仮面ライダーロワ ~歴史を守護する仮面の王~ 作:名もなきA・弐
仮面ライダーロワ、前回の三つの出来事!!
一つ、DOLLSチームCとAVARICEの二大アイドルグループが共演を果たす。
二つ、番組収録中にGムエルテと名乗る謎の髑髏仮面がレプリカオーズへと変身。
そして三つ、椋と颯太はリ・イマジネーションのオーズと邂逅を遂げた。
二体のグリードを引き連れて自らの城へと帰還したレプリカオーズは変身を解除すると、一際輝く玉座へと腰を下ろした。
和風の城内にはシャンデリアや西洋甲冑などが配置されており、和洋折衷の豪華絢爛な内装を見て楽しそうに頷く。
自らの力によって書き換えた会社ビルにアイシェルは溜息一つ零すことなく微笑むと、全身をセルメダルに変えてもう一つの姿をムエルテに見せた。
黒い燕尾服と白手袋に身を包み、青いネクタイとオールバックにしたラベンダーカラーの髪が印象に残る端正な顔立ちをした細身の青年だ。
人間の姿となった彼は現在の状況を伝える。
「このビル……いえ、城から逃げ遅れた者たちは『ヌスゥ』と『ミニツ』がほぼ捕えました。今は牢屋へと厳重に閉じ込めております」
『超喜びそうな外の奴ら、ボクとアイシェル捕まえた』
一人と一体からの報告に「ご苦労」と上機嫌なムエルテは満足気に頬を吊り上げた。
王となる以上、国を造るためには労働力となる民が必要不可欠。彼らは自身の治める領土を広げるための資源であり糧なのだ。
忌々しい連中が外に三人もいるのは気に入らないが、こちらには戦力となるグリードがいる。
完全体であり不完全体である彼らは最盛期とまでは行かなくとも、足止めぐらいにはなるだろうとアイシェルたちを横目に策を巡らせる。
玉座から立ち上がり、創り上げた王室から出ようとするムエルテにアイシェルが呼び止める。
「王よ、どちらへ」
「礼拝の時間だ。城の警護は任せたぞ」
骸骨仮面の下で笑いながら告げると、今度こそ部屋から出ていった。
やがて完全に姿が見えなくなったのを確認したアイシェルは疲れたように深い息を吐き、テニィーレは首を傾けて音を鳴らすと人間の姿へと肉体を形作る。
「……あいつ、超うざい」
「駄目ですよテニィーレ。彼は私たちの王様、陰口など以ての外です」
白いサイの刺繍が施された黒いニット帽を被り、濃灰色のジャケットと青いダメージジーンズの小柄な墨色ショートヘアーの少女となった彼女をアイシェルが窘める。
しかし、彼の異常なテンションに辟易していたのか、不満そうに顔をしかめたテニィーレはポケットから取り出したタブレット菓子を口に放り込み、噛み砕く。
「茶番、超つまらない。さっさと奪おう」
「こらこら。そう急かすものではありませんよ?あの個性的な言動に隠れがちですが、私たちに対してまだ一切の油断も信頼もしていない……思った以上に、オーズの力をかすめ取るのは手こずりそうですねぇ」
そう、アイシェルの目的はムエルテが所持しているオーズのレプリカウォッチⅡだ。
突如現れたコアメダルの気配を感じて赴いてみれば、ムエルテの変身するレプリカオーズが喧しい声量で高笑いしている姿だったのだ。
グリードと酷似したオーズ擬き、しかし彼から発せられる気配は紛れもなくコアメダル……『人体系グリード』の復活を目的とするアイシェルたちからすれば、例え贋作でも欲望から生み出されるエネルギーには一見の価値がある。
故に彼は、軍門に下ることを選んだ。
力尽くで奪い取ろうとするヌスゥを制し、乗り気でないミニツを説得し、テニィーレに甘いお菓子を与えて準備を整えた彼は「部下にしてください」と頭を下げた。
思った以上に扱いやすい性格だったため、調子の良いことを言い続けたら『親衛隊』という形で側近になることが出来たのだ。
「あの王様とオーズが共倒れになってくれるのが理想的ですが……はてさて」
先ほどのムエルテやテニィーレに見せるものとは違う、邪悪な笑みを浮かべながらアイシェルは楽しそうに独り言ちるのだった。
「……くそっ!!」
もぬけの殻となっていたスタジオに入って早々、篤志が苛立たし気に右の拳を近くのテーブルにぶつける。
レプリカオーズたちを取り逃がし、彼らの会話が引っ掛かっていた彼は急いでAVARICEとDOLLSチームCのいるスタジオまで急いで戻った。
しかし、彼女たちやスタッフすらも見当たらない光景が疑念を確信へと変えた。
「アイシェルの奴、最初からこれが狙いだったか!」
グリードの中では策謀を得意とする知能派。
わざわざ姿を見せたのは、既に当面の目的を達成していたからだ。
まんまとアイシェルの策に溺れてしまった彼はこの場にいな敵に毒を吐く。
「うちの商品に手を出しやがって……随分と嘗めた真似をしやがるっ」
叩きつけた右手と腕は、彼の苛立ちに呼応するように変化していた。
赤を基本とした、猛禽類を思わせる極彩色の腕へと……。
「高藤さん……」
椋の声で我に返った彼は大きく息を吐くと同時に、自らの変化した腕を見せつける。
少なくとも、取り繕う必要がない相手だということを理解したのだろう。
困惑する椋の隣では警戒を解かない颯太が腕を組んで睨む。
「その腕、やはり貴様もグリードか」
「グリードも知ってんのか。だったら話は速ぇ」
手間が省けたと余裕のある笑みを見せた篤志は近くのパイプ椅子に腰を下ろすと、両足を組んで『本名』を二人に告げる。
「俺は『アッシュ』。鳥類と炎を司るグリード……今はお前たちと同じ、アイドルどもの子守りをしているしがないマネージャーってとこだ」
「じゃあ、その姿は……」
「800年前に馬鹿な人間と少し縁があってな。今はそいつの身体を借りてる」
「そんなことよりも」と篤志……グリードとしての本性を露わにしたアッシュが視線を鋭くする。
警戒を崩さず、自らの真意を相手に見せぬよう座ったまま続ける。
「お前たちは何なんだ。
有無を言わさぬ口調、そして威圧感。
ただ座っているだけなのにも関わらず、猛禽類を思わせる獰猛さを含んだ眼が椋と颯太を捉える。
人間では決して出せないプレッシャーに二人が思わず身構えた時だった。
「やめて、アッシュ」
綺麗なソプラノボイスが響く。
アッシュが首を後ろへ向ければ、そこにいたのは紫色のストールに黒いブレザータイプの衣服を身に纏った青年。
ショートヘアーの茶髪に可愛らしい顔立ち、衣装こそ違ったが間違いない。
違和感が確信へと変わった椋が彼の正体を告げる。
「華野さん、ですよね?」
「ふん。小野寺と同類だったか」
「あー……うん。僕は『
アイドルの詠春華野に転身していた青年は気まずそうに笑うと、自らの素性を話す。
諸々の事情があるのだが、オーズに変身したことで紆余曲折を経て彼女たちのボディーガード兼ヤミー討伐のため、AVARICEのメンバーとして女装させられた経歴を持つ。
持ち前の歌唱力や身軽な動きから繰り出されるダンスが功を制したおかげもあり、今では本気で女子だと信じている固定ファンまで現れるようになったのだが……話が逸れるので割愛する。
「僕たちとしても、グリードたちに攫われた人たちを助けたい。だから教えてくれない?」
頭を下げる彼に椋と颯太は視線を交わし、互いに情報を共有する。
まずは違う世界が繋がり混ざっており、自分たちが違うシステムとエネルギーで戦う仮面ライダーであること。
仮面ライダーの贋作であるレプリカライダーのこと、そしてDOLLSがピグマリオンと呼ばれる怪物と戦っていること。
アッシュは「規格外すぎだろ」と頭に手を当ててぼやいていたが、詠春は何処となく眼を輝かせていた。元々は旅人だったらしく、別世界などに興味があるらしい。
「チームCはキワモノアイドルだが、実力は折り紙付きだ。お前たちのアイドルグループが傷つくことはまずないだろう」
「リーダーのアヤは必死に正統派を訴えているけどね」
「無理だろ、どう考えてもあの二人が濃すぎるしバラエティで笑いを取れている時点で正統派アイドルなんざ夢のまた夢だろうよ」
アッシュのご最もな指摘に「ですよね」と頷くことしか出来ない二人……ちなみにだが、ほぼ同時刻にアヤがくしゃみをしたが恐らく偶然だろう。
そして『オーズの世界』で分かったことは三つ。
一つ、AVARICEが所属している事務所『高藤ファウンデーション』は石油やガスなどの新たなエネルギーに代わるセルメダルとコアメダルの研究を行っている。
二つ、アッシュの養父でありこの事務所の会長はセルメダルを効率良く、かつ安全に生成するためのアイドルなどの芸能業界に力を入れていること。
そして三つ、アッシュを除くグリードたちは人体系グリードを復活させるため、コアメダルもしくはコアメダルの素材となる大量のセルメダルを集めている。
重要なところだけを教えてもらった颯太は腕を組んだまま与えられた情報を頭に叩き込んでいたが、椋が「あの」と遠慮がちに質問する。
「それならどうして高藤さ……アッシュさんは仲間であるはずのグリードと敵対しているんですか?」
「グリードは欲望の塊、動いて話すだけの『物』だ。そんな奴らに仲間意識なんざねぇし、そもそもあいつらとは『根本』が違う」
何処か含みのある答えに小首を傾げるも、これ以上は話すつもりはないのかアッシュは顔を背ける。
気になることはあるが、今はレプリカオーズの撃破が最優先だ。
気を取り直し、颯太が一先ずの目標を提示する。
「奴らの言葉からして、攫われた連中はあの悪趣味な城にいるはずだ」
「でも相手だって馬鹿じゃないよね、侵入が分かったらその人たちを攻撃してくるかも……」
椋が懸念を口にする。
レプリカオーズの目的が何であれ、あの城には一般人が大勢いるのだ。
正面から突入して運良く侵入出来たとしても、見張りがいないとも限らないし最悪の場合人質として利用してくる可能性もある。
そうなれば、目先の侵入方法だが相手の出方や内部の情報が分からない以上は、どうしても手をこまねいてしまう。
「せめて、あの城の仕組みさえ分かれば……!」
「いや。案外どうにかなるかもな」
そうほくそ笑むアッシュの手に握られていたのは、円筒の形をした緑色の物体。
構造こそ機械だが、頂部には缶ジュースなどで見られるプルトップが存在しており、首を傾げる椋と颯太に気にすることなく、それを引いた。
【BATTA KAN!】
音声と共に缶ジュース型サポートアイテム『カンドロイド』はデフォルメされたバッタのような形状へと変形する。
「奈青、聞こえるか!」
『……ええ、しっかり聞こえるわよ篤志さん』
バッタをモチーフにした諜報専用……バッタカンドロイドから聞こえてきたのはAVARICEのクール担当、緑川奈青だ。
「やっぱりな」と得意気な笑みを見せた彼は驚く三人に視線を向ける。
「奈青にはもしものために持たせていたからな。没収されているんじゃないかと思ったが……アイシェルの奴め、油断したな」
そう、AVARICEはアイドルであるためストーカーや変質者などの手前勝手な連中がいることも少なくはない。
そのため、アッシュこと篤志はセルメダル回収やオーズのサポートアイテムとして使用されるカンドロイドを彼女たちに常備させるようにしているのだ。
「傷はつけられていねぇか。他の連中はそこにいるのか、衣装は汚されていねぇだろうな」
『平気よ、他の子たちも一緒。ただ……DOLLSの子たちは別の牢屋に連れていかれたわ』
「カメラモードに切り替えろ。映像を共有する」
すると、しばらくして映像が椋たちの前に映し出される。
構造としては無骨や鉄格子に錠前と至って普通の牢だが、外で徘徊をしているのは屑ヤミーだ。
レプリカオーズ製かグリード製かは判断出来ないものの、侵入者を撃退するという指示しか与えられていないのか、囚われている人たちに振り向きもしないまま緩慢な動作で歩き回っている。
「少なくとも、攫われた連中に進んで危害を加える気はなしと……そこは安心だな」
「あくまでも現時点での話だ。奴らの計画が進めば無事だという保証は出来ない」
手に入れた情報を整理するアッシュと颯太。
奈青の送ってくれた映像はかなり有力だった。後は侵入経路を考えるだけと思った瞬間だ。
映像越しに爆発音が響いたのだ。
レプリカオーズが行動を起こしたのかと思ったが、屑ヤミーたちが慌ただしく動いている様子を見るに彼やグリードたちの仕業ではないらしい。
『……だっ、あのガキども!……さんぞっ!!』
僅かに聞こえてくるのは成人男性の怒りに満ちた罵倒。
同時に椋が感知したのは感情が溢れ出てくるような反応……。
「アヤたちだっ!」
「なるほどな、テアトルを使って自分たちに意識を向けさせたのか」
ドールの共通能力、心の檻となるテアトルは疑似的なバトルフィールドの展開であり周囲を巻き込まないための特性を秘めている。
それに屑ヤミー程度ならピグマリオンと戦ってきたアヤたちなら難なく返り討ちに出来るだろう。
城内で混乱が起きている今、向かうなら今しかない。
「全然分からねぇが、叩くなら今ってことか……さっさと行くぞっ!」
「命令するなグリード!!」
アッシュと颯太は外にあるムエルテの城へと走り、椋も慌てて追いかけようとするが詠春は奈青とバッタカンドロイドで通話している。
「奈青ちゃん」
『華野ちゃん……いえ、今は詠春君ね』
どうやら、彼女を含めたAVARICEのメンバーは華野=詠春だというのは知っているらしい。
彼は落ち着いた声で奈青と、向こうで聞いているであろう他のメンバーに対して口を開く。
「待ってて。必ず、みんなの手を掴むから」
「……詠春さん」
「女装コンビ!良いからさっさと来いっ!!」
アッシュに急かされるまま、今度こそ二人はレプリカオーズの鎮座する城へと向かうのだった。
入り口にいた門番を不意打ちで倒し、城内へと入り込むといくつもの階段と広い空間が存在していた。
構造は日本城のそれに近いが、壁に描かれた家紋らしき紋章は、Gムエルテの自己主張の高さと傲慢さを象徴しているようだ。
「恐らく奴は上だ。レプリカオーズを倒せばこのふざけた城もなくなり、攫われた奴らも解放される」
「急ごうっ!」
颯太と椋が階段を上がろうとした時だ。
「っ、下がれっ!!」
何かに気づいたアッシュの叫びに慌てて下がる。
すると、先ほどまで彼らがいた場所を緑色の電撃と黄を帯びた突風が抉ったのだ。
土煙を発生させた箇所を一瞬だけ向けるも、颯太は攻撃の方向を睨む。
「今度は侵入者か……!」
「全く、こんな忙しい時に」
近づいてくるのは二人の男女。
一人は緑色のシャツの上に黒いジャケットを羽織った背の高い男性で、首にはクワガタの頭部とカマキリの両腕を模したネックレスを首に下げている。
緑色の髪をオールバックした顔は端正だが、鋭い眼光が見るもの全てを委縮させるようだ。
もう一人は長身の女性で黄色い裏地のコートを纏っている。
上着越しでも分かるほどの大きな胸元と、ミニスカートから覗く白い太股が眩しい何処か肉感的だ。
橙色のセミショートには横から見たチーターの髪飾りがある美貌が、気怠そうに侵入者を睨んでいる。
「はっ!セルメダルの稼ぎの次はアイシェルと忠犬ごっこか……楽しそうで何よりだよ『ヌスゥ』、『ミニツ』」
「アッシュ……人間に味方する貴様が偉そうなことを言えた義理か貴様ぁっ!!」
「やめなって。あいつの調子に合わせたら痛い思いするよ」
アッシュにそう叫ぶのは昆虫系グリードのヌスゥと、沸点の低い彼を嗜める猫系グリードのミニツだ。
アイシェルの頼みで城内の見回りをしていたのだが、アヤたちが暴れたおかげで屑ヤミーたちの統率が乱れてしまっただけでなく、現在進行形で減らされているのだ。
その対応に追われている最中での侵入者……プライドの高い彼にとっては屈辱以外の何物でもない。
しかし、そのアイシェルからオーズ以外の邪魔者のことは聞いているのだろう、今にも襲い掛からんばかりの獰猛さを隠そうともせずに椋と颯太を睨む。
「貴様らが例の邪魔者か……だったら話は速い」
一端、自分を落ち着かせたヌスゥはミニツに目をやると、その意図が分かったのか彼女も溜め息を一つ吐いて戦闘態勢に入る。
「相手がガキだろうと容赦はせんぞっ!」
「面倒だけどね」
全身をセルメダルに包んだ二人はグリードとしての姿を露にする。
ヌスゥはカマキリのような細身の身体の上にバッタを思わせる生体装甲を騎士の如く装備した合成昆虫……黒いクワガタムシの角を左右の頭部と両肩に生やしており、右手には緑色の大剣を握り締めている。
しかも、刀身にはカマキリの鎌を彷彿させる刃が無数に取り付けられているという凶悪な代物だ。
対してミニツは宛ら西部劇のガンマンを思わせる出で立ちであり、ライオンと帽子が混ざり合った頭部と鬣を模したファーが首元に生えている。
虎のような力強さと大きく膨らんだ胸元という、女性らしさを併せ持つ丸みのある黄と黒で彩られた身体の上にチーターを思わせるブーツとコートを装備している。
両手には刃を持つ虎の顔が象られた二丁のマスケット銃を持っていた。
緑と橙のバイザーをそれぞれ光らせながら迫る二体のグリードにジクウドライバーを装着した椋と颯太が立ち塞がる。
【LOI!!】
「ここは僕たちが食い止めます!」
【REX!!】
「お前らはレプリカオーズのとこに行って倒してこい」
ライドウォッチを装填し、バックルの回転させて変身した二人に「ごめんっ」と叫んだ詠春はアッシュと共に最上階へと続く階段を駆け上がる。
当然ミニツは右手のマスケット銃で狙撃しようとするも、それをロワがジカンハカリバーの銃撃で相殺する。
そして、距離を詰めた彼はスラッシュモードへと切り替えた武器を振り下ろすも、攻撃は硬い銃身で防がれてしまう。
そのまま腹を蹴られて吹き飛んでしまうも、受け身を取ってすぐに起き上がった彼は鑑文字の複眼でミニツを睨む。
「詠春さんの邪魔はさせないっ!」
『はぁ……邪魔なのはそっちだっての』
深い溜め息を吐いた彼女は照準をロワに合わせ、風の圧縮させた弾丸を銃口から連続して放つとロワも負けじとトリガーを弾いた。
そして、ヌスゥとぶつかり合うはジカンジャナックルを装備したレクスだ。
チェーンソーの如く高速回転する刀身に向かって打撃モードにした武器で殴り、幾度も火花を散らしながら一歩も引かない立ち回りを見せている。
「ちっ、これがグリードの力か!少し見くびっていたなっ」
『当然だ、俺は昆虫のグリード!全てを貪り尽くす雷の王……真正面からぶつかるだけの虫けらなど、俺の足元にも及ばないっ!!』
そう叫んだヌスゥが更に刀身を回転させると徐々に緑色の電気が蓄積されていき、それを思い切り振るう。
強大な電撃を纏った大剣を振り下ろした瞬間、斬撃は三日月状の巨大な衝撃波となって対象を切り裂き、灰になれと迫り来る。
「舐めるなよ、害虫……!」
【ただいま砲撃中!】
『なっ、ぐおっ!?』
砲撃モードのジカンジャナックルで防ぎ、間髪入れずに二発目を発射すると不意を突かれたヌスゥは呻き声と共に地面を転がってしまう。
「おのれっ」と地面を殴ってから勢いよく起き上がった彼は、怒りを隠すことなく地べたを這い蹲らせた愚か者を睨みつける。
『許さんっ、絶対に許さんぞおおおおおおおおっ!!』
「御託は良い、かかってこい!」
再びヌスゥとレクスの攻撃が激しい火花と音を鳴らした。
強欲の王と王候補と二人のオーズ。
混じり合った王選の結末は、まだ誰にも分からない。
リマジオーズのグリードたちは原典とはあえて違う特徴を持たせています。
一つは怪物が武装しているような姿にしていること、二つは手で持つタイプの武器を使用していることです。