白と黒のワイルドカード   作:オイラの眷属

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シリアスとコメディの境界線しっかりしたいと思う今日この頃
てかまた深夜テンションで書き終えちゃったし、明日の朝とかで絶対後悔することになるだろうなぁ・・・


第2章
祭りと見舞いと竜の代償


テロリスト襲撃から幾分か経ったある日の放課後。アルザーノ魔術学院の生徒は一週間後に開催される魔術競技祭の練習に励んでいた・・・システィーナ達のクラス以外は。

 

「『飛行競争』に出たい人はー?」

 

誰も応じず。

 

「・・・じゃあ『変身』の種目に出たい人ー?」

 

これにも誰も応じず。教室内には気まずい空気が漂っていた。ここで、この膠着状態にうんざりしたのか、ギイブルがその口を開く。

 

「いい加減にしろよ二人とも。他のクラスは例年通りに成績上位者で全競技出場者を固めてる。おまけに、今回は女王陛下が御尊来になるんだ。負けると決まった戦いを、陛下の前でしなければならない。そんな大会に出場したくないと思うのは当たり前だろう?」

 

歯に衣着せぬ物言いで、ギイブルはさらに続ける。

 

「優勝を狙うなら、他のクラスと同じように成績優秀者で出場者を固めるべきだ。足手まとい達を出場させる意味なんて少しもない」

「・・・ギイブル、あなたいい加減に───」

 

あまりの毒舌にシスティーナの堪忍袋の緒が切れ、一触即発の状態になったその時。

 

「───話は聞かせて貰った!後は任せろ!このグレン=レーダス大先生になぁっ!」

(((一番来てほしくない奴が来た・・・!)))

 

グレンが教室のドアをばぁんっ!と開けた瞬間、生徒達の心の声が見事に一致する。

グレンはそんなことは露知らず、ソティルに手招きをする。

 

「じゃあソティル、ちょっとお前こっち来い」

「なんで私!?」

 

興味なさげに頬杖をつきながら窓の外の景色を見ていたソティルが困惑する。

 

「お前の意見を参考にしたい。クラスメイトの特徴とか癖は頭に入ってんだろ?」

「なんか言い方に語弊がありますけど・・・まぁわかりました。システィーナ、リストを貸してください」

「わ、わかったわ・・・」

 

システィーナが渡したリストをグレンとソティルが睨みながら会議をする時間が続く。どちらも真剣な表情で一切妥協をしていない。

 

「『念動』はリンかテレサ、どちらにしますか?」

「テレサだな。リンは変身の競技に出場してもらう」

「わかりました。『暗号早解き』は・・・ウェンディが適任ですね。そうなると、ウェンディが出場するはずだった『決闘戦』の枠は───」

 

しばらくして、グレンとソティルがニヤリと笑ったかと思うと、ソティルがリストをグレンに手渡した。

 

「お前ら、今から編成の説明をするからよーく心して聞けよ。まず『決闘戦』はカッシュ、白猫、ギイブル。次に『飛行競争』はロッドとカイ。そんでもって『精神防御』はルミアで───

 

───以上、何か質問はあるか?」

「私は納得いたしませんわっ!」

 

ウェンディがさっそく席を立ち抗議する。

 

「どうして私が『決闘戦』の選抜から漏れてるんですのっ!私の方がカッシュさんより成績はよろしくってよ!」

「それについては私から説明させてください」

 

ソティルが珍しくはきはきとした真面目な口調で喋りだす。

 

「まず、運動能力ですね。カッシュはこのクラスでは一番運動神経がいいと記憶しています。あと・・・これは少し言いにくいのですが・・・」

 

苦い顔をしながらソティルが頭を掻いた。

 

「その、ウェンディは・・・少しどんくさいですし、緊張しすぎるところがあります。以前の実技試験でも最後の一発を外してましたし、その時は呪文噛みまくってましたし」

「うっ・・・」

「ですが『暗号早解き』ならば、このクラスであなたの右に出るものはいません。これは私とグレン先生が考えた最も確実な勝利方法です」

「ま、まぁ・・・そういうことでしたら・・・」

 

怒るに怒れず、しぶしぶソティルとグレンの提案を受け入れるウェンディ。

その後も、なぜその競技に自分が選ばれたのかわからない生徒達が次々と手を上げ、そのたびにソティルとグレンが理由を説明していく。

結果、一人を除いてその編成に全面的に賛同した。無論、賛同していないその一人はギイブルである。

 

「・・・本当にこの編成で戦うつもりですか?他のクラスは成績上位者で固めているんですよ?勝てるはずがない。僕は他のクラス同様の編成にすべきだと思いますけどね」

「「・・・え?」」

 

二人は唖然とする。この二人は出場者が重なってもいいことを知らなかったのだ(ソティルはギイブルの話を全く聞いていないため)

 

じゃあそっちの方が効率よくね?

 

そう思った二人はなんの躊躇いもなく、「そうしよう」と言うつもりだったのだが、そこでシスティーナがグレン達のことを全力でフォローしてくる。

 

「何言ってるのギイブル!先生とソティルはあそこまで必死に考えて私達を優勝に導こうとしてくれてるのよ!?なら、私達をここまで信用してくれてる二人に泥を塗ってどうするのよ!ね?二人とも?」

「いえ、システィーナ。勝つんだったらギイブルの言う通りむぐっ!?」

「そ、そうだよなっ!み、皆で優勝、取りにいくぞ!」

 

ソティルの口を押さえたグレンの声は若干震えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・姉さんのお見舞いに・・・ですか?」

「うん。私も復学出来たのに、テトラがまだ学校に来てないのが心配で・・・」

 

競技祭の練習も終わり、いそいそと帰宅の準備をしていたソティルがその手を止める。

ルミアは少し前に復学していたが、テトラはまだ休学中である。一応、ソティルから意識は戻ったとは聞いていたが、それでも心配なものは心配だった。

 

「わかりました。姉さんも喜ぶと思いますし」

「ほんと!?ありがとうソティル!」

 

以前に比べて、ルミアに対するソティルの態度は見るからに軟化していた。テロ事件で何かしらの心境の変化があったのだろう。

 

「システィーナも来るのですか?」

「う、うん・・・」

 

ソティルの問いにそう答えるシスティーナにはどこか影がさしていた。どうやらその事にはルミアも気がついているようだ。

 

「・・・なるほど。姉さんに庇われたこと、まだ気にしているんですね。本人は絶対に気にしてないって何度も言ってるのに・・・」

「で、でも・・・」

「まぁ、本人に謝ってあなたが気が済むのならそれもまた一つの解決法です。あなたに対する姉さんの気持ちも聞けるでしょうし」

 

ソティルは鞄に教科書を入れながらため息をついた。

 

「来るんだったら急いで下さい。私、今日は献立当番なので早く帰りたいんです」

「って、あなたはいつも異常な程早く帰ってるでしょ!?」

「記憶にありませんね」

「あ、あはは・・・」

 

ちなみにソティルは毎日授業が終わって三分も経たないうちに帰っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルミア達に全く気遣いもせずにスタスタと前を歩いていくソティル。しばらくその後をついていくと、ソティルはある店の前で足を止めた。中々に大きい店だが、その店内には商品は一つも置かれていないようだ。ソティルは鞄から鍵を取り出してドアを開ける。

 

「こ、ここがソティルとテトラの家・・・」

「・・・よし、鍵は開けたのでとりあえず入っててください。さて、今日やるべき依頼は・・・?」

 

ソティルは店の端っこに置かれた机の引き出しから手馴れたように書類の束を引っ張りだし、そこから五枚の紙を引き抜いたあと、また束を引き出しに戻した。

 

「ルラート草の納品が今日まで・・・あとはイテリアベリーの収穫の手伝いですけど・・・・っと、すみません二人とも。先に姉さんの部屋まで案内しますね」

「あ・・・わ、わかったわ」

「ソティル、今何してたの?」

 

首を傾げるルミアにソティルはあっけらかんと答える。

 

「仕事です。依頼が結構な数溜まっているので」

「し、仕事!?」

「詳しいことは姉さんにでも聞いて下さい。私はあなた達を部屋まで連れていった後には、夕飯だけ作って色々な場所に行くつもりですので」

 

ソティルは書類を手に持ったまま二人に手招きする。

 

「こっちです。姉さんのことですから、『暇すぎて死んじゃうっ!』とか言ってると思いますよ?」

 

テトラの声真似(声もコピーしているはずなのに全く似ていない)をしたあと、はっと何かに気がついたような仕草をしたソティルは少しだけ赤くなった顔を書類で隠しながらそそくさと二階へと上がっていく。

そんなソティルの様子を見た二人は彼女の心境を悟り、吹き出しそうになりながらもその後をついていった。




ソティルの能力(時間逆行による治癒)
星晶獣ミスラの能力『リターン』によって対象の時間を巻き戻す技術。エネルギー消費が激しいためソティルは奥の手として使用する。
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