第一回超時空地下キャットファイトタッグマッチ大会 作:マラヘッズ
後楽園ホールのような劇場。
収容人数四千人の座席はうら若き女性で埋め尽くされていた。少女たちの甘い体臭が熱気となってホールにこもる。
ざわめきが反響する。自分がどうしてこの場にいるのか、誰も分からない。
一瞬前までは、朝ごはんを食べていたのに、学校に行こうとしていたのに、友達と話していたのに、突然、ここに座っている。
一人だけ、答えを知るものが、ホールの中央に張り巡らされたリングの真ん中に悠然と現れた。
会場の照明が消え、リング中央の人物だけをスポットライトが照らす。
胸元がおおきく
黒髪をポニーテールのように束ね、眼鏡の奥から妖艶な赤い瞳で少女たちを見渡す。
嘲笑するような笑みを浮かべながら、マイクを手にとった。
「宇宙的美少女のキャットファイトを見たいか――――――ッ!!!」
観客席の全員が唖然とした。
会場の反応を見て、スーツの女は肩をすくめたが、人を愚弄するように進行を続けた。
ライトが全て点灯する。
「選手入場! 全選手入場です!!」
女が指を鳴らすと、リングに二人の少女が現れた。
中学校の制服の下にショートパンツを履いている、栗色の髪の少女。隣に立っているのは、赤みがかった茶髪をツインテールに結んだ少女。
「学園都市の誇る
パートナーは白井黒子ッ! ジャッジメントは、お姉さまを愛する中学一年生ッ! 常盤台中学の能力者コンビが参戦だッ!」
呆然と立ちすくんでいる美琴と黒子の隣に、ロボットのようなパーツを身につけた二人組が出現した。
ハイレグのボディースーツがぴったりと体にフィットしている、銀髪隻眼の少女と金髪巨乳の少女。
「IS学園からはラウラ・ボーデヴィッヒとシャルロット・デュノアがやって来たッ! 専用機持ちは伊達じゃないッ!
クールな少女が好きですかッ、甘えん坊が好きですかッ!? はい、どっちも大好きですッ!」
同じくボディースーツを着た少女のペアがラウラたちの隣に現れる。
赤い髪の少女のボディースーツは、全身をぴったり包んでいるが、首から恥丘までが半透明の素材で出来ていた。
もう一人の白いスーツの少女は、赤い目で周囲を見渡した。
「世界を守るのは私たちエヴァンゲリオンパイロットッ! 使徒に比べれば人間の女なんて容易いものッ!
アスカの頭にほうきが落ちた。天井を見上げると、虚空から少女が二人落下してきた。慌てて飛び
黒い魔女帽子を被った少女と、青いスカートを履いた少女が尻もちをつく。
「幻想郷の魔法使いはどれだけ強いのかッ! 霧雨魔理沙&アリス・マーガトロイドのマリアリタッグを見よッ!
犬猿の仲なのかッ、喧嘩するほど仲がいいのかッ! とりあえず借りた本は返せよッ! アーカムでやったら許さないぞッ!」
お尻をさするアリスは、目の前の空間が歪むのを見た。
黒髪を両サイドで縛った、黒いニーハイソックスの少女と、赤いリボンで青髪を留めている少女が現出する。
「魔法ではないッ、これは魔術だッ! 聖杯戦争を生き抜いた魔術師、遠坂凛と間桐桜ッ! この戦いも勝てるのかッ!
たとえ離ればなれになってもッ、姉妹の絆は健在だァッ! ようこそ平行世界へッ!」
凛は、背後に強大な魔力を感じた。振り向いた先には、困惑した表情の小学生が二人いた。
お揃いの白い制服を着た、茶髪と金髪の少女が手を握っている。
「恐ろしいのは魔法でも魔術でもなく、魔法少女ッ! いやッ、魔砲少女だッ!
小学三年生、高町なのはッ、親友のフェイト・テスタロッサと共に戦場に立つッ! 観客の皆様は被弾にご注意くださいッ!」
なのはの肩に誰かの体が当たった。いつの間にか、隣に女子中学生が二人立っていた。
ピンク色の髪の少女と、黒髪の少女。白いソックスと黒いソックスが対照的な二人だ。
「魔法少女なら私たちを忘れてもらっては困るッ! 鹿目まどか、暁美ほむら、リングに立つッ!
因果律に逆らいッ、時間を止めるその力は神の如しッ! しかし、その代償は大きいッ!」
突然、目の前の景色が変わったまどかは、怯えて隣の人の腕を掴もうとしたが、金属の冷たい感触がした。
金属鎧を身にまとった、瓜二つの少女が険しい顔で立っていた。
「英雄が来たぞッ! ブリテンの英雄が来たぞッ! アルトリア・ペンドラゴンとその娘、モードレッドッ!
最強の宝具をこのリングで抜くのかッ! 抜いてしまうのかッ! 弱点は親子仲だけだァッ!」
アルトリアは周囲を油断なく見渡した。二人の女性に目が止まった。
青龍偃月刀を手に持つ黒髪の女と、大鎌を得物にしている金髪の女。
「中華四千年の歴史にその名はありッ! 名は関羽、字は雲長、真名は愛紗ッ!
左に立つのは、名は曹操、字は孟徳、真名は華琳ッ! 三国に知らぬものなしの二人は、エロもばっちこいだッ!」
玉座から突然、転移をした華琳だったが、美少女に囲まれている状況は悪い気はしなかった。
リングの隅の、悠然と構えた赤髪の女が気になった。隣では金髪の少女がおろおろとしている。
「エロなら彼女たちを忘れてはいけないッ! 『紅髪の滅殺姫』こと上級悪魔リアス・グレモリー! その下僕、アーシア・アルジェント!
悪魔の愛は深ァァァイッ! レーティングゲームで培ったその実力をとくと見よッ!」
リアスは敵意のこもった眼差しを向けられたのに気付いた。青い修道服を身にまとった女性が睨んでいる。
こちらに歩こうとするのを、眼鏡をかけた金髪の女が止めていた。
「悪魔がいれば、それを滅する者もいるッ! 異端審問官シギィ! 異教徒と敵は火あぶりだッ!
タッグパートナーは聖女メルファ! 聖なるポーズで神の奇跡を起こすッ!」
メルファはパラパラとプロペラが鳴る音を聞いた。頭上から、両足に機械を嵌めた少女たちが降りてくる。
水色の髪に黒猫の耳をつけた少女、金髪に狐の耳を生やした少女。二人とも下半身はタイツしか履いていない。
「パンツじゃないから恥ずかしくないもんッ! 天空の
サーニャ・V・リトヴャクとエイラ・イルマタル・ユーティライネンのラブラブコンビだッ! フリーガーハマーが追いかけるッ!」
リングに降り立ったエイラは、白い羽根が一枚、ひらひらと落ちるのを見た。
黒髪の女の子をお姫様抱っこしている。
「武闘派組織といえば麻帆良学園を忘れてはいけないッ! 剣士と治癒魔法使いのタッグは攻防一体ッ!
三年A組出席番号十三番、近衛木乃香ッ! 同じく十五番、桜咲刹那ッ! キスは経験済みだッ!」
リングに降りた木乃香の顔に水しぶきがかかった。塩辛い、海水の味。
目の前に砲塔があった。背中に大砲を背負った二人の女性が立っている。お揃いの、ネイビーブルーの制服と帽子。
「重巡洋艦を舐めるなァッ! 大艦巨乳主義を見よッ! 20.3センチ連装砲と乳の威力に相手は撃沈ッ!
高雄型重巡洋艦一番艦、高雄ッ! 同二番艦、愛宕ッ! 姉妹で出撃だッ!」
愛宕の横に、少女が音もなく着地した。猫のような雰囲気の褐色肌の女。超ミニスカートの和服を着ている。
続いて、きゃあっ、と小さく悲鳴をあげて、紫色の髪の少女もリングに降りた。
「ニンジャ、クノイチはJAPANの宝ッ! ルドラサウム大陸から二人の忍びが見参だッ!
伊賀の抜け忍、鈴女ッ! 風魔の抜け忍、見当かなみッ! 斬ったり突いたり燃やしたりするぞォッ!」
かなみの前に、渦のような光が出現し、目を細めた。
渦が消えると、黄色い忍び装束を着た少女と、レオタードのようなコスチュームを身にまとったピンク色の髪の少女が立っていた。
「日本の歴史の裏には閃忍の活躍があったッ! 悪鬼彷徨う現の闇を、払うは月影、我、上弦なり! 想破上弦衆、鷹守 ハルカッ!
その相棒は超昂天使エスカレイヤーこと高円寺 沙由香ッ! 青い地球を守るためッ、胸の鼓動が天を衝くッ、悪のリングに只今参上ッ!」
スーツの女が拳を天高く突き上げる。
「以上、三千世界から選りすぐられた十六組三十二名の少女が第一回超時空地下キャットファイトタッグマッチ大会の出場者ですッ! 加えて負傷者発生に備え超豪華なリザーバーを四組ご用意いたしましたッ! リザーバーの名前は、登場までどうぞ楽しみにお待ちくださいッ! 司会進行は、本大会の総合プロデューサーでもあります、僕、ナイアが―――」
最初に呼び寄せられた美琴が、ナイアの言葉をさえぎった。
「アンタ、一体、私に何をしたわけ? 能力で瞬間移動させたか、夢でも見せているの?」
「別世界に転移させたんだよ」
事も無げにナイアが答える。絶句する美琴を愉悦的な瞳で眺めた。
指揮者のように大げさな身振りで、頭を下げる。
「承諾を得ずにやったことは謝ろう。ごめんなさい。君たちの世界の神様には事前に言っておいたから、許してほしいね」
美琴は、無邪気な笑みの奥に名状しがたい暗黒を見て、鳥肌を立てた。
愛宕が一歩進み出る。砲塔がガシャガシャと鳴った。
「わたしたち、ルンバ沖に出撃しなきゃいけないんです。帰してもらえませんか?」
「優勝すれば元の世界に戻れるよ。うん、レギュレーションの説明がまだだったね」
ナイアは一人だけ愉しそうに喋り始めた。
「それではッ、ルールを説明しますッ! 戦いは二対二のタッグマッチ! 敗者復活なしのトーナメント! 時間無制限一本勝負! ノックアウトもしくはスリーカウントのフォール、ギブアップによって勝利は決まりますッ! 凶器攻撃、急所攻撃はすべて認めるバーリトゥード!」
少女たちを指さして嗤う。
「転移する際に全員、不老不死にしたから、安心して戦ってくれ。観客も肉片が残っていれば蘇るよ」
客席から聞こえる悲嘆とも驚愕ともつかぬざわめきを、心地よい音楽のように耳を傾けてから、説明を再開する。
「優勝者には元の世界への帰還と、僕から平行世界運営能力をプレゼントッ! 更に、副賞として友人の創造神ルドラサウム君から、大陸ひとつと奴隷一千万人をご用意頂きましたッ! しかぁしッ、栄光の陰には暗澹として冒涜的な深淵ありッ! 敗者にはこの世界で永劫の時を過ごしていただきますッ!」
ナイアは妖艶な笑みを浮かべて、胸元からリモコンを取り出した。ボタンを押すと、虚空に、映画館のスクリーン位に大きな液晶画面が現れた。観客席の様子が映し出される。
遠坂凛は息を呑んだ。親友の美綴綾子や、クラスメイトの蒔寺楓たち穂群原三人娘の姿があった。
魔術とは何の縁もない一般人なのに、巻き込まれていた。
ナイアが口笛を吹いた。
「自分の命だけじゃあ、やる気が起きないかと思って、選手のいた世界から女の子を二百人ちょっと連れてきたよ。選手が負けたら、彼女たちも、この世界で永遠に生きるはめになるからファイトだ! さて、第一試合の組み合わせを発表しようかな―――っと」
高円寺沙由香が腰から武器を抜き、リボン状のビームをナイアに巻きつけた。ジャケットのボタンが弾け、大きな乳房にビームが食い込む。
幾多の怪人と戦ってきた沙由香は、この女からどす黒い邪悪を感じていた。言葉には誠意の欠片もなく、ただ人々を嘲笑するためだけに話している。愉悦のために人を殺し、快楽のために人を騙す女だと思った。
この女は息を吐くように不幸をまき散らす。無辜の少女たちのためにも、この怪物を倒さなければならない。
かつて、共に戦った鷹守ハルカもクナイを構えている。同じく、ナイアに許されざる悪を感じ取っていた。
「御託はいいわ。早く、全員、元の世界に戻しなさい!」
常人なら骨が粉砕されるほどの締め付けをされて、ナイアは苦笑いをした。
「司会の僕に手を出すと失格になってしまうよ、エスカレイヤー君?」
「ふざけないで!」
鈴女は目を細めて、二人の対峙を観察した。
ナイアと名乗った女の真意が分からない。不老不死にしたというのも、異世界に転移さえたというのもにわかには信じがたい話だ。
まずは様子を見ようと、ロープに背を預けた。鈴女から見て、油断ならない気を放っている少女―――銀甲冑の騎士や、偃月刀の剣士たち―――も、武器に手をかけてはいるが静観の構えだ。
ナイアは肩をすくめた。
「仕方がない。敗者がどうなるのか理解してもらうのもいいだろう。エキシビジョンマッチをしようか」
明るい声で、試合開始を告げた。
「青コーナー、アーカムシティの古本屋店主、ナイア! 赤コーナー、超昂天使エスカレイヤー、アーンドッ、超昂閃忍ハルカッ! 変則一対二タッグマッチを始めますッ!」
ゴングが鳴った。
おそらく疑問に思うことの答え。
Q.選手の原作スペックが違いすぎるが大丈夫か?
A.大丈夫だ。問題ない。血みどろの戦いが見たいナイアさんが上手いことやってくれる。
Q.原作のあのキャラは観客席にいるのか?
A.名前付きの美少女&美女キャラは全員いると思う。(名前付きキャラが200人以上いる作品はないはず)
シルバレルはいない。悪いけど、このSS、ブスの席はないんだ。
出番が、選手以上にあるキャラも多分いる。