文を見ておかしなところがあったら修正しときますのでご了承ください。
痛みに悶え、床を転げ回るソティル。そんな様子を尻目にテトラはソティルに聞こえないような小さな声でセラに話しかける。
「3日間一緒に過ごしてわかったんです。今の人間の姿をしたソティルは感情自体はちゃんと持ってます。でも、データはあっても自分でその感情がなんなのかよくわからないから、それに自分を兵器だと思ってるから、だからあんなことを考え方をしてしまうんだと思うんです。だったら私が感情、そして人としての生き方を教えてあげれば、あの人はきっと人の気持ちを考えられる優しい人になるって・・・私、そう思うんですよね」
涙目になりながら頭をさすっているソティルを見ながら、セラは複雑な心境でいた。
テトラには酷だが、人の手によって作られた兵器が人の心なんて持つことができるはずはない。
しかし、セラの心境は2人の会話によってまた変化することになる。
ソティルはふらふらと立ち上がりながらまだじんじんと痛む頭を乱暴にさすっており、その度に元から乱れている髪がさらに乱れていた。
「いてててて………姉さん!?なんでいきなり殴ってくるんですか!」
「セラさんを殺すーとか言ってるから」
「一緒に住む理由がないのになんで殺しちゃいけな「また拳骨が欲しい?」………なんでもありません」
テトラの言葉に多少怯みはしたが、ソティルは納得がいかないという表情をしていた。テトラは大きくため息をつく。
「あのねソティル。あなたがあなたを産んでくれた人にいきなり『もういらないから自殺しろ』って言われたらどんな気持ち?」
「人間の姿ではない時の私に感情はありません」
「じゃあもし今の人間の姿で言われたら?」
「………不快です。恐らく拒否します」
「ソティルは今同じことをセラさんに要求してるんだよ?」
「………・」
テトラは小さい子を相手にしているかのようにソティルを諭していく。一方のソティルはずっと下を向いていた。
「───今のソティルは『兵器』じゃなくて『アルザーノ帝国に住む女の子』だよ。セラさんが悪い人じゃないってことは解析してわかってるんでしょ?人間として、自分に必要か不必要かってだけで物事を考えることはしてほしくないな」
「………わかりました」
ソティルはぼそりとそう小さく呟くとすたすたとセラの方に歩いていき、蚊の鳴くような声で謝罪をした。セラはなんと言えばいいかわからずあたふたしていたが、ソティルはふんっ、と鼻を鳴らすと身を
「私は下で食事を取ってますから、何か用があるなら下に来てください。用があるなら、ですが」
ソティルは2人の方を向かずにそう言い残すとドアを勢いよく閉めた。どうやらかなり機嫌を悪くしてしまったようだ。
「ね?本当に子供見たいですよね。あの子」
「ふふっ、確かに。少なくともテトラちゃんと会話してる時のソティルちゃんは兵器って感じは全然してなかったな」
「やっぱりあの子は変わってくれると思います。私だけが生き残ったのは、神様が私にソティルの面倒を見させたかったからだと思うんです・・・だから」
テトラがセラの手をがっしりと掴む。その眼差しは真剣そのものだった。
「セラさん。酷かもしれませんが、軍とかのことは忘れて、私達と一緒に暮らしてくれませんか?私じゃあの子に教えられないこともたくさん出てくると思うんです。だから、セラさんにもあの子に色んなことを教えてあげて欲しいんです。お願いします!」
頭を下げ、懇願するテトラ。しかしセラはその問いに力なく首を振った。
「ごめん。軍のことを忘れるっていうのは私には無理。私、絶対に成し遂げたい夢があるから」
「───そうですか。いえ、わかりました。ソティルにセラさんを元の姿に戻せるかどうか尋ねて「でもね」
セラが凛とした声でテトラの言葉を遮る。子供の姿になってしまったため、成長期前の高い声になっているのにも関わらず、とても温かく、力の篭った声だった。
「一緒に暮らすのは賛成だよ。軍人としても、あんな危険な兵器を放っておくなんて出来ないから………なんてね」
そう言ったあと、セラは片目でウインクをした。今の理由はどうやら建前上のものらしい。それを察したテトラはその顔をぱぁっ、と明るいものにする。
「ありがとうございます!これからよろしくお願いします!」
「うんっ!お姉ちゃんに任せときなさいっ!」
「………今のセラさんは私よりも年下なんですけどね」
「そ、そうだったね。あはは………」
笑い合い、結束を固めた2人。
これが少女2人と兵器1つの奇妙な同居生活の始まりである。
ちなみにソティルの機嫌が直さないまま3人は夜を迎え、夕食中に気まずい空気が延々と流れる事態になってしまったため、翌日にセラとテトラはソティルの機嫌直しに丸一日奔走することとなった。
人物紹介は今回はとくにありません
次の話から本編ですが暇があったら、前日譚として3人の日常とかも付け足したいですね