Inferior Stratos 作:ユキ (旧 rain time)
あっという間に1ページ目から外れるんだもん
あと、第2話の雪広の機体名を修正しました
イタリア語の読みを間違えていました、申し訳ありません
「あら、逃げずに来ましたのね」
出てきて早々、相変わらずの上から目線。上級階級がこんなんじゃ、世界はよくならないわ。
自分たちはこいつの機体だけでなくこいつ自身のことも調べた。
こいつの母はISが発表される前から起業家として会社を成功させた経営者。父はその婿養子で母に頭が上がらない。夫婦仲は当然のようによくないと言われている。どうせオルコットは、社会の風潮と立場が低かった父の影響で女尊男卑の風習に流されたのだろう。
しかし、両親は
自分たちの出した結論は「オルコットの父は母、そして会社のヘイトを買っていたのではないか」ということだった。ここの学園長みたいに、男が社会で上にいるとそれだけで噛みついてくるカスがいる。そうならないように父はあえて表では情けない姿を「演じていた」のではないか。本当は夫婦の仲は良かったのではないか。そう考えると辻褄が合う。
この話でヤツの動揺を誘うことも考えていたが、見る限り相手にしないだろう。まあ、その推測も推測でしかない。真実はわからない。
「最後のチャンスを差し上げますわ。わたくしがこの勝負に勝つのは当然のこと。もし、今この場で土下座をすれば降参を認めてあげてもよくってよ」
・・・ほんと煽ることしかしないのか、このゴミは。それにその言い方は絶対降参を認めないな。そもそも土下座することはネタ以外では絶対しないが。
「相変わらずキーキーうるっせえなあ。イギリスの貴族様はこんなにも醜いことを晒して恥ずかしくないのですか?」
「なんですってぇ!!」
プライドが高い奴ほどこういう煽りにすーぐ乗っかる。特にこいつは自身の国に誇りを持っているからいくらでも煽る要素があるから楽だ。いかに自分のペースで物事を進められるか、相手のペースを崩せるかが勝負のモットーだと自分は思っている。真剣勝負ではやらないが、あいにくこれは勝負である。ある程度勝つために小細工を入れることで勝率をできる限り上げる。
試合前から勝負ってのは始まっているんだよ
「もう命乞いしても許しませんわ!容赦なく地べたを這いずり回りなさいな!!」
試合開始とともにヤツがレーザーライフルで撃ってくる。着弾点が右肩なので、左に体をずらしてレーザーを躱す。
「避けたですって!?」
「避けるに決まってるだろう?ただの的に当てる練習をしているのではないのですよ、練習番長さん」
「このっ・・・!だったら、ブルーティアーズ!!」
4つのビットが出てきて、自分を取り囲むように動く。あれがヤツの特徴である武器か。データで見た通りだな。
「踊りなさい!私のブルーティアーズが奏でる円舞曲で!」
何やらほざいているが気にしない。今はとにかく躱す。躱しつづけてヤツのレーザー攻撃に
それに、疲労がたまってくれればより勝ちやすくなるしな。
「この、ちょこまかと!」
戦闘開始から7分経過。直撃はなかったが最初のほうでレーザーを何度かかすり、SEは8割くらいだ。対してヤツのSEは満タン。というのも、自分は一切の攻撃をしていないのだ。7分間、自分はレーザーの雨を交わし続けていただけだった。
「それにしても、攻撃してこないなんて・・・ああ、攻撃できないのですわね。これだから男は」
なにやら自分を馬鹿にしているようだが、これは好都合だ。つまりヤツは今油断している。
これほどの好機はない!!
自分はすぐにビームライフルを呼び出し、ヤツ本体を撃つ
「!」
ヤツは初めて攻撃してきたことに驚き、それと同時にビットが止まる。そして、すぐさま投擲用短剣を呼び出し、自分に一番近いヤツのビットに投げ、破壊する
「わ、私のティアーズが!」
動揺している間にもう一本短剣を呼び出し、同じようにビットを破壊。あっという間に2機のビットを破壊できた。
ヤツの弱点、それはヤツがビットを操作している間、自身はほとんど動くことができないこと。さらに、ビット操作はかなり集中しなければいけないため、少しの動揺でビットの動きが鈍くなる、もしくは止まるということ。これは資料室で得たヤツがIS学園の実技試験の映像と自分が調べて出てきたイギリスでの模擬戦闘の映像から一夏と予想した弱点だ。実際、楯無さんに聞いたら合っていた。はっきり言って、致命的な弱点だ。
とはいっても、弱点が分かったところで簡単に勝てるわけではない。特に全方位からのレーザー攻撃は受けてみないと分からない。そのために、この一週間は楯無さんに協力してもらって、全方位攻撃を疑似的に再現してもらっていた。また、自分も一夏が全方位攻撃を経験しているときにその攻撃に加わり、全方位攻撃をする側の行動をすることでヤツの考える攻撃パターンを予測していた。
その訓練の成果が出ており、かつビットも2機落とせたのは大きい。現にヤツの攻撃は激しくなっているようだが、4機と2機では攻撃の量が違う。余裕でかわしながら、今度はマシンガンを呼び出し、残りのビットも破壊する。
これでヤツが出した分はすべて破壊した。
「よくも、よくもわたくしのブルーティアーズを!!」
「破壊するのは当たり前だろう。戦闘において武器破壊は常識。いちいちうるさいんだよ」
「うるさい!男の分際で!!」
もう
「その見下している男にお得意の武器を破壊されているのはどこの誰でしょうかね~?」
少しからかう。ここからどう醜い言い訳がでてくるか・・・
「うるさい!あなたみたいなクズを育てたドクズな親が見てみたいですわ!!」
「・・・は?」
「あら・・・何度も言って差し上げますわ!あなたを育てた『低俗な』親が見てみたいものですわ!!」
あっ、駄目だ
「・・・ハハハハ、アッハッハッハッハ!!」
人間、怒りが度を過ぎると笑いが止まらなくなると言っていたがその通りのようだ。
「本当ならまだとっとくつもりだったが・・・もういいや」
「なにをぶつぶつと」
「いいわ、もう。お前を・・・潰す」
手を顔に当て、大きく息を吸い込む。そして、
「ガアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
「なっ!?」
地面に大声で叫ぶ。いきなりのことで驚いているだろう。一夏も驚いているんじゃないかな。このことは一夏にも言ってないし。まあ、今はヤツを再起不能なまでに潰すのみ。
自分の周りには機体から出た黒い霧でおおわれる。準備完了だ
任せるぞ、
「な!?」
「あれが・・・」
私は今、一夏君とともにピットで雪広君の戦闘を見ている。ビットも破壊したあと、またオルコットちゃんは雪広君の逆鱗に触れた。そして雪広君は奥の手を出すようだ。
雪広君に教えてもらったのだが、どうやら雪広君のISは形態変化ができる。
でも
ただ、この単一能力が危険なのだ。本人曰く『理性をなくす』もので、最悪暴走するかもしれないと言っていた。もし、決着がついた後も暴走していることがあったら、即取り押さえるように頼まれてもいたため、私はこのピットにいる。
「・・・」
一夏君はあまりのことで固まっている。私も少し動揺している。第二次移行する瞬間は見てきたことがあるが、形態変化は前例がない。それに、形態変化後の雪広君の姿も今回が初めて見るのだ。興味半分、恐怖半分ってとこかしらね・・・
『ハアアア!!!』
そして、黒い霧を切り裂くようにして雪広君の姿が、ISが現れる。そこには瞳が赤に染まり、フォルム全体が暗黒に染まったISがいた。
「な、なんなんですの!?一体!」
「・・・」
余りの変化に、思わずセシリアは雪広に問いかける。が、雪広は答えない。
いや、答えられない。彼は今、
「何か言ったらどうです!!」
「・・・」
「フン!何言っても無駄のようですわね!ならばこれで」
這いつくばりなさい、そう言ってライフルを雪広に定めようとした時、セシリアの視界から雪広が消えた。
「!?ど。どこに消えましたの!?」
刹那、上からの警告アラートがなると同時にセシリアは上からたたきつけられる。態勢を立て直し、何とか地面に突っ込むことはなかったが、また雪広を見失ってしまう。
ここからは一方的だった。横から、背後から雪広はセシリアを武器である爪で切り裂き、蹴りを入れ、SEを削っていく。セシリアは反撃をするものの、どれもすべてかわされ、隠しておいた2機のミサイルビットも破壊されてしまった。綺麗だった青の機体も、今は見る影もなくボロボロになっている
「この、男の分際で・・・男の分際でええ!!!」
セシリアは再度ライフルを雪広に構え、最大出力で彼の頭を狙おうとした。が、
ヒュッ ガキュ
「!?」
引き金を撃つ前に雪広は接近し、左手の爪でライフルを挟む。そして右手の爪でそのライフルを切り裂き破壊する。
「い、インターセプター!」
「ガアア!」
ライフルもビットも破壊され、セシリアは最後の武器で唯一の近接武装のダガーを呼び出す。がその武器も雪広の蹴りで弾かれ、手元から離れてしまう
セシリアは持てる武器がなくなってしまった。だが、雪広はとどめを刺しにゆっくりと近づく
「ハアア・・・」
「ゆ、許してください・・・な、何でもしますから・・・」
殺される、そう思ったセシリアは非礼を詫びる。降参は双方共の合意がなければ成立しない。なんとかISのダメージを最小限にとどめようと雪広に謝る。
が、その願い虚しく、雪広は右手を大きく振りかぶる。大きな爪で上から切り裂かれるのをセシリアは想像し発狂した。
「やめて、やめてええええええ!!!」
「・・・ッガアア!!!」
雪広は爪でセシリアを上から切り裂く、そのまま地面に突っ込み、セシリアのSEが0になる。ブルー・ティアーズは半壊し、自身も泡を吹いて気絶している
『試合終了。勝者、遠藤雪広』
「ガアアア!!」
試合終了のアナウンスとともに雪広は雄たけびをあげる。そして、一息つくと雪広のISは元の色に、暗黒から青の色が戻り、瞳も元に戻る。その後気絶したセシリアを見向きもせずにピットに戻っていった。
アリーナは雪広が代表候補生を下したことで歓声とどよめきが沸き起こっていた。
意識が戻ったときはヤツがライフルで自分の頭を狙う光景だった。ほんとに、このISの形態変化後の単一能力は使い方が難しい。
でも勝てた。圧勝ではないが余裕をもって勝つことができた。一夏や楯無さんには感謝しかない。
「やったな!兄さん!」
「ああ!やったぞ!」
ISを解除した後、自分は一夏とハイタッチする。
「よくやったわ。ま、おねーさんは勝つと思ってたわ」
「いえ、楯無さんの指導のおかげです」
「あらあら、嬉しいこと言ってくれるじゃない♪」
楯無さんの指導がなかったらこの勝利はなかった。本心からの言葉に楯無さんも気分が良さげだ。
そして楯無さんからプライベートチャネルが開かれる
『それに、暴走しなかったのはよかったんじゃないの?』
『そうですね、まだあの形態変化では不安定ですが何とかなってよかったです』
『なにはともあれ、安心したわ』
意識を取り戻した後、楯無さんにその旨をプライベートチャネルで伝えていた。それが試合後も届かなったら、即取り押さえることになっていたがその心配は杞憂に終わった。
そして、一夏に視線を向ける
「さて、次だな」
「ああ」
「緊張してるか?」
「してない、っていうと嘘になるな」
「・・・大丈夫だ」
と、自分は一夏の肩に手を乗せる
「一夏は強くなった。自分が保証する」
「兄さん・・・」
「一夏、過去の因縁をぶち壊してこい!」
「・・・ああ!」
よし、一夏の緊張もだいぶほぐれたようだ。これならあのクズに勝てる。
『だろう』はいらない。一夏なら絶対勝つ。自分の見ていないとこでも一夏は努力を惜しまなかった。それに、クズは天才と言っていたが、自分はそう思わない。自分は本当の天才を多く見てきたが誰一人、驕るものはいなかった。束さんだって努力を続け、ISを生み出した。中学までは才能がものを言うかもしれないが、高校からはそうはいかないはずだ。努力しない人間は落ちぶれる。
そうこう考えている間に時間になった。いつの間にか
「じゃあ、行ってくる」
「ああ、行ってこい」
「うん、・・・遠藤一夏!
一夏が灰色のISを展開しピットから出ていく。
頑張れ、一夏。お前ならできる。
雪広の機体説明 簡易版
・スクーロ・ソーレ
イタリアのジレス社が製作した雪広専用IS。イタリア語で「暗い太陽」ベースはイタリアが開発した「テンペスタ」であり、第二世代モデル。初期装備をすべて外し、それぞれの戦闘で武器を変えることができる拡張性の高さが特徴。装備格納数も12と他の機体と比べ多め。(一般的に他の機体は5~8)それ以外の性能は他の専用機持ちの機体の平均程度。
また、雪広の格闘スタイルも考慮しており、通常、殴る・蹴るでは自身もダメージを負うが、このISはそれを考慮し、自身のダメージをほぼ0にしている
ただし、末端が無敵というわけではなく、切られたり撃たれたりするとダメージを食らう。打撃に強くなってるイメージ
この世界におけるISの特殊能力
形態変化 読み方 モードチェンジ
今現在、雪広のみができる変化。単一能力でも第二形態移行でもない。機体の特徴が変化し、搭乗者にも変化が起こる。
どうやらどの専用機も形態変化ができるらしいが詳細は現在不明。
束さんも解析中。
詳しくは代表決定戦が終わった後に書きます