よくある二周目勇者パーティの冒頭部。
たぶん続かない。

深夜のテンションで書いた殴り書き。完璧な文章なんて求めてはいけない。



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あったらいいな、こんなドタバタ二周目勇者パーティ

むかしむかしあるところに、小さな村に住む十もいかない少年がいました。

 

少年は村人の間でも有名になるほど剣が大好きでした。

 

村の武具屋で売られている剣を朝から晩までずっと眺め、寝る時はその光景を思い出しながら夢の中へと旅立って行ったそうです。

 

そんな剣が大好きな少年はいつしか見るだけではなく、実際に剣を振るってみたいと思うようになりました。

 

しかし剣は大変高価なもので、また子供が遊ぶには大変危ないものであるため大人達は少年に剣を持たせてはくれませんでした。

 

しかし少年は諦めませんでした。

 

それならばと少年は剣の代わりにごく普通の木の枝を暇さえあれば振るいました。

 

振りが様になれば大人達も剣を持つことを認めてくれるかもしれないという期待を込めて、少年は一日中木の枝を振り続けました。

 

 

 

 

そんな剣が大好きな青年が住む村にある日突然、魔物の群れがやってきました。

 

その魔物の名はオーガ。通称、人食い鬼。その名の通り、人が好物で背丈は大人の三倍はある化け物です。

 

突然の襲撃だったため、国の騎士や冒険者を呼ぶことすら叶いませんでした。村人達だけで対処せねばなりません。

 

オーガの群れが少年の村を襲います。腕に自信のある大人たちが必死の抵抗を見せますが、オーガの理不尽な力になすすべもなく倒されてしまいます。

 

もうダメかと村の誰もがそう思いました。しかし村人は信じられない光景を目の当たりにします。

 

ただの木の枝を振るい、ちょっとした小屋ほどもあるオーガを吹き飛ばす子供の姿を。そう、あの剣が好きな少年の姿を。

 

オーガが丸太ほどもある自慢の腕で少年に殴りかかります。オーガの腕が少年が持つ棒きれに触れる次の瞬間、オーガの腕があらぬ方向にねじ曲がり、オーガ自身が明後日の方向に吹き飛んでいきます。

 

斧を持ったオーガが少年に斬りかかります。斧と少年の棒きれが触れた瞬間、まるで見えない強い力が働いたかのように斧が弾き飛ばされていきます。

 

 

そして……。

オーガの襲撃を聞き駆けつけた、のちに"勇者"となる冒険者の少女が村に着いた頃にはすでにオーガ達は全滅していたのでした。

 

 

これが、女神に選ばれし伝説の"勇者"と叡智の神の使いである"賢者"と共に旅をし、世界を救うこととなる"剣聖"の伝説の始まりなのです

 

 

 

「はーい。今日はここまで!次のお話はまた明日ね!」

 

美しいというよりはどちらかというと可愛らしいエプロン姿の女性は絵本をパタンと閉じ、読み聞かせの時間は終わりだと子供達に告げた。

 

えー!っと一斉に子供達が不平の思いを口にする。もっともっと!、と女性のエプロンを引っ張りせがむ子供すらいるほどだ。どうやら勇者関連の話は子供達にとってとても素晴らしいもののようだ。まだ聞き足りないらしい。

 

「だーめ。もうお昼寝の時間でしょ?ちゃんとお昼寝しない子はオーガに食べられちゃうぞー」

 

さらっと笑顔で子供達を脅しにかかる女性。しかし子供達は少しも怯えた様子を見せない。

 

「大丈夫だよ。だってそしたら剣聖様が助けに来てくれるもん!」

 

「むしろオーガなんかぼくらでやっつけてやるよ!」

 

物語を聞いたばかりの子供達は興奮冷めやらぬままそんな大きなことを言う始末。お昼寝前に語るには少し物語を間違えたかなと女性は苦笑いを浮かべていた。

 

 

 

……

 

 

 

かつて世界を恐怖と絶望で染め上げた魔神がいた。やつが生み出した軍勢は人間や亜人たちとはかけ離れた力を持ち、人々は軍勢になすすべもなく、ただ奴らの家畜となっていた時代。いわゆる暗黒時代。

 

さっき話しに出てきたオーガはそんな軍勢の中でも中堅の部類に入る魔物だ。中堅だからといって、決して人間にとって弱いということはない。奴らが一匹でも現れたのなら、凄腕の冒険者数人が何人かの犠牲者を出しながらやっと討伐できる程度には手強い。

 

そんなオーガを同じ年ほどの子供であるにもかかわらず、無双していた剣聖の常識外れな活躍を聞き興奮が収まらない子供。

 

 

そんな子供たちの中で俺を含めて三人の子供は、興奮とはかけ離れた感情でいた。

 

 

「えっ。あんたあのオーガを木の枝で倒してたの……キモッ」

 

人形かと見間違えるほど整った顔つきの金髪幼女、もとい元勇者が心底気持ち悪そうに俺から距離をとった。こいつにそんな反応されるのはドチャクソ腹が立つ。

 

「そんなわけないだろ。こういうのは大袈裟に書いてあるもんなんだよ。実際は木の枝じゃなくて、武具屋の爺さんから貰ったひのきの棒だ」

 

「どう違うのよ……」

 

「それにお前だけには言われたくないな。デーモンロードをゴブリンと勘違いして初級武技縛りで倒したお前にだけはな」

 

「あー!あー!きーこーえーなーい!」

 

アホみたいに大きな声を出しながら両手で耳を塞ぐ勇者。困るとすぐに幼いこどものように駄々をこねるのはこいつの悪いクセだ。今でこそ本当に子供だからまだいいが、当時は見た目だけは大人びた美女だったため、ギャップがすごかった。そのギャップにやられる野郎が数多くいたが、最後まで野郎どもの気持ちが理解できなかった。

 

「【争いは同じレベルの者同士でしか発生しない】か……。やれやれ。また一つ真理を見つけてしまいました。自分の叡智が恐ろしい」

 

やれやれ主人公でもしないようなやれやれポーズを取り、俺たちを心底見下したような目つきで眺めていた元賢者が、一人自分に酔いしれている。こいつを賢者にした叡智の神とか言うやつはアホだと俺は思う。なぜならこいつは真性の馬鹿だからだ。

 

「ちょっと賢者!誰と誰が同じレベルですって!?」

 

「おっと、聞こえてしまっていましたか。やはり賢者という選ばれし者の声は万物に届いてしまってしまうようだ。これも神に選ばれし賢者の定めなのか……」

 

「子供達には届いてないけどな」

 

「んー?何か言いましたかー?すみません。賢者である私は愚者の声は聞こえないのです。これも選ばれし賢者の定めなのです」

 

俺の指摘が聞こえないと言わんばりに某ゴーストライター使いの音楽家が如く両耳に手を当てて聞くポーズを取る賢者。ナメくさったような顔と相まって中々にうざい。

 

こういう時は無視だ。ちょうど話しておきたい話題があるのだからこんな茶番に付き合っている暇はない。

 

「そんなことよりも、なぜ俺たちはまたこの世界に生まれてきたのかを考えよう」

 

「そうね。こんな馬鹿は放っておきましょう」

 

俺たちは魔神を倒した後、各々の人生を生き、そして確かに死んだ。しかし気がつくと赤子の姿となり、孤児院ですくすくと育てられている。つまり俺たちはこの世界で二周目をしなくてはならないということだ。

 

「馬鹿に馬鹿と言われてもなんともないですね。……ああ。また真理が降りてきました。【馬鹿と言った者が馬鹿である】と。なるほど。確かに勇者は馬鹿であるとは我々の周知の事実だ。しかし私が見つけた真理によって、また一つあなたが馬鹿であることが証明されてしまいましたねぇ?勇者様?」

 

「……久しぶりにキレたわ。そんなに死にたいならそう言いなさいよ。お望み通り一片の肉すら残さずに葬ってあげるわ!!!」

 

少し真面目な話をしようとするとこうだ。だから今まで一度もこの話が進んだことがない。やはりこいつらは真性の馬鹿なのだ。会話しようとした俺が馬鹿だった。……つまりここには馬鹿しかいないようだ。

 

「はいはい。三人とも仲がいいのはいいけれど、今はお昼寝の時間だからもう寝ましょうねー」

 

パンパン、と小さく手を叩き、優しいがどこか黒みを帯びた笑みを貼り付けながら俺たちに布団へと誘導する先生。

 

有無を言わさない先生の笑みにヒートアップしていた二人の熱が冷水をぶっかけられたかのように急激に下がり、二人は黙って布団へと入って行った。

 

どうやら俺らが無駄な言い争いをしている間に、他の子供達はすでに寝てしまっていたようだ。俺もあんな馬鹿な連中なんかほっといてさっさと寝てしまえば良かった。

 

さて、俺も寝よう。誰にも咎められることもなく、真昼間に安心して寝ることができる。子供に戻るというのも悪くないな。

 

 

 

なぜ俺たちは生まれ変わったのか。そんな最大の疑問を忘れるように俺は先生に作ってもらった段ボール製の剣を抱き枕のようにしながら夢の中へと向かった。

 

 

……

 

 

悲劇と絶望で溢れかえっていた暗黒時代。そんな時代であっても人々は下を向くことはしなかった。

 

それはなぜか。人々の前には常に、冗談のように強く、太陽のように輝き続ける三人がいたからだ。

 

魔界の王であるデーモンロードの軍勢が襲ってきても、初級武技で全て片付けてしまった勇者がいたから。

 

魔神直属の将軍である不死王のエルダーリッチが軍勢で街を襲ってきても、街全体に届くほどの蘇生魔法を放ち軍勢を消滅させ、犠牲になった人々を生き返らせた賢者がいたから。

 

全ての元凶である魔神の正体が人々が信仰していた女神であり、女神の加護を受けていた勇者と賢者が操られてしまい、両者が人間の敵となってしまっても。二人を女神の呪縛から救い出し、最後には見事女神を打ち倒した剣聖がいたから。

 

彼ら勇者パーティがいたから人々は前を向いて歩くことができた。真っ暗闇ではなく、光り輝く彼らが前を照らしてくれていたから人々は前へと進むことができたのだ。

 

 

 

そして世界は平和と秩序を取り戻し、世界は光に包まれた。

 

平和な世界となり役目を終えた勇者パーティはいつのまにか人々の前から姿を消した。もう既に世界を照らす必要はないと言わんばかりに、終ぞ姿を表すことはなかった。

 

そして、勇者パーティがいなくなっても平和な時代が続き、彼らの活躍が古いおとぎ話となるほど時代は過ぎていった。

 

 

 

だがそんな平和な時代は続かない。

 

小さく、本当に小さいながらも影は確実に世界を染め上げようとしている。そう、あの暗黒時代のように。

 

 

世界中で再び悲劇が起ころうとしている。理不尽な暴力が平和に暮らす人間達に迫ろうとしている。

 

 

 

だが心配はいらない。

 

 

 

ーーー なぜなら彼らは再び現れたのだからーーー

 

 

 

「もう頭にきた!表に出なさい剣聖!今日という今日は決着をつけてやるんだから!」

 

「……んあ?なんかいった……?」

 

「さっきからずっと私のお尻を触ってたでしょ!?この変態!!触りたいならそう言いなさいよ!!!」

 

「訳がわからない君達に天才の賢者がこの状況を説明してあげましょう。寝相が悪い剣聖は隣で寝ていた勇者のお尻を足で蹴り続けてしまいました。頭が鈍感な勇者は蹴られたことを触られたと勘違いし、想い人である男に触られたことによる喜びと恥ずかしさで訳がわからなくなってしまっているのです。しかもどさくさに紛れてデレも入れてしまっているのです」

 

「早口でデタラメ言ってんじゃないわよ!!!誰があいつなんか……」

 

「テンプレなツンデレご馳走さまです。しかし頭のネジがない欠陥住宅系女子がデレるなぞ、まさに誰得なのでしょう。森羅万象を知るこの賢者であっても知り得ないこともあるのですね」

 

「〜〜〜〜!!!死ねぇぇ!!!」

 

「貴方達いい加減にしなさい!!!」

 

「……うるさ」

 

 

心配いらないはずだ。たぶん、おそらく……。

 

 

 




最後まで読んで下さり、ありがとうございました。


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