仮面ライダーロワ ~歴史を守護する仮面の王~ 作:名もなきA・弐
言い訳なんてありませんっ!ただ単純に作者がスランプになっていただけですっ!!待っていた方がいたなら本当に申し訳ありませんでした!!
おまけに今回は設定がてんこ盛り……本当に大丈夫なのかこの作品(汗)
てなわけで、始まります!
城南大学……考古学を中心に心理学や数学などの多種多様な学問を専攻する歴史ある学び舎である。
付属の高校もあるそこそこ偏差値の高いこの場所は今、混沌の様相を出していた。
『うわあああああああああああっっ!!?」
男女の学生や教授、そしてたまたま散策に訪れた人たちが阿鼻叫喚の悲鳴をあげる。
それはドッキリでもなければ、たまたま大学に紛れ込んだ逃走中の指名手配犯に追い回されているわけでもない。
もっと恐ろしい、化け物だ。
「ひっ!?」
『……』
腰を抜かした女子学生のへと近づくのは、黒地のボディにオレンジを主軸にした右側が赤で左側が青の歪な怪人……。
頭部、胸や両肩は人間の脳を思わせる不気味な外観、赤色と青色の脳を思わせる生体パーツには電極の棒が突き刺さっており、血管を思わせる赤と青のコードが繋がっている。
頭部には右側に「QUIZ」・左側に「2040」と記されており、眼球と人間の口と歯のような造形があるその怪人は恐怖で引き攣った表情で怯える少女に対し、黒い手を伸ばした時だった。
【SHOT!】
『っ!?』
突如聞こえた電子音声と、右手から生じた衝撃と共に弾かれた。
ダメージこそ大したことないが意識を銃撃の方向へと首を向ける。
「そこまでだっ、レプリカライダー」
冷たい声色で宣言したのはジカンザックス・ノクスを構えた青と白のライダー……レクスと、ジカンハカリバーをショットモードにしたロワだ。
後ろにはチームCの二人が立っており、ロワは素早く彼女らに指示を飛ばす。
「アヤとユキはあの人の救助をっ!」
「言われなくても!」
「オーダーに従います……」
彼の言葉を受けた二人がすぐさま脳の怪人の隙間を縫うように直進する。
紺碧の瞳に宿した自信のある表情と声で答えた少女は黄金色の髪をツーサイドアップで纏めており、迷うことなく怪人の方へと疾走する。
そんな彼女とは対照的に静かに答えた少女はサイドに編み込みを加えた美しい銀色の髪を靡かせながらも、宝石のような黄色い瞳を標的に真っ直ぐ向けて走る……無表情を張り付けたその顔立ちからは大人、というよりは幼さを抱えた可愛らしい印象を受ける。
『アヤ』は飛び越えるように一気に跳躍し、『ユキ』は怪人の隙間を縫うようにスライディングして女子学生の前で駆け寄ると肩を貸して被害の及ばない場所へと向かう。
一先ずの安全を確保したダブルライダーは怪人……レプリカライダーへと視線を捉えて武器を構える。
『……私の邪魔をしないでっ』
女性の声で、そう口にすると脳のレプリカライダーは手をかざす。
すると、周囲に暗雲が広がり、そこから電撃が襲い掛かる。
「うわわっ!?」
「ちっ!」
その攻撃を察知したロワは慌てて、レクスは舌打ちと共に回避すると遠距離攻撃による銃弾と矢のエネルギーを射出する。
だが、レプリカライダーはすぐさま暗雲を自身の前に移動させて攻撃を防ぐ。
「なっ!?」
レクスが驚くよりも早く、脳のレプリカライダーが片手で暗雲を操作し始める。
三つほどに分離させた暗雲はすぐさま雷を帯び、そこから雷撃を放ち、その内の一つがロワとレクスに命中する。
明らかに素人の反応速度ではない動き、まるで戦い慣れているような立ち回り方に「今までと違う」と判断した二人が再度武器を構え直した時だった。
「見つけたぜ」
良く通る青年の声が響き渡る。
そこにいたのは一般人ではない佇まいを見せる青年。
黒いハットとジャケット、そして妙に目につく派手なシャツの人物は端正な顔立ちながらも不敵な表情を崩さない。
『……あなたはっ』
ただ一人、レプリカライダーだけはその青年のことを知っている様子だった。
驚いた声をあげる怪人と突如現れたことで動揺するロワたちに気にすることなく、青年は銀色のハテナマーク型のペンダントを軽く掲げる。
すると、淡い光が青年の腹部に出現してある物を出現させた。
それは赤と青の装飾がある黒いドライバーで中央には何かを入れるような窪みがある独特な形状のベルトだ。
瞬間、クイズ番組のSEやBGMを思わせるような待機音声が周囲に鳴り響く。
そして、青年はジャケットから変わった長方形のプレートを取り出した。
取り出した赤と青のプレート『クイズトッパー』を正面に構えると、それはハテナの形をした物へと変形する。
「変身っ!」
そして、クイズトッパーをバックルの中心部にあるスロットに装填した。
【FASHION PASSION QUESTION!】
背後には赤と青の光るリング。
そして左右に「〇」と「×」を象ったような光が出現すると、二つのエフェクトが彼の身体に重なった。
【QUIZ!!♪】
最後の電子音声と同時に現れたのは右半身が赤で左半身が青の戦士。
白いクエスチョンマーク型のシンボルがある頭部にはオレンジ色のクエスチョンマークに似た複眼……胸部には「○」と「×」で記された赤と青の文字とクエスチョンマークが数多くデザインされている。
その姿は、何処となく脳のレプリカライダーとよく似ていた。
『クイズ……!』
忌々し気にそう呟くのは脳の怪人。
対して戦士は気にすることなく、相手を挑発するように言葉を紡ぐ。
「救えよ世界、答えよ正解……問題!」
何かの口上を呟き、そして怪人に指さして提示する。
「『お前は俺と戦う?』……〇か、×か」
最後の言葉と同時に走り出した。
いきなり出された問題にロワたちは混乱するも、気にすることなく戦士は脳のレプリカライダーへと殴り掛かる。
距離を詰め、徒手空拳によるラッシュを対して距離を取った怪人は彼の問題に答えようと口を開こうとするも、素早く距離を詰めた戦士は遮るように攻撃を続ける。
やがて、変化が起こった。
「正解は、〇だ」
『っ!があああああああああああああああっっ!!!』
宣告と同時に突如現れた雷雲から落ちた青い雷がレプリカライダーに直撃する。
大したダメージではないが、動きを止めてしまった怪人のボディに戦士のストレートパンチが炸裂する。
大きく吹き飛ばされて地面を転がる様子に、ほんの少しだけ逡巡するとまたしても問題を提示する。
「問題。『お前はその力を使いこなせている?』……〇か、×かっ!!」
『っ!?』
その言葉に怪人が一瞬だけ狼狽した態度を見せるも、気にすることなく戦士の攻撃が再開される。
そして再び。
「正解は×だ」
『あああああああああっっ!!!』
正解を告げると再び電流がレプリカライダーを襲う。
煙を上げて膝をつく様子に、戦士が納得したように頷く。
「なるほど……どうやら倒すなら今しかないってことだな」
使いこなせていない今なら、苦戦することもなく倒せる。
そうして止めを刺すべく走り出した時だった。
『……っ!!』
怪人が目を光らせたと同時に、戦士の動きが止まった。
一瞬ワールドハックの介入による時間停止かと思ったが、周囲の景色は止まることなく動いており、止まっているのはあくまでもあの戦士だけだ。
怪人が目を光らせながら、ダメージの残る身体を辛うじて動かしながら背を向けて歩く。
やがて完全に姿を消した瞬間、戦士の硬直が解けた。
「くそっ!」
レプリカライダーの能力に心当たりがあったのか、特に驚くこともなく慌てて逃げた方を追うも時既に遅し。
標的を失った彼は溜息を共にバックルに装填したクイズトッパーを抜き取ってベルトを消すと変身を解除した。
困ったように帽子を軽く触れた青年はそのまま立ち去ろうとするも、それを許さないのはレクスだ。
「待て」
「あっ?」
面倒そうに振り向いた青年はレクスたちのドライバーを見て、露骨に嫌な表情を見せる。
何か心当たりがあるのだろうか。面倒な表情を見せながらも特に逃げることもなく、彼は素直に両手を上げて抵抗する意思がないことをアピールする。
「……たく、俺って時計と碌な縁がないな」
「答えろ。貴様は何者だ」
「何者って、颯太もあのライダーを知らないの?」
驚いたのはロワだ。
レプリカウィザードやレプリカドライブの時はそこに現れたレジェンド……オリジナルとも呼べるライダーたちの情報を説明してくれたが、どうにも目の前にいるハテナモチーフの仮面ライダーは知らないらしい。
「知らん。そもそも俺が知っているのはクウガからビルド、それと同系統のシステムを持つライダーだけだ。こんなヘンテコな奴は見たこともない」
「待て待て待て待て。ヘンテコはないだろヘンテコは」
「ヘンテコさんはハテナマーク、いっぱいです……」
レクスのあんまりな言い分に苦言を呈するも、珍獣を見たかのようにじっと見るユキの言葉に、青年が「あーもう」と頭を掻く。
少し主軸がずれ始めたところを修正するのは、個性的メンバーの軌道修正を担当するチームCのリーダーことアヤでの仕事である。
「はいはい本題入るわよ……んで、あんたの名前は?」
その問いに対して、青年は臆することなく堂々と答えた。
「俺の名前は『堂安主水』……大学生で吸血鬼ハンター『仮面ライダークイズ』だ」
短い紹介ながらもあまりに多い情報量を持ったその青年は、まるで十字架のネックレスを掲げるように銀色のペンダントを軽くかざした。
主水と名乗る青年が、椋たちとの情報の共有をしている間、少し時間を戻そう。
ここは仮面ライダークイズの世界……。
2040年であるが、別に近未来なデバイスやタイムマシンなどはない至って普通の時代。
しいて言えば、この時代では頭を使った娯楽が老若男女問わず人気になっている、所謂『謎解きブーム』が巻き起こっているとだけ言及しておこう。
そこにある病院のとある個室に、二人の人間がいた。
「お母さま!今日も楽しかったわ!!」
「そう?……ふふっ。良かったわ」
そこにいたのは白いベッドとスーツで横になっているのは栗色の髪の少女。
年は十三ぐらいだろうか。西洋の血が混じった幼い顔立ちで純粋無垢な笑顔が眩しい。
もう一人は少女の手を握る女性で柔和な顔立ちと、髪の色は少女と面影がある。
少女『カトリー』が楽しそうに笑う度に彼女も微笑みを見せる。
その笑顔こそが女性『レティサ』にとっての生きる意味であり命題なのだ。
「……身体はどう?」
「今は平気よ。でも大丈夫なの?お母さまは寮母だから、早く国に帰らないと……」
心配そうに見つめるカトリー対し、レティサの表情が一瞬だけ曇る。
しかし、それを悟られまいとすぐにいつもの笑みに戻して彼女の頭を撫でる。
「言ったでしょ?今は別の子たちが私の代わりをやってくれている」
「大丈夫よ」とカトリーの頭を撫でてもう一度微笑み、席を立つ。
自身の経営する孤児院の寮はその中の年長者が代行を務めている……表向きは彼女にそう伝えているのだ。
「またね、カトリー……大好きよ」
「うん。私もよ、お母さま!」
最後に手を振って互いに笑い、レティサは病室を退室する。
そして廊下を歩いて病院から出ると同時に、周囲が暗く染まっていく。
だが彼女は驚くこともなく『結界を張った人物』に問いをかける。
「……何か御用かしら。『ブラッドアンサー』?」
『……』
周囲の景色すらも見えない暗夜の中から足音と共に現れたのは、真っ赤な異形。
中央には銀色の十字架のようなラインが走り、鮮血のような赤いスーツを抑え込むように銀色のプロテクターが装着されている。
両腕と頭部には銀色のパイプが伸び、明らかに人間とも戦士とも違う存在だ。
『妙な行動をしていると他の連中から報告があってな……すまん』
「構いません。私の行動は『ヴァローグ』にとっても異質でしょうから」
ヴァローグ……。
それは2040年のクイズの世界にいる怪人であり、この時代より蘇った吸血鬼の正式名称だ。
彼女たちは自らに与えられた『問題や命題』に答えを得るべく、人間から知識や感情を吸い取り糧とする種族。
ブラッドアンサーは吸血鬼ハンターのシステムを使いながらも、ヴァローグに味方する悪の戦士だ。
レティサも2000年代に生きた人間であり、事故で重傷を負った愛娘であるカトリーを延命するべくヴァローグへと身を堕とし、寮にいた子どもたちの命を吸い尽くした。
全ては、たった一人の肉親である娘のため……吸い取った命も全てカトリーに捧げているのだ。
今も完全な命を与えるべく、他の幹部とは違う形で暗躍を続けている。
『……レティサ。あの子の様子は』
「元気だったわ……でも分かるのっ。あの子の『消費量』が段々と早くなっていることがっ」
触れ合ったからこそ分かる。
カトリーの消費量は時代が変わると共に早まっている。
最初は一人や二人で事足りたが、2040年になってからは消耗が激しくなっているのだ。
自身の能力の劣化かそもそもの行動に致命的な欠陥があったのか……どちらにせよ現状ではカトリーの命が消えるのは時間の問題だった。
「私はどうなっても良いっ。あの子が笑顔でいてくれるならっ、あの子がただ生きていてくれるならっ!!私はっ、私は地獄に落ちたって……!!」
『レティサ…』
ブラッドアンサーがいるのも関わらず、レティサの焦りは恐怖へと変わり、カトリーの終わりにただ叫ぶことしか出来ない。
それを見兼ねた彼が何か言葉をかけようとした時、景色が反転した。
「『っ!?』」
隔絶された空間さえも影響を及ぼした景色に二人は驚く。
観れば結界には暗闇でもはっきりと見えるほどのノイズが走り、まるで古いビデオの映像を一時停止したようだ。
そして、そこから声が聞こえる。
「良いネ。その想イ、実にボク好みだヨ」
暗闇から現れたのは白衣の男性。
薄汚れた眼鏡をかけ、白髪交じりのオールバック……しかし手足は以上に長く、顔も何処か爬虫類のような印象を与える。
まるで出来損ないのデッサンのような男性が、猫背気味の背中を少しだけ伸ばす。
あまりにも異質な、ヴァローグではない存在にブラッドアンサーが彼女の前に立ってホルスターに入れたオートマチックを模した銃を取り出して構える。
『……何者だ、貴様っ』
「ワールドハックの『ファスティ』……突然だけど、ボクと契約する気はないかナ?」
武器を突きつける彼を気にすることなく、男性ことファスティは無視してレティサに視線を向ける。
当の本人は怪人態になろうとしたが、彼の言葉に少しだけ反応する。
「……契約?」
「そウ。あなたに娘を助けるための力を与えル、その対価として『王』になってもらウ……どうかナ?」
そう言ってブランクウォッチを取り出すと、文字盤にはクイズを歪めたようなディスプレイが浮かび上がる。
「何をっ」とブラッドアンサーが銃口を向けた時、突如脳裏に映像が浮かび上がる。
自身の姿とは違う、若かりし頃の自分が怪物となって様々な研究者や教授を襲う映像が……。
『がぁっ!?』
存在しない、記憶にないはずの記憶がフラッシュバックとなってブラッドアンサーを襲う。
覚えのない映像が強烈な刺激となって彼の膝をつかせる。
一方のレティサはファスティが持っているウォッチをただただ見つめていた。
この力ならカトリーを救える……?
あの子に本当の命を与えることが出来る……。
元々、ヴァローグになったのはただ力が欲しかったからだ。
彼らへの仲間意識など欠片もない。
彼女の答えは、早かった。
「お願いっ!私はっ、私はどうしてもあの子を助けたいのっ!だからっ」
「契約成立、だネ」
男が笑った。
「良イッ、実に良いネッ!!たった一人の家族のためならば全てを犠牲に出来るその精神性、優ッ!怪人となった動機の悲劇性、優ッ!!そしてそして何よリッ、西洋人特有の人形の如き美しさと子を産んだことで発せられる母性と艶やかサッ、最優ッ!素晴らしイッ!実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に実に実ニ、実に素ん晴らしイイイイイイイイイイイイイッッ!!!」
まるで堰が切ったように叫び始めるファスティ……目の焦点は外れ、妙に綺麗な歯並びを見せつけながら一息で支離滅裂なことを言い放つ。
まるで脳が震えるかのような衝撃にただただ背筋を反らして喜びを爆発する。
まるですがるような彼女に、爬虫類を連想させる粘着質な笑みを見せた彼はレプリカウォッチのスイッチを押して起動させる。
【QUIZ……!!】
「うっ……ああああああああああああああああっ!!?」
躊躇なくウォッチを身体にねじ込まれた瞬間、激痛とも高揚とも言えない力の奔流が、紫色のエネルギーとなって悲鳴をあげるレティサを包み込む。
やがて、赤と青のクエスチョンマークのエフェクトと共に変身が完了した。
赤と青のカラーリングが特徴の脳の怪人『レプリカクイズ』だ。
「今日から君も『仮面ライダークイズ』だヨ。サッ、狩場を案内してあげル」
無事にレプリカライダーを生み出せたことに満足したファスティは、枯れ木のような枝を出現させて人が入れるぐらいの輪を作ると、そこに渦を巻いた歪な空間を発生させる。
それに躊躇なく二人はその中へと入っていった。
『待てっ、レティサ……!』
未だ続く激痛を払うように、覚束ない足取りでブラッドアンサーも空間へと入っていった。
ここで仮面ライダーロワの世界へと時間を戻し、DOLLS事務所へと戻った椋たちは……。
「問題。『テディベアの原型を製造した…』」
「はいっ!えっと、セオドア・ルーズベルト!!」
「マスター。不正解です……」
「あれっ!?」
チームA&Cを巻き込んだクイズ大会を開催していた。
情報を共有したのは良いのだが、ミサキの「クイズをしながら戦うなんて非合理的すぎる」という発言を聞いた主水が挑発したことによってメンバー総出で行うことに……ちなみに出題者は読書が趣味のチームAリーダーのシオリと。
「マスター。早押しなんてトーシロがやるもんじゃないっすよ」
呆れたようにダウナー口調で言うのは外側に跳ねた少し癖っ気のある短くお洒落に切り整えられた水色の髪の少女……チームCのダラドル(自称)の『ヤマダ』……気怠そうな桃色の瞳で楽しそうに笑っている彼女もサブカル関連の問題を出す出題者の一人だ。
「たく、問題は最後まで聞け」
呆れながらそんなことを言うと、各々に配置されている玩具の回答ボタンを押してランプを光らせる。
「はい、主水さん」
「正解は『リチャード・シュタイフ』。1902年にドイツのシュタイフ社で製造された5ジョイントのくまのぬいぐるみ『BP5』がその原型だ」
「正解です!」
追加の知識を披露した主水に笑顔で拍手するシオリ。
ちなみに椋が答えた人物はアメリカの歴代大統領の一人であり、彼の愛称だった「テディ」から拝借したのがテディベアの名前の由来である。
「これでついに互角だなっ、自称ナンバーワン?」
「くっ」
そう言ってドヤ顔するミサキの顔に焦りの色が浮かぶ。
最初こそ優勢だったのだが、反撃の糸口を掴んだ主水があれよこれよ連続正解を叩き出し現状一位だった彼女の順位まで近づいてきたのだ。
ちなみにアヤ・サクラ・ユキ・颯太らもそれなりに正解はしているが、椋は早押しによる自爆で現状最下位だったりする。
「小野寺。ほとんどが自爆点なのはどういうことだっ!!しっかりしろ!」
「だって、早く押さないと負けそうで」
「それで自爆してりゃ、世話ないでしょ?」
颯太の厳しい言葉とアヤの呆れ混じりの言葉にハートブレイク寸前の椋は唯一フォローしてくれそうなサクラとユキの方に視線を向ける。
「サクラ」
「あのっ。ノーコメントで、お願いします」
「ユキ」
「……スヤァ」
フォローすら出来ない椋の惨状に目を背けるサクラ。ユキに至ってはいつの間にか眠っている始末である。
「んじゃ、これでラスト問題ってことで。えーと…」
そんなこんなで、ついにラスト問題をヤマダが口にしようとした時だった。
【ヴァローグダヨ!ヤバイヨヤバイヨバヤイヨ!!】
聞き覚えのない音声が事務所内に響き渡り、思わず身構えるが、一方の主水は焦ることなくすぐにジャケットを軽く正すと、そのまま外に出ようとする。
「おい、何処に行く気だっ!まだ勝負はついていないぞっ!!」
「だったら勝手についてきな」
そう言って不敵に笑うと、颯爽と外へと出てしまった。
ビルの屋上にて、レティサは次の標的を探し求めていた。
標的は既に決まっているが、下手に動くことは出来ない……クイズがいると分かった以上、派手な行動をしてしまえばすぐに察知されてしまう恐れがある。
別の世界に来てまで自らの邪魔をする青年の存在に彼女は握り拳を固める。
邪魔者、自らの命題を否定する者、何より愛娘と同じ真っ直ぐな視線が何よりを気に入らない。
そんな仇敵に、怒りが湧きあがり始めた時だった。
(……いたっ)
視線の先にいたのは、若く美しい少女……何よりも清純な少女にレティサの表情も変わった。
「ごめんなさい、でも安心して。あなたの命は、決して無駄にはならないから……」
そう呟いた彼女は両手を組んで祈りを捧げるような動作をすると、その身を紫色の本流へと包み込んでその姿を変えた。
【QUIZ……!!】
赤と青のエフェクトと共にレプリカクイズへと変身した彼女は、すぐさま暗雲を呼び出そうと手を伸ばした時だった。
「そこまでだ」
『っ!?』
そこにいたのは既に変身しているクイズと、最初に自分の邪魔をしてきたロワとレクスにチームC三人の計六人だ。
ちなみにチームAのメンバーは今回はお休みである。
『何故ここがっ』
「『ヴァローグの力は使ってないのに』って?その力はな、仮面ライダークイズの力を模倣した贋作ってことらしい。そんで、俺が持ってるトッパーとヴァローグの力は同じ……後は分かるよな」
クイズトッパーはヴァローグのエネルギーを宿したアイテム……邪なる力であるトッパーを聖なる叡知の結晶たるクイズドライバーでろ過しているのだ。
「普段のあんたならそれに気づいていた……てことは、今のあんたはそれに気にするほどの余裕がなかったか、力に振り回されているかのどっちかってことだな」
『だったら何だと言うの』
だからどうした……。
そう言わんばかりにレプリカクイズは召喚した暗雲で無差別の雷撃を放つ。
しかし。
「はぁっ!」
『ぐうっ!?』
「……追撃します」
「こいつもおまけよ!」
レクスの放った一撃がその身体をぐらつかせ、攻撃の手を一瞬だけ止める。
その隙を狙うようにユキとアヤがマスケット銃による狙撃で暗雲をかき消し、銃弾の雨の中をロワとヤマダが駆ける。
「ヒャッハー!!ぶっ飛べぇっ!!」
『ぐおああああああああああああっっ!!?』
ロワの斬撃でよろめいたところを、事務所にいた時はまるで違う獰猛な笑みを見せて瞳を爛々と輝かせたヤマダのハンマーによる大振りな一撃がレプリカクイズを叩き落とした。
悲鳴と共に地面を転がりながら、何処かの工事現場へと不時着したレプリカライダーに視線を逸らすことなく同じように降り立ったクイズが思い出しように呟く。
「『こいつら』を試してみるか」
クイズのドライバーから赤と青の淡い光が二つの球体となって彼の両手に現れると、それを手に取る。
ベルトから召喚されたのは、共通して〇と×のシンボルが刻まれた青の銃と赤い剣……。
青い銃身は縦に二つあり、リボルバーマグナムを模した弾倉と赤いグリップが特徴でと銃口になっており、赤の剣は青い柄となっており、大地のような力強さを思わせる赤い刀身が美しく輝く。
クイズはまず、左手に構えた
「問題っ!『蛇毒の種類は神経毒一つのみである?』……〇か×か」
『くっ!そんなもの…』
「「はぁっ!」」
クイズの提示した問題にレプリカクイズは答えを言い放とうとするも、レクスとアヤの放ったジカンザックス・ノクスと大剣の重い一撃が炸裂する。
火花を散らして仰け反ったレプリカライダーに標準を合わせたクイズが答えを言い放つ。
「正解は×だ!」
クイズウィンドマグナムから撃たれた銀の銃弾は祝福儀礼の雷を付与させる。
威力を強化された銃撃は寸分の狂いもなくレプリカクイズへの胴体へと命中し、地面へと転がる。
ちなみに余談だが、蛇毒は毒の作用部位から神経毒を含んだ四種類に分けられるのだ。
弱っているのを確認したクイズは「離れてろ」とレクスに促した後、今度は
「最終問題!『必殺の一撃はお前の身体を砕く?』……〇か×かっ!」
【FINAL QUIZ CRUSH!!】
クイズトッパーを露出させた武器のスロットに装填したクイズは、銃身と刀身に電撃をチャージさせていく。
青く光る破邪の雷を纏ったボウガンモードを構えた。
「クエスチョンクラッシュッ!!」
『きゃあああああああああああああああああああああっっ!!!』
〇と赤いエフェクトの一撃を放った後に身体を向けたクイズの背後で、その身を粉砕されたレプリカクイズの絶叫と爆発音が響いた。
クイズウィンドマグナムとクイズランドブレードをベルトに戻し、一息ついたクイズにレクスは素直に「強い」と確信した。
持って生まれた知識と頭脳と駆使するライダーにビルドなどがいるが、クイズこと主水の戦闘スタイルは蓄積した知識を織り交ぜつつ、二択で答えられる問題を瞬時に編み出し提示している。
そんなレクスの方にクイズは身体を向けていたが、やがて爆発地の方を見て叫んだ。
「避けろっ!」
「っ!?」
その言葉に反応したレクスが反射的にドッジロールで右側へと移動する。
同時に、鋭い一撃が鈍い音と共に地面を削った。
先ほどいた場所には一文字の傷跡と煙が生々しく残っており、もしあのまま近づいていれば変身解除させられるほどの重傷を負っていたであろう。
『はぁぁぁぁぁ……!!』
その時、唸り声が聞こえた。
エネルギーの余波によって地面を燃やす炎が影を照らす。
ゆっくりと立ち上がるその姿は、レプリカクイズでも変身者であるレティサでもなかった。
見た目は、紫と青鮮やかな色彩を持った女神像を彷彿させる……。
しかし、両腕には蛇をあしらった装飾の鎧やチューブが装備されており、頭部には不気味なオレンジ色のモノアイと無数の蛇が髪の毛の役割を果たすかのように蠢いている。
そして、胸元にはそのモチーフになったであろう蛇の顔と、金色に輝くクイズトッパーが埋め込まれていた。
「ヴァローグ……!」
「あれが、お前の世界のっ」
周囲にレプリカウォッチの残骸らしき物は見当たらない。
恐らく、必殺技が決まる瞬間にレティサはヴァローグの身体へと化身したのだろう。
何故なら、この姿は戦闘よりも防御や持久戦に向いているのだから……。
『私は諦めないっ。私はっ、自分の命題を解決するためならっ、どんな手段だって……私はっ、私はあああああああああああああああっっっ!!!!』
ギリシャ神話の怪物メデューサの情報を取り込んだ毒蛇の幹部級ヴァローグ『ヴァイパー・ヴァローグ』はモノアイを不気味に光らせながら叫んだ。
はい、てなわけで今回のレジェンドライダーは『仮面ライダークイズ』ですっ!このためにジオウのクイズ編を見直したり、ゴーバスターズの資料を集めていました。
レプリカクイズと主水の共通点としては、戦う理由が家族のためであること・与えられた力を変身者のスペックで戦っている。
反対の部分としては、あまり過去に拘らない(主水)→娘の死(過去のこと)を引きずり執着している(レティサ)ぐらいですね。
ヴァローグのことやクイズの世界。レティサやブラッドアンサーのことについては質問コーナーで受け付けています。
ではでは。ノシ