仮面ライダーロワ ~歴史を守護する仮面の王~   作:名もなきA・弐

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ゴースト編の続きと思った方、本当にすいません。今回は色々な事情で没になったコラボ編のスペシャルとなります。
本編よりもテンションが高い彼らの活躍をお楽しみください。


※このお話は、146(名前考え中)さんが連載している作品『仮面ライダージオウ~Crossover Stories~』の仮面ライダービルド編に登場するキャラとのコラボ作品となっております。
改めて146(名前考え中)さん、本当にありがとうございます!そして初コラボがこんな形になってしまい、大変申し訳ありませんでした。





Access…[Archive 2017]

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補完計画コラボスペシャル! 戦士たちのパーリーナイト(前編)

ここはとある商店街にある焼肉屋さん。

いくつかのコースに分かれており、注文したコース内にある肉やサイドメニュー類を時間内ならばいくらでも食べられるという贅沢なお店なのである。

そんな店内で、人が集まっていた。

 

「……はい、というわけで!ビルドドリーム編お疲れさまでした!初コラボを記念しまして、今夜は焼肉っしょおおおおおおおおおっっ!!フゥーッフー!!」

「兄さんうるさい」

 

完璧なシャフ度でハイテンションな音頭を取るのは、赤みがかった茶髪に整った顔立ちと高い身長、科学者を思わせるようなアシンメトリーのロングコートを羽織った青年、仮面ライダービルドこと『羽沢天介』だ。

ドヤ顔する彼だったが、義妹からの手厳しいお言葉に「はい」と頭を下げたが、溜息を吐いた彼女は一言二言だけ言うと店を出て行った。

女子たちは焼肉ではなく、スイーツバイキング(サイドメニューとしてラーメンやパスタがあるらしい)の店に行くため、ここは仮面ライダーたちの貸し切り状態だ。

今回はビルドリ編のコラボが無事終了し、レクスのビルド継承が成功したことを記念してのお疲れ様会が開催されているのだ。

えっ?ビルド編なんて知らない?そんなのいつやったんだって?

やかましい。ガイドラインさえどうにかなれば予定通り投稿していたんだ。俺は悪くねぇ。

 

「天介。食べないのか?」

「……てっ!何勝手に喰ってんだ経堂!!」

「っ?焼肉屋だから焼肉を食べるのは当たり前じゃないのか?」

「今、俺が音頭を取っていたでしょうが!?」

「安心しろ。肉を焼くのに充分な火加減だったぞ」

「温度じゃねーよっ!!」

 

真面目な顔で馬鹿な発言をするのは茶髪をオールバックにした黒いスーツの青年、仮面ライダークローズの『経堂東馬』だ。

天介のツッコミにも鉄仮面とも呼べる彼は大真面目に返す。

多少ぐだりながらも、パーティが始まった。

 

「……」

「あん?どうした颯太、もっと盛り上がれよ」

「どんな風に食べようが勝手だろ」

「パーティーなんだからもっと楽しそうにしなさいよ!ビルドの力を繋いだんだからテンションビルドアップアップ!」

「うっせぇ……何だよこいつ。何でこんなテンション高いんだよ……て酒っ!!完全に酔ってるだろお前っ!!」

 

アルコールが入って普段以上のテンションを上げている天介に絡まれる颯太。

既にテーブルには「赤蛇殺し」なる一升瓶が転がっている。

 

「すいませーん!ご飯、お代わり」

「椋。もっと肉を喰え、肉は良いぞ。筋肉が喜んでくれる。ほら」

「わぁ、ありがとうございます経堂さん!」

 

兄弟みたいなやり取りをする椋と東馬。

曲がりなりにも格闘技をかじっている者同士、何か通じ合うものがあるのだろう。

 

「何でだ……どうして俺はスイーツバイキングにいないっ。どうして俺はパスパレのところにいないんだ……!」

 

血涙でソフトドリンクを飲んでいるのは恵まれた長身と茶髪を長めの襟足にした青年で今時のファッションに身を包んだイケメン。

恨み言をぶつぶつと言いながら肉を食べ、一人血の涙流しながらジュースを飲む姿ははっきり言ってホラーである。

そんな彼、仮面ライダーグリスの『弥生北斗』に話しかけるのは一人の男性。

 

「おい、弥生」

「あっ?」

「酒ってのはな、ゆっくり飲んで味わうもんだ」

 

紫のコートを羽織った彼は、少し離れた席で酒を飲みながら北斗に対してクールにそう注意する。

端正な顔立ちの中に滲ませる少しくたびれたような雰囲気はお好きな人にはとことんツボな人物だが、コートの下にあるシャツにはインコ……今日はペットの愛鳥『キングダム☆村山君』がプリントアウトされており、酒もよく見ればカシスオレンジとどうも決まっていない。

そんなカシオレをちびちび飲んでいるのは、仮面ライダーローグこと『四谷西哉』だ。

 

「うっせぇよおっさん。ビールでもワインでもなく良い歳してカシオレ飲んでいる奴に酒がどうだと言われたくねぇよ」

「おっさん言うなクソガキ!大体、この店予約したの誰だと思っている」

 

ちなみに代金は割り勘ではなく全て彼の奢りである。女子たちがいるスイーツバイキングの代金も彼持ちである。

曲がりなりにも金持ちである西哉がいなければ今回のパーティは出来なかった。

まぁ、天介に上手いこと言いくるめられただけなのだが……。

 

「つか、何だよそれっ?」

 

ふと彼のテーブルを見れば、妙な筒が置いてあり「秘伝」と書かれた紙が貼り付けてある。

目ざとく見つけた北斗に西哉は得意気な笑みを見せる。

 

「これか?この日のために俺が三日三晩、丹精込めて作った秘伝のタレだ」

「ほーん?」

 

焼いたカルビを秘伝のタレに浸け、試しに一口。

それを、しばらく味わって食べた北斗が口を開いた。

 

「美味くねぇ」

「はぁっ!?嘘を吐くな!俺が寝ずに作ったこの秘伝のタレをっ」

「特別不味くはねぇんだけど、美味くねぇ。何だったら元々の肉が美味いからタレ自体が美味しくないのが本当に分かるわ」

「このクソガキィッ!!表出ろおおおおおおおおおっ!」

「上等だやってやるよダボカスウウウウウウッ!!」

 

そのまま外に出てあわやライダーバトルに……となるところで天介が間に割って入った。

 

「はいはい。くだらないことで喧嘩するんじゃないよ二人とも。後四谷さん、そのタレ絶対に俺や他の奴らに淹れないでくださいよ」

 

一先ず二人を離した後、天介は「さて」と一呼吸置く。

 

「場も盛り上がったことだし、そろそろ始めるぞ」

「あの、何をするんですか?」

「なるほど、あれか」

 

小首を傾げる椋とは対照的に、東馬は分かっているのか自信ありげな態度だ。

意外そうな顔をしながらもベストマッチな相棒(天介は否定しているが)に視線を向ける。

 

「お前にしては察しが良いな……一応聞くが何だと思う経堂?」

「裸踊りだろ」

「なわけねーーーーーだろっ!!!」

 

「これが正解だ」と言わんばかりの自信満々の回答に天介が叫んだ。

やはり筋肉馬鹿は筋肉馬鹿だった……。

そう言わんばかりに頭を抱える彼とは対照的に東馬は続ける。

 

「安心しろ天介。俺の筋肉はお前よりもめっちゃ硬い」

「だから何だっ!?お前の全裸なんて誰も興味ねーよっ!」

「それならお前も脱げ」

「そういう問題じゃないよっ!この局面でそんなこと言うのやめろっ!ご婦人方からあらぬ疑いをかけられるでしょうがっ!あーもう良い!」

 

頭を掻き、無理矢理会話を打ち切ると本題へと入る。

 

「今回、俺が貸し切りにしてまで集めたのは他でもない」

「全員で踊るのか?」

「だから裸踊りじゃないっての!てか、椋ちゃんがそれやったらアウトだからなっ!?」

「僕男ですけどっ!?」

「えー……こほんっ。今回は単なるパーティじゃない、所謂本作での設定や名シーンを振り返る……ビルドリスペシャルを開催する!」

 

何処からともなく取り出したミニスクリーンとリモコンを手に大々的に宣言する。

一方、突然の展開に椋たちはおろか北斗や西哉たちも唖然とする他ない。

そんなことを気にすることなく目の前の天才はリモコンをマイク代わりにして語り始める。

 

「今回はコラボ編に登場した設定や名(迷)シーンなどを振り返りながら、焼肉を食べるってのがビルドリスペシャルだっ!」

『おおー』

 

何故こんなことをする羽目になったのか今一釈然としないが、自身に満ちた表情で説明する天介に思わず拍手する一同。

それに応えながらも、ビルドリスペシャルが改めて開宴された。

 

「まずは、ビルドリスペシャルに登場したゲストキャラたちからだな」

 

言いながら、リモコンを操作してモニターに情報が映し出された。

 

 

※※※※

 

 

レプリカクローズ

『倉田海利』がワールドハックのトゥエムと契約することで変身したレプリカライダー。

モチーフである『仮面ライダークローズ』の成分を模倣した『レプリカクローズウォッチ』を注入したことで誕生。

骸骨をイメージさせる紺色のボディと頭部にオレンジの炎が燃え上がっており、それを抑え込むように龍を思わせるベルトやローブのような拘束具が全身に装備されている。

能力は身体に蒼炎を纏わせる……それだけだが、変身者が格闘技の経験者ということもありその実力は最強の一言。

コンセプトは「激情を抑え込まれた燃える骸骨」。『感情を出したいのに出せない東馬』の在り方を愚弄しているイメージ。原典における万丈龍我への皮肉(感情的な万丈を恋人の成分であるドラゴンが抑え込む)もある。

〇倉田 海利(くらたカイリ) ICV谷山紀章

『Build Dream!の世界』で活躍する元プロボクサーの青年で改変された世界ではビルド親衛隊の隊長を務める。通称「筋肉に知識を注入した男」・「手乗り狂犬」・「無駄に上手い歌唱力を持つ格闘家」

青いジャージと赤い靴、寝癖のような跳ねた茶髪を持つ青年で本来はオーバーなアクションが特徴のムード―メーカー的存在だが、冷酷な性格へと変貌しており服装も白い軍服へと変わっている。

明るく喜怒哀楽のはっきりしているが、文武両道をモットーに柔軟な思考力を持つ。ボクサーだが本人はキックボクシングが好き。趣味はカラオケ。

世界の全てをリセットすべく自らの世界とロワの世界を繋ぎ合わせ、ビルド親衛隊の隊長としてレプリカクローズの力で天介たちの前に立ち塞がる。

その目的は実妹である『倉田ましろ』が平和に暮らせる世界を作ること。スカイウォールの発生に巻き込まれたことで彼女は昏睡状態になってしまい、その元凶となった仮面ライダーたちを憎んでいたところをトゥエムに見初められた。

 

 

※※※※

 

 

「レプリカクローズの変身者ですね」

「そう。同時に俺たちの世界にいる住人だ」

 

映されたデータに椋と天介が頷く。

コンセプトは戦争被害者……訳も分からず巻き込まれた一般市民が彼の基本コンセプトだ。

本来の歴史でも仮面ライダーを憎んでいたが、分断した国を一つにするために奔走する彼らの姿を見て徐々に気持ちが薄れていくのだ。

 

「確か、経堂さんと僕が最終的に戦ったんですよね」

「ああ。クローズVSクローズ……熱い戦いだった」

 

椋は感慨深げに、東馬は普通に頷く。

ちなみに炎属性なのに「海」の字を入れたのは、陸(赤羽大「地」)・海(倉田「海」利)・空(羽沢「天」介)と連想したからである。

最終決戦では椋の変身する仮面ライダーロワと、全てを受け止めた東馬の変身したクローズマグマによって撃破。燃え上がる憎悪ごと贋作の力を焼き尽くした。

 

「次は、レプリカグリスとレプリカローグだな」

 

リモコンを操作し次の映像へと切り替える。

そこの映し出されたのは白い隊服を着た男女だ。

 

 

※※※※

 

 

レプリカグリス

『石狩彗星』が、『仮面ライダーグリス』の成分を模倣したレプリカグリスウォッチを注入することで変身させたレプリカライダー。

黄金のロボットを思わせるような造形だが、所々が破損し露出した個所からは黒いオイルのようなゼリー状のエネルギーが零れ落ちており、特に損傷が激しい頭部は凝固されたオイルが剥がれ落ちた仮面の代わりを担っている。

左腕に装備されたパイルバンカーによる接近戦と零れたオイルを操作することで立体的な動きを得意とする。

コンセプトは「ボロボロの機械兵器」……壊れかけた身体を無視して戦うグリスの姿を皮肉っている。

〇石狩 彗星(いしかりスイセイ) ICV大原さやか

北都に従軍しデッドアナークの候補者だった女性兵士で改変されたビルド親衛隊の副隊長を務める。豊満なスタイルと長身を持つ美女であり、右目を隠した黒いロングヘアーが特徴。ミニスカートと小さな上着のへそ出しルックの扇情的な隊服を着る。

見た目は妖艶な美女だが、その本質は度を超えた戦闘狂であり自身の手で敵を『壊す』ことを何よりも好む。

 

 

※※※※

 

 

「エロい///」

「おいっ」

 

椋のストレートな言葉にツッコミを入れる颯太。

見惚れている彼に北斗は「やめとけ」と忠告する。

 

「その女、マジで狂ってるよ……デッドアナークに志願するのに人体実験を受けたが、より強い力を欲して許容量を超えたネビュラガスを自分にぶち込みやがったんだ」

 

本来の歴史では、彼女は既に殉職しており必要以上のネビュラガスを自らに注入したことが原因で消滅してしまったのだ。

消えゆく直前まで、強大な力が手に入ると思っていた彼女は笑っていたという。

名前の由来は北海道地方の名前から。

最後は北斗の変身するグリスと激突し、贋作の破壊兵器は心火を燃やし続けた彼に粉砕された。

厳密には本人ではなく、ワールドハックのファスティが製造した本人の人格や情報をインプットした改造ヒューマノイズだった。

映像は次に映る。

 

 

※※※※

 

 

レプリカローグ ICV子安武人

『奥津忠義』が、『仮面ライダーローグ』の成分を模倣したレプリカローグウォッチを注入することで変身させたレプリカライダー。

全身が鱗のように罅割れた紫色の姿をしており、両脚はワニの顎を思わせるような鋭い牙が生え揃っており、罅割れたバイザーからは濁った白い眼球が見える。

全身から生やした棘や刃を武器とする他、ローグと同じ鉄壁能力を持つ。また、下半身をワニの頭部へ変異させることも出来る。

コンセプトは「罅割れた戦士」……プライドも守るべきものも失ったにも関わらず戦い続けた原典ローグの姿を皮肉っている。

〇奥津 忠義(おくつタダヨシ) ICV子安武人

繰り返した裏切りの果てにブラッドスタークに始末されたチンピラでビルド親衛隊の副隊長を務めている。軽薄そうな金髪とにやけた笑みが特徴の青年で関西出身。生き残るためなら命乞いも蹴落とすことすらも厭わない。

 

 

※※※※

 

 

「くそ野郎だ」

 

映像を観た瞬間、西哉が吐き捨てる。

それもそのはずで彼は自分の所属する組織や西哉がかつて所属していた組織を裏切り続けたのだ。

自分が生き残るためなら、かつての恩人だろうと平気で使い捨てて蹴落とす小物が彼の本質だ。しかし、最後はブラッドスタークに使い捨てにされ、毒を注入されて消滅した。

苗字の由来は関西の地名から。

最期は完全に舐め切っていた西哉のローグを追い詰めるも、両目を撃ち抜かれた挙句クラップアップフィニッシュを叩き込まれて敗北した。

ちなみに彼も改造ヒューマノイズだったのだが、まぁ語ることはないだろう。

 

「まぁ四谷さんのレプリカライダーだからこんな程度で良いだろ。はい次ー」

「ああ……んっ?おい羽沢、今のはどういう…」

 

何やら聞き捨てならない発言を問い詰める間もなく、最後の映像へ切り替わった。

 

 

※※※※

 

 

レプリカビルド

トゥエムが変身するレプリカライダーでモチーフは『仮面ライダービルド ハザードフォーム』

兎の脚力と戦車のパワーによる格闘戦の他、レバーを回転させることで取り込んだ成分のベストマッチを発現させることが可能となっている。組み合わせは『可愛い物×拷問器具(凶器)』

〇トゥエム ICV MAKO

ワールドハックの一員でありレプリカビルドに変身する少女。これはコードネームであり、本名は『久利 世界(ひさりセカイ)』

彼女のいる世界は科学技術が発展していたが、その分内紛が起こっている。その現状を憂いた彼女の父親は平和のために新たなエネルギー理論を提示するも、彼を快く思わない者と敵対者によってその理論は奪われ新たな争いの道具を生み出してしまう。

そして失意と共に亡くなり周囲から『悪魔の娘』と罵られたことで自らの世界に失望。何の意味もない研究を続けていた時に世界を渡った『覇王』から契約を持ちかけられ、レプリカビルドウォッチで変身。戦争を起こす上層部たち。そしてその資料や知識を持つ人物を全て排除することで『王』へと至った。

計画を練り、レプリカライダーや尖兵のデッドファンタズムを生み出しながら膨大なエネルギーを秘めたパンドラボトルが存在する『Build Dream!の世界』を襲撃。平和な世界を作り上げる。

しかし手駒のレプリカライダーたちを撃破され、自らの平和を否定されたことで精神が完全に崩壊。グリス・ローグ・クローズのレプリカウォッチを取り込むことで白い巨体『レプリカビルドジーニアス』へと変身し激闘を繰り広げる。

最期は『仮面ライダーロワ ジオウアーマー』と『仮面ライダービルド ラビットラビットフォーム』。そしてクローズマグマとビルドアーマーのレクスの必殺技を叩き込まれて消滅した。

名前の由来は「二時→2→TWO→捩ってトゥエム」・本名は「創造→クリエイト→くり→久利」から。

 

 

※※※※

 

 

「ようやく僕たちサイドのキャラが出たね」

「今にして思えば、少ししか出ていない癖に妙にインパクトが強かったな」

 

トゥエムのプロフィールに椋と颯太が頭を抱える。

当初はやべーことで興奮する女子にしか見えなかったため科学者として優秀だったことがどうしても結びつかない。

それに対して天介が首を振る。

 

「いや、あいつの城は全て俺たちの世界にはないテクノロジーがあったしそれを理解して使うには相応の頭脳がないと無理だ。それに世界を作り替えるのも、パンドラボトルを前提としたあの機械もな……あの子は紛れもなく、天才だったよ」

 

少しだけ、悲しい顔をする。

トゥエムは戦争の世を嫌い、父親の理論が正しいことを証明すべく世界を作り替えようとした。そこに狂気はあっても、悪意はなかった。

もしも出会いが違ったら、もしも悲しみを乗り越えたのなら、彼女はもしかしたら『仮面ライダービルド』になれたのかもしれない。

そんなことを考えながらも「さて」と天介は本題に入る。

 

「ざっとした設定はここまでっ!次は名シーンプレイバックだ行くぞっ!!」

「果たしてこの設定で丸々一話を使う必要あったのかな……?」

「ぶっちゃけ文字数が一万字まで行きそうだったから中途半端に尺稼ぎしただけだろ」

「はいそこうるさいぞ若手二人っ!」

 

小さな声で会話する未成年二人を指さして叫んだ天介はこの勢いのまま、リモコンを操作して映像を再生するのだった。

 

 

※※※※

 

 

視界が、霞む。

そうなっているのは意識が朦朧としてきたからで、その理由は自分が今首を絞められて脳に酸素が回っていないからだ……。

そんな状態でも冷静に原因を解明するこの天才的頭脳をこの時ほど恨んだことはない。

相手は分からない、ただ分かるのは『この姿』に変身している状態の自分を圧倒するだけの力を持った怪物だということ。

抵抗が出来ない。力が抜けていく。

こんなところで、死んでしまうのか。

『あいつら』との約束も果たせずに。

そんな想いが胸の内にいくつも宿っては消えていく。

やがて、完全に止めを刺そうとしているのだろう……自分の首を掴んでいた怪物が手を放しことで、身体がコンクリートの地面へと叩きつけられる。

そして、そのまま色の混じり合った異形の脚が自分の身体を……。

 

「起きたか、天介」

 

視界に茶髪をオールバックにした青年のドアップが映し出された。

 

「うおおおおおおっ!?」

 

その瞬間、驚きによる条件反射で思わず跳び起きる。

当然、上体を起こすと眼前にいた青年の額へとぶつかり、またしても倒れる。

 

「おっ、おぉぉぉっ」

 

ぶつけた頭への激痛に地面で悶え苦しんでいる。

しかし、そんな強靭な頭を持つ無表情の青年は額が少し赤くなっている以外は特にダメージを受けておらず、むしろ痛みで悶えている彼『羽沢天介』をしばらく見つめる。

 

「うん。大丈夫そうだな」

「んなわけあるかっ!」

 

そう頷く見当違いな青年に天介がツッコミと共に起き上がる。

黒いスーツに白いシャツを着こなしている青年の名前は『経堂東馬』……鉄面皮とも評されるほどの無表情を持ち、何だかんだでそれなりに長い付き合いになっている。

同時に、天介にとっては物すごく疲れる相手でもある。

 

「いきなり目の前に鉄仮面ゴリラの顔があれば驚くに決まっているでしょうがっ!」

「俺はドラゴンだ」

「言葉の綾だよ真面目に返すな馬鹿っ!!」

 

これである。

無表情と黒いスーツ、鍛え上げられた筋肉から初対面の人に勘違いされるが、この青年は知能指数が普通の人より足りない……端的に換言すれば『バカ』なのだ。

本人はわざとではなく、真面目に発言しているのだから本当に質が悪い。

東馬がマイペースにボケた発言を繰り返し、常識が知識としてある天介がそれにツッコミを入れる……彼らを知る人物たちからすれば既に見慣れつつある光景だ。

 

「揺すっても起きなかったからな、お嬢から教えてもらったじんこー呼吸を…」

「おいマジかっ!?嘘だろっ、嘘だよなっ?嘘だと言ってよ筋肉馬鹿っ!!」

 

途中からとんでもないことをカミングアウトし出した東馬に天介の顔が青ざめる。

ちなみに人工呼吸は息をしていなかったり自発呼吸が出来なくなった人に対して行う救命措置であり、気絶しているだけで行うものでは断じてない。

 

「する直前にお前が起きた。だからやっていない」

「起きてくれてありがとう俺っ!危うくこいつにファーストキス奪われるとこだった!」

 

一先ず唇と唇の距離がゼロになることを避けられた自分に感謝した後、咳払いをしながら天介は周囲を見渡す。

 

 

※※※※

 

 

「いきなりこれかー」

 

天介が顔をしかめる。

明らかにテンションの下がりきった顔だ。

「何でこれチョイスした」と言わんばかりに見つめてくる彼に椋は慌てて言い訳を述べる。

 

「ほら、くろすとではビルドの歴史は消えてるじゃないですか。形は違えどこうして歴史が続いているってのを知ったら何だから感慨深くて」

「椋ちゃん。それだったらもう少し良いシーンがあるでしょうが……序盤のシーンとはいえ一発目がこれって」

「俺は良いと思う」

「お前の意見は聞いてねーよ!」

 

牛タンと白飯を一緒に食べながら頷く東馬を黙らせる天介、ちなみにご飯茶碗を見たら三杯目である。

店員に片づけてもらうように頼みながらも隣の席に座る。

 

「お前、本当に気絶してる奴がいたら人工呼吸だけはやめろよっ!」

「お嬢の知識が間違っていると言いたいのか」

「間違ってるんだよ!未来(2018年以降)だと確実にっ!お前とのファーストキスは誰も求めていないわっ!!」

「北斗と西哉にも同じことを言われた」

「そりゃあそうだろうよっ!」

「ちなみに天介の初めてはひま…」

「やめろおおおおおおおおおおおおおっっ!!!」

 

とんでもないことを暴露し始めた東馬に慌てて天介が首を絞める。

身体を揺らされて頭をぐわんぐわんさせている様を椋たちが慌てて止め、それを横目に北斗と西哉はロースとミノを食べるのだった。




後編に続きます。
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