無限の鉄製 作:天目一箇
ガイィィン!
赤く輝く鉄をたたき、伸ばす。
ガイィィン!
余分なモノを排出して、折り曲げ、叩く。
ガイィィン!
己の魂さえ宿れと言うように叩く。
ガイィィン!
男の額から玉のような汗が流れる。それは、燃える鉄を前にする熱であり、鉄をたたく一つ一つの動作に慎重を気しているからだ。故に音は、全く同じ。
ガキィィィン!
音が代わる。ここからが仕上げだ、形を整える為に叩く。
形を整え終われば、鉄を冷やす。焼き入れて、研ぐ。その作業でさえ矢張りもの凄い汗をかく。そして、音に違和感を感じれば直ぐに新しい砥石に返る。
「………………ひとまず、出来たな」
出来上がったのは日本刀。濡れたような仕上げのそれを見て満足そうに頷く少年は名も掘らずに柄と鍔を用意する。
日本刀らしくなったそれを持つと、鍛冶場の外にでる。ムワッとした室温から一気に冬の寒さが肌を襲う。しかし気にせず、庭にある鉄の棒の前まで行くと刀を構える。
「ふぅ────疾!」
キン!と乾いた音がして、鉄砲が切り裂かれる。断面はまるで鏡のようで、縁を拾った枝で軽く撫でれば枝に切り込みが生まれる。
「────チッ、まぁたナマクラだ」
それを見て彼は舌打ちをする。そして、本邸の今に飾られている刀を取ると、再び庭に戻り鉄を切る。やはり鏡のような断面。枝で撫でれば、やはり切れる。鋭い角だ、切り落とすなどは出来ない。だが、切れ込みは先程のより滑らかだ。
「…………俺もまだまだか」
これは彼の弟子入りした刀鍛冶師の祖先、鍛冶一族の開祖が生み出した刀。彼の目標は、これを越える刀を打つこと。理由を聞かれれば、簡単だ。刀を打ちたいのだ、そして刀を打つ以上、誰か劣るなど認めない。
彼の流派の開祖以来初めて鉄を立つ刀を打った彼は、開祖の名を継いだ。周りも褒め称えた。しかし彼は満足しない。
彼の名は二代目
因みに彼は元々天野家ではない。とある政治家の息子で、親の後を継ぐように教育されていたがその親の趣味である居合いを見て、家から出た。あの程度の腕でももの凄い切れ味を誇る刀に、魅せられたのだ。故に全てを捨て、刀の制作者に弟子入りした。
最初は金持ちの道楽、直ぐに離れると思っていた彼の師も真剣に打ち込む彼を見て、また跡継ぎが居なかったというのもあいまって彼を弟子と認め実家からも彼を隠した。
死去した後、彼の名が知れた後、父が接触してきたが彼は無視。刀を突きつけ追い返した。
「………む、もう夕方か。どうりで腹が減った」
刀を打っていると何時もこれだ。適当に何か食おう。この
「…………もしもし?」
『夜刀か?私だ……織斑千冬だ』
「千冬?どうした、また刀を打って欲しいのか?」
『現役を引いた私では、刀を振るう機会も減った。前にもらった刀は無事だ』
電話の相手は夜刀の数少ない年上の友人にして
『お前、ニュースは見てるか?』
「今日はイチンチ中籠もってた。なんだ、チャンネルはどれだ?」
『どれでも同じだ』
「?」
取り敢えずテレビをつける。天気予報か刀の出るアニメやドラマを見る時以外使ったことのないテレビだが、果たして何を見せる気なのか。
『世界初、ISの男性操縦者が現れました。世界は、これよりほかの男性操縦者が居ないか調査を───』
「………ほう、お前の弟か。刀を打てと?腕は?ともわぬのなら失敗作しかくれてやらねぇが」
『失敗作でもお前の刀は彼奴には勿体ない。単純に、検査を受けろと言っている』
「何故だ?鎧ならともかく、俺は宇宙服きて剣を振り回す気はない」
『そういうと思っていた。だからこそ、だ。男がISを動かす、これがどれだけのことか理解してないな?世界は血眼になって探す。そんな中、私と個人的な繋がりがあり検査を断る男など、どう見ても怪しい。例えなくとも、疑って攫いに来るかもしれん』
「あー……そりゃまあ、そうか……面倒だな。斬って捨てるにも法律がじゃまだ………お前が世界最強とやらになった大会の時も変なの来たしな。まあ、切り刻んで山の肥料にしてやったが」
『まあ、そういうわけだ。人質にするのなら、たかが裏組織では相手が悪いと理解しただろうが男性操縦者となれば世界が動くだろうからな』
『二人目の男性操縦者IS操縦者が発見されました。名は天野夜刀!』
「ぶふぅ!」
「お、織斑先生!?」
弟の入学に関する書類整理をしていた織斑千冬はテレビに映った友人の顔に思わず飲んでいたコーヒーを噴き出す。