ダンジョンに食材を求めているのは間違っているだろうか? 作:猫と果実
ノリで書いているので雑です許してくださいw
1.都会の洗礼
迷宮都市オラリオ
多くの冒険者が行き交う大都市。
様々な種族が武具を身に付け、中央にそびえ立つバベルに向かいダンジョンへと挑戦しにいく。
しかしここに訪れる者全てが全員冒険者になりたくて来るわけでもない。
ここいる少年もその一人である。
「まずは働き口を見つけないと!!」
意気揚々と街中を歩くベル。
ベルはこのオラリオに冒険者になりに来た訳ではなく料理人になりに来たヒューマンだ。
貰った地図を頼りに街中を進み、商業区画に向かう。
「うわぁ!!色々な食材が売ってる!!」
向かう先々で露店など多くの店が点在しており、地図から目線が外れきょろきょろと見渡す。
「凄いなぁ…はやく仕事見つけて腕を磨かないと!!」
改めてグッと拳を握り締め気合いを入れ直す。
くぅ~~
「……その前に何か食べようかな」
可愛らしいお腹の音がなり自分がお腹が空いていた事を思い出す。
「そうえば朝から今日はしっかりとした食事はしてなかったなぁ」
現在時刻は昼過ぎ、料理店も賑わい時間帯。
「あんまりお金を使うのは良くないけど、オラリオ来て初めての食事だし少しぐらい使っても罰は当たらないよね?」
村で暮らしていた時から少ない収入ではあるが溜めてきた全財産。
リュックのポケットからお金の入った革袋を出して中を確認する。
「……うん!!食べに行こう!!」
革袋をしまい、少し駆け足気味に道を進んでいった。
「もうそろそろかな??」
貰った地図には手書きではあるが、街のお勧めの店だったり、安全の宿などが記載さえていた。
余談ではあるが、連れてきてくれた馬車のおじさんはベルと同じぐらいのお子さんがいるらしい
本人には言っていないが他の客よりベルに優しかった理由である。
「おじさんに感謝しないと!いつか僕の料理をお礼に振る舞えたらなぁ…」
ベルの夢は料理人ではあるが、最終的にはオラリオに自分の店を構えて
そして皆に料理を振る舞い皆を笑顔にすることが、ベルの本当の夢であり本当になりたい者だ。
「あっついた!!ここが『豊饒の女主人』かぁ……ここだけは二重丸されてたし大丈夫だよね??」
僕は地図にお勧めに書かれていた店の前についた。
確かによく周りを見ると、ここの通りにあるお店で一番大きい飲食店かもしれない
二階建てで奥行きのある石造りのお店、いつか僕もこんな大きなお店を…っと少し興奮気味で見ていると
お店の中から怒鳴りが聞こえてきた。
金は置いてきなぁぁ!!!!
「ひっ!?」
僕に向けて言った訳じゃないのに思わず体が硬直してしまう。
とても威勢の良い女性の声が鳴り響くと、その直後三人組の冒険者がお店から飛び出す様に出てきた。
「くそっ!誰が二度と来るもんか!!!」
「兄貴はやく逃げましょう!?」
「そうですぜ!?」
一人は大柄な人が居て、その横に取り巻き?みたいな人が二人…ってこっち見てない!?ぶ、ぶつかる!?
「ぐえ!?」
「うぉ!?邪魔だこのチビ!!!」
大柄の男性とぶつかり僕は盛大にこけてしまう。
しかし三人組は気にした様子もなく僕のすぐ横を通り過ぎって行った。
「痛たた…あっ!?調理道具!?」
転んだ拍子にリュックを踏ん付けてしまった。
この中には僕の大切な調理器具達が入っているから壊れていないか心配になり、すぐさま確認する。
「良かったあぁぁ……とりあえず大丈夫そうだ!!」
「何が大丈夫なんだい?人の店の前に居座るといい度胸じゃないか」
「へ??」
後ろを振り向くと、仁王立ちしている恰幅のいい女性が僕を見下ろしていた。
僕は改めて自分の状況を確認してみる…店の入り口でリュックから荷物を出し道具を並べる……
これじゃここで商品売ります!!ってやろうとしてる人に見えるよねこれ……
「ご、ごめんなさい!?!?!?!」
よく昔からおじいちゃんに『お前は集中し出すとすぐ周りが見えなくなるからな……』って散々忠告されてきたのに!?
「なんだいよく見たら質の良い調理道具じゃないかい……それはアンタのかい??」
僕は怒られると身構えていたけど、この女性は僕の調理道具に興味があるらしい……はっ!!い、いまなら話を聞いてくれるかもしれない!!
「は、はい!!これは僕の調理道具でして決してここで売り出そうとかじゃなくてですね?!
え、えっとさっき出てきた方々とぶつかってしまって転んでその時に荷物を踏んでしまい
その道具が壊れていないか心配になりここで道具を確認しちゃいましたて…ほ、ほんとすみませんでした!!!」
僕自身も驚く早口で弁解の言葉を女性に投げかけ頭を下げる。
恐らく相手も突然なんの事だ?ってなっているだろうけど、僕にとってはまだ来たばかりなのに人様に迷惑かけちゃったとか僕はドジだな…とか色々な感情が頭の中を渦巻いていた。
とにかく僕は焦りに焦っていた。
すると突然バシンっと言う音と共に背中に凄まじい衝撃が走る。
「ぐわっ!?」
思わず痛みで地面をのたうち回る。
「なんだい!!アンタうちの客だったのかい!さっきのバカ共が居なくなったから丁度席があいたよ!」
「あ、ありがとうございます……」
いまだ痛みが引かず背中をさすっていると、その様子を見ておかしかったのかさっきの威圧がなくなり笑いながら店に戻っていった。
僕は荷物を片付け店の中に入っていく。
すると入り口で待っていたのか、
「いらっしゃいませ」
「……」
思わず僕は見とれてしまった
村は人口が少ないから僕と歳の近い女性がいなかった。
おじいちゃんは『ここは歳を取ったやつらしかいねえからのぉ~』っとよく愚痴を言っていたなと懐かしいなぁ
ってなんでこんな事を思い出しているんだろうと考えていると
「お客様?大丈夫ですか??」
「は、はい!?」
僕が何も言わないことを不審に思ったのか、軽く首をかしげながら聞いてくる。
(か、可愛い…)
そして僕は確信した……僕全然女性に対して免疫がないんだ!!
同世代の綺麗な女性に対してドギマギしてしまう事に僕は改めて気付いたのだ。
「ふふっお客様一名でよろしいですか??」
「は、はい///」
明らかに僕が照れているのがバレてる…
照れながらもお店の中を見てみると男性の定員はおらず、全員がウエイトレスしかも皆さん綺麗な方可愛い方のみで構成されている。
こうゆう所も人気の一つなんだろうなとほぼ満席の店内を見て感心する。
「一名様入りますー!」
ウエイトレスさんに一声で席に案内される。
店内はテーブル席とカウンター席で分かれている、そして僕が案内されたのはカウンター席。
「やっと来たのかい坊主」
カウンター席に待ち構えていたのは先程の人だ。
「さ、先程はご迷惑をおかけしました」
「お客なんだからいっぱい料理を頼んでくれれば気にしないよ!」
気付いたら僕は大量に食事をしなきゃいけない事になってる……お、お金足りるかな?
「が、頑張ります」
「まだ若いんだからいっぱい食ってきな!!」
「は、はい」
そのまま奥の方へと戻っていく女将さん的な方、とりあえずメニューを見て注文しないとな。
「わぁ…色々種類があるなぁ…飲み物の種類も豊富だし、セットメニューもある!これだけあると目移りしちゃうな…」
「これなどがオススメですよ」
スッと僕の視界に細い指が入ってきてメニュー表の一部に指をおいた。
「えっ?」
横を振り向くと僕を案内してくれたウエイトレスさんが立っていた。
「初めて来たお客さんはメニューの多さに驚くんですよ」
僕に微笑むようにそして誇らしげに言う彼女を見ると、本当にこのお店が好きなんだなってのが伝わってくる。
「は、はい!僕田舎から来た者ですから本当に驚きっぱなしです!」
女性の可愛さに驚いてるなんてそんな口説き文句は僕には一生言えないだろう…
「そうだったんですね!オラリオは初めてなんですか??あっその前に自己紹介が先ですよね」
彼女は喉をととのえるな仕草をするとスカートの端を持ちおじきする。
「シル・フローヴァっていいます」
その姿はどこぞかのお姫様みたいて改めて見とれてしまった、オラリオは凄いところですおじいちゃん。
「ぼ、僕はベル・クラネルといいます!」
席を立ちシルさんにおじぎをする。
「ふふっよろしくお願いしますベルさん♪」
「よ、よろしくお願いします///」
なんとも言えない気恥ずかしさに僕は顔が真っ赤になっている気がする。
それにしても都会ではこうやって自己紹介するものなのかな??と田舎者の僕はルールを知らないから困ったな……と思っていると
「ベルさんとは今後ともうちのお店をご贔屓にしてもらいたかったので自己紹介したんですよ」
微笑みながら僕が疑問を思っている事を回答してくれた。
あ、あれ?僕声に出してたかな??
「ベルさんはわかりやすい方なので先に答えちゃいました」
「えっ?僕ってそんな分かりやすかったですか!?」
し、知らなかった…以後気をつけないと…
「ベルさんは面白い方ですね」
「うぅ///」
なぜか分からないけど会って間もないシルさんですけど、なぜかもう敵わないなぁと実感させられる小悪魔感を僕は感じました……
すると女将さんが僕達の所にやってきた
「なにやってんだいシル!仕事サボるんじゃないよ!」
「はーい、それではお食事楽しんで下さいねベルさん」
ミアお母さんと呼んだ女将さんに叱れ僕から離れていくシルさん、その際軽く手を振り他のお客さんの所に行ってしまった。
「おまちどう」
「はい?」
どんっと大皿に入った大盛りのパスタが僕の目の前に置かれた。
思わず女将さんの顔とパスタを繰り返しみてしまう。
「なんだい?食わないのかい?次の料理も持ってくるから待ってな!」
僕の疑問には答えてくれない代わりにまた料理が来ることを告げて行ってしまった。
「……い、いただきます」
僕はメニュー表をスッと端に置き、オラリオ初の食事を始めた。
「うぷっ」
「良い食べっぷりだったね!!」
あれからパスタに続いて、魚の煮付け、サラダ、肉の串焼きなどが出てきて僕の胃袋はパンパンだ……
でも料理人としては出された料理を残すのは失礼にあたるのでしっかり食べきった。
「とても美味しかったです!それぞれ味付けもしっかりしてて素晴らしかったです!!」
残さないために食べていたのも確かだが、一つ一つしっかりと下ごしらえをして良い素材を選別しているのが分かる程美味しくて食が進んだのも確かだった。
「気に入ってもらえたのは良かったよ!それじゃ会計するかい?」
「はい!いくらになりますか?」
「今回はサービスで600ヴァリスで良いよ!」
「良いんですか?!」
「何度も言わないよ!」
「はい!ありがとうございます!!」
メニュー表の値段を見るとその倍はする筈なのに…優しい女将さんだ!
お会計済ませてそろそろ宿を探しにいかないと!!
「…あれ?」
「どうしたんだい坊主??」
「……お、お金がなくなってる」
リュックにしまっていたお金の入った革袋、お店に入る前にリュックの横のポケットに入れたのも自分で確認している。
「な、なんで?!お店入る前をあったはずなのに!?」
冷静になれベル・クラネル!そうお店に入る前に何があったか思い出せ!!
……確か冒険者の人にぶつかって転んで…その三人組が僕のすぐ横を通って…
あれ?よくよく思い返せば僕は閉まった時にちゃんとボタンを閉めてた…でもさっき外れてたよね??
「ぬ、盗まれた……僕の全財産……」
思わず僕は膝から崩れ落ちた。
この先どうしようと漠然としていると、女将さんの声で現実に戻される。
「アンタ今手持ちがないんだね」
「ひっ!?」
先の事より今の事だ!?僕はタダ飯を謀ろうとした悪人じゃないか?!
「……あ、あの」
「ちょっときな!!!」
「い、いやぁぁぁ!?!?!?」
首根っこを掴まれ僕は店の奥へとずるずると引きずられていった。
おじいちゃん…都会はとても怖い所です……
オラリオを初日、都会の洗礼を受けるベルであった。
まだまだ料理はしませんw