ!ご飯にします?お風呂にします?それともわ・た・し?」

 

 何事もなかったかのように兄さんはそっとドアを閉じる。再びプライベートチャネルを開く。

 

(・・・ハニトラか?)

(いや・・・ハニトラではない、と思う・・・多分)

 

 襲撃を想定していたので拍子抜けもあるだろうが、予想外過ぎて思考が定まっていない。まさか裸エプロン・・・いや、水着エプロンをやるとは。今時あんな奴がいるんだな。恥を知らない女が。

 

(どうする?敵意はなさそうだけど・・・)

(いや、それ以前にアイツは不法侵入だ。アイツ以外の人の影もなかったし・・・)

 

 と、兄さんはバッグからスタングレネードを取り出す。俺もそれに気づき、立ち位置を交代する

 

(いいな?)

(OK)

 

 兄さんはピンを引きぬく。その2秒後に俺はドアを開ける

 

ガチャ

「おかえりなさ・・」バタン!

 

空いたドアから兄さんはスタングレネードを放り込み、俺はすぐにドアを閉める。そして二人でドアを押さえつけ、侵入者が逃げられないようにする。内側からドアをたたく音がするが

 

バン!

 

と音がするとドアをたたく音が聞こえなくなった。中でしっかり起動したようだ。流石にスタングレネードの音は防音設備のある部屋でも聞こえるのか。

 

「さて、入るぞ」

 

 そう言って俺はドアを開ける。するとそこには・・・

 

  水着エプロンをしている痴女がのたうち回っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いきなりスタングレネード投げるなんてひどいじゃない!」

「いや、不法侵入していたお前が悪いだろ」

 

 俺たちはスタングレネードから回復した痴女と会話をしている。未だに水着エプロンのままだし・・・頭のネジイかれてるんじゃないのか?

 

「で、何の用です?更識生徒会長?」

「あら、私のこと知っているのね」

「・・・は?」

 

 待て待て待て、この女がIS学園の生徒会長?嘘だろ!?こんな痴女が生徒会長なんて!

 あー、でも雪兄さんの中学校でもそんな感じだったな。こいつが生徒会会長かよ、って思ったし。そういうやつなんだな。

 

「・・・一夏君、なんか変なこと考えてな~い~?」

「いや、こんな痴女が生徒会会長なんて終わってるな、って」

「ちちち、痴女じゃないわよ!」

「えっ!?処女なのにあんなことをするんですか?」

「つまり処女ビッチなんですか!?」

「違うわよ!!!」

 

 素直に回答したら兄さんが悪ノリしたので俺もノってみた。でも、こんなことを平然とするやつは少なくともビッチな奴だと思うのだが・・・

 いずれにせよ、ヤバいやつ、もしくは変態ということでよさそうだ。

 ただ、生徒会長がここにいるなら好都合だ

 

「自分たちは生徒会長を探していたんですよ」

「あら、私とデートしたいのかしら?」

「痴女とデートですか、俺はお断りです」

「だから痴女じゃないってば!!」

 

 今の格好でどう痴女じゃないと証明するのだろうか?というか、いつになったら服を着るのか?

 

「これ以上コントをやっても仕方がないので、2つほどお願いがあります」

「何かしら?」

「まず一つ目、資料室みたいなISのデータが置いてあるところを知りたいのですが」

「・・・どうしてか教えてくれる?」

 

 俺たちは今日のクラス代表決定戦に至る経緯を説明した。そのうえでオルコットを叩きのめすために、オルコットの機体の性能や戦闘スタイルを調べたいためだと説明した。

 

「なるほどね、それは災難だったわね」

「ホントですよ。まったく、代表候補生ってあんな奴ばっかなのか」

「そんなことはないわ。あの子が女尊男卑に染まっているだけよ」

「とにかく、あのゴミを潰す。自分は」

「話がそれちゃったわね、資料室が本校舎にあるから自由に使って大丈夫よ」

 

 あんまりみんなは使ってないけどね、と会長はいう。なんだ、自由に使っていいものだったのか。誰かの許可が必要かと思ってた。それならオルコットのデータを隅々まで調べ上げて対策できるな。

 

「それともう一つですが、自分たちにISの指導をしてもらいたいのです」

「それはどうして?」

「生徒会長は生徒最強である、のでしょう?強い人に教えてもらったほうが力になると思ったので」

 

 図々しいですが、と雪兄さんは肩をすくめていう。確かに強い人に教えてもらうほうがどういう欠点があるかを教えてくれ、早くに克服できる。

 ただ、相手の私情もあるだろう。断られることを想定していたが、

 

「わかったわ。特訓を引き受けるわ」

「いいんですか?」

「ええ。強くなろうとする子、私は好きよ」

 

 どこからか取り出した扇子を開くと「努力必須」と書かれていた。いや、どういう仕組みなんだ?

 ただ、会長と特訓の約束ができたのは大きい。教師は時間的に無理だと思っていたから断られたらどうするか考えていたのだ。

 

「じゃあ、明日の放課後からでいいわね?」

「「はい」」

 

 よし、と会長が言うと同時に扉が開く。

 

「ここにいたのですか!」

「ゲッ!う、虚ちゃん!?」

「会長!また仕事をさぼりましたね!!今すぐ溜まった書類を処理してもらいますよ!」

「で、でも時間的に・・・」

「問答無用です!!」

 

 と虚さんという人が会長の首根っこをつかんで退室していった。

 

「・・・あの人に教えてもらうで大丈夫かな?」

「・・・分からん」

 

 仕事さぼってたのかよ・・・

 結局あの人は水着エプロンのままだったし、そういや会長の本名も聞いてないし・・・

 

「とにかく、やれることはやろう。と、いうことで自分はイギリスのIS情報を探る」

 

 兄さんはさっそくオルコット対策のために動いている。

 そうだ、俺たちはあのクズたちには負けられない。そのために最大限できることをして、決闘当日の勝率を上げるのだ。

 

「兄さん、頑張ろうな」

「一夏、お前もな」

 

 こぶしを合わせる。よし、俺も頑張ろう!

 

 と、言っても今はやれることがないから、武装の確認とISを動かすシミュレーションをするしかないのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間は飛んで、クラス代表決定戦当日。楯無さん(下の名前で呼ぶ『たっちゃん』はさすがにやめた)との特訓は生徒最強というだけあり、教えはわかりやすく、オルコット対策の訓練もしてもらえた。自分たちも集められる情報はかき集め、一夏とともに対策を練りに練った。あとはその場で対策をするだけだ。

 

 対戦表は以下の通りとなった

 

1試合目 セシリア・オルコットvs遠藤雪広

2試合目 織斑一春vs遠藤一夏

3試合目 セシリア・オルコットvs遠藤一夏

4試合目 織斑一春vs遠藤雪広

5試合目 遠藤雪広vs遠藤一夏

6試合目 織斑一春vsセシリア・オルコット

 

 いきなりゴミアマとの戦闘か・・・織斑のゴミと当たって動作確認をしたかったのが本音だが仕方ない

 

「大丈夫よ。雪広君なら勝てるわよ」

「兄さんなら大丈夫だ!勝ってきてくれ!」

 

 一夏だけでなく楯無さんが応援してくれる。本来ピットには関係者以外立ち入り禁止だが、会長特権と自分たちのコーチをしてくれたのでここにいてもらってる。()()()()もあるが。まあ、弟とコーチに応援されたらしっかり結果出さないとな。

 

 両手で頬をたたき、集中する。今回は訓練ではなく実戦だ。目標を倒すのみ。・・・あのゴミを叩きのめすのみ。

 ダークブルーのISを展開し、カタパルトに乗る。準備万端だ

 

「遠藤雪広、スクーロ・ソーレ、いきます!」

 

 自分はカタパルトから飛び出す。

 目の前には憎き女尊男卑の女が青いISを纏っていた。

 

 アイツを・・・潰すだけだ

 




 次回 代表決定戦!
 戦闘描写が書けるか心配な作者です。

 織斑一春の専用機が来るところは主人公たちが関わらないので全カットです
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