「……………」
廃墟のビル、なぎさはただずんでいた。
先ほどまで美樹さやかの姿もあったが、今は何処にも見えない。
「……キュウべぇは…友達…なはずなのです。
でも、もっと別の…とても大切な人がいたような……」
美樹さやかが何処に行ったかと言うと、これもまた時間を遡る必要があるのだ。
「ツインドライブ、チェック!まず一枚目だよ」
時は少し戻り、まだなぎさとさやかがファイトしている時だった。
さやかは山札から一枚めくった。
めくったそのカードは……
トリガー:醒『静かなる賢者 シャロン』
「やった!スタンドトリガー!パワーは全て
めくったカードから美樹さやかに魔力が流れ込み、先ほど攻撃したはずの剣士は再び剣を構えた。
『そ、そんなこと……あるはずないのです!トリガーが2枚出るなんて……』
「セカンド、チェッ…!」
さやかは2枚目をめくろうとした時、突如手が止まった。
そして目の前のなぎさを見ずに、何処か違うところを見ていた。
「これは……!結界の気配!?ほむらの奴、何してるんだ!?」
「ど、どうしたのですか?早く2枚目をめくるのです!」
「悪いけど、このファイトは中止だよ」
美樹さやかはそう言うと、並べてたカード達を一つに集めて、箱の中にしまいこんだ。
さやかの周りにいた騎士や動物は姿を消し、さやかも元の魔法少女の姿に戻った。
「ま、待つのです!決着はまだ着いていないのです!!」
「決着?あぁ、そんなのあんたの勝ちでいいよ。あたしは急がないとヤバそうだからね」
美樹さやかがその場を去ろうとした時、
「……ベベ、全部思い出せとは言わない。けどせめて、マミさんのことだけでも思い出してあげて。あの人、寂しがりやだからさ」
そう言い残すと、足速に美樹さやかは何処かへ行ってしまった。
そして現在に至る。
なぎさはキュウべぇの亡骸を撫でながら、美樹さやかや暁美ほむらの言っていた事を思い出していた
『貴女はそいつに騙されてる』
『キュウべぇに騙されてるんだよ!』
『貴女と争うつもりはないわ』
『あんたの友達はマミさんだ!』
……今にして思えば、彼女達の言葉は嘘にしては変な重みがあった。まるで本当になぎさを心配してくれているように……
心の底では、もしかして彼女達の言っていることは全部本当のことなんじゃないかと思ったりもした。
けどそれを信じてしまうと、キュウべぇと友達ななぎさは誰なんだ?と自分が分からなくなってしまうような気がして、怖くて認めたくなかった。
「だったら、だったらなぎさは…何者なのですか…?」
色々な感情が渦巻く中、美樹さやかの一言に注目がいった。
『これは…!結界の気配!?』
結界…恐らく魔女の結界のことだろう。
ということは、また誰かが迷い込み不幸になろうとしているのだろう。
「……それはいけないことなのです」
あの人達はキュウべぇの仇…でも魔女をほっておくわけにはいかない、何故なら。
「なぎさは魔法少女なのです。魔女を倒すのが、魔法少女の使命…そう教わったのです!」
誰に?キュウべぇに?
……うぅん、違う。誰かはわからないけど、教えてくれた人がいた。その人はとても優しくて、繊細な人だった気がする。
なぎさは結界の気配を確認し、その方向へと足を進めた。
なぎさとさやかがファイトしていた頃、暁美ほむらはかなりの窮地に立っていた。
「くっ!こいつら!」
ほむらは盾から出した軽機関銃を魔女の使い魔達に向かって乱発していた。
「はぁ、はぁ……どうして?ここにいるのはそこまで強くない魔女なはず。なのに!」
いくら倒しても、使い魔の数は増すばかりだ。
幾たびの逆行の中、まどかが魔女の結界に巻き込まれることはあった。
しかしその結界の主はどんな時も大した事のない魔女ばかりだ。
しかし今回は違う、明らかに強敵だ。
それは使い魔の生産量とその使い魔の強さが物語る。
それにもう一つ、不誤解な点もあった。
「色々な使い魔を見てきたけど、クマのぬいぐるみみたいなのは初めてね。ぬいぐるみみたいな魔女もいたけど」
大群の使い魔は、それまでに見たことのない姿をしていた。
「ここまでイレギュラーが続くと、もう何が来ても驚かないわね。次は人の形をした魔女でも出るのかしら」
ほむらが愚痴をボヤいていると、使い魔達は一斉に動きを止めた。
そして左右に分かれ整列し、一本の道を作った。
「これは一体……!?」
その道の先からほむらに向かって、一人の少女が誰かをお姫様抱っこで抱きかかえて歩いてきた。
その誰かをよく見てみると、
「ま、まどかぁ!!」
その誰かは鹿目まどかだった。
少女はファンシーなクマのパジャマみたいな格好をしていて、フードを深く被っていて顔はよく見えない。
だがその見た目とは裏腹に鹿目まどかをお姫様抱っこで抱え、ゆっくり暁美ほむらの方へ向かって歩いている。
「まどかを、離しなさい!」
暁美ほむらは軽機関銃を少女へと向けた。
少女はそれを見て、歩みを止め、鹿目まどかをゆっくりと下ろし、寝かせた。
少女がまどかと離れたのを見た直後、ほむらは盾を回し時間停止を使った。
「まどかっ!」
ほむらはすぐさままどかに近寄り、彼女に触れ、彼女の安否を確認した。
呼吸は正常、心音も聞こえる……どうやら気を失っているだけのようだ。
「よかった……無事で…!」
しかし彼女の安否を確認したのも束の間、盾が元の位置に戻り、世界は再び動き出した。
「……いつの間に?」
「!?」
少女はほむらに向かって話しかけた。
確かに、少女にとってはついさっきまでいた人物が突然側に現れたのだ。当然の反応と言えばそうだが、何処か反応が薄い。
だが暁美ほむらは別のところに驚きがあった。
「貴女…言葉が話せるの?」
もしこの少女が魔女だとすれば、この姿は生前の…魔法少女だった時のものか?
いや、それ以前に魔女が言葉を話すこと自体私には理解を超えていた。
元々人間だったのだ、言葉を話せても不思議ではないのかもしれない。しかし、私はこれまでの魔女が言葉を発するところを見たことがない。
これまたイレギュラーな出来事だ。
「ねぇ、お姉ちゃん。ファイトしよ?」
少女が次に発した言葉は、突拍子もない言葉だった。
いや、この世界の理から見れば至極当然なことか。
だが今は危険過ぎる。美樹さやかから貰ったグリーフシードもそろそろ限界だ。ここは時間停止を使ってまどかを安全なところまで連れ出すのが
私は盾を回そうとした……だがその時、
「させないよ」
まどかとほむらを囲うように地面から柵が生えて、二人は檻の中に閉じ込められてしまった。
これではほむらの時間停止も使い物にならない。
「なっ!?」
「よく分からないけど、その盾。凄く厄介そう。でもこれなら使えない」
ほむらは軽機関銃で柵を撃ちまくったが、その柵が壊れることはなかった。
「無駄だよ、お姉ちゃん。さぁ、私とファイトしよ?」
「…………」
これは今度こそ、覚悟を決めてやるしかないようね。
「いいわ、ファイトしてあげ……」
「その必要はないわよ」
突然何処からか声が響いた。
しかも私の台詞…そしてその声色を私は知っている。
「この声は…巴マミ!」
「あら?何処かで会ったかしら?」
スタッと、ほむら達のいる檻の上に金髪でグラマラスな身体つきをした魔法少女が降り立った。
「えぇ。まぁ貴女は覚えてないでしょうけどね。それよりどうゆうつもりかしら?」
「どうゆうつもりって?」
「あの子は私にファイトを申し込んで来たのよ、それに横槍を入れるのは野暮じゃないの?」
「なら聞くけど、貴女…ファイト経験は?」
「……これが初めてよ」
「でしょうね。貴女みたいな魔法少女見たことがないもの。ここは先輩に任せて見ていなさい」
巴マミは檻の上から目の前の少女に向かって飛び降りながら、しかもそこに一回転を入れ着地。
「それにそこにいる娘、学校の後輩みたいだし。後輩にこんなことしておいてそれを許すほど私はお淑やかじゃないし、その後輩を初心者に任せることなんてもっと出来ないわね。でも大丈夫。このファイトが終わったら、貴女にもじっくりと戦い方を教えてあげるわ」
巴マミはデッキを少女の前に出し、
「さぁ、ファイトよ」
少女もコクリと頷き、デッキを出した。
二人の間には見えないテーブルが現れ、二人は始める準備をした。
デッキから1枚のカードを真ん中Vサークルに置き、シャッフル、5枚引き何枚か戻し、戻した分引き直す。
「準備はいいようね」
「……いつでも」
二人はVサークルのカードに手を添え、
「スタンドアップ、ヴァンガード」
「スタンドアップ!ザ!ヴァンガード!」
始まりの掛け声と共に、ファイトが始まった。
……………続く
マミさん登場!
果たして勝利出来るのか!?
それともマミられるのか!?
そしてほむらはいつファイト出来るのか!?
さやかは何処へ行ったのか!?
なぎさはどうするのか!?
まだまだ続くぅ!!