関東スクールアイドルフェスタから遡る事2ヶ月…
〈2024年4月、音ノ木坂学院…〉
かつて伝説のスクールアイドル「μ's」を産んだ音ノ木坂学院。
新学年、新学期2日目、その学院の2年E組と書かれた教室のドアを1人の女生徒が開くところからこの物語は始まる。
『ガラッ』
女生徒「あ!瑠衣ちゃんお早う!勧誘はどう…だっ……た?(こ、この落ち込みようは…)」
自分の席で下を向いて落ち込んでいる「瑠衣」と呼ばれた生徒が顔を少し動かして女生徒を見る。ピンク色の長い髪の右側にサイドテールが付いている。暗い顔をしているが美少女だ。
瑠衣 「…おはよー…友美ちん。」
弱々しく挨拶する瑠衣。
どうやら女生徒の名前は「友美」と言うようだ。
友美 「今日も…駄目…だった?」
瑠衣 「…おかしい。」
友美 「え?」
瑠衣 「だってそうでしょ!?ここはあの伝説のスクールアイドルが産まれた伝説の音ノ木坂学院なんだよ!?…何で?…何でだれもアイドル部に入ってくれないの!???」
瑠衣の机の上にはアイドル部勧誘チラシの分厚い束が置かれている。
どうやらほとんど受け取ってもらえなかったようだ。
友美 「う〜ん…やっぱり今の音ノ木坂はスクールアイドルより進学校のイメージが強いからな〜…5年前まではスクールアイドルで有名だったけど…」
顎に手を当てて瑠衣に答える友美。
瑠衣 「…瑠衣は…瑠衣はね!ともちん!」
友美 「は、はい!」
瑠衣 「どうしても…ど〜〜〜…ぅしても!μ’sみたくなりたくて今や超難関の音ノ木坂に入るために超嫌いな勉強を超頑張ってなんとか入学したんだよ!?…それなのに…それなのに!どうしてスクールアイドルやりたい子が全然いないの!?」
ウルウルした瞳でやり場のない憤りを訴える瑠衣。
友美 「そ、そっか。確かに瑠衣ちゃん中学のとき勉強苦手だったもんね…でも一年の時はアイドル部5人いたんでしょ?」
瑠衣 「…いたけど…すぐ3人は辞めちゃうし…授業についていけないからって…」
目を逸らしながら話す瑠衣。
友美 「…もう1人は?…確か凄い可愛い子だった気が…」
瑠衣 「うん…瑠衣よりやる気もあったんだけど…『こんなところじゃアイ活は出来ないわよ!』って結局…今は…」
友美 「る、瑠衣ちゃんよりもやる気あったの?…今は?」
瑠衣 「今は……
…ねぇともちん?」
友美 「え?」
瑠衣 「あの…1番後ろの窓際で本読んでるメガネの子…だれ?」
ふと瑠衣の視界に見たことがない生徒が映り目が止まる。
昨日は空席だった場所に明るいオレンジ色のショートカットの美少女が座って読書をしていた。
眼鏡の中に大きな瞳と長いまつ毛を覗かせている。
友美 「あ、ああ…昨日の始業式風邪で休んでた…確か…
『霜月』さん…かな?」
瑠衣 「……可愛い…」
友美 「あ、ああ確かに…。そう言えば友達から私達のクラスにショートカットでクールビューティの子がいるって聞いたけど…もしかして霜月さんの事…かな?…ってあれ?瑠衣ちゃん?」
いつのまにか友美の隣にいた瑠衣が消えている。
瑠衣 「…あの〜…」
霜月 「はい? 」
突然知らない生徒に話しかけられて読書を中断し不機嫌そうな様子で眼鏡を外す霜月。
瑠衣 「………ヤバイ…」
霜月 「はぁ?」
怪訝な顔を瑠衣に向ける霜月。
瑠衣 「メガネないと…さらに………
…可愛い〜!!」
霜月 「な、なに?いきなり!?」
出会いがしらに褒め言葉を浴びせられ真っ赤な顔になる霜月。
瑠衣 「赤くなった!超可愛い!ハラショー!」
手をブンブン振りながら興奮する瑠衣。
霜月 「…な、何なの!?あんたは!ハ、ハラショー?」
瑠衣 「…見つけた…」
霜月 「ハァ?」
一人で突っ走る瑠衣に付いていけない霜月。
瑠衣 「一番星…」
霜月 「い、一番星?」
瑠衣 「一番星…みぃ〜つけた☆」
この物語の11年前、同じ音ノ木坂学院で高坂穂乃果が廃校の知らせを見て気を失ったそうな…。
次回、「カスミン」