私は負けた
負けること自体は問題ではない
怪我はしたが命があるだけマシだ
目覚めると前に来たことのあるアースラの治療室だった
そこでの話の内容のキーワードを頭の中でまとめてみた
闇の書
守護騎士 ヴォルケンリッター
烈火の将
シグナム
闇の書、というのは恐らくはやての家にあったアレだろう
守護騎士
文字通り闇の書を守る存在
烈火の将シグナム
と名乗ったため他にも仲間がいる
それぞれ固有の2つ名らしきものを持っている
と言ったところかな
「あーあ、襲撃犯とエンカウントしちゃったなぁ…」
その時扉が開いてクロノが入ってきた
「目が覚めたのか、良かった」
「なのははどうなったの? フェイトは?」
「なのはも怪我をしてここに運ばれてるよ。フェイトは怪我はなかったがなのはの傍についている」
無事なのか、それならばよかったと言えるけど
「ただ、なのは含めデバイスが破壊された。修理はできるが直るのは来週辺りになる」
「そう、ならそれまでここでお世話になってようかな」
「直ったらどうするんだ?」
「フェイトも引っ越すんでしょ?リンディさんとこでお世話になるかまた月村でお世話になるつもりだよ」
「そうか。そのことは伝えておくよ」
割と世間話しかしていなかったがクロノは行ってしまった
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退院は早かった、というか一日も入院してないしせいぜい診察くらいだ
気絶してたからそこら辺は曖昧だけど
まぁ、あちらが非殺傷で戦っていたことも大きいが上手く防げていたからだ
そして私は─────
「「……………」」
まって、気まずい
インターホンを押して、はやての声がして
そして八神家の扉の前で待っているとあら不思議
扉を開けたのはシグナムではないか
「貴様何しに来た」
「それはこっちのセリフって言いたいけどなんではやての家にいるの」
私は今変身魔法ではなくユニゾンで髪や目の色を変化させているのでいきなり襲われるかものは思ったがさすがに無抵抗でやられる訳には行かないので一応一式持ってきているのはとても運が良かったと言えるだろう
「シグナム?誰が来たん…」
あ、やべ
いつまでも動きがないためかはやてが見に来たのだ
当然私は対面することになる訳で…
「美雨…ちゃん?」
「あーうん、久しぶり」
「美雨ちゃーん!」
「ちょっ!?はやて車椅子のままは危ないって!?」
感極まって車椅子のままで突撃してきたはやてを強化した腕力で抑え込む
すると頭突きするように抱きついてくる
「いつ帰ってきたん?」
「昨日かな」
「なんで連絡くれなかったんや」
「ちょっとゴタゴタが…」
襲われたなんて口が裂けても言えない
「ところでその人ら誰よ」
「まぁ、詳しいことは中入ってからやね」
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「で、石田先生に頼んで誕生日にビデオは渡されたから私の名前は知ってるよね」
「確かクレアっちゅう名前やったね美雨ちゃんは」
「そ、だからこれからはクレアで統一して欲しい」
「オッケーや」
「で、改めてその人ら誰?」
私はソファーに座ってるが今机に備え付けの椅子にシグナムとあの時いた赤毛の子それと知らない金髪の女性が座っていた その近くには犬?じゃないな狼かな?が座っていた
「じゃあうちの家族紹介するわ。シグナムから自己紹介してなー」
「シグナムだ」
知ってる
「ヴィータ」
随分不機嫌そうだね
無理もない襲ったやつの仲間が本拠地に乗り込んだも同然なのだから
「私はシャマル よろしくね」
あーなんかアリサを大きくして穏やかにしたらこーなりそーって感じだけどこれは作り笑いだわ
「で、この子がザフィーラや」
「ザフィーラって犬じゃないよね?」
「え?そうなん?」
「犬にしては大き過ぎない?」
「あー、それは…」
「まぁいいか、それじゃ、改めて自己紹介しとこうかな」
ユニゾンを解除して本来の姿に戻る
「おおー」
「クレア・ガーネット ベルカの魔導師だよ」
「ボクはベル。融合機だ」
「「よろしく」」
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「いやー凄いんやなぁ魔法って」
「消し炭だって簡単に作れるよ」
「やはりその年でそこまでの技量…将来有望だな」
魔法の存在は知ってるから危なくない程度に魔法を見せていた
「本当はデバイスがあればやりやすいんだけど壊れちゃっててさ」
視線をシグナムに向けそういうとシグナムは目線を逸らした
『後で話がある』
『わかった、公園でいいかな』
『構わん』
念話でそう言ってきたが内容は予想がつくのでここでは何も言わない
「じゃあ私帰るね」
「もう帰っちゃうんか」
「あまり遅いと心配かけるからさ」
「それならしゃあないな」
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「待たせたか」
「はやての家ではああ言ったけど大丈夫だよ」
ヴォルケンリッターがゾロゾロと…
物騒なことにならなければいいけど
「我々から言うことはひとつだ。お前の魔力をくれないか?」
「やなこった」
「てめぇ!」
「ただでさえデバイス壊されてるんだこれ以上面倒ごとはごめんだよ」
「なんならここでやる?管理局がすっ飛んできて、そうなったらはやてのこともバレるかもよ?」
「くっ…」
さすがにそのような事態は避けたいのか警戒してはいるが戦うことにはならなそうだ
「ならば、私たちに協力して欲しい」
「協力?」
「そうだ 魔力をよこせとは言わん。だが魔力を蒐集するのに協力して欲しい」
なんでもはやての足は闇の書なるロストロギアのせいで動かないそうだ
このままでは麻痺が上半身まで届き死に至るという
そんな話を聞いたからには協力しない訳には行かない
「悪いけど私はあんたらの敵として動くよ」
「なんだと!?」
「てめぇはやてを助けたくねぇのかよ!」
「一度シグナムと戦ったからまず管理局の戦力にされる可能性が高い。だから捕まりそうになった時逃走の手助けしてあげる」
「なるほど、直接ではなく間接的に…というわけか」
「まぁ、管理局には所属してないしそのまま裏切ってもいいけど個人的にあんたらとは戦いたい」
「シグナムもそうだけどクレアも戦闘狂か?」
「さぁ、どうだろうね?」
とりあえず今後の方針は決まった
「私そろそろ帰るからはやてにあまり負担かけるんじゃないよ?」
「あぁ、シャマルが料理の手伝いするとたまに凄いのあるけどな」
「ちょっとぉ!?」
「これからよろしく頼むぞ」
「こちらこそ」
そうして私とヴォルケンリッターの半協力関係が結ばれることになった