仮面ライダーロワ ~歴史を守護する仮面の王~ 作:名もなきA・弐
世間一般がクリスマスムードに変わっても、この喫茶店の様子は何も変わらない。
外の寒さを打ち消す程度に調整された暖房と細やかに流れるクラシックな音楽、それに見合った落ち着いた西洋風の店内は変わらないことの良さを感じさせる。
店の扉には「貸し切り」を示す看板が置かれ、この日にいるのは二人組の男性客だけ……。
団体というよりは、マスター代理の『彼女』が良き友人のためにというのが実際の理由だ。
「はい、当店のスペシャルブレンド」
「あざっす」
蝶ネクタイを身に着けた白いワイシャツに黒のズボン、その上にエプロンを羽織った20代ぐらいの女性が湯気を立たせるコーヒーが入ったカップをカウンター席にいる二人の前に置く。
マスター代理である短く切った黒髪の彼女は右の泣き黒子とワイシャツとエプロンを大きく張り出した胸元が特徴の美女だ。
一方の客である一人の青年は人懐っこそうな笑顔で感謝の言葉を言いながら、コーヒーの匂いを味わってから口に運んでいる。
もう一人は何処か影のある整った顔立ちの人物で、灰と黒のツートンカラーになった短く切った髪型が特徴的だ。
そんな彼は冷ますことなくコーヒーを黙って飲む。
「熱っつ!?けど、美味っ!」
思わぬ熱気に驚きながら、味覚から伝わる豆の香りと苦みの調和に頷く人懐っこい青年とは裏腹に、もう一人はしばらくしてから一言。
「温っ、まぁ普通に美味いな」
充分に熱いはずのコーヒーを冷たいドリンクのように飲み、あまつさえ「熱くない」と言い放った青年にマスター代理の美女と連れの青年もその場でこけそうになる。
「『タクミ』ィ、こんな熱くて美味いコーヒーを飲んだ早々の感想がそれかよっ!?」
「僕からしたら全然温いんだよ、ツル。やっぱ、マスターが淹れてくれたコーヒーじゃないとなぁ」
「味は美味いのに」と零しながら青年『尾上タクミ』が淡々とコーヒーを飲む姿に、「ツル」という愛称で呼ばれた青年『黄原蔓久』が呆れたように溜め息を吐く。
そんな二人の態度に美女は気分を害することもなく、口元に手を当てて大人びた表情で静かに笑う。
「ふふ、タクミ君の気に入ったコーヒーはまだまだ淹れられそうにないわね」
「いやいや、こいつはただの面倒な客ってだけっすよ。了賢さんの腕が悪いってわけじゃないですから」
必死にフォローする蔓久だが、マスター代理『了賢静香』は気にした様子もない。
本人もタクミの好む味と温度に程遠いとは分かっていたのだろう、今回のはあくまでも再現が出来ているかの試飲も兼ねていたのかもしれない。
それなりの付き合いを持つ三人はしばらく談笑していたが、蔓久の携帯電話にメールが届く。
「…-我らが『店長様』からのお仕事命令だ。街で飾るクリスマスツリーの準備を手伝えってさ」
「頑張れーツルー」
「『隣にタッくんもいるだろうから縛りつけてでも連れて来い』って書いてあるけど?」
「エスパーかあの人は」
心底面倒そうな表情をするタクミだが、名指しで呼ばれた以上はサボるわけにもいかない。
本職である写真家としての仕事も休んでいるため、溜め息を吐くと椅子に掛けていたダークグリーンのジャケットを羽織りながら蔓久に向き直る。
「先に行ってて」
「あいよ」
短いやり取りだったが、コーヒーの代金を置いていくと蔓久は外に止めてあった自分のバイクに乗って喫茶店を後にする。
タクミも代金を置いて店から出ようとした時、不意に静香が後ろから抱き締められる。
「……離れてくれません?」
「嫌よ、せっかくタクミ君と二人きりになれたのに」
熱のある声色で、彼女は自身の身体を押し当てるように両腕に力を込める。
並の男なら喜びそうなシチュエーションだが、されている当の本人は迷惑そうにしている。
そんな反応すらも、静香は頬を上気させて増々密着を強めていく。
「酷い男ね?私を抱いておきながら何事もなかったように接するなんて」
「一夜限りの関係だし、君もそれを理解していただろ」
「女がそう簡単に納得すると思う?」
「女性って、基本はリアリストだってテレビに出ていた偉い先生が言っていたけど?」
妖しくなってきた静香だが、当のタクミは気にすることなく拘束を解き、彼女に向き直る。
その目は何も変わらず、何処か不愛想にも見えるほど表情をしていた。
「僕はもう、誰かを愛する気になんてなれないよ」
「あ……」
そう吐き捨て、今度こそ店の外へと出ていく。
残された静香は少し残念そうに笑うと、コーヒーカップの片づけをするのだった。
若者を中心としたこの街では基本的にイベント事には極めて意欲的だ。
夏には七夕、秋には運動会など季節のイメージや気候に合わせており、今の季節では来るべきクリスマス行事で大いに賑わっている。
そのメインとなるクリスマスツリーの設置に、颯太は何故か駆り出されていた。
「くっ、何で俺が……!」
「愚痴を吐く暇があるなら手を動かーす!」
ダンボールに入っている装飾品を両手を持つ彼に、セミロングの少女『礒菊啓子』が笑顔で背中を叩く。
『何でも屋』の店長である彼女に無理矢理に連れて来られたと思ったら「クリスマスツリーを立てるのに手伝って欲しい」と頼まれた颯太。
当然ながら最初は断ろうとしたが、彼女の見せる笑顔の圧に押されて仕方なく手伝う羽目になってしまったのだ。
「『姫香』。重い荷物は私が運ぶから!」
「でも、私も従業員だし……」
「嫁入り前なんだから無茶は禁物。代わりに飾り付けの準備をしてくれない?」
同じ店の従業員である少女『鈴芽姫香』が持っていた荷物を受け取り、テキパキと指示を与えている。
見れば啓子は荷物を運びながら他の者にも声を掛けており、こうして人が集まっているのも人柄の良さが関係しているのだろう。
そんなことを考えながら、装飾品やらで重くなったダンボールを運ぼうとした時だ。
「よっと」
「……おいっ」
「ガキが無理して運ぶもんじゃないぜ?こういうのは大人の仕事っしょ」
搔っ攫うようにダンボールを軽々と持った青年を睨みつける。
髪を金髪に染め、革ジャンを羽織った如何にも軽薄そうな笑みを浮かべた青年『久比霧唱也』は、有無を言わさず荷物を持ち運んでいく。
子ども扱いしてくる彼に苛立ちを露にしながらも、今度は装飾品を手に持ってツリーに飾り付ける作業を始める。
「くそっ」
こんなことをしている場合ではないのだが、持ち前の生真面目さもあって抜け出すことも出来ず焦りだけが溜まっていく。
それでも与えられた仕事を雑にすることなく綺麗にこなしていた時だ。
「うわああああああっ!?」
突如として悲鳴があがる。
周囲が驚いて振り向けば、そこにいたのは血管のような赤いラインを全身に巡らせた骸骨のような異形……彼らは知る由もないが、デルタに撃破されたはずの『イミテーション』だ。
奥底に潜む眼球を忙しなく動かし、妙に肥大化した右腕を振るって周囲にある物体を壊しながら人のいる方向へと確実に進んでいる。
「みんな、避難してっ!」
怪物が近づいてくる異常事態に恐怖を抱くも、混乱する人々を啓子と姫香が避難誘導を率先する。
低く唸る『イミテーション』の行く手を阻むのは颯太だ。
唱也の「早く逃げろっ」という慌てた言葉を無視し、左右の肩に刻まれた文字と数字を見て確信を得る。
「やはり、ファイズのレプリカライダーか」
『グルアアアアアアアアアアアッ!!』
右肩に「FAIZ」、左肩の「2003」を刻んだイミテーション改め『レプリカファイズ』は硬質化した右腕で颯太を叩き潰そうとするが、大ぶりかつ単調な攻撃は難なく躱されてしまう。
その間にも颯太は「都合が良い」とジクウドライバーを装着し、レクスライドウォッチのベゼルを回転させてからスイッチを押して起動する。
【LEX!!】
横のスロットに装填し、バックルのロックボタンを拳で叩いて解除する。
巨大なデジタル時計と時計塔の内部を彷彿とさせるエフェクトが背後に出現。そして時計の音を思わせる待機音声の中で、腕を大きく回転させた彼はドライバーのバックルを包み込むように構え、叫んだ。
「変身っ!」
【RIDER TIME!】
電子音声が鳴り響くと同時に背後のエフェクトからローマ字で「RAIDA-」と記された白い文字が浮かび上がり、青と白のエネルギーが全身を覆う。
【KAMEN RIDER REX!!♪】
近未来のような青いライダースーツに白い文字がゴーグル状になった目の部分へ収束されることで変身が完了。
仮面ライダーレクス……並行世界を渡り歩いてきた颯太が変身する戦士の姿。
「変身、した……っ?」
「スマートブレインの奴ら、時計型のベルトも作っていたのかっ!?」
安全圏の方から聞こえてくる困惑する姫香と唱也の叫びを無視し、レクスはナックルダスター型の武器であるジカンジャナックルを構えると、光らせた複眼で標的を睨みつける。
突然姿を変えた光景に驚くも、すぐさま敵意を剥き出しにしたレプリカファイズが地面を蹴った。
【JIKANJAKNUCKLE!】
「はぁっ!」
突進して距離を詰めたレプリカライダーが拳を振り下ろすタイミングに合わせて、レクスがジカンジャナックルを叩きつける。
爆ぜるような衝撃と共に競り勝ったのはレクス……弾き飛ばされたレプリカファイズの決定的な隙を見逃すことなく追撃の前蹴りが炸裂し、その身体を大きく吹き飛ばす。
『ガァアアアアアアアアアアッ!』
起き上がったレプリカファイズが再び突進するも、あまりに単調な攻撃のためレクスは難なく回避する。
その間にも、妙な違和感を抱いていた。
レプリカライダーの強さは変身者の素質に依存するが、それを見定めて贋作の力を与えるのがワールドハックたちだ。
『王』を創ることを目的とする彼らが変身するだけで簡単に暴走するような人物を選ぶのだろうか……少なくとも、最近のケースでは些か役不足にも思える。
「……いや、どうでも良いか」
世界を滅ぼして回るような異常者の心情など理解するだけ無駄だ。
僅かに抱いた違和感を強烈な一撃と共にレプリカファイズを殴り飛ばすと、早急に決着をつけるべくドライバーを操作しようと手を動かす。
しかし、その動きは突如として止まる……。
『~~~~~~~~~ッ!』
「っ!?」
周囲に響き渡る音が、レクスやレプリカライダーだけでなく遠くにいた啓子たちの脳を揺らす。
ふらつきそうになる身体を必死に起こし、震源地の方を見上げれば『何か』がゆっくりと降りてくる。
『……』
「オルフェノクかっ」
降り立ったのは灰色の異形……生物としての死を超越してしまった存在『オルフェノク』だ。
巨大な複眼と鋭い針を持つ口部に、鋏のような籠手を装備した出で立ちはまるで幼虫を思わせるだけでなく、足軽兵も連想させる。
『……花が』
「っ?」
『赤いお花が、咲きました。お家の床に咲いた真っ赤なお花、その近くには手足の曲がったおじさんが天井をずっと眺めていました』
「……何を言っているっ」
『やっつけてやるっ、やっつけてやるからなっ!お前も、あなたも君も貴様もっ!みんな俺様とわたくし様を馬鹿にしやがるっ!!』
内容はあまりにも支離滅裂、感情すらも一致していない蝉の幼虫を模した異形『シケーダ・オルフェノク 歩兵態』は大きく息を吸うと、今度は高周波のような深いな音を響かせる。
変身しているにも関わらず、動きが阻害されるほどの音波にレクスが頭を抑えた瞬間をレプリカファイズが捉えた。
『グルアアアアアアアアアッ!!』
「がぁっ!?」
強烈なアッパーカットを叩き込まれたレクスが宙を舞い、そのまま地面に叩きつけられる。
幸いにも変身は解除されなかったが、シケーダはレプリカファイズを守ろうとしているらしい……向こうも本能で理解したのか幼虫のオルフェノクには目もくれていない。
「……あーもうっ、しゃーねぇっ!!」
唱也が乱暴に頭を掻くと「しゅわっち!」と今一つ気の抜けた掛け声と共に構える。
瞬間、軽薄そうな彼の顔に不気味な紋様が浮かび上がり、レクスたちが戦闘している場所へと走る。
人としての姿を歪ませた彼がレプリカファイズを蹴り飛ばした頃には、その身は灰色の異形へと変わっていた。
革ジャンのような装飾やズボン、頭部に生やした灰色のモヒカンヘアーは傍から見ればパンクロッカーを彷彿させるが、全体的なシルエットとしては線が細い。
頭部に生やした細長い触覚や鋭い牙を持つ口元はまるで人の指でさえも噛み千切るほどの力を持つキリギリスを思わせる。
クビキリギリスの姿がイメージされた『クリケット・オルフェノク』は発達した脚力でもう一度蹴り飛ばして強引に距離を取るとレクスに手を伸ばす。
しかし、助けられた方の心象は決して穏やかではなかった。
オルフェノクの末路は破滅。自然の摂理に歯向かった代償として短い寿命が尽きるか、生物の持つ闘争本能に負けて化け物に成り果てるか、その二つしかない。
「お前っ、オルフェノクだったのか!」
『ちょいちょいちょいっ!敵はあっち、俺無害っ!信じてっ!』
「信じられるかっ!大体…」
『分かったって!とにかく今は前前前っ!』
必死に敵ではないとアピールする様子のクリケットにレクスは苛立ちを募らせるが、慌てて指をさす方に顔を向ければシケーダが長槍を持って突進してくる姿が見える。
舌打ちと共にオルフェノクだった相手を突き飛ばして攻撃から守ると、再び突進してきたレプリカファイズを殴り飛ばす。
シケーダの方はクリケットに任せ、一対一の状況になった時にエンジン音を響かせた二台のバイクが乱入してくる。
ヘルメットを外してバイクから降りてきたのは人懐っこそうな青年と不愛想な雰囲気の青年。
「オルフェノクッ!?それにシュウジさんの言っていたファイズの偽物に、時計の仮面ライダーッ!?いやいやどういうこと啓子さんっ!」
「ごめん私が聞きたい!ファイズ擬きと蝉の幼虫が敵だからタッ君お願い!」
初見では確実に分からない状況に叫ぶ蔓久の疑問に啓子が嚙み砕いた雑な説明をする。
それでも一先ずの納得をしたタクミはスマートブレインのロゴが入ったアタッシュケースからベルトを取り出し、腰に巻きつける。
そして、ガラパゴス携帯電話型デバイス『ファイズフォン』を開く。
起動コードは「5」・「5」・「5」……その後に「ENTER」のボタンを押し込んだ。
【Standing by】
警告音とも取れる音声が鳴り響く中、閉じたファイズフォンをタクミは天高く構える。
そして、自らを変える言葉を叫んだ。
「変身っ!」
ファイズフォンをベルトの窪みへと差し込み、九十度に倒す。
瞬間、接続された機械は本来の性能を呼び起こす。
【Complete】
タクミの身体を赤いラインが廻っていく。
やがて、それは全身にまで行き渡ると周囲を照らすほどの眩い閃光に染まる。
「……」
光が治まった時、尾上タクミの姿は機械の戦士へと変わっていた。
胸元にある銀色のプロテクターと黒いアンダースーツに包んだ赤いフォトンブラッドを巡らせており、頭部にはギリシャ文字のφを象ったマスクと林檎の断面を思わせる黄色い複眼が輝いている。
「……ファイズッ」
レプリカファイズのオリジナルたる『仮面ライダーファイズ』は右手を軽く振るようにスナップすると、ゆっくりながらも大きな足取りで近づいていく。
『グ、ガァアアアアアアアアアッ!』
本能による危険信号を受け取ったレプリカファイズが雄叫びをあげると、レクスを無視して肥大化した右腕を大きく振り被る。そして、その勢いのまま強烈な一撃が放たれた。
しかし、ファイズはその攻撃を小さな動作で正面から躱すと、カウンターの要領で強烈なストレートパンチを叩き込む。
『ガッ!?』
顔面に受けた攻撃に動揺し怯むレプリカファイズに、追撃の攻撃が一発二発と放たれる。
それは鳩尾や顔などの急所を中心に浴びせられ、強烈な腹パンチからのヤクザキックがクリスマスツリーが設立される場所から吹き飛ばした。
面倒そうに溜め息を吐くと、近くに転がっていた台車を横に蹴り飛ばしながらレプリカファイズに元まで距離を詰める。
(……強い)
レクスは確信する。
戦い方はチンピラ染みた喧嘩殺法だが、経験に裏打ちされた経験によって確かな戦闘スタイルへと確立している。
同時に彼がどれだけのオルフェノクを戦い勝利を収めてきたのか、そう思ってしまうほどの威圧感が視線の先にいるファイズにはあった。
しかし、敵はレプリカファイズだけではない。
『ヘルプッ、ヘールプッ!こいつ怖いっ!!』
シケーダの攻撃をパニックになりながら回避しているクリケットの声で我に返ったレクスは、劣勢になっている彼の援護をする。
仕方がないと言わんばかりに砲撃モードに切り替えたジカンジャナックルでシケーダを怯ませると、クリケットを庇うように前へ出る。
『僕は奴隷の王子様、彼女は恋するお姫様、周りの声は知らんぷり、聞こえない鳴き声なんて耳を塞いで知らん顔』
「蝉の幼虫如きが、脱皮する前に砕いてやる」
意味は不明だが、こちらへの明確な敵意を向けるレクスはエグゼイドライドウォッチをバックルに装填してエグゼイドアーマーを装着。
「ふっ!」
ガシャコンブレイカーブレイカーではなく、ジカンジャナックルを打撃モードに切り替えてから支離滅裂なオルフェノクへと殴り掛かる。
その一方で、ファイズとレプリカファイズの戦闘は間もなく終わろうとしていた。
ファイズの情け容赦ない攻撃に防御すら出来ずに殴り続けられている。
強烈な殴打を叩き込む合間に、レプリカファイズから視線を外すことなくファイズは腰にマウントされた機械を取り外す。
細長い懐中電灯のようなそれ『ファイズポインター』にファイズフォンから取り外したミッションメモリーを装填。
【Ready】
『ッ、ガァアアアアアアアッ!!』
そうはさせるかとレプリカライダーが掴みかかろうとするが膝蹴りで強引に止め、前蹴りで壁に叩きつけると、ポインターを右足部分に接続。
そして、ファイズフォンを開けてエンターボタンを押す。
【Exceed charge】
ファイズフォンからのコマンドを受け取り、フォトンブラッドの赤い光がベルトから右脚を経由して収束されていく。
肩の力を抜いた気怠い様子でゆっくりと腰を下ろし、エネルギーが行き渡ったのを確認したファイズが地面を蹴る。
助走をつけて跳躍し、ようやく起き上がったレプリカファイズに向けて突き出された足のポインターから円錐状の赤いマーカーが射出され、動きを拘束した。
「やぁああああああああああああっ!!」
飛び蹴りの姿勢でポインターに吸い込まれるように一体化すると、まるでドリルのよう激しく回転を始めて衝撃を加速させていく。
そして、レプリカファイズの背後に降り立つように全身を貫いたファイズが出現した。
『ギィヤアアアアアアアアッ!?』
赤いφを模した紋章が浮かび上がり、青白い炎による爆発が起こる。
レプリカファイズの変身は解除され、痩せこけた女性は呻くと同時に全身が灰となって消滅する。
「……」
その様子を、ファイズは目を反らすことなく見届けた。
奪ってしまった命を決して忘れぬように、自らが絶対の正義でないことを忘れぬように。
最愛の人である『
Open your eyes, for the next FAIZ.
自分の中ではリマジファイズは二部構成のようなストーリー展開になっていたと考えています。
ディケイドが通りすがった時期は「スマートブレインハイスクール編」、とある事情でタクミが学校を中退して何でも屋に居候することになったのが「ラッキークローバー編」という分けています。
ハイスクール編のタクミはまだ綺麗な戦い方でしたが、ラキクロ編では色々あったため原典の乾巧と同じ喧嘩殺法のスタイルへと変化しました。ちなみに何人かの女性と肉体関係を持っていたり(おい)
蔓久はファイズ世界にあるまじきトップクラスで良い奴。小学生からの付き合いで最後までタクミの友人であり続けました。ディケイドの時にいなかったのは部活の大会で偶然いなかったからです。
啓子は啓太郎ポジの人間、多少強引ながらも面倒見の良い女性で姫香とは学生時代からの友人だったりします。
ちなみにオルフェノクになるキャラにはモチーフの生物を捩った名前を、それ以外の人間は植物や花の名前を意図的に入れています。
今回はこんな感じで。ではでは。ノシ