心に傷を負った少年と、ノンナさん   作:ジャーマンポテトin納豆

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6話目

 

 

 

二年生になって暫くたった。

俺の方は今までと変わらずノンナと一緒に暮らしたり一緒に登校したり、買い物に行ったり何故か休みの日にフラッシュバックを起こした時に甘やかされたり……

まぁ色々とあったのだが。

それとは別に今までお世話になっていた部長さん達が卒業していった。

今まで沢山お世話になっていたのにも関わらず何もお返しが出来ないうちに卒業していってしまった。それを最後に伝えたら笑いながら、

 

「別に気にしなくてもいいのに。でもそうね、だったら早くノンナと結婚して子供の顔でも見せて欲しいわ」

 

そう言われて俺の方は顔を赤くして恥ずかしがっているのにノンナは満更でもない様子でどうしたものかと頭を抱えた。

しかも家に帰ったらノンナが抱き着いてきて、

 

「……子供、作りますか?」

 

なんて言ってきた。本当に何を言っているのか分からなさ過ぎて思考が止まってしまった。

まぁその後すぐにいつもの調子で、

 

「ふふっ、冗談ですよ」

 

と言ってきてからかわれただけだと思ったのだが改めて思い出してみると声音が本気だった。あれは間違いなく本気だった。もし演技だとしたら女優にでも慣れてしまうんじゃないだろうか。

 

まぁ驚きはしたが、もしそうなるのであればもう暫く待って欲しい。

 

 

まぁそれは置いておいて、現状どうなっているかを説明しよう。

先ずノンナとカチューシャは部の中でも中心的な人物であることは間違いない。ただ心配なのが新三年生との対立だ。

どうも俺達が一年生の時から既にあったらしいのだがその時は部長さん達は取り入れた方がいい意見や、一年生二年生達から積極的に意見を聞いてそれを取り入れていたらしい。事実、カチューシャやノンナの意見も採用されている。

そこまでは聞いていて納得した。ただ対立の理由が本当に幼稚で困る。

 

〔二年生なのにカチューシャは作戦に対して意見を言ってくる。そしてそれに従っているノンナも気に食わない〕

 

という理由だった。

聞いた時は心底呆れたもんだ。

いや、去年からそうだったじゃないか。そんなんで優勝できるのかと思ったがまぁそれに関しては部外者である俺が口を出す様な事では無いから何も言えないが。

 

しかもただ上級生下級生で対立しているのではなく、三年生の中にもノンナ、カチューシャの意見に賛成だという事で味方も居て、逆に一年生、二年生の中にも三年生側と言う人もいるし、中立だと言う人もいる物だから事態は無駄に複雑化している。

それをノンナに聞かされた時は納得する事が出来たよ。

格納庫にノンナを迎えに行った時に今まで感じなかった敵意を感じたのだ。こんなの戦場以来だぞ。

まともな方の三年生達はノンナ側についているのだが如何せん三年生として威張りたいというしょうもない奴らが多数を占めているからどうにかしようにも難しいらしい。

しかもそんなんでも三年生と言うべきか、実力はある為に余計だそうだ。

 

ただ、聞いて、実際に見た事もあるがあくまでも静かに対立と言う感じだから気にするほどの事でもないしあの程度ならば下手な事になることはまずないと思うが。ただどちらかが限界を超えた時は大変なことになるだろう。

その前に決着をつけられればいいが、俺が口出ししてどうにかなるようなもんでもないしなぁ……

 

 

 

そして今日も変わらずノンナを迎えに行く。

何時も通り格納庫の所まで行ってそこでノンナが出て来るのを待つ。

約束した時間は九時なのに出てくる気配が全くない。しかも格納庫内から複数の大声が聞こえる。何かあったのだろうか?

 

 

 

 

『あんたら一年二年が何を勘違いしているのか分からないけど生意気なのよ。事あるごとにあーだこーだ意見してきてさ』

 

『意見を自由に言う権利はあるわ!それに去年は学年関係なく意見を言っていたじゃない!』

 

『何言ってんの?あんたら下級生は三年生に黙って従う義務があるのよ。それに去年は去年よ。今年は私達のやり方で行のよ』

 

『そんな!』

 

『そもそも気に食わないのよ。特にカチューシャとノンナはね』

 

『そうそう。やたらと出しゃばって他の一、二年を率いている気分にでもなっているんじゃないの?』

 

『そんなこと無いわよ!本当のことを言って意見を言っているだけじゃない!それの何が悪いの!?』

 

と聞こえてくるが大方カチューシャとノンナVS三年生と言った所だろうか。

ノンナの声はあまり聞こえないな。元々大きい声を出すタイプじゃないからな……

ノンナはああ見えて結構頑固だったりする。本当に一度決めたりしたらもう引かない。間違っている事なんかは簡単に修正するんだがそうでないともうこちらが折れるか両者ともに納得するような案が出ない限りは譲らないのだ。

俺は何度も経験しているから言えることだけど。

 

でも大声を出さないから怒った時もそうだ。淡々と責めたり怒ったりする姿は本当におっかない。俺も何度も経験があるが毎度怒らせないようにと誓いを立てるんだがふとした時に怒られてしまう。どうやったってノンナに頭が上がらないもんだな。別に亭主関白とかどうでもいいけど。

 

なんて事を考えているとノンナが出てきた。

 

「春馬、待たせてしまいましたね。行きましょう」

 

「あぁ」

 

「……聞こえていましたか?」

 

「聞こえてたよ」

 

「そうですか……」

 

ノンナはそう言うと黙ってしまった。

俺は当事者じゃないからこんなんでも大丈夫だがノンナは色々と考えているんだろう。

 

「それで、解決はしたか?」

 

「いえ、全然。寧ろ余計にややこしく溝は深くなったと思います」

 

「それは……」

 

「でも、一応何とかなりそうな事が決定しました」

 

「どうするんだ?」

 

「三年生対私達一、二年生で試合をするんです。それでもし私達が勝ったら意見でもなんでも言わせてもらえる。そして作戦立案にも参加させてもらえる」

 

「……もし負けたら?」

 

「三年生が居る間は一切の口出しが出来なくなります。全てにおいて三年生に従わなければいけなくなります」

 

解決方法としては単純明快で分かりやすくていいだろう。

ただ幾ら何でも負けた時にノンナ達に対しての条件が厳しすぎやしないだろうか?

 

「その条件で良かったのか?」

 

「はい。交渉次第では、と言うのもありましたがこれでいいのです。これだけ追い詰められれば皆さんも普段以上の実力を発揮できるでしょうし」

 

「因みに試合はいつ?」

 

「二週間後です」

 

「随分と早いな」

 

「これ以上先にしてしまうと全国大会に支障が出てしまうので仕方が無いです」

 

そうだった。全国大会があったんだ。

このまま対立していては練習にも響くという事だろう。

 

走行しているうちにアパートに着いた。

部屋に入ればノンナはパパっと食事をして風呂に入りそしていつもの様に俺の隣で寝てしまった。それも俺を抱きしめて。嫌では無いんだが刺激が強すぎる。

 

 

しかし、これで解決できればいいが余計にこじれない事を祈るばかりだな。

 

そう考えて俺も目をつぶった。

 

 

 







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