仮面ライダーロワ ~歴史を守護する仮面の王~   作:名もなきA・弐

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 これでも結構カットしたんです、本当です信じてくださいっ!!


TIME9 死神討滅XXXX

白いピグマリオンからの撤退後、レイナとアヤの残りのメンバーと合流し、事務所へと戻った椋たちは班目とカナからの報告結果を、モニターの写真と共にまとめていた。

 

「皆が収集したデータに基づき、新宿の調査結果が報告された」

 

まず、椋たちが踏み込んだ『塔』はかつて存在した新宿の旧都庁だということ。

それがピグマリオンたちによって魔窟へと変異しているというのが、現時点での結果だ。

 

「この『塔』を便宜上『アタラクシア』と命名する」

「アタラクシア……」

 

観測上では全長250mもあるアタラクシアは蝶の数も多く、通信ジャミングもあってか全容も判明しておらず、直接侵入しない限りは内部の詳細も分からないだろう。

そして問題はそれだけではない。

 

「正体不明のピグマリオンに謎の怪人、か……」

 

『新宿』内部に出現した白いピグマリオンと、群れで動くピグマリオンの蝶を模した怪人の存在だ。

人体を軽々しく引き裂く巨大な赤い爪を振るい、その雄叫びは生命を嘲笑うような不快感を与える。

そして謎の青い怪人……まるでピグマリオンを守るかのような行動を取るその群衆も、充分に警戒する必要のある脅威だ。

 

「今後は、青い怪人は『ペタルダ』。あの白い個体は『リーパー』と呼称する」

リーパー(死神)ですか。言い得て妙ですね」

 

標的を引き裂き、多くの命を奪うその姿はシオリの言う通り、あの白いピグマリオンは鎌を持つ死神の名に相応しいのかもしれない。

そして、そのまま話はリーパーへと変わる。

 

「あんな美しくないものに、知性があるとは思えないけれど?」

「ルリちゃん、だっけ?そもそもあの女の子を囮にしていたっていう証拠はあるの?」

 

現場を見ていないレイナとアヤはリーパーの知性があるという結論に訝し気な表情だ。

確かに、今までの個体は言語能力すらもなく自我があるのかも怪しい。

しかし、もしリーパーが今までの個体と同じならあの場にいた少女が襲われていないのはおかしい。

そんな恰好の獲物を前に手を出さないのには、自分にとって利益だと判断しているからだ。

 

「あの少女は、恐らく誘蛾灯だ」

「ゆうが、とう……?」

 

小首を傾げる椋に、班目は頷く。

彼女の仮説はこうだ。

リーパーはルリの目の前で人を食らうことでフィールを放出させている。

正気を失った人間たちはそれに引き寄せられ、それを食らう。

仮に正気だった者が現れても少女という弱い存在を餌に誘き寄せることが出来る。

知性こそあるが、その本質は狡猾で残虐の一言だ……地球上にいて良い生命体ではない。

その汚れた存在とも呼べるリーパーにアヤとレイナたちが怒りを覚える中、シオリが今後の方針について尋ねる。

 

「まずはリーパーとペタルダを排除する。アタラクシアの上を目指す以上、必須要件だ」

「何か作戦があるのか?」

「知性には、知性を持って応えてやろうじゃないか」

 

颯太の問いに、班目は口元にほんの少しだけ笑みを見せるのだった。

 

 

 

 

 

ドールズ女子寮の居間にあるソファに、サクラは座っていた。

本を読むでも、スマホを弄るでもなく、何処か不安気な様子で天井を見つめていた。

 

「サクラ」

 

自分を呼ぶその声に顔を向けると、椋が心配そうに見つめていた。

 

「あのさ。大丈、夫?」

「大丈夫じゃ、ないです。頭の中に、あの時の光景がこびりついて……」

 

血塗れの部屋、倒れている人々を見た記憶がサクラを苛む。

無理もない。

ドールになったとはいえ、サクラ自身は戦いの経験も浅い普通の少女だ。

感情が早く戻ったことも起因しているのだろう。

そして何よりも、目の前で泣いていた少女を助けることが出来なかった。

多くの出来事が彼女の表情を曇らせていた。

 

「……僕もだよ」

 

隣に座った椋が、彼女の手を握る。

仮面ライダーに変身して、自分とは違う仮面ライダーたちと出会って、大切なことを学んだ。

だけど、あの惨状を見た時に改めて『戦うこと』が分かった。

そして考える。

まだ自分は、戦うことの理由がまだ分かっていないのではないかと。

結局、学んだつもりだったのではないかと嫌なことばかり考えてしまう。

 

「初めは、皆さんそうですよ」

「シオリ……」

 

紅茶の入ったティーカップがあるトレイを持ったシオリが優しく微笑む。

二人に紅茶を差し出すと、彼女もまた、サクラと椋の近くへ座る。

ドールになった直後は記憶も感情もない。だからこそ、戦う理由も持たない。

しかし、感情が戻ってもドールになった以上は戦い続けるしか道はない。

 

「サクラさんも、マスターも戦う理由を見つけてください。そうしなければ、きっと身体よりも先に心が壊れてしまいますから」

 

真っ直ぐに見つめる翡翠の瞳に、二人は何も言うことが出来なかった。

しかし、その言葉だけは自然と胸に落ちていく。

沈んだ表情のサクラと椋の眼に確かな光が宿ったのを感じたのか、シオリが優しく微笑む。

そうして三人でしばらくティータイムをしていた時だった。

 

「おい」

 

その空間に颯太が入ってくる。

いつもと変わらぬ鋭い眼差しだが、その腰にはジクウドライバーが装着されている。

それだけで、彼が何を言わんとしているかが分かった。

 

「作戦が決まった。敵を倒し、あの少女を助けるぞ」

 

颯太の鋭い視線に、今度はしっかりと頷いた。

一人の少女を助けるために。

 

 

 

 

 

新宿・アタラクシア内……。

 

「班目さん。ブリーフィングで随分カッコ良いこと言ってましたけど……結局やることは『釣り』ですよね」

 

「何処に知性の輝きがあるんだか」とぼやき、ナナミは眼鏡を軽く上げる。

今いる他のメンバーはアヤとサクラ、そしてドライブアーマーへとアーマータイムしたロワだ。

 

「はいそこ文句言わない!ちゃんと作戦通りやりなさいよっ?」

 

そんな彼女を嗜めながらも、アヤはリーパーの巣まで進める足を止めない。

サクラの先ほどとは違い、真っ直ぐに前を向いて歩く。

やがて、四人はリーパーがいた場所まで辿り着いた。

 

「ルリちゃん!」

「……?」

 

ロワの声が部屋に響く。

喧噪のないその世界に、その声は最初の時と変わらず中央に立っていた少女の耳に届く。

少女、ルリが振り向いたのと耳障りな音が聞こえてきたのがほぼ同時だった。

 

『リーパー、頭上より急速接近!これより、リーパー討滅作戦を開始します!!』

「行くぞ、みんなっ!!勝って、あの子を助け出すっ!」

 

先ほどとは違い、ジャミング対策を施したカナの声にロワが叫んだ。

彼らの前にリーパーが降り立つと、間髪入れずに電気の蒸気を右腕へと纏わせる。

 

【EREK STEAM……!!】

『~~~~~~~~~~ッ!!』

 

嘲笑うような雄叫びと共にリーパーが腕を振るう。

すると、赤い斬撃は電気の衝撃波となって彼らを斬り裂かんと襲い掛かる。

 

「ふっ!」

 

ドライブの力を宿したロワのジカンハカリバーが防ぐ。

そのまま、加速するままに風の切る音を立ててリーパーに攻撃を与える。

赤い残像がピグマリオンの巨体を縦横無尽に駆け回るも、繰り出される攻撃へのダメージはあまりない。

その合間を狙うようにナナミやアヤも攻撃を続けるが効果は今一つ。

それを証拠付けるようにリーパーは嘲るような雄叫びを響かせた。

 

【ICE STEAM……!!】

「……くっ!」

 

氷の蒸気を噴き出したことで思わずロワが大きく跳んで後退したのと同時に、全身を薄い氷の膜でコーティングさせる。

これで全ての攻撃が遮断された。

 

「ああもうっ!面倒ですねこいつっ!!」

 

表情を険しくするも、ナナミは攻撃の手を一切緩めない。

身の丈以上の槌による打撃は並のピグマリオンならば二・三発で粉砕出来るだろうが、目の前のリーパーは何処吹く風といった様子だ。

もちろん、それだけでは終わらない

 

『仮面ライダーを発見。排除する』

 

デッドファンタズム……ペタルダと名付けられた青い兵器が群れとなって出現したのだ。

リーパーを支援するかのように現れた蝶は、右腕の銃を乱射するもサクラがロワたちの前に立ち、取り出した剣と槌を駆使して防ぐ。

今の状況では決定打に欠けるどころか、前回と同じ再現だ。

しかし、本当の狙いは別にある。

 

『準備、整いましたっ!』

 

カナのアナウンスが、全員に聞こえた。

 

 

 

 

 

『準備、整いましたっ!』

 

彼女の指示を聞いたシオリが、閉じていた目をゆっくりと開く。

周りにいるヒヨとユキ、レクスに声を掛ける。

 

「うん、準備オッケー!早くナナミンたちを助けないと!」

「はい、大丈夫です。準備運動も万端、なので……」

「頼むぞ。シオリ」

 

他のメンバーが準備出来たのを確認したシオリが懐から虹色に光る石を取り出す。

メモリア……エネルギーであるフィールが結晶化したそれを少し躊躇しながらも、しっかりと砕いた。

瞬間、ドールたちが発している以上のフィールが『新宿』全体へと広がっている。

 

『……っ!予想通りですっ。リーパーとペタルダ、移動を開始していますっ!』

 

思った通りだ……。

モニター越しに班目がリーパーの動きに視線を鋭くする。

知性があろうと、あれがピグマリオンであることに変わりはない。

強いフィールを優先して狙いに来ることは、今までのデータから確信はしていた。

 

『ピグマリオン、フィール反応を追跡中っ!目標地点まで、5・4・3……』

 

リーパーたちが凄まじい速度でシオリたちの元まで接近する。

カウントは二秒、一秒と続き……。

 

『~~~~~~ッッ!!!』

 

0になると死神と蝶の兵器たちが降り立った。

極上の獲物を見つけたと言わんばかりに、歓喜の雄叫びを周囲に撒き散らす。

同時に、巨大な規模のテアトルが形成された。

 

「ここまでだ、リーパー」

 

仮面の下で鋭い視線をぶつけるのは、ビルドアーマーを纏ったレクス。

メモリアの力で拡大化したテアトルでリーパーたちを捕らえる。

テアトルはピグマリオンたちを封じ込めるだけでなく、そこにいるドールたちの能力を底上げすることも出来る。

当然、限界はあるがここでビルドの力を宿したレクスの演算力で安定化を図っているため、万が一にも破壊される危険はない。

 

「飛んで火にいる夏の虫。ここなら全力で戦える」

「ほいじゃま、ボス戦のリベンジと始めましょうかっ」

 

ミサキはあくまでも冷静に、ヤマダは好戦的な笑みを浮かべながらも秘めたる闘志を隠そうとしない。

遅れて合流したアヤたちも武器を構える中、サクラがリーパーたちを睨みつける。

 

「ルリちゃんは、私たちが絶対に助けますっ!!」

 

力強い、前回の迷いのない顔にロワも表情を鋭くしてジカンハカリバーを構える。

 

「光栄に思いなさいリーパー、そしてペタルダ」

 

一歩、ロワの隣に並ぶようにレイナが踏み出す。

ピグマリオンたちを迎え撃つのは、九人のドールズと二人の仮面ライダー。

目の前の異形たちに怯むことなく、彼女は右手に構えた剣を突きつける。

 

「さぁ……一緒に踊りましょうっ!!」

『~~~~~~~~~~っっ!!!』

 

レイナの宣言を嘲笑うかのように、冷気を纏ったリーパーの爪撃が振り下ろされた。

単純な軌道のそれを難なく躱すと、散開したユキとアヤが両手に構えた二丁の銃を乱射する。

しかし、リーパーは再び冷気を纏って氷の膜を全身に張り付ける。

これで銃弾は意味を為さなくなった。

だが、ここには『仮面ライダー』がいる。

 

「コピー!フレイム!ランド!」

 

ロワが銃弾の前に三つの魔法陣を重ねるように展開。すると銃弾は倍々になっただけでなく、赤い炎と強固な土のエレメントが付与される。

それらは勢いを殺すことなくリーパーへと直撃した。

 

『~~~~~~~ッッ!!?』

「まだよっ!」

「ヒャッハー!」

 

ありえないと言わんばかりに、ダメージによる困惑の雄叫びをあげる中、魔法で攻撃力と機動力を上げたミサキとヤマダの斬撃と槌の衝撃が炸裂する。

リーパーは氷の膜で防御している……なら単純に、それを破壊するほどの威力で攻撃すれば良いだけの話。

知能はあれど、所詮はピグマリオン。獲物相手に後れを取るなどとは考えもしなかったのだ

 

「ぶっ飛べ」

【BUILD! KACCHIRI BREAKING!!】

 

ゴリラの如きブラウンのエネルギーをジカンジャナックルに纏わせると、すぐさま距離を詰めたレクスが攻撃を振り下ろす。

ダイヤモンドすらも粉砕するような一撃を、リーパーは両の鉤爪で防ぐ。

火花を散らしながら鍔迫り合いするも、ビルドウォッチの色と力が喪失する。

それは、ほんの一瞬。

しかし、それが致命的となった。

 

『~~~~~~ッッ!!』

 

最終的に競り勝ったのは白い死神……。

両腕を大きく振り上げてレクスごと、必殺技を弾き飛ばした。

そして、宙に吹き飛んだ彼の身体に電気の爪撃を浴びせようとする。

しかし、仮面の下にある少年の表情は怒りや悔恨などではない。

 

「またかかったな」

 

レクスの冷たい声が響いた瞬間、リーパーの右肩に衝撃が走る。

視界にいたのは、桃色の髪を持つ少女……サクラだ。

 

「はあああああああああっっっ!!!!」

 

ロワの力を使って流れ星と化したサクラの一撃が右肩を貫いたのだ。

先ほどのレクスの攻撃は単なる囮……本命はこの一撃。

 

「……追撃します」

「倍返しにしてやりますよっ!そらっ!!」

 

突き立てた剣に自身のフィールを宿しながら更に力を込める彼女を振り落とそうと暴れるが、ユキとナナミの援護射撃が妨害と集中力を乱す。

梅雨払いをするべく襲い掛かってくるデッドファンタズムも、レイナとシオリの剣が光る。

軽やかステップ、迫る多種多様の攻撃を躱す身のこなし、余裕すら伺えるその凛とした笑みはまるで剣舞だ。

一太刀、また一太刀と光る度にデッドファンタズムはその身体を両断され、次々と消滅していく。

 

『……ッッ!!』

 

リーパーの声が変わった。

嘲るような叫びではなく、怨嗟の籠った唸り声だ。

右肩にダメージこそ負ったが埋め込まれた機械に異常はない。

自身にへばりついているのなら、凍結させるなり感電させれば良い……!

そう判断したリーパーが能力を発動しようとした瞬間。

 

「サクラッ!」

「はいっ!!」

 

ロワの合図にサクラが跳んだ。

右肩を踏み台に跳躍して一度距離を取ると、今度は巨大な槌を取り出して大きく振り上げる。

そしてウィザードアーマーとなったロワが召喚した土壁を、身を捻って態勢を整えたサクラが足場代わりにする。

そして……。

 

「いっけえええええええええええええええっっ!!!」

 

再び勢いを乗せた突進が、リーパーへと迫った。

風のエレメントによる追い風を相まって先ほど以上のスピードと共に、槌による一撃がリーパーに刺さっていた剣目掛けて振り下ろされる。

まるで金槌で釘を打ち付けるかのような一撃が、リーパーに致命的なダメージを与えた。

 

『~~~~~ッッ!!?』

 

リーパーが激痛に震えた悲鳴をあげて大きく後退する。

深く突き刺さった剣は機械を破壊し、そこから破損したことを証明する黒煙と火花が零れ落ちている。

しかし、それだけでは終わらない。

 

【【FINISH TIME!】】

 

必殺技の発動を進めていたロワとレクスが跳躍する。

ウィザードアーマーと、ビルドアーマーを纏ったダブルライダーはレジェンドの力を宿したエネルギーを右脚に集中させる。

それに気付いた残りのデッドファンタズムがリーパーを守るべく群がった。

 

「「はぁぁぁぁ……だあああああああああああああっっ!!!」」

 

仮面ライダーの一撃は雑兵たちを容易く蹴散らす。

そして、痛みで悶えていたリーパーの右肩に突き刺さっている剣に向かって、必殺の跳び蹴りが炸裂した。

その一撃は致命傷となり、嘲るような叫びが悲鳴へと変わる。

 

『~~~~~~~~~~~~~ッッ!!!』

 

強烈なエネルギーを内部へと送り込まれた、リーパーの身体が残りのデッドファンタズムごと爆発を起こした。

これによりピグマリオンの右腕は完全に千切れ、大きく吹き飛んだそれをロワの火炎魔法が焼却する。

 

『~~~ッ!?ッッ!!!~~~~~~~ッッ!!!!』

 

リーパーが地面を転がった。

失った右腕からの激痛が、困惑と苦しみ、そしてロワたちとサクラたちに対する憎悪に籠った叫び声を周囲に喚き散らす。

しかし、白い身体には赤い皹が入っており、象徴とも言える鋭利な爪も破壊されて片腕も失っている。

満身創痍の状態であるリーパーにレクスが鼻を鳴らすが、ビルドウォッチの色は完全に消滅しモノクロのような状態へとなっている。

……無理矢理手に入れた代償が来たのだろう。

色のなくなったビルドアーマーが粒子状になって消滅し、元の形態へと戻る。

戦力の一つが消えるのは痛いが、目の前の敵を倒すには充分過ぎる成果だ。

 

「よしっ!これなら……!」

「マスター。そう勝ちを確信するのはフラグっすよ」

 

呻くピグマリオンにガッツポーズするロワにヤマダが軽口を叩くが、逆に言えば油断さえしなければ形勢が逆転されることもないだろう。

しかし、勝負は思いもよらぬ形で終息した。

 

『っ!?ぜ、前方に新たなモノリス反応!巨大なモノリスが出現しますっ!』

「何だとっ!?」

 

カナの通信にレクスが叫ぶ。

青く淀んだ空を裂くように、モノリスが出現する。

ピグマリオンを呼び出す扉とされるそれは、巨大な鍵穴のようで何処か神聖さを感じる物体だ。

ロワが困惑するも、光を灯したモノリスは満身創痍となっているリーパーと共にその場から姿を消した。

 

『は、反応消失……リーパーごと、モノリスが消えましたっ』

『くそっ、あと一押しだというのに……!』

「歯痒いわね。ここで取り逃がすなんてっ」

 

その報告に本部にいる班目、構えを解いたレイナが苦い顔をする。

だが、目先の脅威が去ったことに違いはない。

一先ず周囲の捜索をカナに任せ、サクラは逸る気持ちを抑えられずに走る。

 

「サクラ!」

 

ロワも慌てて後を追う。

行き先は分かっている、あの少女がいた場所だ。

 

「ルリちゃん!」

 

同じ場所で、同じ容姿で、同じ衣服で彼女はいた。

ただ最初の時と違ったのは、涙を流していなかったことだけ。

涙すらも枯れてしまったのだろう、それほどまで怖い思いをしたのだ。

 

「良かった、生きてる……!」

 

彼女の無事を確認したサクラはルリの小さな身体を優しく抱き締める。

ロワも安堵していたが……。

 

「お姉ちゃん、だれ……?」

「サクラだよ。それに、ルリちゃんの好きなDOLLSだって…」

「どーるずって、なぁに?」

 

そう小首を傾げるルリ。

まるで、初めて会ったような反応にサクラも様子がおかしいことに気付く。

 

「それに、私の名前……『ルリ』って、言うの?」

 

その言葉に、ロワの脳裏に嫌な結論が導かれた。

 

「まさか。記憶が食われたのっ」

「無理もない」

 

震えるロワに返したのは、レクスだ。

そもそもの話、『新宿』は普通の人間がいて良い場所ではないし長居出来る場所でもない。

ましてルリはアタラクシアの内部に閉じ込められていたのだ。記憶に何らかの影響を及ぼしているのは、少し考えれば分かることだ。

 

「むしろ、その子は幸運だ。下手をすれば廃人になっていた可能性もあるし、あの化け物に用済みとして始末されていたかもしれないっ」

 

レクスの言葉は正しい。

こうして彼女は生きている、助けられたこと自体が奇跡だ。

しかし、流石の彼も組んでいた両腕に力が入っている……早く助けられなかったことを悔いているのだろう。

ショックを受けるサクラに、ルリは不思議そうに首を傾げる。

 

「どうしたの、お姉ちゃん?そんなかなしい顔して」

「ごめんねっ、私がもっと強かったら……ごめんねっ」

 

間に合わなかった。

彼女の記憶を守れなかった、その事実だけはサクラを苦しめる。

出てくる涙が抑えきれない。

それでも。

 

「あなたの名前は、ルリって言うのっ。とっても素敵な名前でしょ?」

「るり……うん、ありがとうお姉ちゃん」

「私の名前は、サクラだよ。初めまして、ルリちゃん」

 

サクラとルリの、二度目で初めての出会いだった。

 

 

 

 

 

そこは、まるで幻想的だった。

都会の喧騒とはかけ離れた大自然……無数の石と木々に囲まれたこの場所で聞こえるのは滝の流れる音のみ。

しかし、そこには紅い曼珠沙華が所々咲いており神秘的ながらも何処か恐ろしい。

そんな場所に、ゆらりと黒い人影が踊る。

音もなく現れたそれは地面に足をつけることなく、まるで風船のように浮遊している。

実態もなく、何処か朧気で不安定な人影はまるで何かを探すように動く……。

何故ここにいるのか、そもそも何を探しているのか、恐らく本人も分かっていないのだろう。

ただ、『それは自分にとって必要なことであり、自分が見つけなければならない』ということだけは無意識の内に、そして漠然とだが理解していた。

しばらく周囲を彷徨っていた人影が、動きを止めた。そしてゆっくりと顔を上げる。

 

「……」

 

それは、黒い衣装……まるでパーカーのような装束とフードを被った存在で、鈍く光る一本角を持つ頭部は橙色に淡く光っている。

諦めたように、その存在は顔を俯かせるとその姿を消してしまった。

まるで『幽霊』のように……。

 

Next Legend Rider……???




 えー、本来ならばコラボ編だったのですがちょいとした事情により、急遽ゴースト編を行うことになりました!大変申し訳ございませんでした!!(土下座)
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