魔法少女まどか☆マギカ 補完への物語   作:48180

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『試練とは、いつも過去から訪れる。人は、過去からは逃れられない』


先導者の物語
第一話『イレギュラー中のイレギュラー』


まただ。

時を逆行し、見飽きた天井、見慣れた部屋、見たくないカレンダー。

『戻った』時のいつもの空間に私は寝転んでいた。

 

「今度こそ……」

 

今度こそ?

いったい何回目の「今度こそ」なんだ?

どんなに頑張っても、奴は倒せなかった……

果たして、今度は倒せるのか?

いや、今度も倒せないかもしれない。

 

「……まどかぁ!」

 

力ない言葉が漏れた。

鹿目まどか…私の最高の友達。

彼女を救う為に幾度の時を繰り返して来た。

彼女の住む町『見滝原』を壊す最強最悪の魔女『ワルプルギスの夜』。

そして彼女の途方もない才能を狙う白い小動物のような侵略者『インキュベーター』……

 

「……それでも!」

 

私は繰り返す……

彼女を救えるその日まで……

 

「……支度しないと」

 

私の魔法少女の能力『時の逆行』には限度がある。

戻れるのは約一ヶ月。

ちょうどインキュベーターがまどかに契約を迫る時期だ。

勿論契約なんてさせない。

私はすぐに家を出ようとした。

……だが、

 

「……何かしら?これ」

 

部屋に見慣れない奇妙な物が置いてあった。

小さな箱の様なもので、何回も逆行しているがこんなのは見た事がなかった。

 

「箱…何か入りそうだけど、小物ぐらいしか入らなそうね」

 

大きさも手のひらに収まるぐらいの大きさしかなかった。

しかし、よくその箱を見てみると、

 

「ん?何か書いてあるわ」

 

平面の蓋らしき部分に文字が書いてあった。英単語の様だ。

その単語は……

 

「ヴァン…ガード?」

 

英読みで『Vanguard』と書かれていた。

 

「こんなの持ってた?いえ、今までに無いケースね」

 

となると迂闊には扱えない。

こういったイレギュラーケースはほおっておいて良かった試しがない。

 

「とりあえずしまっておきましょう」

 

ほむらは手に着けている盾のような物の中に箱をしまいこんだ。

とてもじゃないが普通の盾には入れることなんて出来ない。

しかし、この盾こそ、暁美ほむらの能力。

この盾のおかげで時の逆行、時間停止など行える。

しかも盾の中は四次元空間になっているようで、物の出し入れが自由なのだ。

 

「さて、行きましょうか」

 

暁美ほむらは部屋を後にした。

 

 

 

「……おかしい」

 

暁美ほむらは鹿目まどかの家の近くに潜んでまどかの部屋を監視していた。

 

「この時間にインキュベーターが現れてまどかに接触を謀るはず……」

 

これは何回も阻止してきたことだ。

今回もノコノコと現れるはず。

……しかし、そんな気配はなかった。

 

「もしかして……遅かった…!?」

 

いや、それはないはず。

何故ならこの時間はまだまどかとインキュベーターは知り合っていないはずだからだ。

今夜が初めての接触なはず。

 

「いったいどうなっているの……!」

 

インキュベーターではないが、別の気配を感じた。

 

「これは…魔女の結界!?」

 

そう。魔女の結界が近くに現れたのた。

 

「ありえない!こんな急に、しかもこの時間に魔女なんて!」

 

まどかも重要だが、魔女の存在も無視出来ない。

……私の知る限りこの時間で存在する魔法少女は二人、

巴マミと佐倉杏子。

だけど佐倉杏子は隣町にいるし、巴マミがここに来るには時間が無さ過ぎる……

 

「……行くしかないようね」

 

暁美ほむらは結界の方へと向かった。

 

 

 

「ここね」

 

暁美ほむらは結界の前まで来た。

そして、暁美ほむらはまた奇妙な発見をした。

 

「これは…魔力の波動!?誰か魔女と戦ってるの!?」

 

それこそあり得なかった。

この町にいる魔法少女は先ほど述べたように巴マミと私だけ。

佐倉杏子はある理由で隣町からこちらには来れない。

だから誰かが魔女と戦ってるなんてあり得ないことだ。

強いて挙げるなら戦ってるのは巴マミ、彼女しかいない。だがこれも先ほど述べたように巴マミの家は少し離れてる。夜遅くにこちらまでは来ない。

 

「いったい誰が……」

 

暁美ほむらは用心深く結界を進んで行った。

 

 

 

「そろそろ魔女のいる所ね」

 

暁美ほむらは用心深く進んでいた。

そしてついに一枚の扉の前で足を止めた。

 

「感じる、この先に魔女と誰かいる」

 

暁美ほむらは慎重に扉を開けた……そこに広がっていたのは異様な光景だった。

扉の先には魔女の空間としか言えない独特な雰囲気と開けた場所、そしてそこに魔法少女と思われる人影が……

 

「これは…!?」

 

その広い空間には人影が二つ、巨大で独特な形をした魔女の姿なんか何処にもなかった。

魔女の姿はなかったが、別の姿は見えた。あまりに異質過ぎたため、認識が遅れたようだ。

その人影のそばに複数の物体が見えた。

その物体は個々に形が違い、だが似た物もあった。

そしてその物体は、言葉にして表すなら…虫の様な形をしていた。

しかし、私の知る一般常識の通用しない大きさだった。

ある物は蜘蛛の様な形をして、ある物はカブトムシの様な形をして……

見てるだけで幻覚でも魅せられてるんじゃないかと思うくらい異質な光景だった。

そして、もう一つの異質は、その虫達と向かい合って立っている一人の少女の存在だった。

 

「あれは……!!」

 

その少女の姿は西洋の甲冑を着ていたが、顔は何処か見覚えがあった。

黒髪で左右に三つ編みをしており、眼鏡をかけていて、まさに……

 

「昔の…私!?」

 

少女の容姿はまだ魔法少女になったばかりの時の暁美ほむらそっくりだった。

 

「中々やりますね、けどもうそろそろ終わらせてもらいます!」

 

その少女も気になるが、周りにも異質な物がいた。

ゴツイ西洋の甲冑を来た男に赤い獣、全体的におとぎ話に出てくる騎士とかの様な成りが多い。

 

「私のスタンドアンドドロー!」

 

少女が何か叫んで手元を動かしている。

よく見ると何やら見えないテーブルがあり、そこに何かがある。

目を凝らして少女の手元を見てみると、

 

「あれは…カード?」

 

トランプのようなカードが何枚も並べられていた。

 

「銀の牙で、限界を定めし因習の鎖を噛み砕け!ライド!『大いなる銀狼 ガルモーール』!」

 

そう少女が叫ぶと、少女の姿が変わっていった。

少女の身には金色の鎧が纏わり、さながら騎士の様な姿へと変わった。

 

「い、一体何が…」

 

「そして、気高気き銀狼の元へ駆け付けろ!同胞よ!シルバーファングエマージェンシー!」

 

少女の叫びと共に、一つの人影が姿を現した。

人影は銀色の鎧を身に纏い、杖を持っていた。

 

「行くよ、まずはリアガード『神技の騎士ボーマン』で相手リアガードの『ブラッディ・ヘラクレス』を攻撃!」

 

ゴツイ甲冑の人物は手に持っている剣でカブトムシに斬り掛かった。

カブトムシのそばにいた人物は首を振った、次の瞬間にはカブトムシは剣で切り刻まれて、姿が煙の様に消えていった。

 

「まだまだ!リアガード『シルバーファング・ウィッチ』のブースト、『守護聖獣ネメシアライオン』の攻撃!」

 

続けて先ほど登場した銀色の鎧を身に纏った人物が前にいる赤い獣に気のような物を与えている。

気には魔力の波動を感じる、そのせいか赤い獣は先ほどよりも強そうに見える……いや、強くなっているのだろう。

そんな赤い獣が蜘蛛の様な物に飛びつこうとした……

だが、蜘蛛の様な物の前に別の虫が立ちはだかり、赤い獣の攻撃を阻止した。

 

「防がれちゃった。でも、『すれいがる・ダガー』のブースト、『大いなる銀狼 ガルモール』で、相手ヴァンガード『ヘル・スパイダー』をアタック!」

 

少女の後ろにいた蒼い狼の様な生物が、先ほど見たように少女に気を送っている。

少女は高く飛び上がり、蜘蛛の様な物に斬り掛かった。

しかし蜘蛛の様な物の前にまたしても違う虫達が立ちはだかった。

先ほどは一体だったが、今度は三体もいる。

 

「くっ!だけど、限界を超える!リミットブレイク!」

 

少女の体が、より輝きを増した。

先ほどよりも力強く魔力の波動を感じる。

 

「ツインドライブ、チェック!一枚目…ドロートリガー!パワーはヴァンガードに、そして一枚ドロー!」

 

少女は手元に積まれているカードの束から一枚めくり、それからも魔力の波動が少女へと流れ、魔力が更に増幅した。

続けて束から一枚手元に加えた。

 

「セカンド…チェック…!」

 

束から枚数にして三枚目のカードをめくった。

そして……

 

「やった!クリティカルトリガー!」

 

またもめくったカードから魔力の波動が少女に向かった。

 

「銀狼の鎧よ!雄々しき力で敵を砕け!『翡翠に輝く牙!(ジェイドグランツファング)』」

 

少女は両腕についている剣の様な武器で前に立ちはだかった虫達を斬り払い、蜘蛛の様な生物を斬りつけた。

蜘蛛の様な生物は悲鳴を上げながら次第に消滅していき、最後には見慣れた物を残していった。

 

「あれは…グリーフシード!ということはあの蜘蛛は魔女!?」

 

「ふぅ、疲れた。みんなもありがとう」

 

少女は周りにいた騎士や狼達にお礼を言うと、その生物達はスッと消えていった。

身に纏っていた鎧も消え、少女の姿は見慣れた格好へと変わった。

 

「彼女の格好……見滝原中学の制服!?」

 

暁美ほむらはその制服をよく知っている。

何故なら鹿目まどかや美樹さやか、巴マミが通っている中学だ。勿論過去の私なら当然と言えば当然だが。

 

「さて、グリーフシードで魔力回復しないとね」

 

少女はさっき得たグリーフシードをソウルジェムにくっつけた。

ソウルジェムから黒いモヤがグリーフシードに吸い込まれていき、少し穢れていたソウルジェムは元の綺麗な輝きを取り戻した。

 

「ふぅ、魔力回復っと。キュウべぇ、いる?」

 

「やあ、ホムラ。呼んだかい?」

 

「!!」

 

少女の問い掛けに答えるように白い小動物が姿を現した。

 

「今彼女のこと、『ホムラ』って呼んだわね……ということは彼女は……」

 

暁美ほむらは信じられない光景だが、現実から目を逸らしたりはせず推測している。この時間軸で起きているイレギュラーについて……

 

「うん、呼んだよ。はいこれ、使い終わったグリーフシード」

 

少女は穢れを吸い取ったグリーフシードをキュウべぇと呼ばれている白い小動物に渡した。

 

「うん、確かに受け取ったよ」

 

QBは受け取ったグリーフシードを背中にある模様からしまい込んだ。

その光景はいつ見ても『食べた』と言う表現が似合っていた。

 

「こんなこと、今まで一回も起きた事がない……

イレギュラー中のイレギュラー……どうする?」

 

逆行(もど)るか?

いや、逆行したばかりでそれは無理。

……ならば

 

「少し、調べることが増えたわね」

 

暁美ほむらはその場を後にした。

 

 

……………続く




初めてのSSでしたが、いかがでしたか?
これから亀の様に遅い+お見苦しいところ多々あるでしょうが、よろしくお願いします。
対戦のカード効果とかフィールド詳細は次回から細かく行きます。今回はイベント戦闘なんで簡略に済ませました。
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