一夫多才の|契約者《コネクター》   作:如月ユウ

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残りの転生者とオプロイドを数名紹介をします
転生者側の契約者は投稿終了しますがアースト側の契約者は新しく制作しますので問題ありませんよ
以前、作ったアースト側の契約者は新たに投稿する必要はありません


歓迎会

ルーシェン本部に入ってラムダさんの後ろに着いてしばらく歩いていると、応接間のような部屋に入って、準備が整うまで待って欲しいと言われて出て行った。

部屋の内装はシンプルで椅子があり、テーブルには茶菓子と電気ポット、カップとティーパックが置かれていた。

 

「紅茶を淹れるわ」

「ありがとうございます」

 

人数分のカップに淹れられた紅茶から柑橘系の香りが広がり、一口飲むと芳醇でそしてしつこくない風味が口から喉に通って渇きを潤してくれる。

 

「この菓子うめぇな。どっかの有名な店のやつか?」

「市販にある物ではないのは確かですね。あぁ、全部食べては駄目ですよ」

 

リョウヘイさんは皿にある茶菓子を一人で食べている朝倉さんに注意している。

僕も一つとって食べてみると本当に美味しいくて、このお菓子は長い歴史がある老店舗かもしれない。

 

「お菓子食べますか?」

「すまないな」

「ありが、とう……」

「感謝します」

 

僕よりも年上で茶髪のドレッドヘアに青色の瞳をして体格は山のように大きな男性は見かけによらず、礼儀正しくて渡したお菓子を大きい手で食べていく。盗賊の頭領だと言っても信じてしまいそうな風貌をしている。

茶菓子を受け取ってしばらく眺めてから口にした長い銀髪を三つ編みにした白いマフラーを巻いた傷だらけのロシア人で僕と同い年くらいかな?

 

「甘い……これがお菓子という物か。知識として知っていたが体験すると身体に浸透するようだ」

 

赤い瞳と長い黒髪の女性は正直に言うとよく分からない。日本人のようには見えないし電波系の人なのかな?

 

「バスの中じゃあ、楽しそうに話をしていて邪魔になりそうだったから控えてたんだ。俺は鉄剛(くろがねたけし)。プロセスラーなんだが『鉄ストロング』っていうリングネームは知ってるか?」

「あ、知ってるぜ。相手の攻撃も全て受け止めてその上で倒すんだよな」

「おう、なんなら押し出し勝負してみるか?」

「面白そうじゃん!」

 

テーブルから離れて広い場所で朝倉さんと鉄さんによる押し出し勝負が始まる。

朝倉さんが突進していくと互いの手をガッシリ掴んでいく。

 

「ふぅんぬぅぅぅ!!くそっ、どんだけデブなんだよ!」

「はっはっはっ、ほらもっと腰を入れんかい!」

「こんなんじゃあねぇよ!絶対、抜かしてやる!」

 

全力でやっているようだが鉄さんは一歩どころか半歩すら動かず、まるで足が床に溶接したように受け止めている。

 

「僕は宮本大和。同い年みたいに見えるけど何歳かな?」

「……十七」

「一つ年下なんだ。名前は?」

「ユーリ・グラウディン……ただの死神さ」

 

自分の名前を言い、マフラーを口元に掛け直す。死神ってまさかじゃないけど中二病じゃないよね?だけど顔は傷だらけだし、服もくたびれてボロボロだ。

 

「あなた、ストリートチルドレンかしら?」

 

ファーンさんの問いにコクリと頷く。ストリートチルドレンって今も社会問題になってるんだよね?

日本は孤児院があるからそういったニュースはないけど海外はまだまだ解決出来ないなんだ。

 

「俺たちストリートチルドレンは裏社会だと都合の良い使い捨ての道具なんだ。野垂れ死んでもニュースじゃあ死亡人数が一人増える程度の価値しかない」

「前の世界に悔いがあるの?」

「あるよ。生まれは違うけど同じ仲間で俺はみんなを置いて死んだから」

 

大切な仲間の前で死んだようで壮絶な人生を歩んだのだろう。平凡な人生を送った僕では慰めの言葉なんてかけられない。

 

「さきほどの件は感謝する。私はアルタープライム・ラスプーチン=ヤハスヴェーラ。呼ぶとは好きにしてくれ」

「名前が長いですけど、貴族か上流階級の人ですか?」

「ふむ、貴族……いや、私はただの人間だ」

「人間?」

「訂正する。出身国はアメリカで死亡動機は戦争で亡くなった」

「軍人という事ですか?」

「形式ではそうなるかもな」

 

戦争から帰った人は精神的不安定から満足に寝れなくてトラウマに対して過敏になったり、パニックを起こしたりするって本にも書いてあったし、電波系のような話し方も一種の現実逃避かもしれない。

下手に刺激すると感情を乱して暴れられると困るのでそっとしておこう。

 

「会場の準備が終わったから案内するよ。それと君は身体を綺麗にして着替えてからだね」

 

ユーリは僕たちとは別行動のようで他の職員と一緒に歩いて行った。それ以外の人は会場に移動して扉を開けると契約者(コネクター)になる人たちやオプロイドたちが大勢いて、テーブルには料理を乗せた皿が置かれて椅子はなく、立食形式のようだ。

突然、扉が開いて何人かがそちらに視線を向けると黒髪の僕や朝倉さんを特に見ているように思えた。この会場にいるのはほとんどが白髪や銀髪ばかりだから珍しいのかな?

 

「あの人ってラムダ・カーティじゃないか?」

「世界で指の数しかいないランク10の最強の契約者(コネクター)で、たった一人で犯罪組織を壊滅させたとか」

「あの黒髪の二人ってどこの出身なんだ? 顔付きからしてフソウに見えるが……」

 

ひそひそと会話をしているのを尻目にラムダさんと一緒に歩いて全体を見渡せる場所で足を止めた。

 

「あ、あぁ~テステス。んんっ、みなさんようこそルーシェンへ。契約者になる道を選んだみなさん、オプロイドのみなさんも心から歓迎します」

 

マイクを持ってスピーチを始めると談笑していた人たちも話を止めて、固唾を飲んで見ている。

 

「私の話より気になる人も多いようだからそちらを先にしよう。彼らは私が直々に指名した契約者たちで一つの専門分野に特化した人たちです」

 

指名したという事に周りがざわざわと騒ぎ始める。推薦枠という形で誤魔化したがまさか専門分野って……他の人たちなら分かるが、僕はやれることなんて指を立てられるかどうかの数しかないよ。

 

「何が得意でどんな人たちかは君たち自身で確かめるといいよ」

 

それから本来のスピーチ内容をスラスラと口にして終えると僕たちを置いて重役の人たちがいる場所まで行ってしまう。

ラムダさんがいなくなるのを皮切りに囲まれて質問攻めをしてくる。

 

「黒い髪をしてる人なんて初めて見た。どこの生まれなんだ?」

「あっ、えっと僕はその……」

「俺らは米が旨いところの出身なんだよ」

「米が特産品ってフサンから来たのか?」

「そ、そう!フサンからやって来たんだよ」

 

出身地を言った人に指をさしてフサンという場所から来たと誤魔化す。本当は別世界から来たんだが、そんな事を言ったら精神異常者と認定されて病院に逆戻りにされるだろう。

 

「そうならそうと言えば」

「いやぁ、フサンと言えば米だろ? 俺、米が大好きなんだよ。こいつは俺の可愛い弟分さ。なぁ、大和?」

 

肩を組まれて歯を見せて笑っていて、この場を切り抜けようと賛同しておく。同じ日本人がいてくれて本当に助かった。

 

「綺麗な髪をしてますね。二人はどういった関係ですか?」

「彼とはただの友人。それ以上の関係はないわ」

「おいおい、お互い同じ国同士なんだから手心を込めた言い方をしてくれよ」

「事実を言っているだけよ」

 

社交辞令のように手馴れているファーンさんはリョウヘイさんを毒付いているが淡々と返されて夫婦漫才のような感じで話している。

 

「山みたいに大きい身体……何を食べたらそんなに成長するの?」

「よく食べて、良く寝て、良く身体を動かすを毎日すれば自然となるもんさ。あぁ、それと早寝早起きは重要だぞ。なんなって寝る子は育つからな!」

 

がっはっはっ!と大笑いしていてまるで小さい子どもに囲まれているお相撲さんみたいだ。

 

(ほとんど同い年くらいの人たちだな。二十歳を過ぎた人もちらほらいるけど)

 

ラムダさんと会話している重役たちは若くても三十歳以上のようで、新卒の人もいれば小学生くらいの年齢をしている子供も会場にいた。

ぐるりと会場にいる人たちを眺めていると気になる子を見つけた。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

(赤い髪の女の子……)

 

肩まで伸ばした赤髪に赤茶の瞳。周りは楽しそうに談笑しているのに対して誰とも話をせず、一人退屈そうに立っている。会場は白髪や銀髪の人ばかりで、まるでスケッチブックに描かれた赤い点みたいに目立っていた。

 

「ちょっと、ごめんね。朝倉さんあとは頼みます」

「えっ、おいちょっと」

 

彼女のことが妙に気になり、断り一つ入れてから離れると左右に別れて道を作ってくれて簡単に赤髪の女の子に近付けた。

 

「あの」

「なに?」

「周りが白髪や銀髪の人ばかりで赤い髪をしてる君が気になってね。僕は宮本大和、よろしく」

「フレイ、アンダーソン……それが名前……」

 

自分の名前だけ言って黙ってしまい、なにか話題を作ろうと必死に頭を捻る。

 

「契約者になるために来たの?」

「私はオプロイド」

 

後ろ髪をかきあげると、うなじに紋章が刻まれていた。契約者なら理由を聞こうとしたけどオプロイドは武器になる種族だから、どんな武器なのか聞いてみよう。

 

「オプロイドって武器になるらしいけど君は何になるの?」

「槍」

「へぇ、槍なんだ。どんな理由でルーシェンに入ろうとしたの?」

「あなたには……関係ない」

 

またも黙ってしまう。どうにか話を続けようとしたら扉が開かれて入ってきたのはユーリでボロボロだった服は別の物に変わり、スーツになっていて髪も洗いたてで綺麗になっているがマフラーは外さずに巻いたままだった。

 

「ごめん、知り合いが来たから行くね。また話をしよう」

 

軽く手を振ってから彼女と別れて、ユーリに近付くとスーツを着なれていないのか落ち着かない様子でそわそわしている。

 

「えっと、大和だよな?」

「うん。その格好だとシャワーとかで身体を洗ったらんだよね?とりあえず何か食べようか。前の世界じゃあ、ろくな物食べてないよね?」

「あ、あぁ……」

 

料理皿が置かれたブッフェテーブルに適当に皿に盛り付けてフォークと一緒に渡した。

恐る恐る受け取りフォークに差して一口食べると

 

「もしかして嫌いな食べ物があった?」

「いや、旨いよ。あいつら……俺の仲間にも食べさせてやりたいなって」

 

一緒にいた仲間の前で見せしめに殺されたんだよね。自分だけ綺麗な服を着て、美味しい料理を好きなだけ食べられるのに罪悪感を持っているかもしれない。

 

「ユーリ。別世界に来たとはいえ、まだ生きてるんだ。その仲間の分までこの世界で生きて、前の世界で培った能力で犯罪者たちを倒してもし、同じような境遇の人がいたら助けよう」

「助ける……」

「今は食べて力をつけよう。日本には腹が減っては戦ができぬ、って言うことわざがある。お腹いっぱい食べてゆっくり休んで体力を

つけよう」

「そうだな……!」

 

皿の料理をモグモグと食べてまだ足りなかったのかブッフェテーブルに行って盛り付けてドンドン食べていく。喉を詰まらせて大変なこともあり、ジュースを渡して飲んでまた食べる。

 

「おーい、大和。いきなり俺と別れんなよ。あんな人数を俺一人で捌ききれると思えるかよ」

「朝倉さんってムードメーカーみたいだから、すぐ馴染むかなって」

「って、こいつは誰?」

 

好奇心から逃げるように僕と合流すると見間違えるほど綺麗なったユーリを誰なのか聞いてきた。

 

「ユーリだよ。ほら、一人だけ別行動してたでしょう?身体を綺麗にしてから着替えたんだよ」

「へぇ、おべべを貰ったのか。さっきのオンボロより良い格好になったな。そういや名前言ってなかったな。朝倉武だ、大和と同じ日本生まれだ」

「ユーリ・グラウディン。生まれはロシア、よろしく」

 

自己紹介のあと、小声でお互いの出身地を教える。

 

「あの、すいません」

「お時間よろしいですか?」

 

膝下まで伸ばした青い瞳の少女とボブカットの少女が声をかけてきて、二人とも貴族のような上流階級出身みたいで周りと同じように銀髪だ。

 

「なんだ?」

「私はアリシア・テスタノーヴァ。エディと同じオプロイドでありますわ」

「エディルマ・アインワース。みんな、僕のことエディって呼んでるんだ」

「僕は宮本大和。同じ髪をしたのが朝倉さんで同い年なのはユーリ」

「俺は武でいいぜ」

「ユーリで大丈夫」

「お兄さんたち、ラムダさんが直々に指名した人って言ってたからどんな人かなって」

 

きたかその質問。最強の契約者やランク10の称号を持っているから、凄い人なのは分かるがどれくらい凄いのか分からないので聞いてみるか。

 

「ラムダさんからの指名ってどれくらいすごいの?」

「えぇ、知らないの!?ラムダさんはランク10の契約者で、ルーシェン全体を指示出来る権限を持っているんだよ」

「裏社会からは恐れられた存在で、武装した相手に囲まれても素手で制圧したという事もありまして。契約者や私たちオプロイドからも崇拝される存在ですわ」

 

剣といった武器を持った人を手で倒して捕まえるとか偉業にも程があるよ。

朝倉さんは元ヤクザで喧嘩慣れしてるし、ユーリはストリートチルドレンで生きるための知識を持ってるからなんとかなりそうだけど、僕は平凡な人間だから無理だろう。

 

「二人はオプロイドだったよね? 武器はなに?」

「僕はモーニングスターだよ」

「銃身が二つあるリボルバー……回転式拳銃ですわ」

「へぇ、そっちのお嬢さんはハジキになるのか」

「ハジキ?」

「銃って意味だよ。それにイカサマはインチキと言って米はシャリとか言うんだよ」

「そうなんですか!? 知りませんでした⋯⋯まだまだ勉強不足です⋯⋯」

「いんや、良いとこ育ちのお嬢さんは知らなくて当然さ。そっちの嬢ちゃんはモーニングスターはどんな武器なんだ? スターは分かるけど、モーニングっておはようだっけ?」

「嬢ちゃ……僕は男だよ!ちゃんとアレだって付いているんだから!」

「えっ、男なん?」

 

僕とユーリも同じように驚いていた。どこからどう見ても女の子にしか見えないよ。咳払いをしたエディは自分の武器形態について説明する。

 

「モーニングスターは棒に鎖で繋いだ鉄球を振り回しながら叩き付ける武装なんだよ」

「なんか、使いづらそうな武器だな」

「否定はできないかな。だけど逆に持って棍棒として使えるよ」

 

臨機応変に使える武器なのか、ちょっと興味あるかな。銃は撃つのは簡単そうだが的に当てるとなると技術が必要そうだ。

 

「武さんって僕よりも格好よくてこう……頼れる人に思えます」

「まぁな。大和は俺の可愛い弟分さ」

「僕も弟分にしてください! 武さんのような立派な男になりたいんです!」

「おう、そんなナヨナヨした格好じゃあ舐められるぞ。もっとシャバのような格好にならんとな」

「はい!」

「私も武さんが知ってる事を教えてください」

 

二人は朝倉さんが経験した武勇伝を熱心に聞いて、僕はまた喉を詰まらせてたユーリにジュースを渡して歓迎会を楽しんだ。




ラムダ・カーティ(如月ユウ)
大和たちを発見した最強の契約者
後からですが転生者たちの上官になります

フレイ・アンダーソン(如月ユウ)
口数が少なくて謎の多いオプロイドの少女
挿し絵はカスタムキャストで制作しました

鉄剛(ハレル家様)
豪快な人で明るく、数少ない大人の転生者


アルタープライム・ラスプーチン=ヤハスヴェーラ(レコード disk様)
正体は活動報告で確認できますが今のところは戦争を経験した軍人で現実逃避のために電波系の話し方をしていると大和は思い込んでいます

ユーリ・グラウディン(シズマ様)
ストリートチルドレンの生活で感情が乏しくなったがアーストで新たな人生を歩むことに闘志を燃やす。形見であるマフラーを大事にしている

アリシア・テスタノーヴァ(James6様)
武のヤクザ用語に興味津々で裏人格はまだ登場しません

エディルマ・アインワース(理茶亜弩様)
男の娘と言われてへこんで、男らしい武の舎弟になる
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