とある魔術の禁書目録-光と闇の間隙で-   作:なめたけいため

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私は思っていたよりも遅筆のようです。


第二話

身体を拭いて、制服を着る。

常盤台の生徒は、平日も休日も、どこに行くにしても制服の着用が義務づけられている。

大多数の生徒(新入生)はこれを不満に思っているかも知れない。中学一年生、恋愛やらなんやらに本格的に興味を持ち出すお年頃だ。

常盤台の校舎が男子禁制の学舎の園の中にあるとはいえ、寮があるのは"外"。登下校はもちろん、ちょっと出掛けるときでも、男性の目はあるのだ。例えしっかりその校則を守っている者たちの中にも、自分の個性を出したい、良い目で見られたいと思う者はいる。

しかし、私は未だかつてそんなことを実行した者を見たことがない。

以前不思議に思って、先輩である日守光に尋ねたことがある。

先輩曰く、

「始めはみんな真面目に過ごすでしょう?だからわざわざ校則違反なんてする人はいない。とはいえ、普通一月もすればその環境に慣れてくるから、少数とはいえ校則違反くらいは出てきて然るべきよね。けれど、ここ常盤台中学の学生寮にはLEVEL5ーーーーそれも、あの御坂美琴をも怯えさせる、鬼のような寮監様がいらっしゃる。直接制裁をもらわなくても、その噂は一ヶ月もあれば新入生全員に伝わっていく。

・・・・・・ま、あの寮監に逆らってまでお洒落しようなんて猛者(アホ)

はそうそういないわよ」

と、まあ寮監が最強(最恐?)いう訳らしい。

実質最後の一文だけで理解できるほど単純明快な事実である。

 

同じように制服に着替えた先輩と連れだって食堂へ向かう。

途中、同級生や二、三年生の先輩達とすれ違った。

名門校に通う令嬢らしく上品な挨拶をする人、急ぎながら元気な挨拶をする人、明るく可愛らしい挨拶をする人、等々。

みんなこちらに好意を向けてくれていた。

ただ、ここで注意しなければいけないことがある。

みんなが好意を向けているのは『こちら』であって『私』ではないーーーー要は、先輩だけなのだ。

 

常盤台の中において、日守光はかなりの人気を誇る。。

私だけでなく――――当然だが――――誰にでも明るく、優しく接している。そんな彼女は、先輩後輩関係なく大人気を誇っている。

LEVEL5でこそないけれど、校内ではトップクラスの有名人だ。本人が望んでいないということで表立っての派閥は存在しないが、水面下では信者(?)達の非公式サークルがあるとか。そしてこのサークルの中にも派閥があって、日常的に争っている・・・・・らしい。

小説や漫画のなかでしか見ることのできないようなものが実際にあって、始めて知ったときはかなり驚いた。

 

そんな先輩のキャラに対して、私は特に特徴の無いキャラをしているから、結構嫉妬の対象になっていたりするのではないだろうか。

 

 

食堂、あるいはカフェテリア。

 

「あ。おはよー、光、詩歌」

「おはよー♪」

「おはようございます」

 

入ると同時に挨拶。

朗らかに声をかけて来たのは、御坂美琴。

常盤台で一、二の知名度を誇る有名人、学園都市に七人しかいないLEVEL5の一人。

ここで生活している以上、こうして顔を合わせるなんてことは珍しくない。けれど――――

「あれ、黒子は?いないなんて珍しいね」

だいたい一緒にいる、ストーカーレベルで付きまとっていると言っても過言では無い黒子がこの場に居ない、なんてことは本当に珍しいと思う。

同じことを考えたようで、光が先に訊いた。

「え?ああ、黒子は何か風紀委員の集合があるとかで、一足先に行っちゃったのよね」

「へぇ、あの子もそういうところは真面目なのね」

「てっきり、集合なんてものに時間を盗られてたまるものですかー!!とか言うと思ってました」

「さすがの黒子でも、そんなことは・・・・・・ええと、そうね・・・・・・滅多に言わないわよ」

滅多に、ということは言うことはあるだ・・・・・・。

うわぁ。

「ほ、ほら、そんなことはどいでもいいから!早くいかないと席取られちゃうわよ!ほらほら!」

引いたような眼でみていたら、誤魔化すように背中を押された。・・・・・・実際にそんなことを言うことはない、というのは知っているから、別にそんな反応をする必要は無いのだけれど。

よく感電させているけれど、なんだかんだ好き合っていてとても仲が良いと思う。

まあ、それぞれ"好き"のベクトルは違うけれど・・・・・・。

個人の価値観に難癖をつけてはいけないと思います。

ええ。

背中を押されて前へ進みながらそんな益体の無いことを考えていた。

 

席に着いてしばらく雑談していると、如何にも「メイドです!」と宣伝しているような服装の少女が朝食を運んできた。

「おー、これはこれは、実にいつも通りで面白みの無い面子だなー。白井がいないけどー」

「面白さを提供できなくて悪かったわね」

「どこのグループでもこんなものでしょ?」

「大体、メイドってそういうのを要求するものなんですか・・・?」

このメイド少女は、土御門舞夏という。

常にマイペースというか、おっとりしていて、個人的には非常に話しやすいと思います。

「当然だろー?私達だって人間なんだよー、基本的人権は尊重しろよー」

「いえ別に、舞夏を下に見ているとか、そういったことはないんですけど」

「本当かー?」

まったく。

そんな感じのため息をつきながら、皿をテーブルの上に並べていく。

「というか、詩歌はこんなにゆっくりしていて大丈夫なのかー?今日は寄り道する日だろー」

舞夏の兄と私の兄は住んでいる寮の部屋が隣だ。家庭の事情(?)もお互い結構解っている。

このメンバーだと、そんな事情も関係なしに知られているんだけれどね。

 

「舞夏こそ、もっとお義兄さんのところに行ってあげたほうが良いんじゃないですか?」

「えー?大丈夫だよ結構作り置きはしてるしー、あんまり面倒を看すぎて依存されてもこまるしなー」

それにめんどいしー。

「本音が漏れてますよ」

「あっはっはー。気にしたら負けなのだよー」

とか言ってはいるけれど、結構頻繁に行ってあげている。

ブラコンなのでしょうか。

義兄はシスコンだったと思いますが。

「熱い!?」

「何か失礼なこと考えただろー」

そんなことを言いながら、首筋に紅茶が入ったポットを押し付けられた。

くっ。読心能力とか持ってないはずなに・・・・・・!

「きっ、気のせいじゃないですか?記憶にないですよー?」

「つーか、ブラコンはおまえだろー?」

「人の思考を読まないでください!!ってか、なんてこと言ってるんですか!?」

この会話が元で変な噂が流れたらどうしてくれるんですか!!

「事実だからどうしようもないなー」

「違いますよ!」

「えー?でもー」

見回す。

「・・・・・・まあ、趣味嗜好は人それぞれだからね」

「・・・・・・そ、そうね。他人の趣味に何かいうなんてできないものね」

「知ってるかー?この国では数が多い方の勝ちなんだぞー」

 

一番文句が出ない方法ではあるけれど、時々理不尽だと感じてしまいます。

多数決の原理。

 

 

「「「ごちそうさまでした」」」

初めはともかく、穏やかに食事を終えた。

「じゃ、行きますか」

「そうね。ちょっと早いけど」

「では、私はここで」

そう言いながら、三者三様、席を立つ。

美琴と光は二年生なので、学校でのクラスは勿論違う。

そうは言っても、普段はギリギリまで一緒にいる。けれど、今日は少し寄り道する為、すぐに別れた。

 

そこらの軍事施設のそれより頑丈なのでは?というほど分厚い玄関扉を通り抜ける。

外に出ると、やたらと綺麗な青空が広がっていた。

綺麗すぎて怖いくらい。こんなに良い天気だと、逆に厭なことが起きるのではないかとすら思ってしまう。

 

・・・・・・厭な想像は厭な未来を引き寄せる。

 

そんなことをどこかで読んだ気がする。止めよう、変なことを考えるのは。

小さく頭を振って、歩き始める。

まだ一般的な学生にとっても早い時間帯ということもあり、あまり人気がない。登校ラッシュともなれば、道を歩いて行くのすら大変になることもある。

けれど、この時間なら、部活動などで朝練(遅め)をする生徒くらいしかいない。

空いていて、実に良いと思う。

 

――――ウイィィン

 

「オ早ウ御座イマス」

――――あぁ、このコ達も居ましたね。

歩いている人達に挨拶をしながら遠ざかっていくロボットをぼんやり見送る。

この街では至って普通の光景ですが、"外"の人が見たらどう思うのでしょう。

 

時計を見る。

思っていたよりも遅い時間になってた。

はて。

まあいいや、取り敢えず、少し急ぎましょう。

 




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