某フフーフフーンみたいに公式で耳かきボイス出して(
※内容はライブとも誕生日も関係ありません。
「おはようございまーす★ ……って、プロデューサーだけ?」
早朝。プロデューサーが仕事をしていると、彼が担当しているアイドルの一人である城ヶ崎美嘉がやってきた。
「おはよう美嘉。随分早いな?」
「そのセリフ、まんまプロデューサーに返すからね」
美嘉の返しにプロデューサーは『こいつは手厳しい……まぁその通りだな』と思い、苦笑いするしかなかった。
「ま、まぁその事はいい。そういえば莉嘉はどうしたんだ?」
「莉嘉なら後で来るよ。アタシが先に事務所でゆっくりしたかっただけだから★」
美嘉の妹――莉嘉は今日は一緒に来ていないらしい。
「それより、プロデューサーはこんな早い時間から仕事? 少し休んだら?」
彼女は心配そうな顔を浮かべる。
「いや、大丈夫だよ。そこまで大変じゃないし」
対してプロデューサーはそう口にするが、
「そんなこと言ってるけど、すっごく疲れてそうな顔してるよ。ほら、こっち来て」
と美嘉はソファに腰掛けて隣をポンポンと叩く。
彼女にそこまで言われては、と彼も仕事を中断して美嘉の隣に座る。
「プロデューサー、ちゃんと寝てる?」
「……寝てる」
「ダメだよ、しっかり休まないと」
彼女の言葉にプロデューサーは思わず顔を背けた。
「最近は二人のおかげで忙しかったからな」
「へへっ、これからもファミリアツインで頑張るから★ まぁアタシ個人としても、ね?」
美嘉は彼の顔を覗き込むように見る。
だが彼女の視線は、プロデューサーの耳に向いていた。
「でもそれで、耳かきする余裕もないぐらい大変だったんでしょ」
「た、確かにそうだが……」
「へぇー……」
まだ美嘉はプロデューサーの耳を見ている。
「……えっと、美嘉?」
「プロデューサー、耳かきしてあげよっか?」
そんな事を言われた当の本人は、一瞬何を言われたのか分からなかった。
× × ×
綿棒や
「これで準備おっけー★」
「あの……美嘉、さん?」
「どうしたの? プロデューサー」
「いや、耳かきなら自分でやるんだが……」
彼は困惑した表情で言う。
だが美嘉は引き下がるつもりはないようだ。
「そう言ってやらないでしょ? それにアタシ達のプロデューサーなんだから、そういうところも気遣わないとダメ。ほら、ここに頭乗せて?」
真剣な顔で話す彼女は自身の脚を指す。膝枕で耳かきするから来い、と。
「……はい」
遂にプロデューサーは折れてしまった。
彼は言われるがままに彼女の膝に頭を乗せるが、どうにも緊張してしまう。
「あ、プロデューサーは綿棒派? それとも耳かき棒?」
「えっと、綿棒……」
「りょーかいっ★」
美嘉は綿棒を箱から一本取り出す。
「それじゃー始めるよー」
彼女はそう言って綿棒をプロデューサーの耳に当てる。
「まずは外側からね」
すり、すりすり。すり、すり。
美嘉の太ももの感触に落ち着かない彼だったが、耳に当てられた綿棒の感触に先程までの緊張までも消えていく。
「外もけっこー汚れてるね」
「なんか……すまん」
「それだけ忙しかった証明なんだから、アタシからのお礼だと思ってよ」
「……そうだな、ありがたく受け取るわ」
耳かきの心地良さにプロデューサーも素直に受け入れる。
すりすり、すっ、すっ、すっ。
「……ん、外側はだいたい綺麗になったから、次は耳の穴に入れるね」
穴の周りを
「気持ちいい?」
「ああ、気を抜いたら寝そうだ……」
そんな事を言うプロデューサーに美嘉は微笑む。
「寝てもいいけど、まだダメだからね?」
「まだ……?」
「今寝ちゃったら反対側出来ないでしょ?」
「……あぁ」
――そうか、反対側もやるのか。
嬉しさと同時に消えていた緊張感が蘇り、なんとも複雑な心境になるプロデューサーだった。
すり、すり、すっ。すりすりずり、さっ。
そんな彼の心内などお構いなしに、美嘉は耳かきを続けていく。
綿棒で引きずり出した耳垢を一度ティッシュに包み、再びプロデューサーの耳に綿棒を入れる。
「やっぱり中の方はだいぶ耳垢溜まってるね」
「そんなにか……」
「うん、いっぱい。でもアタシはこの方が楽しいよ♪」
美嘉の楽しいという言葉に彼は疑問を持つ。
「莉嘉がたまに耳かきしてって言うからやっててさ。それでやってる内に、耳かきするの楽しくなってきてね」
「通りで上手い訳だ」
「そーゆーコト★ ……あ、ちょっと動かないでよー?」
すり、す、ずり。ずり、ずり、ずり。
大きめの耳垢を取る為に綿棒を回す。
「ぅ、ぉ……」
音と耳垢が剥がれていく感覚に、堪らずプロデューサーの声が漏れた。
「痛くない?」
「大丈夫だ……むしろ気持ちいい……」
「痛かったら遠慮なく言ってね」
嬉しそうに彼女は続ける。
ずりずり、ずり。ず、ず、ずり。
「これで……取れた、かな」
美嘉はプロデューサーの耳を覗き込んで確認する。
「……うん、さっきのは取れてるっと。じゃあ今度は奥に入れるからね~」
再び彼女は手にしている綿棒を耳の穴へ――先程よりも慎重に、深く入れていく。
「どう? ここは大丈夫?」
優しく綿棒を当てながら尋ねる。
「ああ、痛くない」
「よ~し、それじゃゆっくりと……」
すすす……すりすりすり。さっ、さっ、さっ。
「へへへ、プロデューサー、気持ちよさそーな顔してる★」
「ちょっと眠くなってきた……」
「まだ寝ちゃダメだって~」
――そう言われても、この心地良さにいつまで耐えられるか……。
まだ寝てはならないと口にするも、今にも落ちてしまいそうな彼の顔を見た美嘉は、仕方ないなといった様子で耳の穴から綿棒を抜いていく。
「少しだけ耳垢残ってるけど……」
そのまま綿棒をティッシュの上に置くと、今度は耳かき棒へと手を伸ばした。
ぺちぺちっ、ぺちぺちっ。
「……?」
突然耳の上で何かを叩くかのような音が気になったプロデューサーだったが――
「いくよー」
すすす、ふわふわ。
「っ!?」
美嘉の声と同時に訪れた綿棒と違う感触に、彼は少し驚いてしまった。
「あ、ビックリした? ごめんごめん、梵天するって言わなかったね」
「ホント、先に言ってくれ……」
「ごめんってば~。ほら、またやるよ」
す、ふわふわ。ふわふわ、ふわ。
優しく梵天で耳に触れていく。
「あ゛ぁ゛ぁ゛~……」
のだが、彼から漏れ出た声に手が止まってしまう。
「ちょっとプロデューサー、変な声出さないでよ」
「仕方ないだろ、それ気持ちいいんだから」
「ふーん。なら、これはどうかなー?」
ふわ、ふわ、こしょこしょこしょ。
「あっ、待て、美嘉! くすぐったい!」
梵天の毛がギリギリ耳に当たる位置で耳かき棒を動かす彼女は、プロデューサーの反応に笑ってしまう。
「ま、お遊びはこれくらいにして」
「人の耳で遊ぶなよ……」
「今のはプロデューサーが悪いだけでアタシのせいじゃありませーん★」
「お前なぁ……」
「ほら、ちゃんとやってあげるから! 動かないでよー?」
ふわ、ふわふわふわ。さっ、さっ、さっ。
耳の中を梵天が撫でる。しかし、くすぐったさは感じない。
それどころか、この心地良さに浸っていたいとすら彼は感じていた。
「気持ち良くなっててもいいけど、ヨダレは垂らさないでね?」
「……そんな醜態晒して
「今確認したでしょ」
「してない」
美嘉はプロデューサーの顔を覗き込む。
その際、彼の頭に何やら梵天とは違う柔らかい感触が当たったが、なんとか意識の外に追いやる。
「まぁいいけど。じゃあ梵天も終わりにして……耳にふーってするからね」
――え?
ふーっ。ふっ、ふっ、ふー……。
梵天の時のようにいきなりではない為そこまで驚く事はなかったが、それでも耳に息を吹きかけられる感覚に、プロデューサーは声を出さないようにするのに必死だった。
それでも耐えられたのは声だけで、身体がビクッと動いてしまうのは抑えられなかったらしい。
「あははっ! 今のプロデューサー、ウケる~★」
「くそぉ……」
「はいはーい、こっち側は終わり! 反対向いてー」
美嘉に笑われた事に対して不満を持ちつつも、彼は言われた通り反対を向こうとして、その動きを止める。
「ん? どーしたのプロデューサー?」
「……なぁ、反対側って事は、その、美嘉のお腹側に顔を向ける……んだよな?」
そんな事を言われた彼女は一瞬プロデューサー同様に固まった。
かと思えば、
「そっ、そんなの気にしなくていいじゃん!? なんで今言うかなー!?」
と顔を一気に赤くしてまくし立てる。
「いいから早く反対向くっ!」
更にそのままプロデューサーを半ば強引に自分の両膝へ寝かせる。
「すまん……」
「耳かきしてる最中じゃなくて良かったねプロデューサー」
「怖い怖い!」
「余計な事言うからでしょ。……アタシだって恥ずいんだから」
恥ずかしいと言った部分は尻すぼみになっていったのだが、距離が近い事もありプロデューサーの耳にはしっかり届いていた。
「ん、んんっ! とにかく、続きやるからね」
美嘉はティッシュの上に置いていた綿棒――ではなく、箱に入っている新しい綿棒を取り出す。
「綿棒替えるのか? さっき使ってたのがあるだろ?」
「まだ沢山あるんだし、そんなケチな事しなくてもいーじゃん?」
「そうは言うがなぁ……」
「まーまー。それよりも耳かき始めるよ?」
彼女がそう言うと、プロデューサーはそれ以上なにも言わずに大人しくする事にした。
「さっきと同じように、外側からね」
すり、すり、すり。すり、すり、すり。
「……なんか、こんなゆっくり時間も久しぶりだな」
「やる前にも話したけど、プロデューサー、ずっと仕事仕事で大変だったもんね」
答えながらも美嘉は耳かきを続ける。
「それが今や担当アイドルに耳かきされてるとか」
「しかもJKだよ~? こんな経験、滅多にできないね★」
「他の人がいなくて助かった……」
――特にちひろさんとか早苗さんとか。
すりすり、すり……さっ。さっ、さっ、さっ。
今度も外側から耳の穴に綿棒を入れていく。
「こっちもそれなりにありそうだね」
「……これからは自分でも定期的にやるか」
「言ってくれたらアタシがやってあげるよ?」
「今そんな魅力的な提案されたら簡単にOKしそうになるわ」
「いいの? ほら、こんな感じでー……」
すす、すりすり。ず、ずり、ずりずり。
「キモチイイのがこれからも味わえるんだよ?」
「……LiPPSってみんな誘惑するの上手すぎない? そういうスキルでも習得してんの?」
耳かきの絶妙な気持ち良さと美嘉の
――これで堕ちるなって方が普通無理だろ。
「でもさ、正直な話」
耳かきの手を止めた彼女の声音が茶化す時のものから、真面目な話をするトーンになる。
「プロデューサーにはアタシの事はもちろん、莉嘉の事もいつも見てくれて感謝してるし、何かお礼したいなってずっと考えてたんだよね」
「そのお礼がこの耳かきだって言ってたじゃないか」
「それはそうなんだけどね? でも、こうしてプロデューサーの耳かきしてると、なんだか頼られてるみたいで嬉しくなってさ」
プロデューサーの髪を撫でながら、美嘉は話を続ける。
「こんな小さな事でもいいからさ、アタシを頼って欲しいなって……」
「美嘉……」
「……ワガママだよね。ごめん、嫌だったら――」
「嫌なわけないだろ」
少し強めに、プロデューサーは彼女の言葉を遮った。
「嫌だったら、そもそも今もこんな事してないだろ。……ただ恥ずかしいだけだ」
そう口にしながら彼は目を閉じる。顔を薄らと赤らめながら。
「なら……アタシが耳かきさせてって言ったら、させてくれる?」
「たまになら……な」
「……ありがとっ! じゃあ、気合入れて続きしないとだねっ★」
「いや、そこまで気合入れなくてもいいだろ」
二人は笑い合う。
ずり、ず、ずりずり……。
プロデューサーの耳の中を再び綿棒が擦っていく。
「……でも、うん。こんな気持ちいいのを手放すのは確かに惜しいな」
「どうしたの? 急に」
「いや……こうやって自分以外、誰かに耳かきしてもらったのはいつ以来だったか、とか考えてな……」
「あー、耳かきをやってもらうってフツー子供の時までだもんね」
イヤーエステとか結構あるみたいだけど、と美嘉は続ける。
「へぇ、そんなのもあるのか」
すす。すりすり、すりすりすり。
「……なら、ちゃんとした専門店でやってもらった方がいいな」
彼の言葉に、またも美嘉の手が止まった。
「え、なんで? さっきはアタシがやるのオッケーしたじゃん」
「他のアイドル達が美嘉にこんな事させてるって知られてみろ。確実に変態扱いされるわ」
確かにこんなトコを知られたらちょっとした騒ぎにはなるだろう、というのは彼女にも容易に想像出来た。
しかし折角、プロデューサー直々の許可を得たのだ。美嘉としても簡単には手放せない。
「案外みんな何も言わない……ってか、もしかしたら他のコ達もやるって言うかもよ?」
「所属アイドルに耳かきされるプロデューサーって中々ヤベェだろ」
「今されてるじゃん」
ぐぅの音も出なかった。
「奥、入れるからね~」
ずり、ずり……ず、ずりずり。すっ、すっ。
「プロデューサーは他に誰が耳かき上手だと思う?」
「……された事ないから想像でしかないが、響子とか美優さんとか……美嘉と同じく姉だから美波とか……」
――後は……。
「……意外と千枝とか桃華も上手そう」
二人の名前を挙げた途端、耳の中から綿棒を抜かれ、
「うわ、ヘンタイじゃん……」
と一言。
「ちょっと辛辣じゃないですかね?」
「いやいや、そこでちっちゃい子の名前出るとかマジでないから!」
「わ、分かってる! でもなんか似合いそうだろ!?」
「静かにしてないと手元危ないからね」
流石に身の――耳の危険を感じてプロデューサーは静かになった。彼女は絶対にそんな事をしないと分かっているが。
「はぁ……」
ついつい美嘉も溜息を漏らしてしまう。
× × ×
それから少しして。
綿棒で耳垢をほとんど取り終え、梵天をしようと耳かき棒を手にした美嘉はある事に気付く。
言われた通りプロデューサーは静かにしてると思っていたが、どうやらいつの間にか眠っていたようだ。
「さっきまであんなに騒いでたのに……」
二度、彼の頭を撫でる。
「梵天、するからね」
耳かき棒を数回指で弾いた後、プロデューサーを起こさないようにゆっくりと梵天を入れていく。
ふわふわ、ふわ。ふわ、ふわ。
「こんな感じでいいかな? 最後に……」
ふっ、ふっ、ふーっ。
仕上げに息を吹きかける。
「ん……」
くすぐったいのか、寝ているプロデューサーはわずかに
「終わったけど……起こさない方がいいよね」
美嘉はそう呟くと、使った綿棒をティッシュに包んでから再び寝ている彼の頭を撫でた。
「ホント、いつもお疲れさま。プロデューサー」
自分の脚の上で眠るプロデューサーを見ていた彼女から自然と言葉が出る。
そこへ、事務所の扉が開く音がした。
「おっはよー☆ ……って、お姉ちゃんだけ? Pくんは?」
姿を見せたのは妹の莉嘉だ。
「しーっ!」
「え? なになに? どーしたの?」
不思議に思った莉嘉は、美嘉が座るソファへ近付く。
姉が指差す場所に目をやると、そこには美嘉の膝枕で寝ているプロデューサーの姿があった。
「Pくん? 寝てる……けど、なんで膝枕?」
「耳かきしてたら寝ちゃったみたい」
「あー……えへへ、お姉ちゃんの耳かきってすっごく気持ちいいもんね☆」
「莉嘉も、最後はいつも寝てるもんね~」
――にしても、莉嘉が来たって事は……。
話をしていた美嘉は時計を見る。
「ってヤバ、そろそろレッスンの時間じゃん! 莉嘉、仮眠室からタオルケット持ってきて」
「はーいっ!」
莉嘉が仮眠室に向かう間に、美嘉はプロデューサーの頭を持ち上げて自身の脚を抜いていく。
「お姉ちゃーん、取ってきたよー」
「ありがと、莉嘉」
ちょうど莉嘉も戻ってきたようだ。
タオルケットを寝ているプロデューサーに掛ける。
「じゃー行こっか!」
「うんっ!」
「あっ、お姉ちゃん! 今日アタシにも耳かきしてー!」
「えー? しょーがないな~。じゃあ家に帰ったらね★」
「やったぁー☆」