仮面ライダーロワ ~歴史を守護する仮面の王~   作:名もなきA・弐

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TIME30 ひらすらに先へ

クリスマスで浮ついた空気の中、タクミは雪の降る景色を誰もいない事務所の窓越しに見上げる。

レプリカライダーが撃破されたことで修正が行われたが、変身者である夏樹がオルフェノクとしての能力も使っていたため犠牲者は戻ることはなく『暴走したオルフェノクが討伐された』という単純ながらも残酷な事実しか残らなかった。

 

「また、託されちまったのか」

 

何時の間にか隣にいた蔓久が声を掛ける。

普段と変わらずに腑抜けた笑みを浮かべていたが、その目は彼の心身を案じているようだ。

そんな友人の気遣いにタクミは軽く笑いながらも「問題ない」と答える。

 

「由里ちゃんの夢も、ナツキの夢も……全部拾うさ。それがきっと、僕の夢にもなるから」

 

両手に持った黒いカメラの重みを確かめる。

ファインダー越しに覗く世界にまだ恐怖もある。それでも、タクミは二人の想いを叶えることを決めた。

残酷な結末が待っているのかもしれない、志半ばで命を落としてしまうのかもしれない。

だからこそ、生きたいと願った。

小さな命の夢を知り、守れますようにと……。

 

「そっか」

 

蔓久も何も言わなかった。

きっと自分の言葉は彼に届かないのだろう、彼の進む道は誰を止められない。

それなら、自分はタクミの友人として在り続けよう。

例え世界が迫害しようとしても、最期まで彼の仲間であろうと。

 

「付き合うぜ。お前の夢を叶えるまでさ!」

「……あぁ」

 

重くなった空気を緩和するように蔓久が雑にタクミの首に腕を回す。

学生時代からの鬱陶しい彼に辟易しながらも呆れた溜め息を零していたが、事務所に我らが所長の啓子が人懐っこい笑みを浮かべながら帰宅してきた。

その表情は何やら上機嫌であり、宛ら欲しい物を見つけてご満悦な子どものようだ。

嫌な予感を覚えつつも、蔓久が代表して尋ねる。

 

「あー……何か良いことありました?」

「颯太君の穴を埋める、優秀な若い女の子を拾ってきたわ!その辺の道で行き倒れていたのを見つけてね、ご飯を奢ったら喜んでくれた」

「どんな状況!?てか、信用して大丈夫なんすか」

「平気よ、良い子そうだし。仕事を覚えてもらうからタッ君、お願いね?」

 

有無を言わさぬ笑顔の圧にはタクミと蔓久も折れるしかない。

素直に頷いた二人に啓子が満足そうに笑うと、後ろにいた人物に目配せする。

その少女は改めて部屋に入ると綺麗にお辞儀をし、元気に笑って見せた。

 

「初めまして!私は……」

 

尾上タクミが再び旅を再開した破壊者と出会うのは、また別の話である。

 

 

 

 

 

「……暑いっ」

 

真冬から一気に変わった気温差に颯太が上着を脱ぐ。

周囲の景色はファイズの世界と混ざる前に戻っており、レプリカウォッチⅡの破壊が成功したことを証明していた。

ふと、懐から手に入れたファイズのライドウォッチを取り出す。

仮面ライダーの力を繋いだ証でもあるそれは、今回は颯太にとって重いものだった。

生きることを願った命を奪い、迷わないことを決めた戦い……死が目前に迫った相手に向けられた恐怖と嫌悪の視線。

 

「受け入れてやるさ」

 

怖くないと言えば噓になる。正直に辛いと言ってしまえば、心の奥底にしまった言いようもない感情が少しは楽になるだろう。

しかし、弱音を吐くことは出来ない。

 

「奴に届くまで、みんなの仇を討つために……歩き続けてやるっ」

 

歩みだけは止めないことを決めた。

増える罪の重さに潰されても、立ち止まらないことを胸に颯太はライドウォッチを懐へ戻す。

代金を払い、DOLLSの事務所へ戻ろうと席を立った時だ。

 

「ファイズとの繋がり、おめでとう」

「っ!?」

 

自分に向けた女性の声に驚き、すぐさま振り返る。

そこにいたのは一人の女性……自分にジカンジャナックルを与えた宮廷画家と名乗る人物だ。

いつでも変身出来るように身構える彼に対して、呆れたように溜め息を吐く。

 

「酷いわね。そんなに警戒しなくても良いじゃない」

「生憎、武器を差し出すのような不審者に心を許すほどお人好しじゃない」

 

警戒心を露にする颯太。

対して宮廷芸術家の少女は「やれやれ」と肩を竦め、遂に自らを名乗る。

 

「私は『アリス』……不思議な異世界に迷い、そこにある芸術を好む者よ」

 

不敵に微笑む彼女の美貌に絆されることのない彼に、彼女は言葉を続ける。

 

「今は『我が王』に仕える家臣にして同士、そして親愛なる友人でもある。これで満足してくれたかしら?」

「何が目的だ」

 

宮廷芸術家……アリスの真意が読めない。

未来を見通しているようでありながら瞳には強い意志を宿し、その佇まいは道具を握る芸術家のようには到底思えない。

まるで王の繁栄を望む預言者のような彼女は余裕を崩すことなく、目的を語る。

 

「芸術を穢すワールドハックの連中を根こそぎ倒すこと……要は貴方と同じ。だけど、私たちはこの世界にまだ干渉することが出来ない」

 

「こんな風に」と彼女は自らの腕を上げる。

華奢な腕には不規則なノイズが生じており、確かに安定していないように見える。

そう笑う彼女に動揺を押し隠した颯太が次の質問をぶつける。

 

「何故、俺に?」

「貴方は本来、この世界には存在しない来訪者……だけど仮面ライダーとして戦い、敵を打倒する度に自分の存在を刻んでいるの。貴方にその自覚がなくてもね」

「それがお前たちとどう関係している」

「ワールドハックの思惑を壊せば壊すほど、この世界は反逆者という異物を正常な存在として受け入れることが出来る」

 

曰く、異なる世界の存在として認識された者は安定しない状態で降り立つことになる。

颯太はジクウドライバーとレクスライドウォッチのお陰で免れているが、アリスたちは専用のライドウォッチを所持していないため、長時間の干渉が不可能となっているのだ。

 

「私の干渉を受けたジカンジャナックルを貴方が所持し、それを使うことで徐々に時間も伸びている……こちらの想定通りに、ね」

「つまり、俺を利用して体良くこの世界へ完全に干渉しようとしているわけだ」

 

嫌悪を吐き捨てた颯太が睨みつける。

ワールドハックの敵対者と告げてはいるが、何処まで本当か分からない。

むしろピグマリオンのような第三勢力の可能性さえもある。

言外にそう吐き捨てた彼にアリスは「やれやれ」と感心した様子で微笑むと、その場から立ち去ろうとする。

 

「何にせよ、私たちは貴方や椋君の味方よ。今後とも宜しくね、レクス■■■■」

「待てっ!」

 

ノイズの混じった最後の言葉の意味を問い質そうとするよりも先に、彼女は姿を消していた。

自分たちに協力をする謎の少女アリス……その真意や思惑に颯太は疑惑の目を向けることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

2014年・木組みの街にて。

ワールドハックのファスティが赤紫色のレプリカウォッチⅡを上等な黒いスーツに身を包んだ男性……ロイミュード003の人間態に見せる。

ディスプレイには半壊したような車の仮面が映し出されており、尊厳破壊にも近い醜悪さに003は露骨に顔を歪める。

 

「……調整は、終わったみてぇだな」

「ようやくだヨ、これでボクたちの計画が進められル……この世界を停められるほどの『逸材』モ、君が見つけてきてくれたしネ」

 

そう言って視線を向けた先には返り血を浴びた一人の人物が立っていた。

足元にはスーツを着た男性の遺体が転がっており、隣には全身を蜘蛛の巣と西洋風の屋敷を思わせる装飾に身を包んだ貴族らしき服装をした進化態ロイミュードが静かに佇んでいる。

 

「時計の針を進めよウ。今日からは君も『仮面ライダードライブ』ダッ!!」

 

歓喜に叫んだファスティがレプリカウォッチⅡを起動する。

それはレースの始まりを告げるように、ブレーキの壊れたチキンレースの開幕を合図するかのように、不気味な笑みを見せながらウォッチが贋作の名を告げた。

 

「Start your Engine……♪」

【DRIVE……!!】

 

贋作の時計が、その人物に埋め込まれる。

心に点火された炎が燃え上がるように、ウォッチから放出された赤紫色のエネルギーがそれすらも呑み込んで身体が変身していく。

やがて、その姿はレプリカライダーとなった。

 

『ヴ、ググ……ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

咆哮と共に世界が書き換わる。

あるべき歴史が、本来の流れが異なる世界同士を混ぜ合わせるかの如く変わる。

その光景をファスティは嬉々として、003は大して興味もなさそうに見つめていた。

 

 

Next Legend Rider……■■■■■

 

Error

 

N■xt Le■e■d R■■er……■■■■■

 

Error. Error. Error.

 

不正なアクセスを検知、不正なアクセスを検知。

深刻なエラーとプログラムの重大な破損を確認。再度実行しますか?

新たなアクセス先を確認……。

 

 

 

 

Collabo Rider……仮面ライダージオウ~Crossover Stories~

 

Access…[Archive 2014]

 

File:KAMEN RIDER DRIVE




 てなわけでリマジファイズ編終了。ファイズの世界の時間軸は最終回に該当する話の終了後~ライダー大戦の世界の話でMOVIE大戦2010より前の時間軸となっております。椋を登場させなかったのもタイムパラドックが起きるのを危惧した作者の独断です。
 ちなみにネクストファイズライドウォッチの入手経路。
アリス「とう」←ライドウォッチとブランクライドウォッチを一人で歩いていたタクミの足元にこっそり投擲。

タクミ「……?」←足元に転がってきたライドウォッチに気付き、拾う。

 こんな感じでした。いや原典ファイズも割とあっさり強化アイテムが手に入ったりするので多少はね。

 さて、ここから前々から宣伝していたコラボ編改めドライブ編となります。既に忘れている方や覚えていない方もいらっしゃるかもしれませんが、次回からコラボ開始となります。

 壱肆陸さんが連載している作品『仮面ライダージオウ~Crossover Stories~』の仮面ライダードライブ編に登場するキャラとのコラボ作品となっております。
ビルド編が中途半端な形になってしまったため、今回のドライブ編はリベンジのような形となっております。
改めて壱肆陸さん、本当にありがとうございます!

コラボ先の作品はこちらから、本当に面白いので是非!

→ https://syosetu.org/novel/188149/
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