かつて音ノ木坂学院と言えば誰もが「スクールアイドル」を思い浮かべた。しかし超進学校へと変貌を遂げた2024年時の音ノ木坂は最早誰もスクールアイドルの事を口にしなくなっていた。あの伝説の「μ's」の名前さえも…。
〜長月瑠衣と霜月霞が出会った翌日の朝〜
〈音ノ木坂学院…〉
校門へと続く階段の下の通りにスマホをスクロールしている可愛らしい小さな女の子が立っていた。
制服の襟元に一年生色の水色のリボンを付けている。アッシュグレーの髪色で前髪がやや長めのショートカットだ。
先程から少女がスマホで見ている画像の検索欄には「2024年 春 ファッションコーデ」と入力されている。
『ツバメちゃ〜ん!』
ツバメという可愛い鳥類系の名前を呼ばれた少女。
嬉しそうに声がした方に顔を向ける。
ツバメ 「…あ!お早う!ひまちゃん!」
笑顔で友達の『ひまちゃん』に挨拶するツバメ。
ひまちゃん 「ハァハァ…お、お早うです!ツバメちゃん!ハァハァ…」
息を切らしながらお早うを言う『ひまちゃん』は小さなツバメとほぼ同じ身長で負けじと可愛らしい顔をしている。サラサラな黒髪セミロングヘアに赤い眼鏡がよく似合っている。
ツバメ 「ひまちゃん…走って来たの?」
息を切らす友達に尋ねるツバメ。
ひまちゃん 「はい!その…昨日遅くまで実験していたので…寝坊した…です…」
バツが悪そうに言うひまちゃん。
ツバメ 「そうなんだ…昨日は何の実験?」
ニコッと笑顔で尋ねるツバメ。
ひまちゃん 「…朝最高にスッキリした気分で目覚める栄養ドリンクを作っていて……最悪の気分で目覚めたです…」
最悪の気分の表情で説明するひまちゃん。
ツバメ 「…ド、ドンマイだよ!ひまちゃん!」
ひまちゃん 「で、でももうほぼ完成してるから出来たらツバメちゃんに…プレゼントするです!」
ツバメ 「ほんとに?楽しみだな〜♪」
嬉しそうに言うツバメ。
『ガサ ガサ…』
その時校門を通るツバメとひまちゃんを付近の茂みから覗く怪しい人影が動いた。
?「か、可愛い…。あのちっちゃいショートカットの子が…あのμ’sのことりちゃんの従姉妹『卯月ツバメ』なのね…それに隣の眼鏡っ娘は一年生美少女リスト上位の『葉月向日葵(ひまわり)』……」
どうやらツバメは「卯月ツバメ」、ひまちゃんは「葉月向日葵」と言う名前のようだ。
?「と、とりあえず二人ともスマホに収めて…」
二人にスマホを向け、拡大させる怪しい人影。
「何を…やっているの?二年D組…
『師走(しわす)茉央』さん?」
怪しい人影は音ノ木坂の二年生で「師走茉央」と言うらしい。
よく見ると彼女もかなり美少女だが少しキツそうな顔つきをしている。
紫色の髪を左サイドでアップにしている。
茉央 「え?…チラ
あ!…せ、生徒会長の…!」
生徒会長「はい!生徒会長の…
『如月(きさらぎ)野乃花』よ?」
キラキラした笑顔で自己紹介する生徒会長「如月野乃花」。
襟元のリボンは三年生色の緑だ。
エメラルドグリーンの髪を三つ編みにしていて整った綺麗な顔立ちをしている。
茉央 「あ…私はただ…朝の爽やかな風景の写真を撮ろうかな〜って。」
笑って誤魔化す茉央。
野乃花 「フフ…誤魔化しても無駄よ?…『卯月ツバメ』さん…あの「μ’s」の南ことりさんの従姉妹さん…可愛いわよね♡さらに5年前のラブライブ、別名『ラブライブ!サンシャイン!!』で第3位に輝いた音ノ木坂のスクールアイドル「Eden」のリーダー卯月ヒヨコさんの妹さん…素敵だわ…♡♡」
ウットリした表情で校舎に向かうツバメの背中を見ながら饒舌に語る生徒会長・如月野乃花。
茉央 「え!?せ、生徒会長も知ってるんです…か?そ、そんな細かいことまで!?」
スクールアイドルが廃れた今の音ノ木坂で自分以外に「μ's」や「Eden」の事を語る人がいた事に、しかもそれが超進学校となった音ノ木坂の頂点にいる生徒会長である事に驚くアイドルマニアの茉央。
野乃花 「へ?…そ、それは…生徒会長たるもの新入生のことは…さ、最低限知っておかないといけないもの!」
冷静を装って喋る野乃花。
茉央 「…今のが最低限?」
ジト目で野乃花を見る茉央。
野乃花 「と、とにかく!こんなとこで盗撮してないで早く教室に行きなさい!あなた遅刻の常習犯なんだから!」
焦っている事を誤魔化すように茉央を叱る野乃花。
茉央 「わ、わかったわよ!(クッ…こ、この為に早起きしたって言うのに…!)」
恨めしそうな目を野乃花に向けながら校舎に向かって歩き出す茉央。
野乃花 「フゥ…(焦ったわ…)さて…ツバメちゃんも可愛いけれど…
もうすぐ…
もうすぐ…
もうすぐ!
もうすぐ今日も会えるのね!!」
急に頬を染めてソワソワし出す野乃花。
…するとピリッとした雰囲気の少女が階段を登り切り校門の前にいる野乃花に向かって近付いてきた。
野乃花 「(あ!き、来たわ!)」
目が♡になる野乃花。
野乃花 「お、お早う!霜月さ…」
瑠衣「おっはよ〜!カッスミ〜ン♡」
霞 「…………シャカシャカ♪」
瑠衣 「あれ?カスミ〜ン?」
霞 「…………シャカシャカ♪」
瑠衣 「あ!音楽聴いてるから…
えい!」
反応してくれない霞のイヤホンの片方を笑顔で外す瑠衣。
霞 「…ちょっ!何すんのよ!」
瑠衣 「お早うカスミン!何聴いてるの?」
霞 「べ、別に何だって…」
瑠衣 「どれどれ?シャカシャカ♪」
目を閉じて霞のイヤホンの片方を耳に付ける瑠衣。
瑠衣 「……あ!これ…
『火星兄弟』の主題歌だ!
めっ………ちゃ!いい曲だよね♪♪」
霞 「……………うん。」
頬を染めて頷く霞。
瑠衣 「あ〜♡やっぱカスミん可愛い〜!ハラショ〜♡」
霞 「…またそれ?…あんたロシア人に知り合いでもいるの?」
ジト目で瑠衣に聞く霞。
瑠衣 「うん♪…クォーター?って言ってたかな?…ていうかカスミンμ’sのエリーチカさんって知らない?その人なんだけど…」
嬉しそうに言う瑠衣。
霞 「ミューズ?…石鹸の?」
瑠衣 「いやいや違くて!スクールアイドルの……カスミン…ほんとにμ’s…ていうかスクールアイドル知らないの?」
霞 「…知らない。」
瑠衣 「じゃ、じゃあ…五年前のラブライブでμ'sと奇跡のライブをやったあの『Aqours』も?」
霞 「アクア?…水?…知らない。」
瑠衣 「そっか〜…じゃあこれから瑠衣が1から教えて…」
瑠衣が腰に手を当て人差し指を立てて霞に言い掛けたその時…
野乃花『ちょっとあなた!』
瑠衣 「へ?」
素っ頓狂な声を出す瑠衣。
霞 「あ…」
野乃花 「…ゴホンッ…
お早うカスミン♡」
瑠衣・霞 「…………カス…ミン?」
ポカンとした顔をする二人。
野乃花 「……(ま、間違えた!!)
………お早う霜月さん♡」
何事も無かったかのように言い直す超進学校の頂点にいる生徒会長・如月野乃花。
霞 「……どうも。」
目を合わさず挨拶する霞。
野乃花 「ウフ♡(あ〜〜!!これで
今日も一日生きていけるわぁ〜♡♡♡)」
瑠衣 「生徒会長さん…お早う…ございます!」
少し言いづらそうに挨拶する瑠衣。
野乃花 「あら…長月瑠衣さん…お早う…
……ところであなた…随分とカスミン…ん〜ん〜!!
…霜月さんと仲がいいのね?」
キラキラした笑顔で尋ねる野乃花。
瑠衣 「はい!昨日お友達になりました♪漫画の貸し借りをする程仲良しです!」
ニコニコ嬉しそうに言う瑠衣。
霞 「べ、別に大して仲良くなんて…」
赤い顔で否定する霞。
野乃霞 「ピクピク……漫画の…貸し…借り!?カスミン…霜月さんと!?」
野乃花のキラキラ笑顔が引きつる。
瑠衣 「はい!『火星兄弟』知らないですか?超面白いですよ♪」
野乃花 「私はあまり漫画は…読まないから…(後でアマゾンで注文しなきゃ!)
…それから…さっき私の聞き間違えじゃなければ…長月さん?あなた…μ’sの絢瀬絵里さんと知り合いだとか?」
口元だけ笑って瑠衣に尋ねる野乃花。
瑠衣 「はい!私のダンスの先生です!」
手を上げて元気よく答える瑠衣。
野乃花 「フフフフ…それはあなたの昨日見た夢の話か何かでしょ?」
優しく瑠衣に微笑みかける野乃花。
瑠衣 「え?夢?…違いますけど…」
困惑した顔になる瑠衣。
『キ〜ン コ〜ン カ〜ン コ〜ン…』
『生徒会長〜!そろそろ門を閉めないと…』
他の生徒会生徒に呼ばれる野乃花。
野乃花 「そ、そうね……さぁ!あなた達!寝惚けたこと言ってないで早く教室に行きなさい!……カスミン…霜月さんはゆっくりでいいのよ?♡」
キラキラ笑顔で言う野乃花。
霞 「は、はぁ…」
生徒会生徒 「(ゆっくりじゃ駄目だろ…)」
〈下駄箱…〉
霞 「…夢の中の話…なの?」
靴を履き替えながら瑠衣に聞く霞。
瑠衣 「…違うよ!ほんとにエリーチカ先生は瑠衣の先生だもん!」
必死な表情で言う瑠衣。
霞 「…そっか。そう疑われる位凄い人ってことでしょ?その…ハラショーなエリーチカさんは…」
優しい口調で言う霞。
瑠衣 「カスミン!…うん!エリーチカ先生はさいっ…こうにハラショーだよ!!」
満面の笑顔になる瑠衣。
瑠衣 「…ってカスミン急がなきゃ!もう誰もいないよ!」
霞 「マジか!」
慌てて教室に向かう瑠衣と霞。
『タッタッタッタッ…』
『ザッ…』
下駄箱の外から二人を見ていた人影が微笑みながら呟く。
千歌 「……あれが瑠衣…ちゃん…
そっくりだな…唯ちゃんに…」
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キャラクター紹介
スクールアイドル「Sirius」No0.顧問
高海千歌
チラホラ登場し始めた音ノ木坂学院の美少女達。
「関東スクールアイドルフェスタ」まで後二ヶ月…。
果たして高海先生と瑠衣はどんな出会いをするのか!?
次回、「三番星・卯月ツバメ」