まぁでも今回は物語も微妙に進んでるようで進んでないような変な回です。
あ、閑話みたいなw
それは置いておいて、本編どうぞ←
先日のFFIアジア地区予選第2試合カタール代表デザートライオン戦から数日。
その興奮と熱が未だ覚めやらぬ中、それ以上にてんやわんや大忙しの虎丸宅。その雰囲気には大方そぐわないような怒声が響き渡る。
「火蓮は2番と4番!あんたは8番のバッシング!虎丸は
「は、はい!!すぐ行ってきます!」
「わかってるってば!」
「もう、なんで私だけ『あんた』呼びなの〜?乃之美さん、って言ってくれればいいのに〜」
「仕方ないですよ、あいつ、あぁ見えて結構な恥ずかしがり屋………………」
「ベラベラくだらねぇこと喋ってる暇があったら手を動かせバカ共が!!!」
特段バタバタと慌ただしいわけでもなくいつも通りに作業をしている訳だが、お客さんの量は試合前よりも段違いに多く、ざっと見積もっても倍くらいの差はあるっぽい。
どう考えてもカタール戦で虎丸くんの活躍が影響しているのは言うまでもない。
それでもカタール戦前と同じ感覚で回せているのはやはりキッチンに降臨せし鬼料理長の
やっぱり試合に出れなくてストレス溜まってたのだろうか、それともゲームメイカーとしての本能のようなものだろうか。
虎丸くんのお母さんを無理やり休ませると私に虎丸くん、そして乃之美さんの3人に的確に指示を出しながら料理を作り続けていた。
一応今回お手伝いしている経緯はさすがにお客さんの人数が多すぎで手が足りなすぎるという事で虎丸くんから直々にお願いされてしまったので手伝っている。
断じて面倒とか仕方ないからとか思ってる訳ではなく、あまり深く首を突っ込みすぎるのも良くないと思ってあれ以上深くは詮索しないでおいたのだが、向こうから来てしまっては断る訳にもいかなかった。
「でもすごいね不動くん。このお客さんの数を私たち4人で回しちゃうんだから。………………口調は少し荒っぽいけど」
(カチャカチャ)
「それに関しちゃ私も同意します。とは言え不動にこんなハイスペックな面があったなんて私も驚いてるところですよ…………。サッカーよりこっちの方が向いてるんじゃないかしら」
(カチャカチャ)
「そう言えば、火蓮ちゃんと不動くんは虎丸くんと同じチームなんだっけ」
(カチャカチャ)
「えぇ、そうなんです。あ、カタール戦の時はお弁当ありがとうございました。すごく美味しかったです」
(カチャカチャ)
「いいのいいの。喜んでくれたんなら作った甲斐があったってこと。………………っと、不動く〜ん。7番さんの料理上がった〜?」
「当たり前だ!あんたはこれとこれを7番、それから8番に次の客を入れて人数分
「りょうか〜い」
「不動、2番と4番終了。ついでに6番の会計とバッシングも終わって、1番から追加注文が入ったから聞いてきたわ。
「あん?ポテトサラダだァ?………………それくらいお前で何とかしろ!冷蔵庫上から三段目右!」
「はいはい。っと、そうだ………………………………乃之美さーん!今テーブル3つ空けたのであと3組入れます!!」
「はーい。おまたせしましたお席の方準備出来ましたのでご案内しますね〜」
店内に3人の会話が絶え間なく飛び交う。
とは言え、今のこの状況は………………チームのみんなに見られたらかなりやばいのではないだろうか。
そう、色んな意味で。
「不動さん!今戻りました!」
「不動くん!2番と4番から注文!」
「18分28秒…………ふん、上出来だ!それから注文は貼っとけ!虎丸!
「はい!」
そんな感じでモヒカン料理長のおかげで閉店間際の客足が落ち着くまでフル回転を続けた虎ノ屋。
前言撤回。
いつも通りに動けたとか言ったけど、これはいつも以上ですわ。
以前お手伝いした時よりもはるかに疲れた。
乃之美さんと虎丸くんとともに4人がけのテーブルへ腰掛けて3人同時に息をついた。
「ふぅ〜疲れた〜。火蓮ちゃんもご苦労さま〜」
「乃之美さんも…………はぁ……」
「あの量のお客さんを捌き切るなんて……さすが不動さんですね」
最後に使用したフライパンを洗い終えてフックに引っ掛けた不動が後頭部を掻きながら4人がけの最後の椅子へカタンと座ってテーブルへ肘をついた。
「ケッ、なんで俺様がこんなこと…………」
「そう言う割には手際良かったじゃない。あんた、こっちの方が向いてるんじゃないの?」
「喧嘩売ってんじゃねぇだろうな」
「まさか」
そんなやり取りをしていると店の奥から虎丸くんのお母さんがゆっくりと顔をのぞかせた。
「今日は本当にありがとうございます。お2人もサッカーの練習で疲れているでしょうに。その上お店をおまかせしてしまって…………」
「いえいえ、このくらいなんてことないですよお母さん。ね、不動?」
「チッ…………」
「ほら不動も顔にはでないですけど内心では大丈夫って言ってますし」
「………………テメェ……」
「また人手が必要なら言っていただければ手伝いますから。不動も」
「俺は却k……………………」
「OKですって」
「……………………ケッ」
ツンと頬杖をつきながらそっぽを向く不動。
まぁ言葉とは裏腹に本人のストレスが緩和されたならいいのではなかろうか。
さてと。
取り敢えず明日はどうなるか分からないから一応手伝いに来ることも頭の片隅に置いておこう。
と言うか、
それはいいとして、そろそろ豪炎寺くんとの特訓の時間だ。
この時間とは言え不動なら1人でたったか帰るだろう。
「さて、そろそろ時間ね。私はこの後用事があるから先に上がるわね。虎丸くんのお母さんすみません先に上がらせてもらいます」
「そんないいのよ。こちらがお願いしていますし、気になさらないでください」
「ありがとうございます。それじゃあ、虎丸くんもお先に」
「はい、ありがとうございました。お気を付けて」
「わかってるわよ」
「ありがとね火蓮ちゃん。またやば〜くなったらお願いね」
ひとしきり挨拶をして私は虎ノ屋を後にした。
その後ろ姿を不動が横目で見ていたことに私は気づく良しなどなかった。
──────────
河川敷。
「行くぞ火蓮!」
「OK!」
「「轟熱、スクリュー!!!!!」」
ナイター照明が照らす中、私と豪炎寺くんが生み出す真紅の炎がグラウンドに放出される。
「ふん!!!……………………………………っと、うん。最初に比べるとしっかり威力は上がり傾向にあるな。とは言えかなり緩やかな上がり幅だからこの分だと実践投入は絶望的かもしれないか」
そんな感じで涼しいセリフを吐きながら炎の塊と化したシュートを受け止めた秋人が片手にボールを乗せながらうむむと考え込む。
「……はぁ、はぁ、これでも、まだ足りないって言うのね」
「……だいぶ重ね合わせられたと、はぁ、はぁ、思ったんだがな」
GKの秋人は私達のシュートをひたすら止めてただけだからそこまでの疲れは見えないようだが、こちとらもう何本シュートを打ったか正直あやふやで鼓動も尋常じゃなく早い速度で脈打っていた。
練習着の袖で額の汗を拭い、両膝に手を当てながら早い呼吸を繰り返す豪炎寺くんに並んだ。
回転の都合上最後の一蹴りは豪炎寺くんの方が適任なので、毎度毎度シュート体勢に入る度に大きく跳躍している彼の方が肉体的な疲労はかなり大きい。
変わってあげたいのは山々だが………………。
「ごめんなさい。豪炎寺くんにばかり辛い役を任せてしまって」
「はぁ……ふぅ、気にするな。俺は大丈夫だ」
「ならいいのだけど……」
膝から手を離した豪炎寺くんが腕に巻いたリストバンドで汗を拭う。
「よし、緩やかな変化とはいえ確実に完成へ近づいているんだ。ここで根をあげるわけにはいかないさ」
「そうね」
「もういいか2人とも〜!」
そのタイミングで秋人がそこそこ大きな声を出しながらボールを投げ返してきた。
それを足で受け地面に押さえつける。
「1つ提案と言うか気になったことなんだけどさ〜!」
少し考え込んだ秋人が人差し指を立てながらこちらに向かって声を上げた。
「提案〜?」
「そう。1番最初の時からずっと気になってたんだけど〜!!」
「言ってみて〜!!」
「あの技〜!今火蓮と豪炎寺くん、別々に蹴ってるだろー?」
「あぁ!それがどうかしたか?」
「それー!
思わず私と豪炎寺くんが顔を見合わせてしまった。
「そう言えばなんで別々なんだっけ?」
「…………その場の空気と成り行き……だよな?」
「ならいっそ同時に蹴ってみたらどうだー?」
秋人の提案に私と豪炎寺くんがお互いの顔を見合ってから1つ頷いた。
確かに秋人の言う通り別々に蹴るのに特に深い理由は無い。
完全にその場の空気と成り行きだ。
ということはこれも可能性のひとつとして考えられるわけで、同時に打つと言う選択肢があっても何も不思議ではない、か。
「モノは試しだ、やってみよう。手応えがあれば路線を変更するのもありかもしれない」
「そうね。いっちょやってみますか」
方針が決まり私と豪炎寺くんがセンターサークルに並ぶ。
「とりあえず最初はタイミングだけ合わせることを意識してみよう。空中に蹴り出すんじゃなくて軽く前に出してそれを同時に蹴る。いいか?火蓮」
「OK。それでいきましょう。よし、Go!!!」
私の合図とともに2人同時にスタートし、GKとハーフラインのちょうど中間点辺りで豪炎寺くんへ合図を出す。
その合図を小さく頷くことによって返事をした豪炎寺くん。
走るスピードを微調整し、私が持っていたボールを2人の中間点になる前方斜め前に軽く蹴り出した。
そのボールへ向けて私はボールの左側から右足を、反対に豪炎寺くんはボールの右側から左足で全く同じタイミングで蹴りを浴びせた。
「ん?」
「これは…」
刹那、ボールにバチッと雷が弾けたかと思うと瞬く間に発火し炎上。
周囲に熱波を振りまく炎塊と化したボールが真っ直ぐにゴールへ向かって放たれた。
「む………………んんっ……な、なんだこれ!?」
それはいつものように受け止めようとした秋人を今までで1番の威力でグイグイ押していく。
そして…………
「…………っく!!」
最後に何かを悟った秋人が伸ばした腕から力を抜いたことでボールが秋人後方のゴールネットへ勢いよく突き刺さった。
その事実を目の当たりにして私と豪炎寺くんはと言うと。
「え?入った?」
「…………みたいだな」
呆気に取られて思わずお互いの顔を見合わせてしまった。
今までで1番いい手応えだったのは確か。
私達からしたらタイミングだけ合わせて同時に蹴っただけのただのシュートのつもりだったのだが…………意外といい感じ?
「にしても今の感じは……………………アレに似てるな」
「アレ?」
「あぁ。俺と円堂の必殺技に【イナズマ1号】っていう技があるんだが、さっきの感覚、と言うか蹴った時に出た雷がそれに似ていたんだ」
「ほーん。どんな技?」
「どんな………………確かFWとGKのコンビネーションシュートだったな。両者の間にボールが来るように走り込んで2人の回転の力を乗せた雷を纏うシュートだ。ポイントは2人の選手が同時にボールを蹴り込むところか」
「同時に………………ヒント、かしら」
「どうだろうな」
そんな感じであーだこーだ色々と言い合っていると。
ボールを持った秋人がその会話に加わってきた。
「今までで1番の威力だったな。驚いたよ」
「それは」
「俺達も同じだ。予想外の結果過ぎて次のステップが見えてこない」
「まじか…………。でもさ、一応中和で起こる力の減衰に対する光は見えてきたんじゃないか?順番に蹴るより同時に蹴る方が減衰が小さくその分爆発力に回すことが出来る………………可能性が見えたわけだ」
「ポジティブに捉えるとそうなるわね…………」
「?なんかあるのか?火蓮。しっくり来ない?」
「いや、その可能性はわかるんだけど……………………私的には何か引っかかるものがあるというか……足りないような気がするというか」
「火蓮もそう思うか?」
「じゃあ、豪炎寺くんも?」
「あぁ、確かにこのままタイミングやパワーを上げていけば完成はするだろうが………………なにか足りない気がするんだ」
そんな私たちの様子を見ていた秋人が息をつきながら後頭部を掻く。
「……………………はぁ、俺も今まで色んな技を受けてきたし見てもきたけど、ここまで一筋縄が複雑に絡まってるものは初めてだぞ」
「奇遇ね、私も」
「俺もそうだ。いつもの特訓とは違う意味で厄介な手応えというか…………。あるんだがしっくり来ないような、そんな感じだ」
「ふむ、なら最初の型に戻す方がいいか…………。難しいな連携技って」
「全くよもう」
「ま、ここらで1回休憩でも挟んでおこう。2人とも始めてからぶっ続けでシュートを打ち続けてるだろ?なにか飲み物買ってくるよ」
「大賛成〜、喉もカラカラ〜」
「………………」
ぐでっと項垂れるようにため息をついてベンチにストンと腰を下ろす。
そんな様子の私に、豪炎寺くんが少しだけ間を空けてからとある話を切り出した。
「………………火蓮」
「ん〜?どうしたの豪炎寺くん〜?」
「いや、休憩ついでと言うか…………聞きたいことが1つあるんだが」
「私に?……あぁ、不動とのこと?」
「不動?あぁ、あの真帝国の?なんだ彼も同じチームだったのか。はい水。豪炎寺くんも。ただの水だけど」
「ありがと〜♪」
「ありがとう。…………いや、それじゃなくてな。オーストラリア戦、覚えているだろう?」
秋人から受けとったペットボトルの口から思わず口を離す。
「覚えているけど…………それがどうかした?」
「あの時。あの試合の後半始まってすぐのお前のプレー。それと監督が言っていた【炎環の女帝】。もし、俺の予想が間違っていたらすまない…………」
そう言うと豪炎寺くんが口篭る。
私は秋人に視線を移してからもう一度豪炎寺くんへ視線を戻す。
…………秋人、【そこでなんで俺を見るんだよ!?】みたいな表情しないでよ!
ため息をひとつついてゆっくりと言葉を返した。
「いいわよ。言ってみて」
「……わかった。火蓮、お前はこのチームで……………………あのプレー以外で
………………。
まぁ、流石に訝しむわよねそれは。
あんなことを突然やったら。
「さぁ〜。私は私のプレーをしているだけ……………………」
「別にいいだろ?見せてあげればいいじゃないか」
私の言葉に被せるように秋人が口を挟んだ。
こ、こいつさっきは俺に振るなムード出てたくせに!
「あのね……」
「だってさ。今は
「………………という事は」
「ま、豪炎寺くんの予想通り。本当の火蓮はこんなもんじゃないぞ?なんせ世界中の大会で得点王を争ってるうちのエースだからな」
「そうか」
「あら?怒らないの?」
「まぁ、不思議と怒りの気持ちはないな。虎丸の時のようなあれはない。ただ、全力のお前のシュートを1度は見てみたい、とは思う。同じチームメイトとして、連携技の相方として知っておきたい。頼めるか?」
そこで再び秋人に視線を向ける。
「だからなんでそこで俺を見るんだよ。こっちじゃなくて
「はぁ、秋人。予想通りのセリフありがと」
ため息混じりに答え、豪炎寺くんへ向き直る。
「別にいいけど………………これでなんか変に気にしてこれからのプレーに影響が出ました〜なんて私は嫌よ?そうならないって確証ある?」
「ない。ただそれでもこの目で見て、知らないことには始まらない。なんせ、俺はお前のことは何も知らないんだ」
ふむ。
確かにそうか。
恐らく今のチームで私の事を知っている人がいるとしたら不動1人だけ。
その不動ですらほかのメンバーとの摩擦によって必要以上に……………………と言うか必要事項ですらも干渉しようとしないし。
少しだけ考え込んでから、わかったと一言答えを返す。
「1回だけ。よく見ててよ?」
首にかけていたタオルを外し、ベンチから立ち上がる。
足を軽く揺すり、筋肉を震わせて準備を整えながら秋人からボールを受け取ってハーフラインへ。
「ゴール前に立とうか〜?」
「いや、要らないわ。秋人はそこいて〜」
後ろ手に手を振り、センターサークルからゴールを見据える。
腰に手を当てながら大きく息を吸い込み、頭の中でカウントダウンを始めた。
…………3。
……2。
1。
0!
「フッ!!!!」
0カウントとともに地面を思い切り蹴り、瞬時にドリブルをトップスピードへ押し上げる。
体が空気を切り、激しい摩擦によって私の後方に真紅の光が揺らめいた。
そして、ゴール手前。
大きく足を振り上げてボールに向かって思い切り踏み付ける。
必殺技【スカーレットバーナー】の初動モーションによってボールを中心にしてべコン!と円形に地面が砕けた。
その大きさは、目測で
地割れの起きたその地面からゴボゴボと熱波と共に
まるで生き物のようにドクンと脈打つ炎塊を上空高くに蹴り上げると空中でその炎塊はさらに大きさを増しさながら太陽のようにドクンドクンと脈動を繰り返した。
続けて私も大きく跳躍し、くるんと宙返りをしてから右足を限界まで体に引き付けてからインサイドの蹴りを浴びせる。
イメージするならそうね………………あれよ、仮面ラ〇ダーのジャンプキック、みたいな感じ。
大炎塊は私の蹴りによってエネルギー爆発を起こしながらゴールへ向けて一直線に、まるで巨大なレーザービームのように迫り、最後にはゴールネットのど真ん中を突き破らん勢いで突き刺さった。
その衝撃でゴール諸共後ろに数メートル後退させていた。
証拠にゴールの置いてあった地面から真っ直ぐに引き摺られた線が残っている。
これが正真正銘本当の【スカーレットバーナー】。
私の中の最大にして最強の武器。
まだ秋人と
「ふぅ」
スタンと綺麗に着地を決め私は大きく息を吐いた。
─────
火蓮が今までに無いほど爆発的な加速をした直後、豪炎寺はぞくりと背中になにか冷たい感覚が走り抜けて行った。
それと同時にこめかみ辺りを汗の雫が伝っていくのが鮮明に感じる。
それほどまでに火蓮の瞬間加速は衝撃的だった。
「おぉ、ありゃマジだな。なかなかないぜ?
そう言うのは風に乗って流れてくる熱風を腕で遮りながらこちらに視線を向けている白虎。
彼は火蓮が練習のためと言って連れてきてくれた選手だ。
火蓮のチームメイトであり中学サッカー界『四天王』の異名を持つ選手らしい。
豪炎寺も『炎のストライカー』の異名を持つプレイヤー故に、自ずとその類の選手の名前を耳にする機会もそこそこ多かった。
その中でも『四天王』と称される人物の噂は全くと言っていいほど聞いたことがなかった。つまり今日初めてこの中学サッカー界にはそのレベルの選手が存在していることを知ったわけだ。
しかもその一角が目の前にいるというのもまた驚愕の事実だが……。
「あれが…………本気」
「あぁ、滅多にないんだぜ?あぁなったことは。
「そうなのか?」
「あぁ」
「………………なら、あれが本来の『女帝』の姿というわけか」
豪炎寺がそうポロリと言葉を漏らすと白虎は小さく吹き出してから豪炎寺の言葉を拾って回答を述べる。
「ははは、あぁ、知ってるのかあいつの2つ名」
「この前のオーストラリア戦で俺たちの監督、久遠監督がそう言ったんだ」
「なるほどね。ま、名前の由来は完全に
そう言いながら白虎が指さす先を見るとグラウンドの中心あたりの空気が高温によって沸き立ち、夜だと言うのにゆらゆらと怪しく陽炎を立ち昇らせている光景が目に飛び込んでくる。
「空気のゆらぎ?」
「それもある。でも一番の原因は、ほら、さっきセンターサークルから一瞬で加速して行っただろ?」
「あぁ」
「その時の火蓮の背後、見てたか?」
「確か一瞬にして炎が火蓮の背後に広がって行った………………………………!?いや!」
白虎の問いに対して顎に手を当てながら答えていた豪炎寺がなにかを閃いたかのように顔を上げて白虎の方へ視線を向けた。
「あの時、火蓮の背後の炎がまるで
「正解。あれが『炎環』。灼熱の轟炎を背中に纏い、その環は太陽を司る天照大御神が如し」
「?」
いきなりの口上じみたセリフに思わず豪炎寺が頭にはてなマークを浮かべながら白虎の方へ視線を向けた。
「ん?これか?これはあの本気の火蓮を真正面から対峙したあるキーパーが火蓮を形容した一言だ。なかなか上手いところついてると思わないか?くくくくw」
「なるほどな」
「ま、こんなことを言えるのは世界中回っても1人しかいないんだけどな」
「1人?」
「そう。さっき言ったろ?火蓮の本気を見ることが出来たのは…………」
「ライバルチームのキーパーのみ、か」
「その通り」
それを聞いた豪炎寺は大きく深呼吸をしてからぽつりとつぶやくように言葉を漏らした。
「……………………俺たちは、とんでもないやつと同じチームにいるんだな」
続けて冗談交じりに言葉を繋げ、ふと豪炎寺が口元を僅かにあげてみせる。
「ま、あいつも珍しく楽しそうにしてるからな。今までは興味も示さなかった連携技をしたいと言い出しているんだ。悪いが付き合ってやってくれ」
そんな豪炎寺に苦笑いを浮かべながら白虎が小さく笑って見せた。
─────
♢
シュート後私はふぅと軽く息を吐き出してから髪を靡かせてゆっくりと2人がいるベンチの方へ戻る。
「さてと、今のシュートを見た感想は?豪炎寺くん?」
「…………………………いや、衝撃的……以外に上手く表現出来ない」
汗を拭いながらベンチに戻って感想を聞いた私に大きく深呼吸をした豪炎寺くんがようやく言葉を出した。
「ま、いきなり火蓮の10割を見たら誰だってそうなるよなw」
「これが『世界』か…………」
「そんな大層なものじゃないわよ。周りに合わせて練習してたらいつの間にかこうなった。それだけ」
「え!?そうだったのか!?」
「そこでなんで秋人が驚くのよ」
「
秋人のボケを……………………あ、いや別にの顔は素で言ってるわ、じゃなくて、秋人とのやり取りを気にする様子もなく豪炎寺くんが切り込んでくる。
「そう。周りに合わせて。と言うかそもそもね、私、無意識に合わせちゃうのよ。ピッチに私以外いなければそういうこともないんだけど。頭では考えてても体は合わせちゃう。ある意味困りもの」
「なら、オーストラリア戦の時のあのプレーは」
「あの場所、あのピッチ上での最大出力。といことになるわね。まぁ、今ならあれこれ考えられるけど、いざピッチに立ったらこれが丸ごとすっぽり抜けちゃうんだから、変な感じよ」
「それは俺も初耳だな。
「知ってるわよ。でもまぁあの人はああ言う性格だから………………」
「まぁ、そうか」
「監督とは、あぁ、白虎と火蓮のチームの監督か」
「そう。豪炎寺くんにも後で紹介してあげるわね」
もう一度ベンチに腰掛けた私はふぅと息をつきながら水を1口口に入れた。
「ごめん。私今日は上がるわ」
ペットボトルから口を離して2人にそう告げ、そのままタオルをポーチに突っ込んで腰に巻く。
「あぁ、わかった」
豪炎寺くんの短い返事を聞いてから私はグラウンドを後にした。
一応【轟熱スクリュー】練習がメインの回ですね。
はい実はまだ完成しません←(笑)
理由は単純、火蓮に連携技のノウハウがいまいちわかっていないからですw
まぁいつかは完成するでしょ、多分♪←(笑)
とは言え、頑張って完成してくれないと決勝戦やばそうなんでw
頑張りますww
やば、火蓮が元いたチームの監督の名前素で間違えてたw
栗山監督×→栗崎監督〇
はい、ということであとがきでした