心に傷を負った少年と、ノンナさん 作:ジャーマンポテトin納豆
他の方々の作品は最初は冷たいみたいな感じが多いですが、
自分のものは最初から優しいです。
その辺を了承した上でご覧になってください。
プラウダ高校に入学することになった。
昔の記憶なども今はある程度落ち着きを見せたからだ。
だが、本当にふとした時に記憶が蘇る。
テレビから流れる銃声で、削岩機の音で。
連想ができるような物はなんでもだ。
入学するプラウダ高校には戦車道が盛んらしいが大丈夫だろうか......
入学式当日、
ある少女に出会った。
金髪で背がとても小さい子だ。
彼女を見て危うくフラッシュバックを起こすところだったが、なんとか踏み止まった。
話を聞くと、一緒に来ていた友人がいるらしいが、
はぐれてしまったらしい。
どうしたものか......
「とりあえず、ここにいてもしょうがないから、学校へ向かうとしよう。行けば友達も見つかるかもしれないし。」
彼女は
「分かったわ。
そういえば自己紹介がまだだったわね!
カチューシャよ!」
「そうか、俺は坂本春馬だ。
これからよろしくな、カチューシャ」
そう挨拶をすると、学校へ向かった。
着くとカチューシャの友人はいなかったので、そのまま入学式の行われる講堂だろうか?
に行くことにした。
すると、
カチューシャが急に、
「あ、いたわ!ノンナ、こっちよ!」
ノンナと呼ばれた少女はこちらに駆け寄ってきた。
近づいてくるにつれて緊張し始めた。
彼女は、ノンナと呼ばれた少女は......
俺を逃がす為に死んだ、人にとてもよく似ていたから......
「カチューシャ、ようやく見つけました。」
「あなたは?」
「彼はハルーシャよ!私をここまで連れてきてくれたのよ!」
「ノンナを一緒に探してくれたんだから!
ノンナ、迷子になっちゃダメじゃない!」
「すみません、カチューシャ。
これからは気をつけます。」
「ありがとうございます。カチューシャを連れてきてくれて。
今度改めてお礼を言わせてもらいます。」
そうノンナに話しかけられたが、
もう、無理だった。
耐えることが出来なかった。
そのまま気を失ってしまった。
その後、目を覚ますと保健室にいた。
ノンナとカチューシャが運んでくれたらしい。
よく俺を運べたな、こんなんでも180cmはあるのだが。
......情けないな、姿形が似ている彼女達を見ただけで気を失うとは.........
今まで似ている人がいなかったからだろうか、
全く耐えることが出来なかった。
これからどうなることやら。
その日は保健室で過ごした。
放課後、借りているアパートに帰宅した。
次の日、体調も良くなったので登校してみると、
見慣れた姿が二つほどあるではないか。
まさかと思いながら教室に入ると、
そのまさかだった。
ノンナとカチューシャだった。
その後の事は覚えていない。
なるべく見ないようにしていたが、
やはり無理があったのだろう。
次の日は学校を早々に休んでしまった。
これはもう友人関係は無理かなと思いながら過ごしていると、
部屋のインターホンが鳴った。
カメラを覗いてみるとノンナだった。
慌てて取り乱すところだったが、なんとか耐えることが出来た。
なんでも、入学式では倒れ、次の日は何処か体調が優れていない俺を心配して尋ねてきてくれたらしい。
「ありがとう。でも大丈夫だ。明日はちゃんと行くさ。」
「はぁ......そんな悪そうな体調で良く言えましたね。
分からないとでも、思いましたか?バレバレですよ。」
バレた。
どうする?
焦った俺は、
「......そんな事はない。大丈夫だ。」
と、少し冷たく返してしまった。
ノンナは、
「そんな顔色でよく言いますね。
どこが悪いんですか?病院には行ったのですか?」
と、心配してくれた。
だけど、バレた事で動揺していたのだろう。
怒鳴ってしまった。
「そんなに、調子が悪そうに見えるなら出て行ってくれ!
もう俺に構わないでくれ!頼むから......!」
最低だ......
心配してくれた相手に対して怒鳴るとは。
これでもう関わってこないだろうなと思っていると、
「何を言っているんですか?
そんなに辛そうにしているのに放っておけるわけがないでしょう?」
「何があったのかちゃんと話しなさい。」
そう言われた。
まさかこんな返しをしてくるとは思っても居なかった。
だけど俺は、理解をしてくれようとする人を求めていたのだろう。
両親も、医者も手を差し伸べてはくれなかった事に。
これが原因で周りと馴染めずに虐められた事もある。
だからこそ、話してしまった。
「......三年前、日本人の少年が紛争地帯から救出された話は知っているか?」
「えぇ、勿論知っています。大騒ぎになりましたから。」
「あれは俺のことだ。」
ノンナは驚いた表情をして
「本当ですか?」
と聞いてきた。
「本当だ。」
「ですが、何故そんな紛争地帯にいたのですか?」
「俺は、9歳の時に誘拐にあった。
それで売り飛ばされたんだ。
......少年兵として。」
こう話すと更に驚いた顔をした。
それはそうだろう。
救出された報道は流れたが、
少年兵だった事実は一切報道されていないのだから。
ノンナは、
「少年兵、ですか......」
「あぁ、そして13歳で救出されるまでの約四年間、兵士として戦わされた。」
それを聞いてノンナは
「それと、体調になんの関係が?」
「心的外傷ストレス障害のせいだ。
多分、PTSDの方が聞き覚えがあるだろう。」
「そうですか......」
「俺ノンナとカチューシャの顔を見てフラッシュバックを、起こし、たんだ。」
「どういう事ですか?」
「............うっ!?」
俺はトイレに駆け込んだ。
耐えられなかった。
ノンナが背中を優しくさすってくれた。
「辛いのなら話さなくても結構ですよ。」
「ゲホッ、い、いいや、ここまで、ハァー、ハァー、話したんだ、最後まで話す。聞きたくないって、言って、も無駄、だぞ......ゴホッ」
「......はい、わかりました。」
「似てたんだよ」
「似ていた?」
「あぁ、カチューシャは俺が殺した子供に......
ノンナは、俺を戦場から、逃がす為に身代わりになって死んだ人に......」
「......そうですか」
「オエッ、ゲホゲホ、だから、フラッシュバックしたんだ。」
「......知らなかったとは言え、申し訳ありませんでした。」
「いいや、二人は悪くないんだ。弱い俺がいけないんだ......」
「.........」
ノンナは黙ってしまった。
「どうする?もっと聞きたいか?」
「あなたが辛いのなら聞きません。
ですが、あなたが話したいと言うのなら、聞きます。」
「......ありがとう」
やはり今まで無意識に理解者を求めていたのだろう。
話してしまった。
「すまないが、聞いてくれるか?」
「はい。あなたの気が済むまで」
「俺、は、殺したんだ。たくさん殺した。
男の人女の人も子供も老人も関係なく殺したんだ......
まだ10歳にもならない子供もいた。
まだお腹に赤ちゃんがいる女性もいた。
命乞いをしてきた人もいた。
いろんな人がいた......」
「みんな俺たちが殺したんだ......」
泣きながら話した。
「生きる為に殺さなきゃならなかった。
じゃなきゃ俺達が殺されるから。」
ノンナはただただずっと静かに聞いてくれた。
「仲間も死んだんだ。
砲弾で跡形もなく吹き飛んだ奴、
上半身を対物ライフルで吹き飛ばされた奴、
地雷で死んだ奴もいた。
足が、腕が千切れて血を流しすぎて死んだ奴、
最後まで家族に会いたいと泣きながら訴えながら死んだ奴、
俺達のことを死ぬまで心配しながら死んだ奴、
他の奴を庇って投げ込まれた手榴弾を抱えて吹き飛んだ奴、
みんな、みんな死んじまった!」
「ノンナに似てる奴がいたって言ったが、
年上で、いつも俺を構ってくれた。助けてくれた。
泣いてると抱きしめて慰めてくれた。
ある時、一緒に逃げようって言われたんだ。
俺は頷いて、次の戦闘の時にどさくさに紛れて逃げようって。」
「2日後に、戦闘があって逃げようとしたんだ。
そしたら、敵に周りを囲まれて、どんどん仲間が死んでいったんだ。
一方的だった。
その人は俺の手を引いて逃げようとしたけど、しばらくしたら追いつかれて......
俺を逃がす為に囮になったんだ......
あの時の事は全部覚えてる」
----回想----
「貴方は生きなさい。
やりたい事や、夢を見つけて、これからの人生を楽しんで。
誰かを好きになって。喧嘩してもいい、だから誰かを愛しなさい。
貴方を大切に思ってくれる人が必ずいるから。
だから私の分まで生きて。」
「一緒に逃げようっていったじゃん!
嘘つき!早く逃げようよ!」.
「いいから、私の事はいいから行って!
大丈夫よ、いつまでも見守ってるわ。」
「さぁ、行きなさい!早く!」
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話終えてノンナを見ると、泣いていた。
それを見たら急に抱きしめられた。
「辛かったですね。
苦しかったですね。
悲しかったですね。
だから、あんなに辛そうな顔をしていたんですか。
大丈夫、もう大丈夫ですから。」
抱き締められながら泣いた。
泣きながら叫んだ。
「殺した人達が!死んだ仲間が!なんでお前だけ生きてるんだって!お前もこっちに来い、お前はこちら側の人間のはずだ。何故そこにいるんだって!夢の中でずっとずっと言ってくるんだ!」
「どれだけ忘れようとしても忘れられない!
叫び声が!呻き声が!助けを求める声が!
耳から離れない!」
「死んだ仲間の顔が!殺した人達の顔が!
忘れられないんだよ!」
「ふとした時に思い出す!
テレビから流れてくる音で!
工事の音で!」
そう泣きながら叫んだ。
でも、ノンナは決して頭を撫でる手を止めなかった。
どれだけ涙や鼻水で服を汚しても抱きしめる事を辞めなかった。
----side ノンナ----
彼と初めて会ったのはカチューシャを送り届けてくれた時でした。
その時の彼は少し辛そうな顔をしていました。
そして、私の顔を見た瞬間だけ本当に辛そうな顔をしました。
ですが一瞬だったので、気のせいだろうと思い、カチューシャと二言、三言ほど会話をしてから彼にお礼を言う為に話しかけました。
その後彼は倒れてしまいました。
私とカチューシャの二人で保健室に運び込みました。
次の日彼は登校してきたのですが、
どうにも体調が優れない様子。
無理をしているのでしょう。
今日はついに
彼は学校を休みました。
心配になった私は先生に家の住所を教えてもらい、
訪ねました。すると彼は大丈夫だと言いましたが、
顔色は優れていないし、足取りは覚束ない。
こんな状態でよくも大丈夫だなどと言えましたね。
それを言うと、怒鳴られました。
大丈夫だから。気にするな。調子が悪そうに見えるなら出て行けと言われてしまいました。
しかしこんな状態の彼を放っておけません。
何があったのか話せと言いました。
そこから彼はポツリポツリと話し始めてくれました。
紛争地帯の近くで誘拐にあった事
3年前の紛争地帯で救出された子供は彼である事
そして13歳で救出されるまでの約四年間少年兵として戦っていた事
そして私とカチューシャの顔を見た時の表情の理由を
聞いていて私は涙を流していました。
話しながら彼は泣いていました。
気がついたらそして彼を抱き締めていました。服が汚れようが構いません。
頭を撫でながら抱き締めると、泣きながら訴えてきました。
しばらくすると泣き疲れたのか寝てしまいました。
ですが、今は辛そうな顔はしていません。
安心した顔で寝ています。
これからこの先の人生で彼には沢山の幸せが来る事を願いながら、私も彼を抱き締めたまま寝てしまいました。
----side out----
どうだったでしょうか?
評価お願いします。
思った事を感想で書いてくれると嬉しいです。
ちなみに現段階でノンナさんは主人公の名前を知りません。
カチューシャがハルーシャと言っておりますが
本名を知りません。
まだお互いに自己紹介していないので。