仮面ライダーロワ ~歴史を守護する仮面の王~   作:名もなきA・弐

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 まだまだ先のお話になりますが、こちらはドライブ編への導入や幕間に該当する話になります。


ANOTHER TIME 奴らの出会いは何を意味するのか

この世界には大きな特徴がある。

それは、『ヨーロッパが日本にある』ということだ。

何を言っているのか分からないだろう、一見すれば矛盾に満ちた支離滅裂な説明に等しい。

主に住んでいるのは日本人、言語も日本語で通貨も日本円……しかし、北欧の外観をしたその奇妙で素敵な『街』は確かに存在している。

『木組みの家と石畳の街』……通称「木組みの街」と呼ばれているその場所は穏やかな雰囲気で知られており、住人たちも平和な日常を謳歌している。

しかし、そこに一定の人が集まれば悪事を起こそうとする輩も存在する。悲しいことだが、事実として近年では複数の怪奇事件が多発している。

その事件を起こす犯人は人ではない、悪の心を持った限りなく人に近い機械生命体。その怪人から市民を守るのは……。

 

 

 

 

 

西暦2014年。

夏が過ぎ、暑さが少しばかり残る時期。

木組みの街を舞台にしたこの物語では、とある軍隊が戦争を起こしていた。

人間の蹂躙と屈服、そして絶対的な勝利を捧げるべく構成されたその軍隊は軍靴を響かせ、戦火と共に行動を始めた。

その軍隊は人ではない。

人々の願望や感情を学習し、自己進化を繰り返す機械生命体『ロイミュード』……総勢108体にいる内の個体が仲間を集めて作り出した軍隊なのだ。

そして今、戦争は最終局面へと走り始めていた。

 

「行くぞバーン・ロイミュード!『こいつ』の初乗りに……一っ走り付き合えよ!」

『ふんっ、その新車ごと貴様をスクラップにしてやろう』

 

風を纏った青い戦士の宣言に鼻で笑うのは、全身が鋼鉄で構成された機械の異形……屈強な体躯は重火器を連想させるも、頭部にある軍帽を模した頭部とコブラを模した勲章はまるで高位の軍人を思わせる。

今回の戦争を引き起こした軍隊を治める将校『バーン・ロイミュード』は余裕を保ちながらも、新たな姿を得た青い戦士を観察する。

F1カーのようなプロテクターとウィングから、赤い形態よりもスピードに優れているだろう。何より、青い戦士の周囲にある風が本来ならばあり得ない動き方をしている。

それならば、余計な小回りが出来ぬように辺り一帯を爆散させれば良い……。

そう判断したバーンは自らの能力である熱と爆発の操作を開始する。

進化の更なる先、超進化への兆しを見せている今の自分ならば、ほんの数秒の時間で高威力のランチャー弾を放てる。

実際、バーンの見解は正しかった。

だが。

 

「……おおおおおおおおおっ!!」

 

彼の予想よりも、それ以上に青い戦士……新たな力を手に入れた『仮面ライダードライブ』は速かった。

風を切る音が聞こえたと思った瞬間、左頬に強烈な一撃が炸裂していたのだ。

 

『なっ、ごっはああああああああっっ!!?』

 

不意を突かれた一撃が、黒いドライブよりも重い拳が突き刺さる。

鋼鉄の顔がひしゃげんばかりの威力を持って、バーンのマッシブな身体が吹き飛ばされる。

しかし、攻撃はこれで終わらない。

 

「はっ、ふっ!やっ、だぁっ!!」

『がはっ!?なっ、ぐっ!』

 

吹き飛んでいく先の方向に回り込んだドライブが強烈な一撃を叩き込んだかと思えば、超加速による連撃が続けざまに放たれる。

風を纏った攻撃の一つ一つが的確にバーンの身体をへこませ、確実なダメージを与えていく。

しかし、敵もただサンドバッグにされるわけにはいかない。

 

『図にっ、乗るなぁっ!!』

 

激情の叫びと共に、体内で燃え滾る熱を一気に放出させて辺りを焼き尽くす。

当然、それは回避されるがバーンにとっては都合が良い。

近距離はあちらに分があると理解した。

ならば……。

 

『これならどうだっ?』

 

バーンの腹部が開き、そこから巨大な砲身が顔を覗かせる。

砲口には戦闘中に溜め込んでいた熱と爆発エネルギーが込められており、景色が歪むほどの熱気を放つ炎が渦巻いている。

完全ではないため、精々街の一角を破壊する程度でしかないが、それでも威力自体は申し分ない。

何より、仮面ライダーは絶対にこの攻撃を躱さない……避ければ、この街に甚大な被害が出ることは分かり切っているからだ。

 

『私の前に屈服しろ、仮面ライダーッ!!』

 

ロイミュードに歯向かう愚か者を焼き尽くす一撃を、発射した。

しかし、ドライブに焦りは見られない。

 

【……!!】

 

バーンの耳に爆発音に混じって何かの電子音声が聞こえる。

同時に起こった黒煙が晴れた時には、ドライブは両腕に青い大砲のようなトレーラー型の両手銃を構えていた。

 

『なっ、ま……まさかっ』

 

相殺された。

あり得ないと思った、不充分ながらも仮面ライダー一人なら容易に消し飛ばせるほどの威力を秘めた砲撃を、あろうことかあんな珍妙な武器一つで。

 

『ごああああああああああああああああああああっ!!?』

 

動揺し、混乱するよりも速く距離を詰めたドライブの攻撃が再びバーンの身体を吹き飛ばした。

壁に叩きつけられ、地べたに這いつくばったことを理解した彼は、勢いよく立ち上がる。

 

『ふざけるなっ、ふざけるなっ!私はバーンッ、この戦争の勝者!!この私が負けるなど、絶対にっ、絶対にっ!!』

「終わりだっ!」

【HISSA-TSU! FULLTHROTTLE!!】

 

左腕に装備したブレスレットのボタンを押し、青いレバーを倒す。

瞬間、ドライブの身体を再び風が覆う。

そして、先ほど以上の加速をもってバーンの身体を上空へと打ち上げると自らも跳躍する。

速く、より速く、更に速く。

加速し、一筋の青い軌跡を描きながらドライブが右脚を突き出した。

 

「はああああああああああああああああああっ!!!」

 

超加速による勢いのまま、ドライブの蹴りがバーンの胸部へと刺さる。

だが鋼鉄の身体は貫くことも砕くことも出来ない。

 

『あぁっ!残念、だったなぁっ……お前の負けだ仮面ライダァーーーーーーーーッ!!!』

 

呻きながらも、自らの身体を壊せない仮面ライダーにバーンが勝利を宣言する。

いくら新たな姿を手に入れようと、いくら自分より予測を超えた速さで圧倒しようと。

最後に勝つのは自分なのだと嘲笑うバーンとは対照的に、ドライブは表情を変えていなかった。

市民を守るという熱い情熱、怒りを純粋な力へと変えるクールな心……ドライブのギアを使いこなした今の彼に、乗りこなせない姿などない。

 

「壊せないなら、内側から壊すだけだっ!!」

 

そう叫んだドライブはブレスレットのレバーを倒す。

一回、二回、三回、そして四回と倒しながら右脚に力を込める。

纏った風はエネルギーとなり、超加速を得た風の力はドライブの右脚を通してバーンへと流れていく。

生物が自身の容量を超える行動が出来ないように機械が許容量を超えたデータを取り込むことは出来ない。

それはロイミュードも同様だ。

 

『ごっ、あぁっ!?ね、熱が……私の力がっ、ぐ、おおっ!!』

 

では、自分が制御出来ないほどの膨大なエネルギーが外部の力によって急激に生成されたとしたら、その器はどうなるのか。

 

『力がっ、私の身体が……ぎゃああああああああああああああああああっっ!!!』

 

壊れるだけだ。

ドライブの必殺技のエネルギーを直接体内に叩き込まれたことで亀裂が入る。

やがて、抑えることが出来なくなった身体は生成していたエネルギーごと爆散し、バーン・ロイミュードは断末魔をあげた。

地面に着地したドライブは呼吸を整えながらも、外部から協力に来た警察官の全員に告げる。

 

「機械生命体006……撃破完了」

 

それだけを告げると、彼は変身が解除されると同時に地面へと倒れ込んだ。

服が汚れるのも気にせず、この力を託してくれた『彼』に感謝するように、ただ一言だけを口にした。

 

「Nice Drive」

 

それは、仮面ライダーが市民を守れた宣言だった。

 

 

 

 

 

『ぐっ、くそ……まだ、まだだっ』

 

『それ』は、奇妙な形をしていた。

明滅する白い光のような物体をしており、科学者が見れば数字のようだと、オカルトマニアが見れば人間の魂のようだと口々に証言するだろう。

人の目から逃れるように、誰にも気づかれることのないように、苦しそうに呻きながら『それ』は裏路地を這うように移動していた。

淡く光る『それ』……「006」と象られたその物体ははまるで呼吸を整えるように、点滅を繰り返しながら必死に『仮面ライダー』のいる場所から遠ざかろうとする。

 

『私はまだ生きている、私の超進化は目前だった……あのドライブの特性も分かった。そうだ、私はまだ勝利を手にしていないっ』

 

その正体はバーン・ロイミュード……否、『コブラ型ロイミュード006』のコアは呻くように逃走する。

更なる進化を起こす感情は『勝利』。だからこそ、彼は仮面ライダーに関する情報を全て集め、部下を使って現在の戦力を確認した。

だが、結果はドライブの新たな覚醒。未知の戦力による自身の……。

 

『違うっ!!』

 

否定する。

脳裏に浮かび上がった言葉をかき消すように、強く叫ぶ。

忌々しい、自らの望む栄華とは対極的なあの言葉を、追い出すように何度も否定する。

 

『私は負けていないっ、私が勝利するまで戦争は終わらないっ、そうだ!これは回避だ、戦略的撤退だ……私の戦争に「敗北」という文字は存在しない。存在してはいけないのだっ』

 

戦争はその将が敗れるまで続く。

それならば、自分はまだ生きている。仮面ライダーとの戦いは終わっていない、しかし奴らは自分たちが勝ったと思い込んでいる。

利用しない手はない。

 

『まだ使える奴らは残っているっ。そいつらを兵として我が軍に迎え、次こそは……!!』

 

見せかけの勝利に喜んでいる仮面ライダーどもに、敗北の二文字を刻み込んでやる。

006が消えぬことのない野心を燃やし始める。

今度こそ勝利を掴み取るべく、自らの勲章を光らせる炎を再び街に着火させようと決意した時だった。

 

「いや、てめぇに『次』なんざねぇよ」

『なっ、がっ!?』

 

裏路地に響いた低い声が聞こえたと思った途端、身体が凄まじい力で締め上げられた。

コアの状態である006は身動きさえ取ることも出来ず、全身に伝わる万力の如き力に苦し気な声が漏れる。

自分の意思とは無関係に視線が移動することで、ようやく自分が握り締められていることに気づいた彼は『その人物』を見て驚愕する。

上等な黒いスーツと同色のシャツ、そして黒い手袋を装着した眼鏡の男性……黒髪は軽くオールバックにしており、端正の顔立ちでありながら何処か威圧的な雰囲気を放っている。

006はその人間に心当たりはない、だがその雰囲気には覚えがあった。

 

『ゼ、「003」……!?』

「久しぶりだな、006。いや、ここは温情で同志バーンとでも呼んでやろうか?」

 

眼鏡の男性……「003」と呼ばれた彼は口元を吊り上げながら自らの手で握り締めている006のコアへと声をかける。

003。かつて首都圏で起こしたグローバルフリーズにて、『死神』と共に前線を張っていた『処刑人』だ。

最終的にはロイミュードに反旗を翻した死神と相打ちになる形で敗北、その後は行方知らずになっていたが、まさか木組みの街へ来ていたとは……。

 

『ち、丁度良かった!貴様に頼みたいことが……!』

「あっ?」

 

瞬間、003の握る手に力が込められた。

潰れんばかりの激痛に叫び声をあげそうになるも、壁に叩きつけて無理やり塞がれる。

 

「敗残兵風情がよぉっ!誰に向かって口を聞いてやがるんだ、あぁっ!?」

『がっ、ぎっ』

「002……ガイストもふざけたことをしてくれたもんだ。てめぇみたいな奴を野放しにした挙句、貴重な奴らを現在進行で何十体も無駄死にさせているんだからなぁ……!!」

 

コアを握り締めたまま、003は苛々した表情で眼鏡を上げる。

進化のために他のロイミュードを切り捨てるのは分かる、腹立たしいが理解はする。

だが、それ以外の個体にも進化するチャンスは充分にあった。

その芽を潰していたのは……。

 

「なぁ、おい。超進化に必要な感情は……確か『勝利』だったな」

『そ、それが……一体っ』

「てめぇは、むざむざと部下を使い捨てて騒ぎを大きくしておきながら、いざ勝負ってところで仮面ライダーに負けた……そうだよな?」

『だから何だと言っている!?』

 

003の視線が鋭くなった。

その眼光はまるで死を連想させるような、ガイストとは違う明確な殺意が宿っている。

 

「てめぇの言う『勝利』ってのは手駒を無駄に消費するカス以下だってことなんだよ。このまま生かしても俺たちにメリットなんざねぇ……だったら分かるよな?言いたいことが」

 

悪寒が走る。

冷たく見下ろしたような目が、告げている。

自分は、裁判にかけられていたのだと。自分は今、刑の執行を待っている罪人なのだと。

 

『ま、待てっ!待ってくれっ!次こそは、次こそは必ず勝つ!約束する、だからっ』

「大口叩いて負けた奴の言葉なんざ信用しねぇ。俺たちの勝利のためだと思って諦めろ」

 

短く切り捨てられた006は必死に生き延びようとする。

彼にとって生き延びることは勝利のために必要なことだからだ。

 

『ああっ!私の戦争が、私の栄光が、私の勝利が……嫌だっ、嫌だっ!こんな、こんなところで…』

「さっさとくたばれ鉄屑」

 

吐き捨てられたその言葉と共に、003が再び力を込めた。

ぐしゃり……。

そんな軽い音を立てながら、006のコアが握り潰された。

一切の慈悲もなく、一切の躊躇もなく、まるでいらなくなった紙を丸めて紙屑にするように、同胞だったロイミュードの魂をこの世から消滅させた。

 

「……」

 

手にこびりついた光の残滓を雑に払うと、潰した拍子に零れたエネルギーが003の身体へと吸収されていく。

それを確かめるように手を握って開いた後、彼は眼鏡を軽く上げた。

 

「さて、と。次はてめぇの間抜け面を拝ませてもらおうか、ガイスト」

 

この街にいる友に一言文句を言うべく、一歩踏み出そうとする。

ここから、この世界は新たな幹部と対峙することになる。

しかし同時に、ここから物語は新たな介入を受けることにもなる。

世界が、止まった。

感覚がどんよりとしているのではない、本当の意味で『時間が止められている』のだ。

 

「あぁっ?」

 

しかし、それはほんの一瞬だった。

何かが弾ける音と共に、世界は再び正常な時間を刻み始める。

003は驚くこともせず、鋭い視線を裏路地の奥へと向けた。

 

「いやはヤ、驚いタ。まさか時間停止のエネルギーに重加速をぶつけて相殺するなんてネ」

 

拍手しながら姿を現したのは、出来損ないのデッサンを思わせるような白衣の男性。

細長い手足を持つ彼は心底感心したのか、笑みを浮かべたまま拍手を続けている。

胡散臭い外見なのもそうだが、人間ともロイミュードとも違うその空気に003は視線をぶつけたまま警戒を解かない。

 

「……誰だてめぇ」

「ボクはファスティ。王様を作る王様デ、ワールドハックっていう組織の人間だヨ」

 

あっさりと、自らの名前と素性を明らかにした彼に003は一先ず質問を続ける。

 

「何が目的だ?」

「話が早くて助かるヨ。ちょっとお話をしないかイ?実験とビジネス、双方でのネ」

 

取り出した赤紫色のレプリカウォッチを取り出したファスティが笑みを深くした。

 

 

 

 

 

『異なる仮面ライダードライブの世界』と『仮面ライダーロワの世界』……。

二つの世界が混じり交差するのは、まだ先の話。

 

Legend Rider……■■■■■

 

Error

 

Le■e■d R■■er……■■■■■

 

Error. Error. Error.

 

深刻なエラーを確認。再度実行しますか?

新たなアクセス先を確認……。

 

 

 

 

Collabo Rider……仮面ライダージオウ~Crossover Stories~

 

Access…[Archive 2014]

 

File:KAMEN RIDER DRIVE




 はい、ドライブ編は146(名前考え中)さんが連載している作品『仮面ライダージオウ~Crossover Stories~』の仮面ライダードライブ編に登場するキャラとのコラボ作品となっております。
ビルド編が中途半端な形になってしまったため、今回のドライブ編はリベンジのような形となっております。
改めて146(名前考え中)さん、本当にありがとうございます!
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